オーガナイザー/座長:
齋藤 登
獨協医科大学埼玉医療センター 座長:中 麻里子
大阪市立大学医学部附属病院2025年頃、日本は4人に1人が75歳以上という超高齢社会を迎えます。これにより、医療現場は今 まで以上に複雑化・多様化することが予測されます。そのような医療情勢の中、質を担保し、患者さん にとって最善の医療を提供するためには多職種協働のもと、一丸となったチーム医療が欠かせません。
クリニカルパス(以下、パス)運用においては、日夜さまざまな専門職種や各連携チーム(呼吸、栄養、
緩和、摂食・嚥下、褥瘡対策、感染制御、リハビリ、認知症ケア、医療安全など)が奮闘されています。
医療の質向上には、パスを用いて適切な医療プロセスを実行すること、得られたデータを収集し、その 分析から改善策を見出し、パス改訂につなげていくプロセスが重要であることは言うまでもありません。
しかしそれには患者を取り巻く全ての職種が共通理解のもと、同じレベルまでパスを理解し活用してい くことが必要です。その上でそれぞれのメディカルスタッフが個々の専門性を活かし、自分たちの持て る力を存分に発揮することができれば、どのような困難な状況にも立ち向かっていけるのではないかと 思います。
そこでこのセッションでは、医師や看護師が主体となりがちなパスの作成・運用・活用のなかで、メディ カルスタッフの方々がどのような形でパスに参画しチームの一員としての役割を担っているのか、また どのような形で自分たちの専門性を発揮し、医療の質向上に貢献しているかなどの具体例を披露してい ただきたいと思います。そのような取り組みをここで呈示していただくことで、同じ仲間であるメディ カルスタッフの方々が、今後それぞれの施設において、パスに参画していくためのヒントになればと考 えます。取り組み例を共有化し、これからの課題やパスを通した教育のあり方などについて一緒に考え、
是非そのエッセンスを分かち合いましょう。
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パス活動における事務の役割
~チームの一員になりたくて~ パス活動における
リハビリテーション職種の強みと課題
丸本 結実
(まるもと ゆいみ)11社会福祉法人三井記念病院 診療情報管理部
今屋 将美
(いまや まさみ)11熊本機能病院 総合リハビリテーション部
【はじめに】
当院では2009年にクリニカルパス(以下、パ ス)委員会が発足し、事務局を診療情報管理部が担って いる。医療職が中心のパス活動で事務局の役割は何か、
医療の専門性をもたない事務はチームの一員になれるの か、多くの葛藤を抱えながらも2014年4月から現在ま で、事務局主導でパス委員会の活性化に向けて取り組み を行ってきた。事務局の取り組みとその課題を報告する。
【活動内容】
まず、診療情報管理部全員でKJ法を用いて9 項目52個のパス委員会問題点を抽出した。それを元に、
事務局としての活動目標をステップ1〜 3に分けて定めた
(「ステップ1:パス活動の土壌づくり」 「ステップ2:パス データを用いた医療の可視化」 「ステップ3:パスを用い た医療の質改善」)。ステップ1(2014〜2016年)では、事 務局体制変更による医療職への支援業務拡大、委員会の 体制・役割・機能の見直し、委員会活性化に向けた提案、
パス作成・改訂の効率化にむけて各種アウトカムセット
(「入退院時共通セット」、「周術期標準セット」)の提案・
作成補助等を行った。ステップ2(2017〜2018年)では、
全パスのガイドライン・各種基準の明確化、BOM導入、
客観的分析方法の確立等を行った。現在ステップ3に向 け活動中である。
【考察・結論】
パス活動における事務の役割は、1. 医療職 への事務的作業支援、2. 医療保険や制度の知識に基づく パスの提案、3. 多職種との調整、 4. データ集計・分析等 が挙げられる。一方、こうした役割を担うには、従来の 医療事務の枠組みを超えた人材育成が必要である。院内 でパスの重要性が認知され、医療職からもチームの一員 として必要とされる事務の人材育成は課題として残って いる。
【はじめに】
我々リハビリテーション(以下、リハ)職種は、
元々術後経過や病期に応じたリハプログラムによる治療 介入を実践していたため、クリニカルパス(以下、パス)
には馴染みやすい。今回、リハ職種の強みを再確認する とともにパスでどのように活動できるのか、またその課 題について考える。
【リハ職種の強み】
リハ職種の最大の強みは、多くの時間 を患者と共に過ごしリハ医療を遂行できることにある。
我々は一患者に対し一日最大180分間の濃厚な関わりが 可能である。当院の人工膝関節置換術パス適用患者(2018 年163例)を対象にリハ的見地からデータ分析を行った例 を挙げる。術後4週での退院目標に対し、その達成には2 週以内(中央値11日)の杖歩行獲得が必要だとわかった。
