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第 7 章 米国

3. カリフォルニア州

3.1.1. 電気事業制度の概要

カリフォルニア州では1993年に公益事業委員会がイエローブックと呼ばれる報告書を公表し、構造改革 の必要性を打ち出した。1996年9 月に州議会でAB1890が成立し、1998年3 月に私営電力会社PG&E

(Pacific Gas & Electric)、SCE(Southern California Edison)及びSDG&E(San Diego Gas & Electric)

の3社の送電ネットワークを跨って送電系統の運用を行うカリフォルニアISO、卸電力取引を行う取引所と してカリフォルニア電力取引所が設立されると共に、家庭部門を含む全需要家が自由に小売供給会社を選択 することが可能になった。しかしエンロン社の市場操作等により、2000年8月そして2000年12月~2001 年3月にかけてカリフォルニア電力取引所での卸電力価格の暴騰や供給力不足に起因した輪番停電やPG&E の経営危機、いわゆる「カリフォルニア電力危機」が発生し、2001年1 月にはカリフォルニア電力取引所 は業務停止、そして廃止に至った。2002 年3月にカリフォルニア州公益事業委員会は供給事業者変更の停 止を決定し、現在に至っている。

一方でカリフォルニアISOは2009年に需給運用方式の見直しを行い、一日前エネルギー市場及びリアル タイムエネルギー市場の運用を開始した。小売事業者には供給力確保義務も課されており、ほぼ北東部地域 のRTOの市場設計に類似する姿となった。

7-31 カリフォルニア州の電気事業体制

発電会社

送電会社

配電会社

需要家(全面自由化)

小 売 会 社

電気の流れ お金の流れ

電気料金 ISOエネル ギー市場を 通じて需給

運用

託送料金 差額決済契約

表 7-5 カリフォルニア州における主な電気事業制度関連事項

主な電気事業制度関連事項

1996年 FERC、オーダー888・889により送電設備の第三者への開放を義務化 1998年 カリフォルニアISO・カリフォルニア卸電力取引所開設

私営電力会社3社の供給区域で家庭部門を含めた小売全面自由化開始 2000年~2001年 カリフォルニア電力危機

2001年 カリフォルニア卸電力取引所廃止 2002年 供給事業者変更手続を停止

2009年 カリフォルニアISOが需給運用方式を見直し

3.1.2. データの出所

カリフォルニア州の統計情報はエネルギー統計局(EIA)の公表している時系列データに基づく。EIAの

電力のパートでの” Detailed State Data”61の発電設備容量、発電電力量、燃料消費量、電気料金の年次デー タを用いている。

” Detailed State Data”の燃料消費量のデータは石炭がショートトン、石油がバレルそして天然ガスが100

万 BTU を単位としている。これを分析するため単位換算する必要があるが、EIA の、”Annual Energy Review”62における” Table 8.4b Consumption for Electricity Generation by Energy Source: Electric

Power Sector”(1兆BTU単位)で、” Detailed State Data”の米国全体の種別燃料消費量を割ることで、換

算係数を作成した。

燃料価格については、石油及び石炭については地域差がそれ程大きくないことから米国平均値をそのまま 用いた。天然ガス価格については、EIAの天然ガスのパートにおける” Natural Gas Prices”63における電気 事業者購入価格を用いている。1996年までは電気事業者購入価格が公表されていないことから、代替として シティーゲート価格を用いている。

3.2. 電力需給の状況 3.2.1. 電源構成

2010年におけるカリフォルニア州の発電設備容量は6,558万kWで、そのうち石炭火力発電が0.0%、ガ ス火力発電が60.7%、石油火力発電他が1.1%、原子力発電が7.0%、水力発電が20.4%、地熱発電が4.5%、

太陽光発電が0.7%、風力発電が4.3%、木質バイオマス発電が0.8%、その他バイオマス発電が0.5%となっ ている。同年の発電電力量は1,662億kWhで、石炭火力発電が0.0%、ガス火力発電が45.6%、石油火力発

電他が0.6%、原子力発電が19.4%、水力発電が20.0%、地熱発電が7.6%、太陽光発電が0.5%、風力発電

が3.7%、木質バイオマス発電が1.6%、その他バイオマス発電が1.1%となっている。

カリフォルニア州で電力自由化が開始された1998年以降、発電設備容量は1,784万kW増加したが、そ のうちガス火力発電が1,649万kW増加と全体の増加の大半を占めている。その他、風力発電が130万kW の増加となっている。このようにカリフォルニア州では特に2000年のカリフォルニア電力危機以降、ガス 火力の参入が活発であったことが分かる。その一方で発電電力量は電力消費量の7割程度を占めるに過ぎず、

州外の電源に依存する状態になっている。

61 http://www.eia.gov/electricity/data/state/

7-32 カリフォルニア州における発電設備容量・最大電力の推移

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000

1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010

0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20

石炭 ガス 石油他 原子力

水力 地熱 太陽 風力

木質バイオマス その他バイオマス 最大電力 設備率(全電源)

設備率(再エネ除き)

