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リスク・レポート

ドキュメント内 IAS RoE 32.4 (ページ 139-147)

連結決算書

世界的な金融機関の長期的生存能力と持続的成功は、そのすべての事業 に内在するリスクを、企業レベルで最適な形で管理できるかどうかに決定 的に依存している。リスク管理は、ドイツ銀行の競争力の中核であり、機 能の上で、リスクを引き受ける各グループ部門から独立している。ドイツ 銀行のリスク管理の卓越性を決定する要因は、リスクを識別、測定、集計 し管理する能力、資本を割り当てる能力、そしてリスクを適切に評価する 能力にある。当行のリスク哲学は、意識的な確立されたリスク嗜好性の枠 内で株主利益を最大化するという当行の目的に支えられている。当行のリ スク管理は、リスクの取扱いについての企業レベルの行内文化に枠組を与 えるものである。ドイツ銀行は、リスク管理原則に基づく幅広い方法によ り、各グループ部門の業務と密接なつながりを持った組織構造とリスク手 続を通じて、リスクを管理している。

以下に掲げる主要5原則が、ドイツ銀行のリスク管理アプローチを支え ている。

− 信用リスク、マーケット・リスク、流動性リスク、オペレーショナ ル・リスク、ビジネス・リスクの管理は、組織内のすべての階層にお いて一つの統合された方法によって行われる。それは、これらが相互 に分かちがたく結びついているからである。

− リスク管理専任のグローバルな組織は、業務部門構造と密接なつなが りを持っている。

− リスク管理は、機能上も組織上も、各グループ部門から独立なものと する。

− グループ・リスク委員会(Board)(2001年2月から新グループ・リス ク委員会(Committee))がグループ・レベルのリスク管理について 責任を負う。

− グループ取締役会および監査役会が、グループ内のリスクに関して全 体的な責任を負う。

グループ最高リスク責任者は、グループ取締役会のメンバーであり、グ ループ内のすべてのリスク管理活動に関して全体的な責任を負う。個々の グループ部門の最高リスク責任者は、グループ最高リスク責任者の直属と なる。

リスク管理 − 競争力の中核

グループ・リスク委員会は、グループ最高リスク責任者を委員長とし、

グループ内のすべてのリスク管理について責任を負う。この委員会には、

各グループ部門の最高リスク責任者も含まれる。グループ・リスク委員会 の職責は以下の通りである。

− グループの全体的な事業戦略と整合したリスク嗜好性を設定する。

− グループのリスク嗜好性と整合したリスク原則、リスク手続、リスク 手法を承認する。

− 全行のリスク・ポートフォリオの視点からリスクを管理する。

− 引受リスク量に対応するような合理的な方法で経済的資本を各グルー プ部門に割り当てる。

− 組織構造を承認し、主要なリスク管理担当者を任命する。

各グループ部門のリスク管理部は、それぞれの最高リスク責任者の指揮の もとで、主に以下の責任を負う。

− グループ・リスク委員会の設定したリスク原則およびリスク戦略の枠 内で、特定のポートフォリオを管理する。

− 信用リスク、マーケット・リスク、オペレーショナル・リスクの限度 枠を承認する。

− ポートフォリオを定期的に再検討する。

− 適切なリスク管理システムを開発し導入する。

さらに、各グループ部門からもリスク管理部からも独立したファイナン シャル・コントロール部、監査部、法務部が、統制機能を果たしている。

ファイナンシャル・コントロール部は、リスクを測定し、関連データの質 および統一性を確保する。監査部は、内部統制手続を監視し、その行内お よび規制上の基準に照らした妥当性を確保する。法務部は、法的な枠組を 用意し、全般的な支援と助言を行う。

グループ・リスク委員会(Board)

各グループ部門のリスク管理部

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リスクのタイプ

ドイツ銀行がさらされているリスクの中で最も重要なリスクは、銀行業 特有のリスクと、一般企業活動によるリスク、すなわちビジネス・リスク である。さらに、グループの保険会社には保険業特有のリスクがある。

リスクは、当行の事業活動に本来備わっている一部分である。当行はこ れを、信用リスク、マーケット・リスク、流動性リスク、およびオペレー ショナル・リスクに区分している。

