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2.45 原価基準法は、関連者間取引において、資産(又は役務)を販売(又は提 供)した売手の原価を出発点とする。果たされた機能及び市場の状況に照らした適

正な収益を稼得するため、この原価に適正なコストプラスマークアップが加えられ る。上記の原価にコストプラスマークアップを加えた後の金額が、当初の関連者間 取引における独立企業間価格とみなされる。この手法は、半製品が関連者間で販売 される場合、関連者同士が共同支援契約又は長期売買契約を締結した場合、あるい は関連者間取引が役務提供である場合に恐らく最も有効な手法であろう。

2.46 関連者間取引におけるサプライヤーのコストプラスマークアップは、理想的 には、比較可能な非関連者間取引において同一のサプライヤーが得るコストプラス マークアップを参考にして算定されるべきである。なお、独立企業による比較可能 な取引において得られたであろうコストプラスマークアップは指針となろう。

2.47 第 1章の諸原則に従えば、原価基準法の適用に当たり、次の二条件のいずれ か片方に該当する場合、非関連者間取引は関連者間取引と比較可能(すなわち、比 較可能な非関連者間取引)とされる。それは、a) 比較される取引間又はそれらの取 引を行う企業間の差異が、自由市場におけるコストプラスマークアップに重大な影 響を与えない場合、又は、b) そのような差異の重大な影響を排除するため、相当程 度正確な調整を行うことができる場合、である。原価基準法の適用上、ある取引が 比較可能な非関連者間取引であるか否かを決定するに当たっては、再販売価格基準 法についてのパラグラフ 2.29-2.34 において述べたものと同一の原則が適用される。

したがって、この原価基準法による場合、CUP 法による場合よりも製品の差異の調 整に求められる数は少なくなるであろうし、第 1 章で述べた比較可能性についての 他要素に、より多く重点を置くことが適切であろう。他要素のいくつかは、価格に 対するよりもコストプラスマークアップに対して、より重大な影響を与えるだろう。

再販売価格基準法による場合と同様に(パラグラフ 2.34 参照)、関連者間取引及び 非関連者間取引において得られるコストプラスマークアップに重大な影響を与える 差異(例えば、その取引の当事者が果たす機能の性質における差異)がある場合に は、そのような差異の調整が行われるべきである。これらの調整の範囲及び信頼性 は、個々の事例における原価基準法に基づく分析の相対的信頼性に影響を与えるで あろう。

2.48 一般に、小型家庭電気製品産業においては、基本的なトースター及びアイロ ンの製造に係る利益率は同じであるという前提で、A 社は関連者である販売会社に トースターを販売し、B 社は独立企業である販売会社にアイロンを販売するとする。

原価基準法が適用される場合(ここで原価基準法を適用するということは、極めて 類似したトースターの製造業者は存在しないという仮定である)、関連者間取引と 非関連者間取引において比較される利益は、製造業者から販売業者へ販売される価 格と製品の製造原価との差額となろう。しかし、A 社のほうが、その製造過程にお いて B 社よりもはるかに効率的であり、低コストを可能にしているかもしれない。

その結果、A社がトースターの代わりにアイロンを製造し、B社のアイロンに付され ている価格と同一の価格を付したとしても(すなわち、何らの特別の条件も存在し ないとして)、A 社の利益の方が B 社のそれよりも高くなることは適当といえよう。

したがって、この利益に対する差異を調整できない場合、このような状況の下で原 価基準法を適用することは、全面的に信頼し得るものとはいえないであろう。

2.49 原価基準法を適切に適用するに当たって、特に原価の算定においていくつか の難しい点がある。企業は、事業存続のため、ある期間をかけて原価を回収しなけ ればならないのは事実であるが、この原価は、特定の取引のいずれかの年の適切な 利益の決定要因にならないかもしれない。多くの場合、企業は競争により、その商 品の製造又は役務提供に係る原価を勘案しての価格の引下げを余儀なくされるが、

他方で、発生した原価の水準と市場価格の間に認識できるような関連性がないとい う状況もある(例えば、価値のある発見が行われたが、その所有者は、その発見に つき僅かな研究費しか支出していない場合)。

