オーガナイザー/座長:
伊藤 淳二
青森県立中央病院座長:
佐藤 勝彦
大原綜合病院病棟やリハビリテーションの現場では、患者さんの機能改善を評価しています。アウトカム志向のク リニカルパスでは最終アウトカムに向かってその途中途中で中間目標を決めて評価していきます。例え ば独歩が最終目標であれば「車椅子に乗れる」、「歩行器歩行ができる」、「杖歩行ができる」などで、さら に荷重、階段昇降などや病棟内・訓練室内などを付加すると様々な段階が表現できます。看護ケアの用 語に比べると日常生活動作に関する評価用語が少なく、施設間でいろいろな言葉が使われているのが現 状です。
移動方法だけでなく、食事・安静度・整容・着衣・排泄、あるいはFIM運動項目などあらゆる日常 生活動作の改善の経過をどのような言葉でアウトカム設定を行い評価しているか、各施設のADL改善 のプロセスを教えていただき、どのように評価していくのが標準的かをディスカッションしたいと考え ております。
地域連携クリニカルパスを使って他施設と共通の用語で評価している地域は貴重です。本セッション の目的は、日常生活動作の評価用語の充実と、ADL改善の評価を施設間で比較できる共通言語を見出 して日常生活動作評価の標準化を目指すことです。皆さんの地域の評価用語が日本の標準になるかもし れません。
多くのリハビリテーションスタッフや看護師さんとのディスカッションを期待しております。
06_パネルディスカッション.indd 311 2020/03/04 12:11
312
PD2-1 PD2-2
リハビリテーションアウトカムの課題と
今後の展望 ADL に関する評価用語標準化検討
ワーキンググループの活動
伊藤 博紀
(いとう ひろき)11能代厚生医療センター 整形外科
畠山 涼子
(はたけやま りょうこ)1,2、佐藤 香織
2、鈴木 崇司
2、 清藤 恭子
2、中西 慎吾
2、藤田 諒
2、米田 良平
2、 神山 智子
3、清野 望
3、伊藤 淳二
2,31青森県立中央病院 リハビリテーション科、2青森エリア大 腿骨頸部骨折ネットワーク研究会、3青森県立中央病院
チーム医療において、医師をはじめとした多職種間の
情報共有ツールとしてパスが重要な役割を果たしている。
昨今、BOMの普及によって、多職種による患者状態の 標準的な評価が可能となり、医療の質向上への発展が期 待されている。一方で、リハビリテーションの視点からは、
患者状態の評価に際してFIM:Function Independence MeasureおよびBI:Barthel Indexを用いることが多いが、
現状のBOMにはリハビリに関するアウトカムは存在す るが、アウトカム・観察項目の用語が不足しており、評 価基準の設定が不十分であるという課題も指摘されてい る。リハビリテーションの領域において、パスが情報共 有ツールの役割を担うためには、BOM内においてこれら 用語を整備し、患者状態をより具体的に評価できること が求められている。また、実際の評価に際しても、患者 に接する多職種が共同で行う視点が重要と考える。本講 演では、リハビリテーション領域における標準的評価に 向けた課題と今後の展望について整理したい。
【はじめに】
当地域では地域連携パスを使用して大腿骨頸 部骨折・脳卒中患者のADL・リハビリ状況を把握してい る。しかし各施設により評価方法が異なったり、表現が 違ったりすることがあるため、十分な情報共有ができて いるとはいえない状況である。そこで用語の標準化を図 るため、ワーキンググループ(WG)を発足したので、そ の活動について報告する。
【活動内容】
WGメンバーは、青森エリア大腿骨頸部骨折 ネットワーク研究会に所属している6病院の理学療法士7 名、当院のパス担当看護師2名、医師1名の合計10名で 構成されている。BOM内にはADL・リハビリに関する アウトカムは存在するが、用語の不足や内容の重複が見 受けられたため、これらを整備していくこととした。リ ハビリ場面ではADL評価としてFIMを用いることが多 いため、FIMの運動13項目について、それぞれを評価 する観察項目を考え、FIMの点数に添った7段階の評価、
もしくは自立・部分介助・全介助の3段階での評価とす ることが決定した。10人全員が揃って活動することは難 しいため、各々が案を考え電子メールを利用して情報交 換を行った。第2回WGではそれぞれの内容を集約し、
用語統一作業を行った。
【考察】
多施設のメンバーと用語統一に向けて活動するこ とで、自施設のみならず、地域全体において、同様の評 価が可能になると考えられた。今後、考案した用語を使 用することで、患者情報の共有を今以上に充実させてい きたい。
