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2000年度のリスク・プロフィール

ドキュメント内 IAS RoE 32.4 (ページ 147-155)

2000年度において、与信業務を取り巻く外部環境は、年初の相対的に力

強いスタートから不確実性を増した年度末へと徐々に悪化した。債券市場 では、格下げや破産申請の例が増え、信用格差が拡大した。また一方で、

新たな金融危機が新興市場を襲った。

ドイツ銀行の与信業務プロフィールは、こうした環境に対し、良好な状 態であった。当行のホールセール業務における貸出エクスポージャーは、

為替レートの変動、特に米ドル相場の上昇による影響を除けば、量的に見 てほぼ一定の水準を保った。貸出金総額は、規制資本および経済的資本の 統制の取れた割当のもとで管理され、リスク調整済収益性測定尺度に基づ いた業績の改善やリスク引当金必要額の好ましい推移に貢献した。外国為 替の変動を別とすれば、報告された貸出金総額の緩やかな増加は、主に西 ヨーロッパ業務の比較的リスクの低い領域で生じたものであった。

デリバティブおよび外国為替取引の契約相手方に対する信用エクスポー ジャーは、当年度中、米ドルの根強い強さと他の取引リスクの不安定な条 件のもとで増加した。これらの商品におけるドイツ銀行の市場主導的なプ ロフィールは、個別および総合的な顧客ポートフォリオの信用エクスポー ジャーの、多様なストレス・シナリオに基づく積極的な管理を土台として おり、洗練された技術と特殊領域の専門家、与信実務スタッフに支えられ ていた。これらの要因により、この業務の取引量の拡大は、それに伴う信 用リスクの増大を遥かに上回った。

当年度の貸倒引当金純繰入額は合計564百万ユーロであり、貸出金総額 との関連で、また統計的手法で計算された予想損失895百万ユーロと比較 して、近年最低の水準を達成した。当期末現在の信用リスクに関する経済 的資本は、業務ライン間の分散効果による利益を考慮に入れて82億ユーロ であった。1999年度より減少した主な原因は、引当金や預かり担保の調整 額をより適切に反映するための計算モデルの改良であった。

当行の信用リスク管理手続および管理組織は、ポートフォリオ中で最も 信用リスクの高い領域に強く焦点を絞るように設計されている。与信業務 に精通したスタッフによる専門チームが、投資不適格のレバレッジ取引や 仕組み金融取引におけるリスクを監督する。新興市場、ヘッジ・ファンド、

アセット・バック取引等も、ポートフォリオおよび取引のリスク管理にお いて焦点となる特殊領域である。

信用リスクの推移

業種別貸出金総額 合計:2,810億ユーロ

銀行業および保険 15%

個人 21%

製造 13%

* 超国家的組織、通信、医薬品およびその他 卸売および小売 8%

その他* 21%

公共部門、

社会保険機関 10%

商業用不動産 12%

適切に設定されたエクスポージャー限度枠が、これらの重要なサブ・ポ ートフォリオに適用される。規律正しい限度枠の厳守と年間を通じた継続 適用により、年度末の好ましくない環境は、ポートフォリオの質にわずか な影響しか与えなかった。レバレッジ取引により保有するポートフォリオ は、年度末現在、貸出金総額の3%未満であった。新興市場に基盤を置く 契約相手方グループに対する貸出金総額は、これより少し大きい程度であ った。

与信ポートフォリオは、各業種間に良好に分散されている(145頁のグ ラフ参照)。銀行およびその他の金融機関と、10カ国蔵相会議の参加国に 対するものを合わせると、トレーディング業務における契約相手方リスク の半分以上を占める。このことが、与信業務プロフィールの手堅さとこれ らの商品における損失経験の最小化の土台となっている。大規模および中 堅企業向け与信業務において、業種エクスポージャーは良好に分布してい る。

業種別の信用リスク・

プロフィール

グループ部門別の信用リスク・プロフィール グローバル・

コーポレート 法人顧客およ 一般個人顧客

・アンド・インスティ び不動産 および富裕層

テューションズ 投資銀行 向けバンキング その他1) グループ合計

2000年 2000年 2000年 2000年 2000年 1999年

単位:十億ユーロ 12月31日現在 12月31日現在 12月31日現在 12月31日現在 12月31日現在 12月31日現在 貸出金総額2) 88.10 133.02 56.63 3.65 281.40 261.45

偶発債務 17.57 15.54 1.01 0.62 34.74 36.93

取消不能与信契約 74.81 33.50 4.43 0.00 112.74 106.67 OTCデリバティブ3) 49.14 1.02 0.00 1.02 51.18 61.353) 信用リスク合計、総額4) 229.62 183.08 62.07 5.29 480.06 466.40 信用リスク合計、引当金控除後 227.69 179.38 60.58 5.21 472.86 458.55

予想損失 0.33 0.35 0.21 0.01 0.90 1.00

信用リスク

経済的資本 3.98 3.01 1.09 0.16 8.24 11.28

1)資産運用、グローバル・テクノロジー・アンド・サービスおよびコーポレート・センター。

2)当リスク・レポートでは、貸出金総額は、ブローカーまたは決済機関に対する債権、その他の債権および未収利息の合計約250億ユーロを除く。

3)OTCデリバティブについては、ネッティング後のプラスの時価が示されている。1999年度の数値を現行のネッティングに従って再計算した場合、合計額は420億ユーロに減少す る。