術後歩行獲得に向けた治療は、術後早期の炎症疼痛を抑 えながら、膝関節可動域を改善し、荷重・歩行を進める ことである。リハ職はパスで定められた日数管理と患者 状態のアウトカムに対して、細やかな対応が可能な職種 の一つであると考える。
【リハ職種の課題と展望】
上記のような歩行獲得のアウト カムを達成する上で、リハの専門的アプローチである歩 容改善、安定性・耐久性改善などはパス上では表現され にくい。リハ職は質的な改善を図りながら、粒度の大き い重要なアウトカムを達成していかなければならない。
このようなパス活動の中でリハ職種が掲げる展望は、専 門性を発揮しながらパスによるチーム医療を推進し、患 者満足につながる行き届いたリハ医療の提供を実践して いくことにあると考える。
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チーム医療を支える薬剤師の
パス活動と今後の展望 リハ職から見たクリニカルパス
−理学療法士がたまたま始めて
丸岡 博信
(まるおか ひろのぶ)1,2、堀江 健夫
21前橋赤十字病院 薬剤部、2同 クリニカルパス委員会
山下 裕
(やました ゆたか)1、山北 喜久
2、岡嵜 誉
11春日井市民病院 リハビリテーション技術室、
2春日井市民病院 医療情報センター
【はじめに】
2010年に厚労省より「医療スタッフの協働・
連携によるチーム医療の推進について」が発出され、根拠 に基づく薬物療法や有効で安全な薬剤管理という薬剤師 の職能を発揮する業務が拡大している。クリニカルパス は日々多忙な医療のなかでチーム医療を推進するために 必須なツールであり、各職種のさらなる参画が望まれる。
今回、当院薬剤師がパス活動に積極的に関与して達成 できた改善事例を紹介したい。
【活動内容】
・ 術後感染予防抗菌薬の適正化に向けて、2002年に狭 域スペクトル薬の使用や期間短縮、切開前1時間以内 の投与などについて19件のパスを変更した。その後も 継続して介入し医療費削減に寄与した。
・ 術前中止薬の再開忘れが薬剤師によって1ヶ月あたり 2.75件防止されていたため、パスにおけるタスクシェ アの一環として術前中止薬の再開確認を看護師と連携 して実施することになった。
・ 電子パスの機能を活用し、パス非適応患者の必要時の 指示ならびにオーダーの標準化を行ったところ、業務 時間が平均2.75時間/月削減可能であったため、全診 療科で必要時処方薬を統一する運びとなった。
【考察・結論】
薬剤師のパス活動によって、医療費削減と 業務負担の軽減、専門的業務を連携かつ補完した安全な 薬剤管理、パスを超えた標準化の推進に貢献することが できた。一方で薬剤師の関与が低かったバリアンス分析 への介入が課題である。
今後はワーファリン管理や薬物血中濃度モニタリング 等のファーマシューティカルケアをパスに加え、医療の 質向上とタスクシフトを推進させていきたい。
【はじめに】
一般的にリハビリテーション職種(以下、リハ 職)がクリニカルパス(以下、パス)に積極的に関わること は少ない。一方、超高齢社会を迎えた今日、リハ職がパ スに積極的に関わる利点は大きいと考える。特に、患者 の動作能力や環境調整等自宅退院に必要な情報や知識を 持っていることは、疾患によってはパスの質向上につな がる可能性がある。
【活動内容】
2013年“周術期リハビリテーションパス”を他 職種に作成してもらい運用を開始した。以後パス分析や 修正を行い徐々にパスに興味を持つ。2015年院内パス委 員に任命された。2018年大腿骨近位部骨折パスの大幅 修正に携わった。大腿骨近位部骨折パスでは、理学療法 士の評価結果から転帰先の変更を検討できるなど、リハ ビリテーションの概念と地域包括ケアシステムにおける 急性期病院の役割を意識したコンセプトへの変更を提案 し修正した。その結果、対象患者の平均在院日数をDPC 入院期間II以内まで短縮することに成功した。2018年よ り誤嚥性肺炎パスの新規作成チームを立ち上げ、現在活 動中である。
【考察】
リハ職がパスに関わることで、チーム医療の促進 につながり、より良い成果に導くことができていると実 感している。一方で、リハ職内でのパスの認知度は低く、
パス活動に対し消極的である。これはリハ職の特徴や思 考、教育制度が影響していると考える。パス活動につい てリハ職に興味を持ってもらうには、現場でのパス教育 を継続するとともに、パスから得られる恩恵を実感して もらい、有用なものと理解させていく必要がある。
【結論】
リハ職もパス活動で活躍できる。そのためにはリ ハ職自身の変化が必要かもしれない。
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ドキュメント内
第20回日本クリニカルパス学会学術集会抄録集
(ページ 70-74)