【結論】
WGではADL・リハビリアウトカム用語の標準化 に向けて活動した。従来のBOMではADLに関する評価 用語が十分とはいえず、新たに用語の追加をしてさらな るバージョンアップを計る必要があると思われる。
06_パネルディスカッション.indd 312 2020/03/04 12:11
313
PD2-3 PD2-4
ADL 基本動作の評価への取り組み
~テンプレートによる標準化~ 病棟看護師が求める
リハビリテーションアウトカム
川島 寧々
(かわしま ねね)1、内藤 愛
1、村田 和美
2、 井内 郁代
21医療法人橘会 東住吉森本病院 3 南病棟、
2医療法人橘会 東住吉森本病院 看護部
下本 康貴
(しももと やすたか)1、前田 雅人
2、古田 裕之
3、 古瀬 智子
41高山赤十字病院 看護部、2同 整形外科、3同 リハビリテー ション科、4同 クリニカルパスマネージメント委員会
【目的】
A病院では、2018年2月に電子カルテのリプレイ スを機にBOMを導入しクリニカルパス(以下、パス)を 電子化した。その中で大腿骨近位部骨折のパス使用率は 98%である。BOMではADLのアウトカム評価を行う上 で基本動作の観察項目や評価基準が不足している。そこ で、同じ視点や基準で評価ができること、バリアンス発 生時の看護介入ができることを目的に基本動作アセスメ ントシート(以下、テンプレート)を作成しその有効性を 検証した。
【方法】
期間:2018年5月15日~ 12月15日。対象:(1)
テンプレート使用前後各20名、(2)B病棟の看護師23名。
実施方法:(1)テンプレートの作成、(2)対象患者のアウ トカム評価・記録の検証、(3)看護師にインタビュー方式 のアンケート調査。
【結果】
アウトカムの基本動作の評価においては、テンプ レート使用前では介助なしで達成としていたのは97件
(84.3%)、一部介助は17件(14.8%)、全介助1件(0.9%)
であった。後は介助なし113件(98.3%)、一部介助2件
(1.7%)であった。アンケートの結果からもテンプレート は評価がわかりやすくケアの追加、実施が増えたとの意 見があった。
【考察】
基本動作の評価で観察項目および判断基準がテン プレートの作成により言語化され明確となり、ばらつき がなくなったと考える。また、テンプレートは患者状態 の把握が容易となり、バリアンス発生時に個別的な看護 介入につながったと考える。
【結論】
テンプレートは、BOMで不足している基本動作 のアウトカム評価を標準化するツールとして有効であり、
バリアンス発生時の個別的な看護介入への意識向上と ADL拡大に役立てられた。今後、具体的な評価基準を設 定し、患者状態が明確になるアウトカムの検討が必要で ある。
【目的】
当院では人工股関節置換術パス(以下、THAパ ス)にリハビリテーションプログラムを組み込んでいる。
ADLに関するアウトカムを理学療法士が評価すること で病棟看護師との情報共有を図ったがその効果は十分と はいえなかった。アウトカム評価を職種間で共有し利用 するための当院の取り組みについて報告する。
【方法】
THAパスのアウトカムと実際の動作獲得日数を 評価し改定を行った。離床の妨げになる要素として病棟 看護師による尿道カテーテル抜去、車椅子移乗の遅れが 考えられた。そのため理学療法士と病棟看護師が一緒に 移乗動作の確認を行い、確実に離床を進められるように 指示・プログラムを改定した。改定前41例、改定後34 例のパスについて目標達成日数を評価した。
【結果】
目標達成日数は離床開始が2.95±0.15日から2.4
±0.5日、尿道カテーテル抜去は3.6±0.65日から3±0.24 日へ短縮された。結果としてT字杖歩行開始日数も6.45
±1.48日から4.09±0.91日へ短縮した。
【考察】
THAパスの中に理学療法士によるアウトカム評 価、リハビリテーションプログラム、リハ記録を組み込 んだがそれだけでは病棟看護師との十分な情報共有はで きなかった。理学療法士との情報共有を義務化したこと で適切なタイミングでの離床が可能になったと考える。
アウトカム評価も記録も共有できる情報として有効に活 用される仕組みが重要である。病棟看護師の立場から知 りたい情報、知りたいアウトカムの表現についても考察 する。
【結論】
ADLを早期に獲得するためには理学療法士と病棟 看護師の情報共有や病棟看護師の視点に立ったアウトカ ムの設定が求められる。
06_パネルディスカッション.indd 313 2020/03/04 12:11
ドキュメント内
第20回日本クリニカルパス学会学術集会抄録集
(ページ 89-93)