第 7 章 米国
5. フロリダ州
5.1.1. 電気事業制度の概要
フロリダ州では1990 年代後半から米国内で電気事業制度改革論議が行われていたが、従来とおりの規 制に基づき電気事業体制を選択している。電力会社は全州で54社(私営5 社、公営33 社、協同組合営16 社)存在し、それぞれの供給地域において電力の小売事業を行っている。私営電力会社の料金・サービスに ついてはフロリダ公共サービス委員会(FPSC)の完全規制下にある。公営・協同組合営の料金については それぞれ地方政府、代表者委員会にその権限があるが、料金体系についてはFPSC に決定権が存在する。そ の他、FPSCには地域間の安定供給や発送電設備の建設決定、供給計画などについて権限を有している。
図 7-58 フロリダ州の電気事業体制
発電会社
公営配電 会社
需要家(規制)
電気の流れ お金の流れ
電気料金 卸電力購入
電力会社(規制)
(営業部門)
(配電部門)
(送電部門)
(発電部門)
5.1.2. データの出所
フロリダ州の統計情報はエネルギー統計局(EIA)の公表している時系列データに基づく。EIAの電力の パートでの” Detailed State Data”67の発電設備容量、発電電力量、燃料消費量、電気料金の年次データを用 いている。
” Detailed State Data”の燃料消費量のデータは石炭がショートトン、石油がバレルそして天然ガスが100
万 BTU を単位としている。これを分析するため単位換算する必要があるが、EIA の、”Annual Energy Review”68における” Table 8.4b Consumption for Electricity Generation by Energy Source: Electric
Power Sector”(1兆BTU単位)で、” Detailed State Data”の米国全体の種別燃料消費量を割ることで、換
算係数を作成した。
燃料価格については、石油及び石炭については地域差がそれ程大きくないことから米国平均値をそのまま 用いた。天然ガス価格については、EIAの天然ガスのパートにおける” Natural Gas Prices”69における電気 事業者購入価格を用いている。1996年までは電気事業者購入価格が公表されていないことから、代替として シティーゲート価格を用いている。
67 http://www.eia.gov/electricity/data/state/
5.2. 電力需給の状況 5.2.1. 電源構成
2010年におけるフロリダ州の発電設備容量は6,778万kWで、そのうち石炭火力発電が16.3%、ガス火
力発電が55.4%、石油火力発電他が20.3%、原子力発電が6.1%、水力発電が0.1%、地熱発電が0.0%、太
陽光発電が0.2%、風力発電が0.0%、木質バイオマス発電が0.6%、その他バイオマス発電が1.2%となって いる。同年の発電電力量は2,291億kWhで、石炭火力発電が26.1%、ガス火力発電が56.2%、石油火力発
電他が5.2%、原子力発電が10.4%、水力発電が0.1%、地熱発電が0.0%、太陽光発電が0.0%、風力発電が
0.0%、木質バイオマス発電が0.9%、その他バイオマス発電が1.0%となっている。
フロリダ州では電気事業規制改革は実施されていないが、オーダー888で送電設備の第三者開放義務を課 せられた1996年以降、発電設備容量は2,290万kW増加したが、そのうちガス火力発電が1,754万kW増 加と全体の増加の大半を占めている。その他石油火力発電他が681万kW増加し、石炭火力発電は160万 kWの減少となっている。
図 7-59 フロリダ州における発電設備容量・最大電力の推移
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010
0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20 1.40 1.60
石炭 ガス 石油他 原子力
水力 再エネ 地熱 太陽
風力 木質バイオマス その他バイオマス 最大電力
設備率(全電源) 設備率(再エネ除き)
万kW 送電線第三者利用開放 設備率
(注)設備率=発電設備容量÷最大電力
(出所)エネルギー省エネルギー統計局
図 7-60 フロリダ州における発電電力量・電力消費量の推移
0 500 1,000 1,500 2,000 2,500
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010
石炭 ガス 石油他 原子力
水力 地熱 太陽 風力
木質バイオマス その他バイオマス 電力消費量
億kWh 送電線第三者利用開放
