必要な情報を記載するプラットフォームを提供する。また、納税者に、重要な取引 に係る独立企業原則の遵守を有益に検討し説明するための方法やインセンティブを 提供する。
5.21 本ガイドライン第5章別添Ⅰは、マスターファイルに記載される情報を定めて いる。
C.2 ローカルファイル
5.22 パラグラフ5.18で記載したようにハイレベルな概観を提供するマスターファイ
ルとは対照的に、ローカルファイルは、具体的なグループ内取引に関するより詳細 な情報を提供する。ローカルファイルで求められる情報は、マスターファイルを補 足すると共に、納税者が特定の納税地に影響を及ぼす重要な移転価格上のポジショ ンが独立企業原則を遵守していることを保証するという目的に合致することの助け となる。ローカルファイルは、他国関連者との間の取引でかつ税制上重要な取引に 関する移転価格分析に関連する情報に焦点を当てている。ローカルファイルに記載 する情報には、当該の個々の取引に関する財務情報、比較可能性分析、最適な移転 価格算定手法の選択及び適用が含まれる。マスターファイルに含まれる情報でロー カルファイルの要件が十分に満たされる場合は、相互参照で差し支えないとすべき である。
5.23 本ガイドライン第5章別添Ⅱは、ローカルファイルに記載する情報の詳細項目
を定めている。
C.3 国別報告書(CBCレポート)
5.24 国別報告書では、多国籍企業グループが事業を行う各国間のグローバル所得 配分、納税額及び経済活動が行われる場所の特定の指標について、国ごと集計の記 載が求められる。また、国別報告書では、財務情報が報告されるあらゆる構成事業 体名、居住地と設立地が異なる場合は設立地、構成事業体が行う主要な事業活動の 性質を含むリスト作成が求められる。
5.25 国別報告書は、ハイレベルな移転価格リスク評価に有用であろう。また、税
務当局が、他のBEPSに関連するリスクを評価する場合や、適切な場合には経済分析 及び統計分析に使用することもあるかもしれない。しかし、国別報告書の情報は、
網羅的な機能分析及び比較可能性分析に基づく、個別の取引及び取引価格の詳細な 移転価格分析に代わるものとして使用されるべきではない。国別報告書の情報は、
それだけで移転価格の適切性の判断を行う決定的な証拠とはならない。税務当局は、
全世界定式配分に基づく移転価格課税を行うために、国別報告書の情報を使用すべ きではない。
5.26 本ガイドライン第5章別添Ⅲは、国別報告書標準様式及び記載要領について記 載している。
D コンプライアンスに関する論点 D.1 同時文書化
5.27 各納税者は、取引時に合理的に入手できる情報に基づき、独立企業原則に則 って、税務上の観点から移転価格を設定するよう努力すべきである。従って、納税 者は通常、移転価格を設定する前に、それが税務上適正か否かを検討し、申告時に 損益結果が独立企業原則に則っているかを確認するべきである。
5.28 納税者は、移転価格文書の作成に当たって、異常に過大なコストや負担を強 いられるべきではない。従って、税務当局は、文書化の要請と納税者の移転価格文 書作成に係るコストや事務負担とのバランスを取るべきである。納税者が、本ガイ ドラインの原則を検討したにもかかわらず比較対象取引のデータが存在しないこと、
又は、比較可能なデータを選定するコストが取引対象金額と比較して著しく高いこ とを合理的に証明する場合、納税者はこのようなデータ選定のコストを強いられる べきではない。
D.2 文書の作成・申告時期
5.29 移転価格文書の作成時期に関する実務は各国で異なる。税務申告時までに移 転価格文書を完成しなければならない国もあれば、調査開始時までに文書の準備を 求める国もある。また、税務当局による文書化、その他の調査関連情報の個別の要 請に対して、納税者が与えられる時間についての実務も多様である。こうした情報 提供に対応する時間的要件の違いにより、納税者が優先順位を付けて適切な時期に 適切な情報を税務当局に提供することが、難しくなる場合がある。
5.30 ベストプラクティスとしては、対象事業年度の税務申告の提出期限までに、
ローカルファイルの完成を求めることである。マスターファイルは、多国籍企業グ ループの究極親会社の税務申告の提出期限までに見直され、必要に応じて、更新さ れるべきである。協調的コンプライアンス・プログラムの下で、調査を実施するこ ととしている国では、税務申告前に所定の情報が提供される必要があるだろう。
5.31 国別報告書について、最終的な法定財務諸表、別添Ⅲに記載された国別デー タに関連するその他の財務情報は、国によって、事業年度の税務申告の提出期限を 過ぎるまで確定できない場合があることがわかっている。そのような事情がある場 合、本ガイドライン第5章別添Ⅲに記載する国別報告書の作成期限は、多国籍企業グ ループの究極親会社の事業年度終了日から1年後にまで延長される。