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年 クリニカルパス学会主催教育セミナーの変遷

学会20周年記念シンポジウム

答え合わせと次の 10 年 クリニカルパス学会主催教育セミナーの変遷

今田 光一

(いまだ こういち)1

1若草第一病院 スポーツ整形外科 / 医療情報部

岡本 泰岳

(おかもと やすたか)1

1トヨタ記念病院 形成外科

あれから20年。肌触りの良かったA3のパス用紙は  老眼にはつらい液晶画面になりスクロールするポイン ターも二重に見える今日この頃。あれから20年。抗生剤 の標準化と在院日数が主役のパス大会は、アウトカムの 統計グラフで世界標準の業界用語が飛び交うハイソな会 へ。綾小路きみまろ氏がパスをやっていたらこう歌って いたかもしれません。

10年前の平成21年学術集会で「学会10周年記念シン ポジウム」が開催され私は「若手代表」として諸先輩方と 壇上に登っていました。その記録を見ると当時は電子パ ス使用病院は5%未満、アウトカム文言も標準化されて おらず栄養・転倒転落等のアセスメントツールもなくパ ス運用の苦労が読み取れます。10年後(すなわち今)のパ ス予想として私は「パスに関する学生教育」 「IT化による PDCAサイクルの標準化」 「パス活動を共にする新しい医 療者の創設」を挙げていました。そして現在、医師や看護 師の国家試験でのパスに関する出題、BOMの頒布、パッ ケージ型電子カルテのパス分析機能の登場、医師事務作 業補助者制度の大活躍が現実化しており自分の予測力も 満更ではないと少々鼻高です。一方、まだまだ続けなけ ればならないと思う以下のような台詞もありました。

電子化、連携の波でパス理念の置き去りが散見され始 め、次の10年は「パスの根本理念と原則をしっかり継続 的に啓発し」 「変貌する医療環境でアウトカムマネジメン トをどう実践するかを追求する」10年になる。

人口減少と少子高齢化、医療再編が進み、地域包括ケ ア体制が本格化、ICTのさらなる発展が予想される10年 後、パスとそれに関わるスタッフの未来像は果たして…

学会主催の教育セミナー 20年の変遷を、2009年(第 10回学術集会)を境に(最近10年間を中心に)振り返りた いと思います。教育セミナーは現在、基礎編、応用編、

指導者養成編の3編成となっています。教育セミナーは 02年から開始され、09年夏季までに東京・大阪・その他 の都市で27回開催されましたが、それらは特定のテーマ を題材にしながら、パスがどういったもので、どんな役 割や使い方があるのかを紹介、解説するものでした。基 礎編、応用編といった系統的な枠組みは、第10回学術集 会会期中の教育企画としてプログラムされたのが始まり です。当時はベーシックコース1〜 3とアドバンスコース 1〜 3の計6講義が実施されました。会場は立ち見どころ か会場外にまで聴衆があふれ出す大盛況となり、「系統的 な教育」の必要性と重要性の高さを実感することになりま した。

6講義制は第11回でも踏襲されましたが、第12回から は基礎編4講義となり、応用編は同年の夏季に東京・大 阪などの都市で実施され、17年度まで継続されました。

この年度は指導者養成編が始まった時でもあります。12 年に発刊された「基礎から学ぶ クリニカルパス実践テキ スト」は、それまでに行われた基礎編・応用編の講義内容 をまとめたものでした。18年度からは参加者アンケート の要望に応じ、基礎編と応用編の開催時期を逆転させま した。

私はこれまで教育セミナーの講師(06年、09年〜)とし て、またオーガナイザー(14年〜)として長年にわたり 関わってきましたが、系統的な教育のニーズは今も非常 に高いと肌で感じています。そして今後もその必要性と 重要性の高さは変わらないと思います。

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20 年間に私がしてきたこと パスと看護記録の深~い関係

勝尾 信一

(かつお しんいち)1

1福井総合病院 クリティカルパスグループ

久保田 聰美

(くぼた さとみ)1

1高知県立大学 看護学部看護管理学領域

この20年で、多くの先達・仲間に支えられていくつも の提案を実現に漕ぎつけたので、印象深いものを紹介し ます。

1.資格認定制度

2008年に、当時副理事長だった山嵜絆先生から「現場 で頑張っている看護婦さんが認めてもらえるような資格 制度をつくったらいかがかしら」と話しかけられたのが事 の始まりです。資格制度検討委員会を立ち上げ、2012 年に資格制度を実施することが決定しました。そして、

2013年に資格認定制度を開始し、2016年に最初の認定 者を出しました。

2.書籍の発刊

第10回学術集会で初めて教育セミナーが開催され、そ の後継続的に行われるようになった内容を書き下ろし、

書籍化することになりました。全ての原稿を全ての執筆 者が読んで、疑問点や修正点をやり取りし、時間はかか りましたが、全員が納得できる内容となり2012年7月に

「基礎から学ぶクリニカルパス実践テキスト(医学書院)」

として発刊されました。次は、学術書です。各分野のス ペシャリストに執筆を依頼するまではよかったものの、

いざ原稿を読んでみると、問題点が山積みでした。何度 かの修正をしてもらいましたが、最後は副島理事長(当時 は副理事長)と泊まり込みの合宿で手を加えさせていただ きました。そして、2015年11月に「クリニカルパス概論

-基礎から学ぶ教科書として(サイエンティスト社)」が発 刊されました。

3.学術集会の開催

2014年11月に福井県あわら温泉で第15回学術集会を 開催しました。4つの温泉旅館を会場にし、畳に座布団 を敷いて参加者は座ったままでポスターが動くというポ スター会場、参加者ほぼ全員が同時乾杯でスタートした 全員懇親会等々、きっと皆さんの記憶に深く刻まれた学 術集会だったと思います。

