あった。
2000
年度の収益および利益は、厳しい 相場展開にもかかわらず、順調であった前 年度を上回るものとなった。これにより、当行は収益ランキングで世界第
2
位の投資 銀行の地位を占めた。当行は、アナリスト やメディアだけでなく、顧客からも「バル ジ・ブラケット」の一員として認められる確 固とした地盤を固めた。また、ユーロマネ ー誌の「ポール・オブ・ポールズ(Poll of Polls
)」において、2
年連続でNo.1
の投資銀 行に選ばれた。市場リスクやコストの徹底 した管理、資本の適切な配分によって、当 行は、最も優れた投資銀行の一社として世 界的に認識されている。高い成長を持続
グローバル・コーポレート・アンド・
インスティテューションズ部門
*
の2000
年 度の収益は、前年度比50%
超増加し、147
億ユーロとなった。これまで、競合他社の なかでこれ程高い成長率を達成した例はな い。2000
年度の収益の大幅な増加は、バン カース・トラストとの統合が成功裡に終わ り、その真価が発揮されたことに大きく依 拠している。当行の収益は、弾力性と安定 性を有し、2000
年度下半期に資本市場が低 迷したなかでも、同部門の収益は大きく落 ち込まず、安定して推移し、2000
年度の収 益は、競合大手に匹敵、あるいは上回る結 果となった。一方、利益も非常に良好であった。税 引前利益は、前年度比ほぼ
80%
増の40
億ユ ーロとなった。税引前株主資本利益率(営 業権償却を除く)は、前年度の23
%に対し て34%
となった。収益の大幅な増加以外に、こうした良好な利益に寄与した要因が幾つ かあげられる。第一に、コスト管理が継続 されたことである。営業権償却を除いたベ ースで費用/収益比率は
70
%の水準にあ り、これは金融機関のなかでもトップレベ ルとなっている。当部門では、信用リスク およびマーケット・リスクに関しても、非 常に厳格な基準を適用している。収益の対 前年度比増加は、実質的に変化していない 経済的資本およびリスク加重調整済ポジシグ ロ ー バ ル ・ コ ー ポ レ ー ト ・ ア ン ド ・ イ ン ス テ ィ テ ュ ー シ ョ ン ズ 部 門 *
単位:百万ユーロ 2000 1999
収益 14,651 9,703
貸倒引当金繰入 85 – 3
営業費用 – 10,422 – 6,916
その他の収益/費用の差額 – 204 – 70
(営業権償却を含む) – 401 – 254
再構築費用および税金前利益 4,110 2,714
再構築費用 – 135 – 495
税引前経常利益 3,975 2,219
平均資本(単位:百万ユーロ) 12,801 10,743 株主資本利益率(%)(営業権償却を除く) 34 23 株主資本利益率(%)(営業権償却を含む) 31 21
価値創造(単位:百万ユーロ) 2,456 861
費用/収益比率(%)(営業権償却を除く) 70 70 費用/収益比率(%)(営業権償却を含む) 73 73 リスク加重調整済ポジション(単位:百万ユーロ) 137,120 135,714 セグメント資産(単位:百万ユーロ) 584,627 584,939 セグメント負債(単位:百万ユーロ) 555,018 593,760
*注記に関しては、124頁の「セグメント情報の報告」を参照。
* www.db.com
2001年2月1日から導入した新しい組織体制のため、
同部門のインターネット・アドレスはすべて、2001 年春に変更される。
ョンの下で達成されている。すなわち、当 部門は、資本市場が困難でも収益を生み出 す力を有していることを示している。
すべてのビジネスで収益が拡大
2000
年度の債券および外国為替部(グ ローバル・マーケッツ)の収益は、好調で あった前年度を大幅に上回った。収益拡大 に大きく貢献したのは、クレジットや仕組 商品、新興市場関連といった高い価値を生 み出すビジネスである。一方、その他の商 品・サービスの提供においても優れた結果 を生み出した。例えば、外国為替取引で、ドイツ銀行はユーロマネー誌の「フォーレ ッ ク ス ・ ポ ー ル (
Forex Poll
)」 に お い て2000
年度の外国為替における世界第1
位の 銀行に選ばれ、22
年ぶりにトップの座に返 りづいた。また、当行は、2000
年度の「ユ ーロマネー・アワード・フォー・エクセレ ンス(Euromoney Award for Excellence