(出所)エネルギー省エネルギー統計局 5.2.2. 稼働率と発電効率
電源種別の稼働率は図7-61のとおりであるが、石油火力発電の稼働率が低下傾向にある一方でガス火力発 電の稼働率が上昇傾向にある。これは負荷追従電源の役割がガス火力発電から石油火力発電に置き換わって いった可能性が高い。全体の稼働率は2000年以降の設備率の上昇を受けて低下傾向にある。一方で電源種 別の発電効率は図7-62に示すとおりであるが、大きな変化は見られない。
図 7-61 フロリダ州における電源種別稼働率の推移
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010
石炭 ガス 石油他 原子力 平均 送電線第三者利用開放
(注)稼働率(%)=発電電力量÷(発電設備容量×8,760時間)×100として算定した。
(出所)エネルギー省エネルギー統計局
図 7-62 フロリダ州における発電効率の推移
0.0%
5.0%
10.0%
15.0%
20.0%
25.0%
30.0%
35.0%
40.0%
45.0%
50.0%
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 石炭
ガス 石油 送電線第三者利用開放
(注)発電効率(%)=発電電力量(kWh)×860kcal/kWh÷燃料消費量(kcal)×100として算定した。
(出所)エネルギー省エネルギー統計局
5.3. 電気料金の動向 5.3.1. 電気料金
フロリダ州における電気料金の推移は図7-63のとおりである。化石燃料価格が上昇傾向になった2000年 代半ば以降、上昇傾向にある。フロリダ州では電気事業規制改革は実施されず、従来とおりの総括原価方式 での料金認可が継続している。図7-64は2013年における主要電力会社の料金原価の構成を示したものであ るが、事業者ごとに原価を算定して料金認可が行われている。
図 7-63 フロリダ州における電気料金の推移
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 家庭 商業
産業 平均
セント/kWh 送電線第三者利用開放
(出所)エネルギー省エネルギー統計局
図 7-64 フロリダ州主要電力会社の料金原価の構成(家庭用 1000kWh )( 2013 年)
0 2 4 6 8 10 12 14 16
FPL Progress Energy Tampa Gulf Power FPU(Marianna) FPU(Fernandina Beach)
基本料金 燃料・購入電力費用回収料金 省エネ費用回収料金
環境対策費用回収料金 容量費用回収料金 嵐被害費用サーチャージ 租税
セント/kWh
(出所)フロリダ公益事業委員会
5.3.2. 電気料金に占める燃料費の推計
フロリダ州の電気事業者が購入する化石燃料価格は図7-65に示すとおり、2000年頃から、特に石油価格 及びガス価格が大きく上昇している。なおガス価格はシェールガス革命の影響で2008年頃から低下に転じ ている。
フロリダ州の電気事業者の燃料購入量と購入燃料価格より推計した平均燃料費は図7-66のとおりである。
これを図7-63で示した電気料金から差し引いたのが図7-67である。電気料金から平均燃料費を引いた水準 は2005年頃までほぼ横這い傾向にあるが、その後上昇に転じている。図7-68及び図7-69は家庭用電気料 金及び産業用電気料金について平均燃料費とその他供給費用と内訳を分解したものである。2009年以降は図 7-70に示す主要電力会社の家庭用料金の内訳を見ても下落ないし横這い傾向にあり、2005年から2009年の 電気料金上昇の要因は不明である。
図 7-65 フロリダ州における燃料価格の推移
0 2 4 6 8 10 12 14
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 石炭
石油 ガス
ドル/100万BTU 送電線第三者利用開放
(注)石炭価格及び石油価格は米国平均値を採用
図 7-66 フロリダ州における平均燃料費推計値の推移
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 4.50 5.00
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 ガス
石油 石炭 セント/kWh
送電線第三者利用開放
(出所)エネルギー省エネルギー統計局データより推計
図 7-67 フロリダ州における電気料金-平均燃料費の推移
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0
1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 家庭 商業