万kW 小売自由化開始、ISO設立 カリフォルニア電力危機 設備率

(注)設備率=発電設備容量÷最大電力

(出所)エネルギー省エネルギー統計局

7-33 カリフォルニア州における発電電力量・電力消費量の推移

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000

1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010

石炭 ガス 石油他 原子力

水力 地熱 太陽 風力

木質バイオマス その他バイオマス 電力消費量

億kWh 小売自由化開始、ISO設立 カリフォルニア電力危機

(出所)エネルギー省エネルギー統計局

3.2.2. 稼働率と発電効率

電源種別に見た稼働率は対象期間中、大きな変動は無い。ガス火力発電及び石油火力発電他の稼働率は著 しく低く、州外からの電力輸入量が大きいことが影響しているのではないかと考えられる。また全体の稼働 率は2000年のカリフォルニア電力危機以降の設備率の上昇や再生可能エネルギー発電シェアの高まりを受 けて、2000年頃より低下傾向にある。一方で発電効率は2000年のカリフォルニア電力危機以降、ガス火力 発電が大きく増加したことに伴い、ガス火力発電の発電効率が上昇傾向にある。

7-34 カリフォルニア州における電源種別稼働率の推移

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010

石炭 ガス 石油他 原子力 平均 小売自由化開始、ISO設立 カリフォルニア電力危機

(注)稼働率(%)=発電電力量÷(発電設備容量×8,760時間)×100として算定した。

(出所)エネルギー省エネルギー統計局

7-35 カリフォルニア州における発電効率の推移

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%

25.0%

30.0%

35.0%

40.0%

45.0%

1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 石炭

ガス 石油 小売自由化開始、ISO設立 カリフォルニア電力危機

(注)発電効率(%)=発電電力量(kWh)×860kcal/kWh÷燃料消費量(kcal)×100として算定した。

(出所)エネルギー省エネルギー統計局

3.3. 電気料金の動向 3.3.1. 電気料金

カリフォルニア州では2000年のカリフォルニア電力危機に伴い州外からの卸電力調達費用が上昇したこ とで、電気料金がそれ以降上昇している。カリフォルニア州ではカリフォルニア電力危機の反省もあり、2005 年のAB67 の改正により、私営電気事業者に電気事業費用を報告する義務を課しているが、2011 年におけ る私営電気事業者3社の電気料金内訳が図7-36、同3社の電気料金認可の根拠となるレートベースが図7-38 のとおりとなっている。2003年以降の変化を見るとレートベースの各項目ともに増加傾向にある。

7-36 カリフォルニア州における電気料金の推移

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0

1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 家庭 商業

産業 平均

セント/kWh 小売自由化開始、ISO設立 カリフォルニア電力危機

(出所)エネルギー省エネルギー統計局

図 7-37 カリフォルニア州私営電気事業者 3 社の電気料金内訳(2011 年)

(出所)カリフォルニア州公益事業委員会、”Electric and Gas Utility Cost Report”20124

7-38 カリフォルニア州に私営電気事業者 3 社のレートベースの推移

(注)私営電力会社3社は電気事業規制改革に伴い発電設備の売却を行なったため、レートベースに占める発電費用の 割合が小さい。

(出所)カリフォルニア州公益事業委員会、”Electric and Gas Utility Cost Report”、20124

3.3.2. 燃料価格と卸電力費用

カリフォルニア州の電気事業者が購入する化石燃料価格は1999年以降、特に石油価格及びガス価格が大 きく上昇している。なお、ガス価格はシェールガス革命の影響で2008年頃から低下に転じている(図7-39)。 カリフォルニア州では当初California PXという卸電力取引所が運営されていたが、2000年のカリフォルニ ア電力危機に伴い2001年に取引所が廃止された。その後、カリフォルニアISOが運営するリアルタイム市 場(需給バランス維持のための当日市場)が残る形となった後、2009年から一日前エネルギー市場、リアル タイムエネルギー市場及びアンシラリーサービス市場という他のRTO と同様の市場形態を取ることになっ た。図7-40はカリフォルニアISOが推計しているカリフォルニア州における卸供給費用の推移を示したも のであるが、カリフォルニア電力危機のあった2000年から2001年にかけて先渡取引価格の高騰により先渡 費用が大きく上昇していることが分かる。2009年からの新しい市場枠組みが開始されてからは、卸供給費用 に占める大半が一日前エネルギー市場の費用となっている。

7-39 カリフォルニア州における燃料価格の推移

0 2 4 6 8 10 12 14

1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 石炭

石油 ガス

ドル/100万BTU 小売自由化開始、ISO設立 カリフォルニア電力危機

(注)石炭価格及び石油価格は米国平均値を採用

(出所)エネルギー省エネルギー統計局

図 7-40 カリフォルニア州における卸供給費用の推移

0 20 40 60 80 100 120 140

1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011

先渡費 一日前エネルギー費 リアルタイムエネルギー費

系統管理チャージ 入札費用回収費 純集約入札費

信頼度費 予備力費 ガス火力燃料費

ドル/1,000kWh

(出所)カリフォルニアISO” Annual Report on Market Issues and Performance”

3.3.3. 電気料金に占める燃料費の推計

カリフォルニア州の電気事業者の燃料購入量と購入燃料価格より推計した平均燃料費は図 7-41 のとおり である。これを図7-36で示した電気料金から差し引いたのが図7-42である。電気料金から平均燃料費を引 いた水準は電力自由化が開始された1998年からカリフォルニア電力危機のあった2000年頃までは下落傾向 にあったが、それ以降、一旦急上昇後は横這い傾向にあることが分かる。これに図7-40で示した卸供給費用 を差し引いて家庭用電気料金・産業用電気料金の費用項目を分解したものが図7-43・図7-44である。2000

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