)」、「
IFR
デリバティブ・ハウス・オブ・ザ・イ ヤー(IFR Derivatives House of the Year
)」を受賞した他、
2
年連続で「クレジット・デ リバティブ・ハウス・オブ・ザ・イヤー(
Credit Derivatives House of the Year
)」お よび「ユーロボンド・ハウス・オブ・ザ・イ ヤー(Eurobond House of the Year
)」に選 ばれた。当行では、顧客から最高の金融機 関として認められることこそが、株主価値 増大に向けた重要な要因となると確信して いる。株式部(グローバル・エイクティ)の
2000
年度収益は、世界の株式相場が低迷するなかで、ほぼ倍増した。当行は、現在、
株式業務において世界で上位
3
社の一角を 占めている。株式部の全業務分野で収益の 増加に貢献した。特に、株式デリバティブ 業務は好調に推移し、派生商品関連分野の 高い専門能力は、変動の激しい相場展開の なかで収益安定の要因になっている。2000
年度の株式部の収益は、債券および外国為 替部の収益にほぼ匹敵し、グローバル・コ ーポレート・アンド・インスティテューシ ョンズ部門内の収益の分散化に貢献した。投資銀行部(グローバル・インベスト メント・バンキング)は、
2000
年度にビジ ネスを拡大し、将来的な成長基盤を確実な ものとした。バンカース・トラスト統合後 の順調な展開を反映して、収益は大幅に増 加した。株式引受業務の業績も極めて良好 であった。ヨーロピアン・アエロノーティ ック・ディフェンス・アンド・スペース・カンパニー(
European Aeronautic Defence and Space Company
)(EADS
)、ドイツ・テレコム(第
3
次募集)、インフィニオン、ドイツ・ポスト(
Deutsche Post
)等の重要 な新規株式発行案件に携わったことは、特 に注目に値する。M&A
アドバイザリー業務では買収取引 金額ベースで、前年度の1,310
億ユーロに比 べ、149%
増の総額3,260
億ユーロを達成し た。M&A
市場自体は前年比47
%増の拡大に とどまっている。特筆するべき案件として は 、 ボ ー ダ フ ォ ン ・ マ ン ネ ス マ ン(
Vodafone-Mannesmann
)の買収、AM-FM
によるクリアー・チャネル・コミュニケー0 76.7
150.5 グローバル・コーポレート・
アンド・インスティテューションズ部門 クレジット・デリバティブのトレーディング 名目金額(単位:10億ユーロ)
30 60 90 120
’00
’99
’98
’97 20.4
49.7
顧客
ションズ(
Clear Channel Communications
) の買収、さらに日本のテクノロジー企業と しては過去最大の案件となったNTT
コミュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ に よ る ベ リ オ ・ イ ン ク(
Verio Inc.
)の買収が挙げられる。2000
年 度の力強い成長を受け、当行は引き続きM&A
ビジネスの拡大に力を注ぐ方針であ る。こうした決意の証として、M&A
の分野 で豊富な実績を持つ複数の専門家を採用し た。当行では、優秀な人材が活躍できる体 制を整えている。グローバル・バンキング業務は、バラ ンスシートの拡大を抑えながらも、
1999
年 度に比べ収益を拡大した。リスク・ポジシ ョンは引き続き安定的に推移した。クレジ ット・プロダクトと戦略的なアドバイザリ ー業務の連携強化が奏効し、こうした素晴 らしい結果を達成する一因となった。差別化戦略
現在、ドイツ銀行は世界でもトップク ラスのビジネス基盤を確立している。こう したなか、グローバル・コーポレート・ア ンド・インスティテューションズ部門は、
市場を上回る成長を達成するための明確な 戦略を打ち出している。この戦略は、当行 の強みとも言える、強固な財務基盤とスケ ールメリットに依拠している。当行では、
こうした特異性に加えて、セールスおよび トレーディング能力を活かして業務基盤の 一層の拡充に努めている。投資銀行部門の 卓越した専門能力と個人投資家や機関投資 家への販売能力を結合することで、当行は
独自の地位を確立することができる。また、 0
