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E.2.1. 時期:国別報告書の開始時期

5.50 最初の国別報告書について、2016 年 1 月 1 日以後に開始する事業年度を提出 対象とすることが推奨される。しかし、法律改正プロセスに時間かかる管轄地もあ ることが認識されている。各国の早期の法整備を支援するため、多国籍企業グルー プ最終親会社に対して国別報告書の提出を求めるモデル法制が策定されている(本 ガイドライン第 5章別添 IV参照)。各国は、このモデル法制を各々の法制度に導入 できるだろう。パラグラフ 31 において、多国籍企業は、国別報告書の作成・提出の ための期間として当該国別報告書が対象とする事業年度の末日から 1 年間まで認め られるとの勧告があるが、この勧告は、最初の国別報告書の提出期限が 2017 年 12 月 31 日となることを意味している。事業年度が至 12 月 31 日ではない多国籍企業 は、2016 年 1 月 1 日後に開始する最初の事業年度に関する最初の国別報告書を、対 象事業年度末日から 12 か月以内の 2018 年遅くに提出することが求められるだろ う。この勧告を受け、OECD/G20 BEPSプロジェクト参加国は、2016年 1月 1日前 開始の事業年度に関し、新たに策定された様式に基づく国別報告書の提出を求めな いことに同意している。多国籍企業の事業年度は、連結財務諸表の対象期間に基づ くものとし、課税年度又は個別の子会社の財務報告時期とは関係ない。

E.2.2. 国別報告書の提出対象者

5.51 全ての多国籍企業グループに、国別報告書を毎年提出するよう求めることが

推奨される。ただし、次の場合は、この限りではない。

5.52 直前の事業年度におけるグループの年間連結収入が 7億 5,000万 EUR相当未

満又は 2015年 1月時点の国内通貨への為替換算相当額の多国籍企業グループについ ては、対象から除かれる。そのため、例えば、多国籍企業グループの 2015 年の連結 収入(事業年度は暦年)が6億2,500万 EURであれば、至2016年12月31日の事業 年度に関し、いずれの国に対しても国別報告書を提出する必要がない。

5.53 パラグラフ 52で記載したように 7 億 5,000万 EUR を適用除外基準とするこ

とで、多国籍企業グループの約 85%から 90%は、国別報告書の提出が不要となる。

それでもなお、法人収入全体の 90%近くを占める多国籍企業グループが国別報告書 の提出対象となろう。そのため、当該適用除外基準は、報告に係る負担と税務当局 の便益との適切なバランスを図ったものといえる。

5.54 OECD/G20 BEPSプロジェクト参加国は、追加データや別データの必要性を

含め、上記パラグラフに規定した収入基準の妥当性について、2020 年に実施基準を 見直す予定である。

5.55 本節で概要を述べた国別報告書提出の適用除外基準以外の基準を採用すべき ではないと考えられている。特定業界や、投資ファンド、非法人事業体又は非公開 法人を殊さらに対象から除くべきではない。例外として、多国籍企業の所得が国際 輸送又は内陸水路輸送から生じ、かつ、租税条約の適用によって当該所得に対する 課税権が一方の国に独占される場合、当該所得に係る国別報告書様式で求められる 情報を、条約規定により課税権を有する国の欄だけに記載すべきであることに、

OECD/G20 BEPSプロジェクト参加国は同意している。

E.2.3. 国別報告書の入手及び利用の必要条件

5.56 OECD/G20 BEPSプロジェクト参加国は、以下の条件に基づき国別報告書を

入手し利用することに合意する。

秘密性

5.57 各国は、提出された情報の秘密性を法的に保護する手段を整備した上で執行す べきであり、「税の透明性及び税務目的の情報交換に関するグローバル・フォーラ ム」で検討され国際的に合意された、要請に基づく情報交換の基準を満たす税務行 政執行共助条約、租税情報交換協定(TIEA)又は租税条約上の規定に基づき、当該 情報がその国に交付された場合に適用されるであろう保護手段と同等以上のレベル で、国別報告書の秘密性を保持することになる。当該保護手段には、情報の利用制 限、情報開示対象者に関する規則、社会秩序等が含まれる。

整合性

5.58 各国は、パラグラフ 5.52 の基準から外れる場合を除き、各国の多国籍企業グ ループ最終親会社に国別報告書の作成・提出を求める法律要件を導入するため、最 善の努力を行うべきである。各国は、本ガイドライン第 5章別添 IIIに定める標準様 式を使用すべきである。別段の規定がある場合を除き、この条件下で、いかなる国 も、別添 III に記載されていない追加の情報を国別報告書に記載するよう要求するこ とはなく、かつ、別添IIIに記載されている情報の報告を要求しないこともない。

適切な利用

5.59 各国は、パラグラフ 5.25 に従い、国別報告書様式内の情報を適切に利用すべ きである。特に、各国は、国別報告書をハイレベルの移転価格リスク評価に使用す ることを約束するだろう。各国は、他の BEPS 関連リスクを評価するために国別報 告書を使用することもできる。各国は、いかなる納税者の所得につき、国別報告書 のデータに基づく所得配分を基準として課税案を提示するべきではない。さらに、