産業 平均
セント/kWh 送電線第三者利用開放
(出所)エネルギー省エネルギー統計局データより推計
図 7-68 フロリダ州における家庭用電気料金の内訳の変化
0 2 4 6 8 10 12 14
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 10/96 その他供給費用
平均燃料費
セント/kWh 送電線第三者利用開放
(出所)エネルギー省エネルギー統計局データより推計
図 7-69 フロリダ州における産業用電気料金の内訳の変化
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 10/96 その他供給費用
平均燃料費
セント/kWh 送電線第三者利用開放
(出所)エネルギー省エネルギー統計局データより推計
図 7-70 フロリダ州における主要電力会社家庭用電気料金の内訳の変化
-4 -2 0 2 4 6 8 10 12
2009 2010 2011 2012 2013 13/09 基本料金 燃料・購入電力費用回収料金 省エネ費用回収料金 環境対策費用回収料金 容量費用回収料金 嵐被害費用サーチャージ 租税
セント/kWh FPL
-4.0 -2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0
2009 2010 2011 2012 2013 13/09 基本料金 燃料・購入電力費用回収料金 省エネ費用回収料金 環境対策費用回収料金 容量費用回収料金 嵐被害費用サーチャージ 租税
Progress Energy セント/kWh
-4.0 -2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0
2009 2010 2011 2012 2013 13/09 基本料金 燃料・購入電力費用回収料金 省エネ費用回収料金 環境対策費用回収料金 容量費用回収料金 嵐被害費用サーチャージ 租税
Tampa セント/kWh
-4.0 -2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0
2009 2010 2011 2012 2013 13/09 基本料金 燃料・購入電力費用回収料金 省エネ費用回収料金 環境対策費用回収料金 容量費用回収料金 嵐被害費用サーチャージ 租税
Gulf Power セント/kWh
-2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0
2009 2010 2011 2012 2013 13/09 基本料金 燃料・購入電力費用回収料金 省エネ費用回収料金 環境対策費用回収料金 容量費用回収料金 嵐被害費用サーチャージ 租税
FPU(Marianna) セント/kWh
0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0
2009 2010 2011 2012 2013 13/09 基本料金 燃料・購入電力費用回収料金 省エネ費用回収料金 環境対策費用回収料金 容量費用回収料金 嵐被害費用サーチャージ 租税
FPU(Fernandina Beach) セント/kWh
(出所)フロリダ公益事業委員会
表 7-9 フロリダ州における電気料金
(単位:セント/kWh)
家庭 商業 産業 平均
1990 7.77 6.66 5.08 7.04 1991 7.91 6.77 5.19 7.16 1992 7.75 6.58 5.02 6.99 1993 7.99 6.69 5.26 7.20 1994 7.78 6.35 5.13 6.96 1995 7.82 6.39 5.16 7.01 1996 7.99 6.63 5.11 7.18 1997 8.08 6.62 5.04 7.19 1998 7.89 6.38 4.81 7.01 1999 7.73 6.22 4.77 6.85 2000 7.77 6.25 4.84 6.91 2001 8.59 7.08 5.18 7.67 2002 8.16 6.64 5.23 7.31 2003 8.55 7.13 5.41 7.72 2004 8.99 7.61 5.84 8.16 2005 9.62 8.16 6.46 8.76 2006 11.33 9.91 7.71 10.45 2007 11.22 9.75 7.76 10.33 2008 11.65 10.14 8.25 10.74 2009 12.39 10.77 9.32 11.49 2010 11.44 9.76 8.85 10.58 10/96 3.44 3.13 3.75 3.40
(出所)エネルギー省エネルギー統計局データより推計