私が、クリニカルパス学会のシンポジウムに初めて登 壇したのが、この熊本での第7回日本クリニカルパス学 会学術集会(2006年11月)だった。その時のテーマは、

パスと看護記録に関するものであった。私の発表内容は、

当時勤務していた病院の入院時の手続きの際の煩雑さを 例に挙げ、パス作成と同時に業務改善しないと意味がな いといった最初からなかなか挑戦的な(ある意味私らし い)内容であったことを鮮明に覚えている。 

20周年に際して、第1回クリニカルパス学会学術集会 のプログラムを紐解いてみると、ワークショップ1のテー マとして、「看護記録の効率化とパス」阿部俊子先生、山 嵜絆先生の懐かしい名前が並んでいる。やはりこの問題 は永遠のテーマなんだと実感した。そこで、本シンポジ ウムでは、あれから20年間、時代の流れと共に変化して きた「パスと看護記録」の深〜い関係について、振り返っ てみたい。

実は、日本看護協会も2000年に「看護記録の開示に関 するガイドライン」を公表している。その後、2005年に 改定した指針を2018年に「看護記録に関する指針」とし て発表した。この間、電子カルテシステムをはじめとし た医療情報システムの導入に加えて、多職種協働の推進、

医療事故発生時の記録開示、診療報酬算定の根拠等と いった、看護記録を取り巻く環境は年々厳しくなってき ている。

看護記録を効率化するための手段の一つとして広がっ たパスが、こうした時代の変化と共に、何のために、ど のように変化していったのだろうか?誰のための記録?

何のためのパス?と…

20年を振り返りながら、改めて原点に立ち返って考え てみたい。

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薬剤師教育に対する

日本クリニカルパス学会の変遷と功績 クリニカルパスの普及と発展に クリニカルパス大会が果たした役割

井上 忠夫

(いのうえ ただお)1

1奥羽大学 薬学部薬理学分野がん薬物治療学

町田 二郎

(まちだ じろう)1

1済生会熊本病院

クリニカルパスは、医療の標準化、安全性の確保、医 療情報の共有化やチーム医療の推進を可能にするもので ある。パスに組み込む薬剤は、医療の質を高めるため有 用性、安全性だけでなく経済性を含め総合的な判断によ り決定されなければならない。クリニカルパスは、重要 な医療マネジメントでありアウトカムマネジメントでも ある。以前は、医療の質をプライマリーエンドポイント とする臨床的アウトカム(治療効果レベル、バリアンスな ど)や再入院率、在院日数など臨床評価のマネジメント が中心であった。その結果、セカンダリーアウトカムは、

経済的アウトカムとして薬剤費を含めた医療経済をアウ トカムとして組み込まれていた。現在、多職種連携にお けるクリニカルパスが臨床現場で定着していることから、

医療系教育現場では、臨床的アウトカムと経済的アウト カムを統合した教育が実施されようとしている。薬学教 育に関しては、医療現場で活躍できる薬剤師育成のため の新カリキュラムでは、薬物治療の実践の中で、新たに クリニカルパスが組み込まれた。その内容は、「処方設計 の提案に際し、薬物投与プロトコールやクリニカルパス を活用できる。」、「病院と地域の医療連携の意義と具体的 な方法(連携クリニカルパス)」となっている。さらに、 「医 薬品と医療の経済性として、薬物治療の経済評価手法に ついて」など臨床現場から求められるクルニカルパス教育 の提言が実施されている。この改訂には、日本クリニカ ルパス学会の功績が大きく影響している。薬学教育・薬 剤師教育とクリニカルパスの功績について報告したい。

1997年10月22日、済生会熊本病院で世界初のクリ ニカルパス大会が開催されました。テーマは経皮的冠動 脈形成術と大腸ポリペクトミーでありパスの形式も自由 なものでしたが、これから全職種でパスというツールを 作り上げていくのだという熱気ある会でした。これを契 機にパス大会というパス活動推進装置が全国に拡がりま した。

パス大会の成果は全国にパス仲間が拡大し、それぞれ の地域でリーダーシップを発揮されたことでしょう。様々 な職種の方がパスに関心を持ち、自らの価値を見いだす べく自律的働き方にいち早く取り組み、様々な形態のパ スが開発され、さらにパス仲間を増やすパス活動も活発 化しました。故松永髙志先生は自他共に認める「パス伝 道師」として関東を中心に各地のパス大会に赴かれ、関東 パス友の会を立ち上げパス作成ワークショップを始めら れました。本学術集会でも故人の遺志を継ぎ、この活動 が全国展開することを期待してパス作成ワークショップ を開催します。

パス大会のもう一つの成果はパスの本来的意義である バリアンス分析への関心を高めたことにあるでしょう。

バリアンス分析は医療界にはなじみの薄かったPDCAサ イクルや、改善、といったマネジメントに関する意識を 高めていくことに役立ちました。その文脈の延長線上に 電子化を見据えたBasic Outcome Master(BOM)が開発 されたことがあるのは言うまでもありません。BOMは日 本の財産と言っていいと思われますが、大変な難産でし た。複数の施設の皆さんが何度も集まり喧々諤々の議論 を重ねver1.0の出版にこぎ着け、2019年にHELICS協 議会の承認を得たことは、まさにBOMが成人式を迎え たと言っていい成長ぶりです。

日本のパス発展の源流と今後はパス大会にあり、と言 えるのではないでしょうか。

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