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6.18 本章では、無形資産が関わる移転価格分析に当たってよく検討される事項の事 例を示す。これらは、A.1 の規定の明確化を意図しているが、詳細な分析の代替とし て使用されるべきものでない。また、事例を包括的に示すことや、無形資産を構成 するもの又は構成しないものを完全に列挙することを意図するものでもない。この 事例に含まれない多くのものが、移転価格算定上の無形資産に該当するかもしれな い。本章の事例は、各国において適用される特定の法令及び規則の状況に適合され るべきである。さらに、本章の事例は、特定の無形資産又は無形資産として取り扱 われないものが、多国籍企業グループのグローバルビジネスにおいて、どのように 価値の創造へ貢献しているのかをよりよく理解するため、関連者間取引の比較可能 性分析(機能分析を含む)の文脈において検討、評価されるべきである。強調すべ き点は、事例に一般的な参照文があるからといって、納税者も税務当局も、無形資 産を具体的に特定するための移転価格分析(本章 A.1 の指針に基づく)を行わなく てよいというわけではないということである。

A.4.1. 特許

6.19 特許とは、その所有者に一定の発明について特定の地理的範囲内で一定期間使 用するための独占権を付与する法的手段である。特許は、物理的な対象物又はプロ セスのいずれにも関連し得る。特許となり得る発明は、たいていリスクが高く費用 のかかる研究開発活動を通じて発明される。しかし、少額の研究開発費の支出であ っても高い価値の特許発明につながる場合もある。特許の発明者は、特許に基づく 製品の販売、又は特許権の他者へのライセンスや売却によって開発費の回収(及び 利益の稼得)を試みるかもしれない。特許権者は、特許の排他性により、特許の使 用から超過収益を稼得できるかもしれない。また別の場合には、特許の発明により、

競合者が利用できないような費用上のメリットを稼得するかもしれない。場合によ っては、特許がビジネス上重要なメリットを生み出さないこともある。特許は、本 章A.1の無形資産に該当する。

A.4.2. ノウハウ及び企業秘密

6.20 ノウハウ及び企業秘密とは、ビジネス活動を支援又は改善する独占的な情報又 は知識であるが、特許や商標のように保護のために登録されていないものをいう。

ノウハウ及び企業秘密は、通常、過去の経験から生じる産業上、ビジネス上又は学 術上の性質を有する秘密情報に相当するが、それは事業に実際に応用されるもので ある。ノウハウ及び企業秘密は、製造、マーケティング、研究開発又はその他のビ ジネス活動に関連することがある。多くの場合、ノウハウ及び企業秘密の価値は、

企業がそのノウハウ又は企業秘密の機密性を保持する能力による。業界によっては、

特許保護のために必要な情報の公開によって、競合者による代替的な解決策の開発 を手助けする可能性がある。したがって、企業は事業上の合理的な理由から、特許 を取得可能なノウハウでも登録しない場合があるが、当該ノウハウはそのビジネス の成功に実質的に貢献するかもしれない。ノウハウ及び企業秘密は、(i)不正競争 防止法その他類似の法律、(ii)雇用契約、(iii)競争への経済的又は技術的な障壁 により一定程度保護される可能性がある。ノウハウ及び企業秘密は、本章 A.1 の無 形資産に該当する。

A.4.3. 商標、商号及びブランド

6.21 商標とは、その所有者が自身の製品及び役務を他の企業のものから区別するた めに使用され得るユニークな名称、シンボル、ロゴ又はピクチャーである。商標の 独占権は登録制度により確認されることが多い。登録商標の所有者は、市場におい て、他者が混同を生じさせるような方法で商標を使用することを排除できる。商標 が継続的に使用され、登録が適切に更新される場合、その登録期限は無期限である。

商標は、製品又は役務に対して設定することができ、さらに単一の製品・役務又は 一連の製品・役務に適用することもできる。商標は、消費者市場において最も馴染 み深いが、全ての市場において見られる。商標は、本章 A.1 の無形資産に該当する。

6.22 商号(一般的に企業名であることが多い)は、商標と同様の市場浸透力を持つ 場合があり、場合によっては、実際に商標として登録されることもある。特定の多 国籍企業の商号は、容易に認識可能であり、様々な製品及び役務のマーケティング に使用され得る。商号は、本章A.1の無形資産に該当する。

6.23 「ブランド」という用語は、「商標」及び「商号」と互換性のある用語として 用いられる場合がある。また、ブランドとは、社会的及び商業的な重要性を帯びた 商標又は商号として考えられている。実際、ブランドは、特に商標、商号、顧客関 係、評判及びのれん等の無形資産及び/又はその他の事物の組み合わせを表す場合 もある。ブランドの価値に寄与している様々な事物を分離すること又は個別に移転 することは、場合によっては困難又は不可能であるかもしれない。ブランドは、単 独又は組み合わされた無形資産から成り、本章A.1の無形資産に該当する。

A.4.4. 契約上の権利及び政府の認可

6.24 政府の認可及び免許は、特定の事業には重要であり、事業関係を幅広く対象に する可能性がある。これには、とりわけ、特定の天然資源又は公共財を使用する権 利(帯域幅の認可等)又は特定の事業活動を行う権利に対する許認可が含まれる。

政府の認可及び免許は、本章 A.1 の無形資産である。しかし、政府の認可及び免許 は、特定の管轄区で事業を行うための前提条件となる法人の登録義務とは区別すべ きである。このような義務は、本章A.1の無形資産に該当しない。

6.25 契約上の権利は、特定の事業には重要なこともあり、事業関係を幅広く対象に する可能性がある。これには、とりわけ、売主や主要な顧客との契約及び従業員に よる役務を利用可能にする契約等を含む。契約上の権利は、本章 A.1 の無形資産に 該当する。

A.4.5. 無形資産に関するライセンス及び類似の限定的な権利

6.26 無形資産に係る限定的な権利は、書面、口頭若しくは黙示かどうかに関わらず、

一般にライセンス又は他の類似する契約上の取決めにより移転される。そのように ライセンスされた権利は、使用範囲、使用期間、地理的範囲等が限定されることが ある。限定的な無形資産の権利自体は、本章A.1の無形資産に該当する。

A.4.6. のれん及び継続事業価値

6.27 のれんという用語は、様々な概念を示すために使用され得る。会計及び企業価 値評価の文脈では、のれんは、事業活動の価値の総額と、個別に特定可能な有形及 び無形資産の価値の合計との差額を意味する。のれんはまた、個別に特定されず認 識されない事業資産に係る将来の経済的便益を表すものとして説明される場合もあ る。さらに別の状況においては、のれんは既存の顧客との将来的な取引への期待を 指す。継続事業の価値という用語は、個々の資産の価値の総額を超える事業活動に 係る統合資産の価値を意味する場合がある。一般的に、のれん及び継続事業の価値 は、事業資産から分離又は個別に移転できないと認識されている。事業再編に関す る継続事業上のあらゆる要素の移転に係る考え方の議論については、パラグラフ 9.68-9.70参照。

6.28 本章において、移転価格算定上ののれん又は継続事業の価値の正確な定義付け や、それらがいつ無形資産を構成するか(又はしないか)を定義付けする必要性は ない。しかし、継続事業の資産の一部又は全部が移転される際に、独立企業間で支 払われる対価の重要かつ金額的に大きな部分は、のれん及び継続事業価値などに係 る何らかの対価を表すかもしれないことを認識しておくことは重要である。同様の 取引が関連者間で行われる場合、そのような価値は当該取引の独立企業間価格の算