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2.115 取引単位利益分割法の主な長所は、片側検証手法が適切でないであろう高度

に統合された事業活動に対する解決策となりうることである。例えば、「恒久的施 設への利得の帰属に関する報告書」2第Ⅲ部 Cにおける、関連者間の金融商品のグロ ーバル・トレーディングへの利益分割法の適切性と適用についての議論を参照され たい。また、取引の双方の当事者が当該取引に対してユニークで価値ある貢献(例 えば、ユニークな無形資産の貢献)をしている場合、独立企業であればそれぞれの 貢献に比例して取引の利益を分け合うことを望むかもしれず、このような状況にお いては、双方検証の手法が片側検証手法より適切かもしれないから、取引単位利益 分割法が最適な手法となるかもしれない。さらに、ユニークで価値ある貢献が存在 する場合、信頼できる比較対象の情報は、他の手法を適用するには不十分であるか もしれない。他方、取引の一方の当事者が単純な機能のみを果たし、重要なユニー クな貢献を行っていない場合(例えば、関連する状況における契約製造又は契約役 務活動)には、取引単位利益分割法は、当該一方の当事者の機能分析から見て適切 ではないであろうから、通常は使用されないであろう。利用可能な比較対象の制約 に関する議論については、パラグラフ3.38-3.39参照。

2.116 比較対象データが利用できる場合、それらは、利益分割分析において比較

可能な状況における第三者間であれば達成されたであろう利益の配分を裏付けるこ

2 租税委員会が2008624日に承認し、理事会が2008717日に公表を認めた「恒久 的施設への利得の帰属に関する報告書」及び、租税委員会が2010622日に承認し、理事会 2010722日に公表を認めた「恒久的施設への利得の帰属に関する報告書2010年版」参 照。

とに、関連付けることが可能である。また、比較対象データは、各関連者がその取 引に対して行った貢献の価値を評価するため、利益分割分析において関係がある。

実際、独立企業であれば、取引における利益の創出についての各々の貢献の価値に 比例して合算利益を分割するものと仮定される。他方、関連者間取引への各関連者 の貢献度の評価に当たり検討される外部市場データは、他の利用可能な算定手法の 場合と比べて、これらの取引との関連性が低い。

2.117 しかし、比較可能な状況における非関連者であれば比較可能な取引におい

てどのように利益を分割したかについて、それ以上の直接的な証拠がない場合、利 益の配分は、関連者自体の間の機能の分割に基づいて(使用した資産や引き受けた リスクを考慮した上で)行われるであろう。

2.118 取引単位利益分割法のもう一つの長所としては、当該手法が、独立企業に

おいては見られないような関連者の特殊でおそらくユニークな事実及び状況を考慮 に入れることにより柔軟性を有するものである一方で、独立企業が同様の状況にあ った場合に合理的に行ったであろうことを反映するという点で、依然として独立企 業アプローチを構成しているという点である。

2.119 取引単位利益分割法の更なる長所は、関連者間取引の双方の当事者が評価

の対象とされることから、いずれか一方の当事者に極端かつ非現実的な利益が残る という結果になる可能性が低い点である。この点については、関連者間取引におい て用いられた無形資産に関し、関連者の貢献度を分析する場合、特に重要となりう る。また、この双方検証手法は、規模の経済又はその他の統合による効率性から得 られる利益を、納税者及び税務当局の双方が満足する形で分割するためにも用いる ことができよう。

2.120 取引単位利益分割法の短所は、その適用の難しさに関するものである。取

引単位利益分割法は、独立企業に関する情報に依存しない傾向があることから、納 税者にとっても税務当局にとっても、一見、容易に利用できると思われるかもしれ ない。しかし、関連者にとっても税務当局にとっても同様に、国外関連者の情報入 手は課題であろう。さらに、関連者間取引に係る全ての関連者の収入及びコストを 合算することは、帳簿及び記録に対する共通の基準を採用し、かつ、会計実務及び 通貨を調整する必要があるため、課題であろう。さらに、また、取引単位利益分割 法を営業利益に適用する場合、当該取引に関連する適正な営業費用の額を把握し、

コストを当該取引と当該関連者の他の活動とに配分することが課題となるだろう。

C.3 適用のための指針 C.3.1 総論

2.121 本ガイドラインでは、取引単位利益分割法の適用方法を網羅的に列記する ことは意図していない。その適用は、事案の状況及び利用可能な情報によるが、最 重要の目的は、当事者が独立企業であったならば実現したであろう利益分割に、可 能な限り近似させることである。