現地当局が、国別報告書のデータに基づく調整を行った場合、当該国の権限ある当 局は関係する権限ある当局手続の中で当該調整を速やかに撤回することを約束する だろう。ただし、上記は、各国が税務調査の過程で、国別報告書のデータを基に多 国籍企業の移転価格取決め又はその他の税務事項の質問を行ってはならないという 意味ではない1

E.2.4 国別報告書交換のための政府間枠組みと実施パッケージ

E.2.4.1. 枠組み

5.60 各国は、自国所在の多国籍企業グループ最終親会社(E.2.2 参照)に対し、適

時の国別報告提出を求めた上、当該情報を関係国(当該グループが事業を展開し、

かつ、E.2.3 節の条件を満たす国)と自動的情報交換下で交換すべきである。ただ

し、(a)グループ最終親会社が国別報告書の提出を求められていない、(b)現行の国別 報告書交換のための国家間合意の下、適時に締結された権限ある当局間合意がな い、又は(c)情報交換に合意したものの実務的には情報交換が行われない場合、相手

国が E.2.3節の条件を満たしたとしても相手国に情報を提供されないことから、各国

の現地子会社が提出するか、又は最終親会社の代理として指定されたグループ法人 が国別報告書を提出し、それを、関係国が情報交換によって共有するという二次的 メカニズムが適切なものとして受け入れられるだろう。

E.2.4.2. 実施パッケージ

5.61 そこで、OECD/G20 BEPSプロジェクト参加国は、本章別添 IVで国別報告 書の政府間交換に関する実施パッケージを策定している。具体的には:

 多国籍企業グループ最終親会社に対して居住地国に国別報告書の提出 を求めるモデル法制が策定された。各国は、法律改正に当たって、この モデル法制を導入することができるようになる。また、二次的メカニズ ムの主要素についても、策定されている。

 国際的合意の下、E.2.3 節の条件を含む、国別報告書の自動的交換実施 取決めが策定されている。当該取決めには、既存の国際的合意(税務行 政執行共助条約、二国間租税条約、及び TIEA)に基づき、かつ、金融 口座情報の自動的情報交換に関して G20 各国・OECD が策定した既存モ デルの影響を受けた、権限ある当局間合意(CAAs)が含まれる。

1 国別報告書が、二国間条約に基づいて当局間で交換される場合、相互協議の申立等が可能である。

しかし、国別報告書が、相互協議規定を有さない当局間取決めに基づいて交換される場合、両当局は望 まれない経済効果が個々の事案に生じた場合のケースを含め、このようなケースの解決を目指した意見 交換を実施するためのメカニズムを策定するための権限ある当局間合意を締結するものとする。

5.62 参加国は、必要に応じ、国内法を適時に導入するよう尽力する。また各国は、

情報交換に関する国際的合意の対象範囲の拡大が奨励されている。このパッケージ 実施は、継続的にモニタリングされるだろう。このモニタリング結果を踏まえて、

2020年の見直し作業が行われるだろう。

6章 無形資産に対する特別の配慮

6.1 OECD モデル租税条約第 9 条に基づき、無形資産の使用又は移転において、二 の関連者間で、独立の企業の間に設けられる条件と異なる条件が設けられ、又は課 されているときは、その条件がないとしたならば一方の企業の利得となったとみら れる利得であってその条件のために当該一方の企業の利得とならなかったものに対 しては、これを当該一方の企業の利得に算入して租税を課することができる。

6.2 第 6 章の目的は、無形資産の使用又は移転を伴う取引に関する独立企業間条件 を決定するため、特別の指針を示すことである。OECD モデル租税条約第 9 条は、

関連者間取引の条件に関するものであり、その取引を分類するものではない。その ため、主な検討事項は、取引によって一方の関連者から他方の関連者へ経済的な価 値が移転するかどうか、その便益は有形資産、無形資産、役務若しくはその他の項 目又は活動に由来するものかどうかである。ある項目又は活動が第 6 章で具体的に 取り上げられていない場合でも、その項目又は活動によって経済的な価値が移転す ることはあり得る。ある項目又は活動により経済的な価値が移転する限りにおいて、

その項目又は活動は、パラグラフ 6.6が意味するところの無形資産に該当するか否か を問わず、独立企業間価格の設定時に考慮される必要がある。

6.3 本ガイドライン第 1~3章の原則は、無形資産が関わる取引及び関わらない取引 のいずれに対しても等しく適用される。これらの原則に基づき、その他の移転価格 上の問題と同様に、無形資産の使用又は移転を伴う事例の分析は、無形資産の使用 又は移転を伴う実際の取引を正確に描写するために、関連者間の商業上又は財務上 の関係並びにその関係性に付随する条件及び経済的な状況についての完全な特定か ら出発すべきである。機能分析によって、多国籍企業グループの関連するメンバー それぞれについて、果たす機能、使用する資産又は引き受けるリスク2を特定しなけ ればならない。無形資産の使用又は移転を伴う事例において、多国籍企業のグロー バルビジネスについて、及び多国籍企業が無形資産を使用してサプライチェーン全 体で価値を増加又は創造する方法についての理解を機能分析の基礎とすることは、

2 リスク負担とは、リスク管理及びリスクを引き受けるための財務能力を考慮し、第1章

D.1.2.1の指針に従って、関連者が特定のリスク負担を決定することである。契約上のリスクの引

き受けは、当事者間の契約におけるリスク配分による。