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2000年度の事業展開

ドキュメント内 IAS RoE 32.4 (ページ 57-68)

取締役による概況説明

バンカース・トラストの完全統合および ドイチェバンク

24

の独立が反映された初の年度

2000年度は、これまでの戦略的な動きが決算に反映された初めての年

度となった。バンカース・トラストの統合が通年ベースで初めてドイツ銀 行グループの業績に反映されるとともに、ドイチェバンク24が法律上独立 の主体として初めて通年の業績をあげた。一方で、2000年度は、テクノロ ジーを大幅に増強することで、グループの各部門およびグローバル・テク ノロジー・アンド・サービス部門の多様なe-コマース業務を統合し、包括的 なe-コマース戦略を打ち出した年となった。こうした当グループのe-コマー ス戦略は概ね高く評価されている。投資銀行、資産運用、ポートフォリオ 運用の各ビジネスのみならず、リスク管理部門においても、優秀な人材を 配置し、また技術的な資源のさい配を進めたことで、株式市場におけるチ ャンスを生かすことが可能となり、結果として顧客および当行の利益につ ながった。

2000年の純利益は、好調であった1999年度の純利益の2倍の49億ユー

ロに達した。収益は、前年比3割強の287億ユーロを記録した。バンカー ス・トラストとの統合の成功がこのような好業績に大きく寄与しているの みならず、世界有数の投資銀行としての地位を強化することにもつながっ た。

収益の構造としては手数料収益およびトレーディング利益の比重が増 した。これら2つのセグメントからの収益は、1995年度には全収益の40%を 占めていたのに対し、2000年にはほぼ3分の2を占めるまでになった。また、

アリアンツ株式の計画的売出しの結果、投資による純収益が全収益の11%

を占め、収益の増加に大きく貢献した。

営業費用には、特に投資銀行部門の実績に応じた報酬体系による支払 額の負担が大きく影響した。包括的なe-コマース戦略を推進するための投資 も反映されている。さらに、米ドルおよび英ポンドに対してユーロが軟調 に推移したことが、費用増加の要因となった。その他の費用は僅かに増加 したが、主要部門に最高業務執行責任者を任命するなど、コスト管理の徹 底をはかっている。

2001年2月初めに実施された新組織のもとで、当行は2003年度まで、

毎年15億ユーロの収益の増加を目指している。

収益構造

総額28,659百万ユーロ

純利息収益 24%

純手数料収益 40%

トレーディング利益 24%

投資による純収益 11%

保険業務による純収益 1%

貸倒引当金繰入前純利息収益

貸倒引当金繰入前純利息収益は、前年比2.9%増の68億ユーロとなった。

2000年度に連結会社グループの成長が主な増加要因となった。さらに、初

めて通年ベースでバンカース・トラストの業績が含まれたこともまた、純 利息収益の増加に寄与した。

全収益に対する純利息収益は、手数料およびトレーディング利益が大幅 に増大したため、1999年度の31%から2000年度には24%に減少した。

貸倒引当金繰入

与信業務のリスクを十分にカバーするため、438百万ユーロの貸倒引当 金繰入が行われた。これは、前年度を178百万ユーロ(28.9%)下回ってい る。

信用リスク引当金の正味要繰入額773百万ユーロは、主にドイツ国内の 与信業務におけるものであった。与信ポートフォリオの質を改善するため の施策により、この数年間、要繰入額を減額することが可能であった。

信用エクスポージャーの削減と、数か国に対する行内格付の改善によ り、正味186百万ユーロのカントリー・リスク引当金の戻入れが行われ、カ ントリー・リスク引当金総額は、3億ユーロを下回った。債権の売却と返済 期限の延長により、カントリー・リスクを生じる与信エクスポージャーは、

この数年間で大幅に軽減された。

一定の手続に従ってグループ内で計算される潜在的信用リスクに対す る包括的価値修正額の内、149百万ユーロの戻入れを行った。

グループの貸倒引当金総額は、貸出金総額の2.3%に相当する72億ユー ロに達している。

貸倒償却は13億ユーロであり、その内、3億ユーロはクロスボーダーの 与信取引に関連し、特に返済期限延長契約との関係で行われたものであっ た。こうした償却は、対応する引当金が前年までに既に相当程度計上され ていたため、2000年度の利益への影響は軽微であった。

債務不履行比率(対貸出金総額)は0.43%で、1994年度から1999年度 までの平均0.41%をわずかに上回った。

2000年度の事業展開

貸倒引当金繰入後純利息収益は、前年比6.2%増の64億ユーロとなっ た。

純手数料収益

純手数料収益は、前年度の52.5%増に続き、2000年度も41.9%という 注目すべき伸び率を達成し、新たな局面に入った。純手数料収益はこの2年 で、2倍の115億ユーロに達し、当グループの収益構造に占める割合が最大 になった。

前年度比34億ユーロ増のほぼ3分の2は、組織的な事業成長に起因し、

また3分の1強は、初回連結とバンカース・トラストの完全統合による。手 数料収益は全業務部門で前年度業績を上回り、特に証券業務は純手数料収 益の42%を占めた。なかでも株式・投資信託業務からの手数料収益が特に 好調に推移した。

当行は、顧客向けの資産運用業務をさらに拡大し、これによる手数料 は、前年比50%増の32億ユーロに達した。資産運用の取扱高(保険業務の 資本投資を除く)は、7,030億ユーロであった。