4)担保および引当金控除前の数値。

連結決算書

主要業種に対するグループのエクスポージャー総量は、毎年、正式に再 検討される。その際、トレンド、見通し、およびそれがポートフォリオに 与える可能性の高い影響も考慮に入れられる。最大の契約相手方グループ に関する業種エクスポージャー戦略およびリスク引受態勢は、この時に

(または、状況に応じてより頻繁に)追認または修正される。特定業種の エクスポージャーは、明示された業種別限度枠の範囲内で管理される。

信用リスク・プロフィールの全般的な格付状況は、2000年度において、

やや改善した。

通信業など特定の業種における格下げの影響は、業種別限度枠の厳守に よって、また投資適格の契約相手方が圧倒的大部分を占めていたことから、

限定的であった。北アメリカのホールセール業務における緩やかな格下げ 傾向は、他の地域あるいは他の業務における平均的な信用度の質を積極的 に改善することによって相殺された。

政府および政府機関発行の確定利付有価証券の取扱業務におけるドイツ 銀行の卓越した存在は、トレーディング可能資産のポジションに反映され ており、同項目では他の商品に比べ、信用度の質が極めて高くなっている。

信用格付別の信用リスク・

プロフィール

信用格付別の信用リスク・プロフィール

OTC トレーディング 貸出金総額1) 偶発債務 デリバティブ2) 可能資産3)

Standard & Poor's の  2000年 1999年 2000年 1999年 2000年 1999年 2000年 1999年

信用格付相当 12月31日 12月31日 12月31日 12月31日 12月31日 12月31日 12月31日 12月31日

単位:十億ユーロ 現在 現在 現在 現在 現在 現在 現在 現在

AAA-AA 31.20 26.07 3.02 3.92 18.42 12.51 127.50 113.65

A 42.82 32.66 3.91 4.27 20.54 32.72 36.58 13.06

BBB 66.87 65.52 14.18 15.88 8.72 8.08 7.65 20.37

BB 115.16 107.10 10.98 11.01 2.68 4.42 4.69 11.13

B 23.07 28.52 2.52 1.76 0.66 2.72 2.81 3.86

CCCおよびそれ以下 2.28 1.58 0.13 0.08 0.16 0.90 0.06 0.71

合計 281.40 261.45 34.74 36.92 51.18 61.352) 179.29 162.78

1)当リスク・レポートでは、貸出金総額は、ブローカーまたは決済機関に対する債権、その他の債権および未収利息の合計約250億ユーロを除く。

2) OTCデリバティブについては、ネッティング後のプラスの時価が示されている。1999年度の数値を現行のネッティングに従って再計算した場合、合計額は420億ユーロに減少する。

3)公社債およびその他の確定利付有価証券。当行のリスクと見なされない特定目的事業体の有価証券240億ユーロを除く。

西ヨーロッパと北アメリカが、与信ポートフォリオ全体の85%超を占めて いた。アジア/太平洋地域のエクスポージャーは主に、日本、オーストラリ アおよびその他の投資適格国におけるものであった。新興市場地域の債務者 には、多国籍法人や国際金融機関の子会社との取引に関するものが相当程度、

含まれていた。

地域別の信用リスク・プロフィール(債務者の居住地による)

貸出金総額 偶発債務 OTCデリバティブ*

2000年 1999年 2000年 1999年 2000年 1999年

単位:十億ユーロ 12月31日現在12月31日現在12月31日現在 12月31日現在 12月31日現在12月31日現在 東ヨーロッパ 3.46 4.19 0.69 0.70 0.28 0.26 西ヨーロッパ 221.11 198.70 25.00 23.47 26.33 28.61 アフリカ 0.30 0.58 0.38 0.60 0.46 0.36 アジア/太平洋 13.48 17.49 3.21 5.65 7.48 7.23 北アメリカ 38.92 35.15 4.56 5.46 13.15 16.73 中央および南アメリカ 4.10 5.27 0.90 0.99 3.09 4.56 その他 0.03 0.07 0.00 0.05 0.39 3.60

合計 281.40 261.45 34.74 36.92 51.18 61.35*

* OTCデリバティブについては、ネッティング後のプラスの時価が示されている。1999年度の数値を現行の ネッティングに従って再計算した場合、合計額は420億ユーロに減少する。

地域別の信用リスク・

プロフィール

連結決算書

貸倒引当金は、信用リスクから生じる損失を吸収するのに使われる。貸倒 引当金は、ポートフォリオに内在する信用損失リスクについて、適切と判断 される水準で設定され、維持される。

経営陣は引当金の十分性を、以下に基づいて判断する。

− 当該ポートフォリオの信用リスク。

− 支配的な経済情勢。

− ポートフォリオの質。アセット・クオリティ・レビュー(与信業務の 質をレビューする行内の独立チーム。グローバル・コーポレート・ア ンド・インスティテューションズ部門の一部が担当)によるもの。

− 実際の損失経験および引当金の全体的な水準。

信用損失に備える特定引当金の水準は、適切十分な引当額を確定するため、

定期的に再評価される。経営陣の判断により当該債権が回収不能と見なされ た場合は、貸倒償却等の処理を行わなければならない。

以下の表に示す通り、

− 特定リスク引当金は、ポートフォリオのパフォーマンスが年間を通じ て良かったことを反映して、ほぼ安定した水準にとどまった。

− カントリー・リスク引当金は、特にロシアにおいて顕著だった収益性 の低い貸出金を売却し、イラクにおける回収不能債権を償却処理した ことを大きく反映して、急減した。

− 包括的価値修正は、直近5年間の当行の平均償却経験値を反映して、

減少した。

貸倒引当金

グループ部門別の貸倒引当金

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