2.122 取引単位利益分割法において、合算利益は、独立企業間の合意において期

待されかつ反映されるであろう利益の分割に近似させるような経済的に合理的な基 準により、各関連者間で分割されることになる。一般的に、分割されるべき合算利 益及び分割ファクターは、

 調査対象の関連者間取引の機能分析と整合性を有するべきであり、特 に当事者間のリスクの配分を反映すべきであり、

 分割対象となる合算利益や、非関連者間の場合において合意されるで あろう分割ファクターと整合性を有するべきであり、

 利益分割アプローチの種類(例えば、寄与度分析、残余分析又はその 他のものや、事前又は事後的アプローチ。これらは、以下のパラグラフ

2.124‐2.151で取り上げる)と整合性を有するべきであり、かつ、

 信頼できる形で算定可能であるべきである。

2.123 さらに、

 関連者間取引における移転価格を設定するために取引単位利益分割法 が使用される場合(事前アプローチ)、当該取決めの存続期間及びその 基準又は配賦基準が取引前に合意される、と考えることは合理的であり、

 取引単位利益分割法を使用する者(納税者又は税務当局)は、当該事 案の状況にとってその手法が最適であるとみなされる理由、及びその実 施方法、特に合算利益の分割に使用した基準又は配賦基準を説明できる ようにしておくべきであり、かつ、

 分割の対象となる合算利益及び分割ファクターは、一般的に、当該取 決めの存続期間中(損失計上の年を含む)一貫して使用されるべきであ る。ただし、比較可能な状況における非関連者間であれば他に合意した と思われ、かつ、異なる基準又は配賦基準の使用根拠が文書化されてい る場合、又は、特殊な状況によって非関連者間の再交渉が正当化される 場合は、この限りではない。

C.3.2 利益分割の様々なアプローチ

2.124 独立企業であれば同意したであろう利益分割の推定については、収益実績 又は適切であれば予測収益に基づき、多くのアプローチがあり、そのうちの二つに ついて、以下のパラグラフで論じる。これらの二つのアプローチ、すなわち、寄与 度分析と残余分析は、必ずしも完全なものでもなく、また、互いに排他的なもので もない。

C.3.2.1 寄与度分析

2.125 寄与度分析においては、調査対象の関連者間取引の総利益である合算利益

を、独立企業が比較可能な取引を行った場合に実現するであろう利益分割の合理的 な近似に基づき、関連者間で分割する。この分割は、比較対象データが入手可能で ある場合には、それによって裏付けることができる。そのようなデータが存在しな い場合、分割は、当該関連者間取引に参加した各関連者が果たす機能の相対的価値

(使用した資産や引受けたリスクを考慮する)に基づくことになる。寄与度の相対 的価値が直接算定できる場合には、それぞれの参加企業の寄与度の実際の市場価値 を推定する必要はないであろう。

2.126 関連者間取引に対する各関連者の寄与度の相対的価値を算定することが困

難な場合もあり、このアプローチは、しばしば個々の事案の事実及び状況に依存す ることとなろう。その算定は、各当事者の様々な貢献(例えば、サービスの提供、

開発費用の負担、投資資本の額)の性格及び程度を比較し、相対比較と外部市場デ ータに基づく割合を算定することによって行われることとなろう。合算利益の分割方 法に関する議論については、パラグラフ2.138-2.151参照。

C.3.2.2 残余分析3

2.127 残余利益分析では、二つの段階を経て、調査対象となっている関連者間取

引の合算利益を分割する。第一段階では、各参加企業に対し、それが関わった関連 者間取引に関係する、ユニークではない貢献に対する独立企業間価格が配分される。

通常、この報酬は、伝統的取引基準法又は取引単位営業利益法を適用し、独立企業 間の比較可能な取引の報酬を参考にして算定される。したがって、それは、一般的 に、各参加企業が寄与する、ユニークな価値のある資産によって創出される利益に ついては考慮しない。第二段階では、第一段階の分割後の残余利益(又は損失)を、

パラグラフ 2.138-2.151 で示される合算利益の分割に関する指針に従い、事実及び状 況に係る分析に基づき各参加企業間で配分する。

3 残余利益分割の適用について説明した例は、第2章の別添IIに見られる。