貸出手続および保証業務は8億ユーロの収益となった。支払業務からの収 益も同額となった。両業務からの収益は、ともに前年比2桁台の増加であった。

M&Aアドバイザリー業務は、特に大きく拡大した。同業務の取扱高お

よび手数料収益は、前年度の2倍超の増加となり、2001年度にも当該ビジネ スは引き続き好調に推移するものと考えている。

トレーディング利益

トレーディング業務は本年度も好調に推移し、安定した収益を達成し た。2000年度第1四半期には25億ユーロの利益を計上したのみならず、不安 定な市場展開となったその後の各四半期においても、約15億ユーロの利益 を達成した。通年では69億ユーロの利益を達成し、好調であった前年度24 億ユーロの52.4%増となった。

純手数料収益の構造 総額11,468百万ユーロ

証券業務 42%

資産運用 28%

支払業務 7%

国外商業業務・

旅行代金決済業務 3%

貸出手続/保証 7%

その他 13%

トレーディング利益の過半は証券トレーディングからのものであった。

世界の株式市況が厳しさを増したにもかかわらず、株式トレーディングから の収益が2倍強となった。2000年度から、SIC第16号に従い、自己株式のト レーディング純利益(税引前180百万ユーロ)は損益計算書に計上されず、

直接、株主資本の部に計上されている。比較数値もこれに従って調整され た。

外国為替トレーディングからの利益が、初めて10億ユーロを超え、全 体のトレーディング利益に貢献をした。欧州における好業績が主因となっ ているものの、バンカース・トラスト統合の恩恵を受けた北米や、アジ ア・太平洋地域における好調も寄与した。また、外国為替ビジネスをグロ ーバルに統括することで、顧客を重視したビジネスの基盤をさらに強化し た。

OTCデリバティブおよびスワップのトレーディングによる利益は12億

ユーロとなり、トレーディング利益全体に占める割合は、株式トレーディ ングに次いで二番目に大きくなっている。

保険業務による純収益

保険業務による純収益は、ほほ前年度と同じ、

382百万ユーロとなった。

特に1999年度における販売の好調、ならびに個人および企業の老齢年金を 改善する必要性が一般に認識されてきたことを追い風として、取扱高およ び受取保険料収入が増加した。生命保険の顧客のための給付義務が強化さ れたことに対応し、保険料金額も大幅に増加した。

投資による純収益

投資による純収益は31億ユーロとなった。特別ファンドの初回連結の 影響に加え、アリアンツ株式の計画的売出しによる収益も含まれている。

営業費用

営業費用は、対昨年度で53億ユーロ増加し、210億ユーロとなった。前 年度と比べ33.6%増となった主な要因としては、初回連結の実施やバンカー ス・トラストの統合、ならびに為替レートの影響があげられる。特に投資 銀行業務の収益が大幅に改善したことを背景として、実績に応じた報酬額

利付証券 12%

トレーディング利益の構造 総額6,891百万ユーロ

その他 12%

OTCデリバティブ/

スワップ 17%

14%

株式 45%

2000年度の事業展開

はかなり増加した。これらの影響を加味すると、営業費用の増加率は、5%

未満まで低下し、これは将来に対する投資を反映した水準と言える。

人件費は前年より35億ユーロ増え、132億ユーロとなった。この増加は 主に実績に応じた報酬システムによる。2000年の正規従業員数は年間平均 で約88,800人となり、昨年比14%増となった。バンカース・トラストの統 合を受け、ドイツ国外における従業員の増加が主な増加要因となった。

そ の 他 の 営 業 費 用 ( 減 価 償 却 費 を 含 む ) は 対 前 年 度18億 ユ ー ロ

(29.5%)増加し、78億ユーロとなった。取扱高の大幅な増加と約400百万 ユーロの部門を超えたe-コマース戦略への投資が増加の主な原因となった。

有形固定資産およびその他の資産の減価償却費も増加した(324百万ユーロ 増)。

その他の収益/費用

その他収益からその他費用を控除した差額、マイナス425百万ユーロに は、企業買収による営業権の償却(15年で定額法により償却)672百万ユー ロが含まれ、この内、446百万ユーロは、バンカース・トラストの営業権に 帰属するものであった。

純利益

税引前経常利益は前年比74.9%増の67億ユーロとなった。一方、法人 所得税は27.7%増の18億ユーロにとどまった。両者の増加率の差は、2001 年以降のドイツの法人税率引下げによる繰延税金負債の戻入れ、およびア リアンツ株式の売出しにかかる非課税利益を反映している。

税引後純利益は49億ユーロにのぼり前年度比25億ユーロ(同101.8%増)

増加した。

主要な数値

2000年度の業績は概ね、前年度に比べかなり改善された。1株当たり純

利益(営業権償却を除く)は前年度4.86ユーロの約2倍、9.02ユーロとなっ た。一方で、営業権償却を含めた1株当たり純利益は、3.87ユーロ増の7.93 ユーロとなった。税引前株主資本利益率は、営業権償却を除いたベースで前 年度

9.7 6.0

13.2

0 5 10

‘00

‘99

7.8 営業費用

(単位:10億ユーロ)

人件費

その他の営業費用

1.73

0 2.45

4.95 純利益

(単位:10億ユーロ)

1 2 3 4

‘00

‘99

‘98

ドキュメント内 IAS RoE 32.4 (ページ 57-68)