50 100 150 200 250 300
’00
’99
’98
’97
’96 25.6
42.5
131.0 326.1
107.6
グローバル・コーポレート・アンド・イ ンスティテューションズ部門 M&Aアドバイザリー業務の大幅な拡大 案件金額(単位:10億ユーロ)
当行は、欧州地域において強固なビジネス 基盤を有し、これが大きな強みとなってい る。このことは今後、当行が世界の資本市 場で成長を遂げる上で、大きな要因になる と考えられる。
ドイツ銀行は、優れた人材を採用し、
長期雇用できる体制を整えており、当部門 の戦略はこうした当行の強みによって支え られている。
業績
フィナンツァ・アンド・フトゥーロ(Finanza & Futuro)では、実績とは、投資パフォーマンスだけではない。彼らにとって、実績は、顧客 との多面的なビジネス関係を意味し、顧客のニーズに対して適切な解決策を 見つけられるかどうかである。私たちは、経験からこのことを知っている。
アンナ・カザリ
Anna Casali
コカコーラ人事担当取締役、ミラノ
顧客
資産運用部門 2000
年度も世界最大規模で、最も分散投資を図っている 資産運用会社の一社となった。ドイチェ・アセット・マネジメント
(
Deutsche Asset Management
)*
は、世界21
か国で4,500
人の従業員を擁し、このうち500
人以上が高い専門性を持つ運用プロフ ェッショナルである。当社の運用プロフェ ッショナルは、リスク・プロフィールを考 慮に入れる一方で、顧客資産の収益拡大を 目指し、また、個々の顧客の投資目的に沿 った商品の提案に努めている。2000
年度末には、当部門内で新しい組 織体制を導入し、グローバルな商品戦略と 地域に密着したサービスの統合を図った。当部門は、南北アメリカ、欧州、アジア/
太平洋地域の主な
3
地域に分けて、ビジネ スを展開している。一方、グローバルな販 売網については、機関投資家、個人顧客、オールタナティブ投資の
3
つの組織に分か れて構成されている。こうした、地域およ び商品別の組織構成の相乗効果を高めるた めに、マーケティングやセールス、管理業 務においても、グローバル規模で新しい組 織体制を導入した。2000
年度末の運用資産残高は、前年度 比7%
増加し、6,290
億ユーロに達した。機関投資家向け資産運用ビジネス
保険会社、事業法人、慈善団体、その 他の機関投資家向けの株式、債券、不動産 関連商品などの運用資産残高は、前年度の
4,230
億ユーロから、2000
年度には4,360
億 ユーロに増加した。ドイチェ・アセット・マネジメント は、南北アメリカ
**
で、卓越した複数の年 金運用基金だけでなく、その他の大手機関 投資家との間にも、新規の取引を開始した。同地域の運用資産残高は
300
億ユーロを超 えている。プルデンシャル・インスティテューシ ョナル・ビジネス(
Prudential Institutional Business
)を買収したことで、英国におい ては財務上、非常に良好な状態で運用基盤 を拡大した。新規ビジネスでは、当社は2000
年度に英国で成功を収めた運用会社2
社のうちの1
社である。新規ビジネスに対資 産 運 用 部 門 *
単位:百万ユーロ 2000 1999
収益 1,981 1,538
貸倒引当金繰入 0 0
営業費用 – 1,200 – 809
その他の収益/費用の差額 – 72 – 86
(営業権償却を含む) – 99 – 78
再構築費用および税金前利益 709 643
再構築費用 – 6 – 42
税引前経常利益 703 601
平均資本(単位:百万ユーロ) 886 775
株主資本利益率(%)(営業権償却を除く) 90 88 株主資本利益率(%)(営業権償却を含む) 79 78
価値創造(単位:百万ユーロ) 669 562
費用/収益比率(%)(営業権償却を除く) 60 53 費用/収益比率(%)(営業権償却を含む) 65 58 リスク加重調整済ポジション(単位:百万ユーロ) 2,366 2,002 セグメント資産(単位:百万ユーロ) 7,869 6,013 セグメント負債(単位:百万ユーロ) 6,303 5,558
*注記に関しては、124頁の「セグメント情報の報告」を参照。
* www.deam-global.com
** www.deam-us.com