信用リスクは、当行に対して顧客が契約上の支払義務を履行しない可能 性がある場合に存在する。

銀行業リスク

信用リスク

リスク管理

監査役会 グループ取締役会

− グループ最高リスク責任者

グループ・リスク委員会(Board)

グループ与信政策委員会

− 各グループ部門の最高リスク責任者 一般個人顧客および富裕層向け バンキング

法人顧客および不動産投資銀行 グローバル・コーポレート・アンド・インスティ テューションズ

資産運用

グローバル・テクノロジー・アンド・サービス

独 立し たリ スク 統 制

リ スク

・ポ ート フォ リオ 管 理

リス ク管 理

2001年2月に公表されたドイツ銀行の行内組織改編を受け、独立した

リスク管理責任も新組織に従って改編された。

リ スク 政 策

ドイツ銀行にとってこれは、単独では最も大きなリスクであり、以下の タイプからなっている。

− 債務不履行リスク:顧客による契約上の支払義務の不履行。

− カントリー・リスク:行政措置(例えば、移転規制)または当該国特 有の経済的要因(例えば、通貨切り下げ)により、顧客がその支払義 務を履行することが不可能となるリスク。

− 決済リスク:当行が自ら行う場合または当行が顧客もしくは第三者の 取次業者として行う場合のいずれでも、財務上の義務が期日に決済さ れないまたは全く決済されない場合に生じるリスク。

マーケット・リスクは、市場相場(金利、株価、為替レート、商品価格)

の変動および、それらの相関関係やボラティリティの程度に関する不確実 性から生じる。

流動性リスクとは、当行の支払義務が、期日に全額きちんと履行されな い可能性をいう。また、高過ぎる金利での借入れや、市場より低い利回り での余資の運用を余儀なくされることによる潜在的損失も、このリスクの 対象に含まれる。

オペレーショナル・リスクは、予測不能な事象、経営破綻、および従業 員、顧客関係、技術、資産、その他の第三者/規制当局に関する不適切な 管理統制や管理統制上/システム上の欠陥によって損失の生じる可能性、

ならびにプロジェクト・リスクおよびその他のリスクである。

一般ビジネス・リスクは、市場環境、顧客行動、技術進歩といった事業 環境の変化による利益の不確実性を指す。これらの結果、収益が急速に減 少し、対応するコストの調整が追いつかない場合がある。

マーケット・リスク

流動性リスク

オペレーショナル・リスク

ビジネス・リスク

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保険業務に特有とされるリスクは、予測不能な理由によって支払額が予 定より高くなるリスク(追加リスク)、全般的な状況や被保険者の行動が 時を経て変化し、しかもそうした変化が即時に認識されず掛金の調整や保 険条件の変更によって考慮されないリスク(変化リスク)である。

ドイツ銀行は、リスクの監視・管理のために、広範な量的手法を用いて いる。その中には、多くのリスク要因に共通の手法もあれば、特定のリス ク項目の特色に合わせて特に調整された手法もある。これらの量的管理手 法は以下のために情報を提供する。

− 単一ポジションあるいはポートフォリオの市場価値の、市場パラメー タの変動に対する感受性を数値化する(いわゆる、感度分析)。

− 相互依存性や相関関係を考慮に入れ、統計的手法を用いて、リスク総 量を測定する。

− シナリオ分析によって、市場価格の極端な変動によるリスクへのエク スポージャーを把握する。

ドイツ銀行のリスク原則とリスク限度枠は、リスクを全グループ部門に わたって効果的に管理するため、これらの量的管理手法に結び付けられて いる。ドイツ銀行は、量的手法の適切性と信頼性を、変転するリスク環境 に照らして絶えず評価することを原則としている。

以下に掲げるのは、リスクの測定、管理、報告に用いられる最も重要な 量的手法である。

貸借対照表上の株主資本は、各グループ部門が引き受けたリスクから生 じる損失を吸収するのに使われる。ドイツ銀行は、経済的資本を中心的な 手法として用いており、これによって帳簿上の資本を5つのグループ部門 に割り当て、また各部門の収益性と、資本を効率的に利用する相対的な能 力を評価している。経済的資本は、与えられた日におけるエクスポージャ ーから生じる予想外の損失を吸収するために、その与えられた日において 必要となる株主資本の額を、かなりの確実性を持って表すために設計され た測定尺度である。

保険リスク

リスク管理手法

経済的資本

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