第 6 章 イギリス
2. 需給の状況
2011年のイギリスの発電設備容量は7,876万kWで、原子力発電が12.5%、石炭火力発電が35.4%、ガ ス火力発電が37.2%、石油火力発電他が5.9%49、水力発電が4.7%、風力発電が4.2%、太陽光発電が0.0%、
その他再エネ発電が0.1%となっている。同年の発電電力量は3,104億kWhで、原子力発電が20.8%、石炭 火力発電が33.2%、ガス火力発電が40.9%、石油火力発電他が0.1%、水力発電が2.1%、風力発電が2.8%、
太陽光発電が0.0%、その他再エネ発電が0.1%となっている。
イギリスで電力自由化が開始されたのは1990年であるが、統計で得られる1995年と2010年を比較する
44 https://www.gov.uk/government/statistical-data-sets/annual-industrial-price-statistics
45
https://www.gov.uk/government/organisations/department-of-energy-climate-change/series/electricity-st atistics
46 https://www.gov.uk/government/publications/electricity-section-5-energy-trends
47
https://www.gov.uk/government/publications/electricity-chapter-5-digest-of-united-kingdom-energy-stati stics-dukes
48 https://www.gov.uk/government/statistical-data-sets/historical-electricity-data-1920-to-2011
と発電設備容量は1,748万kW増加している。そのうちCCGTが2,317万kW増加しており、石炭火力発
電441万kW・石油火力発電114万kW等の他の火力発電設備容量の減少を補う形となっている。それ以外
では風力発電が178万kW増加となっている。イギリスでは電力自由化が開始されて以降、国内炭を利用す る石炭火力発電所をCCGTが置き換わる形で新規参入が進展していたことを裏付けるものである。
図 6-2 イギリスの電源構成(2011 年)
ガス 37.2%
石油他 5.9%
水力 4.7%
太陽光 0.0%
原子力 12.5%
その他再エ ネ 0.1%
石炭 35.4%
風力 4.2%
発電設備容量
7,876万kW
水力 2.1%
石油他 0.1%
ガス 40.9%
太陽光 0.0%
原子力 20.8%
その他再エ ネ 0.1%
風力 2.8%
石炭 33.2%
3,104億kWh 発電電力量
(出所)ENTSO-E
図 6-3 イギリスにおける発電設備容量・最大電力の推移
0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9
1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6
石炭火力 石油火力 混焼火力 CCGT
その他火力 原子力 水力 風力
その他再エネ 最大電力 設備率(全電源) 設備率(再エネ除き)
億kW プール市場廃止 EUETS開始 設備率
(注)設備率=発電設備容量÷最大電力
(出所)DECC
図 6-4 イギリスにおける発電電力量・電力消費量の推移
-500 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000
1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
石炭 石油 ガス 原子力 水力 風力
その他 揚水 純輸入 その他購入 電力消費
億kWh プール市場廃止 EUETS開始
(出所)DECC
2.2. 稼働率と発電効率
電源種別の稼働率を見たものが図6-5であるが、統計の得られる1996年以降、CCGTの稼働率が低下傾 向にある。これは当初はプール制が採用されていたが、新規参入のCCGTはベース入札を行っていたが、そ の後負荷追従型に転じたことを示しているものと考えられる。また電源種別の発電効率を見たものが図 6-6 であるが、電力自由化開始以降、CCGTの新規参入により2000年頃までに継続的にCCGTの発電効率が上 昇している。その後は石炭火力及びガス火力については目立った変化は見られていない。
図 6-5 イギリスにおける電源種別稼働率の推移
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 在来型火力 CCGT
原子力 平均
プール市場廃止 EUETS開始
(注)稼働率(%)=発電電力量÷(発電設備容量×8,760時間)×100として算定した。
(出所)DECC
図 6-6 イギリスにおける発電効率の推移
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 石炭
石油 ガス
電力自由化開始 プール市場廃止 EUETS開始
(注)発電効率(%)=発電電力量(kWh)×860kcal/kWh÷燃料消費量(kcal)×100として算定した。
(出所)DECC
3.電気料金の動向
イギリスの各種エネルギー料金の推移を示したものが家庭用が図6-7、大口製造業が図6-8である。2000 年代の半ばまではイギリスの電気料金は下落傾向にあったが、その後急速な上昇に転じていることが分かる。
この要因として、①小売参入の自由化と同時に料金規制を撤廃したことや、②寡占化により電力会社間の競 争が不十分であること等が指摘されている。なお、Ofgem では図 6-9 に示すとおり”The Retail Market
Review”という報告書で小売市場の評価を行なっているが、その中でOfgemは電気料金の上昇が卸価格の上
昇とデータシステム等を含む一般管理費用の増加に伴うものであり、小売事業者の利益の増加に伴うもので はないと評価している。
なお、図6-8にはプール受取価格とAPX UKのスポット取引価格も掲示しているが、APX UK市場は電
力消費の1%~2%を占めるに過ぎず、十分に卸価格を代表していない可能性がある点には留意されたい。
図 6-7 イギリスにおける家庭用電気料金の推移
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010
標準料金 口座引落 プリペイド式
ペンス/kWh
プール市場廃止 電力自由化開始
EUETS開始 家庭用自由化開始
(出所)DECC
図 6-8 イギリスにおけるエネルギー価格と電気料金の推移(大口製造業)
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010
石炭 重油 ガス 電気料金 プール受取価格 APX UK価格 ペンス/kWh
プール市場廃止 電力自由化開始
EUETS開始
(出所)DECC
図 6-9 イギリスにおける家庭用電気料金の内訳の推移
(出所)OFGEM、”The Retail Market Review”
3.1. 電気料金に占める燃料費の推計
イギリスにおける電気事業者の平均燃料費を推計したものが図6-10のとおりである。これを図6-7及び図 6-8の電気料金から差し引いたものが図6-11である。1990年代の半ばから2000年代半ばまで平均燃料費を 差し引いた電気料金は低下傾向にあったが、2000年代半ばから上昇に転じている。特に需要家の規模が小さ くなるに従って上昇の幅が大きくなっていることが分かる。図6-8で示した卸価格(2001年からはAPX UK スポット価格を使用)が卸供給費用に等しいと仮定して電力供給費用の要素別に区分した。図6-11は家庭用 標準料金の内訳の推移、図6-13は超大口料金の内訳の推移を示したものであるが、自由化が開始された1990 年とプール市場が廃止された2001年までは電気料金は横這いであったが、2001年以降は燃料費以上に供給 費用が大きく増加している。超大口料金でも同様の傾向を示していることが分かる。
1990年代の後半以降、2001年のプール制廃止まで、発電マージンが大きく拡大している。その後、APX UK市場のスポット価格を参照しているため信頼性は低いと考えられるが、家庭用ではその他供給費用の増 加が電気料金の上昇に結びついている模様である。
図 6-10 イギリスにおける平均燃料費推計値の推移
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 ガス
石油 石炭
ペンス/kWh プール市場廃止 EUETS開始
(出所)DECC” Historical electricity data: 1920 to 2011”の燃料投入量と” Annual industrial price statistics”の大口購入 価格より算定
図 6-11 イギリスにおける電気料金-平均燃料費の推移
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010
家庭標準 小口 大口 超大口 プール市場廃止 EUETS開始
ペンス/kWh
(注)小口:年間電力消費量2万kWh~49.9万kWh、大口:年間電力消費量2,000万kWh~6,999.9万kWh、超大口:年間 電力消費量15億kWh以上
図 6-12 イギリスにおける家庭用標準料金の内訳の変化
-2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 01/90 11/01
平均燃料費 卸費用(燃料費除き) その他供給費用
ペンス/kWh プール市場廃止 EUETS開始
(出所)DECCデータより推計
図 6-13 イギリスにおける超大口電気料金の内訳の変化
-2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 01/90 11/01
平均燃料費 卸費用(燃料費除き) その他供給費用
ペンス/kWh プール市場廃止 EUETS開始
(出所)DECCデータより推計
図 6-14 イギリスの GDP デフレーター・金利の推移
79.5
92.9 67.1
112.8
0 20 40 60 80 100 120 140
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 0 2 4 6 8 10 12 14 16 GDPデフレーター
金利
2005年=100 %
(出所)世界銀行
表 6-2 イギリスの電気料金
(単位:ペンス/kWh)
家庭標準 小口 大口 超大口
1990 7.45 6.13 3.25 2.79 1991 8.21 6.74 3.33 3.03 1992 8.79 7.06 3.57 3.23 1993 8.73 6.88 3.81 3.46 1994 8.73 6.61 3.74 3.39 1995 9.06 6.20 3.58 3.08 1996 8.94 6.06 3.50 3.05 1997 8.58 5.73 3.30 2.90 1998 8.06 5.58 3.30 2.92 1999 7.88 5.38 3.27 2.90 2000 7.67 5.36 3.10 2.74 2001 7.45 4.91 2.79 2.46 2002 7.39 4.58 2.66 2.42 2003 7.42 4.25 2.61 2.47 2004 7.61 4.63 2.84 2.67 2005 8.52 5.63 3.96 3.74 2006 10.15 6.96 5.15 4.69 2007 11.39 7.57 4.85 3.98 2008 13.12 8.66 6.49 5.53 2009 13.42 9.82 6.48 5.08 2010 13.06 8.80 5.96 5.18 2011 14.21 8.53 6.47 5.79 01/90 0.00 -1.22 -0.47 -0.33 11/01 6.76 3.62 3.68 3.33
(出所)DECCデータより推計