2.50 さらに、原価基準法を適用するに当たっては、比較可能な原価に、比較可能 なマークアップを適用するよう注意を払うべきである。例えば、原価基準法の適用 に当たり、比較対象となるサプライヤーが事業活動の遂行にリース資産を使用して おり、関連者間取引におけるサプライヤーが自己所有の資産を使用しているとすれ ば、原価の調整を行わなければその原価は比較可能とはならないであろう。原価基 準法は、関連者間取引におけるマークアップと、非関連者間取引におけるマークア ップとの比較に依存している。したがって、マークアップの大きさに影響を与える 関連者間取引と非関連者間取引の間の差異は、非関連者間取引のそれぞれのマーク アップにどのような調整を行うべきかを決定するため、分析されなければならない。

2.51 そのため、それぞれの当事者によって果たされた機能及び引受けられたリス ク又は比較される取引に関連する費用(営業費用及び資金調達費用を含む営業外費 用) の水準及び種類の差異を検討することは特に重要である。それらの差異の検討 としては以下のものが指摘できよう。

a) 費用が、その手法の適用に際して考慮されていない機能の差異(使用した 資産及び引き受けたリスクを考慮して)を反映する場合には、コストプラス マークアップに対する調整が必要となろう。

b) その費用が、その手法によって検証される活動とは異なる追加的な機能を 反映する場合には、それらの機能に対する別途の対価を算定する必要があろ う。そのような機能は、例えば、適切な対価が定められる役務提供のような ものかもしれない。同様に、独立企業間原則に沿わないような資本構造から 生ずる費用も、別途調整が必要であろう。

c) 通常の場合は、一般管理費用のように、比較される当事者の費用の差異が、

単に企業の効率性又は非効率性を反映する場合には、粗利益に対する調整を 行わないのが適切であろう。

上記いずれの場合も、他の手法を適用して得られる結果を考慮することにより、

原価基準法と再販売価格基準法を補うのが適切であろう(パラグラフ2.12参照)。

2.52 比較可能性のもう一つの重要な視点は会計上の一貫性である。関連者間取引 と非関連者間取引の会計処理が異なる場合には、一貫性を保ち、それぞれの事例に おいて同じ種類の原価を用いるためには、データを適切に調整する必要がある。粗 利益マークアップは、関連者と独立企業との間で一貫性があるように算定されなけ ればならない。さらに、粗利益マークアップに影響を与える種々の原価の取扱いに は企業間で差異がある場合があり、信頼できる比較可能性を得るためには、それら の差異を考慮する必要があろう。一貫性と比較可能性を達成するために、いくつか の場合には営業費用を考慮する必要があるかもしれず、そのような状況では、原価 基準法は、粗利益ベースの分析から営業利益ベースの分析に近づいていく。営業費 用を踏まえた分析を行う限り、パラグラフ 2.70-2.73 に述べる理由から、分析の信頼 性は逆の影響を受けるかもしれない。それゆえ、パラグラフ 2.74-2.81 に記載された セーフガードは、そのような分析の信頼性の評価に関連するかもしれない。

2.53 正確な会計基準及び用語がまちまちであるが、一般に、企業の原価と費用は 大きく 3 つに区分すべきと理解されている。第一に、原材料の原価のような、製品 製造や役務提供のための直接原価がある。第二に、製造の間接原価があり、それは 製造工程に密接に関連しているものの、いくつかの製品や役務に共通する原価であ る(例えば、異なる製品を製造するために使用される設備を修繕する補修部門の原 価)。最後に、一般管理費のような、企業全体としての営業費用がある。

2.54 粗利益に基づく分析と営業利益に基づく分析の区分は、次のとおりである。

一般に、原価基準法は、製造の直接・間接原価を控除した後の粗利益を使用する一 方、営業利益法は、同様に企業の営業費用を控除した後の営業利益を使用する。各 国実務に相違があるため、上記 3 つの分類を正確に区分することは難しいと認識さ れなければならない。よって、原価基準法を適用する場合、パラグラフ 2.52 で議論 されたように、営業費用とみなされる費用の検討が含まれる場合もあろう。数学的 な正確さで境界線を引いて 3 つに分類することは困難であるからと言って、粗利益 率アプローチと営業利益率アプローチに係る基本実務が変わるわけではない。

2.55 確かに原価基準法においては取得原価を強調しすぎているかもしれないが、

原則として、取得原価は個々の製品に帰属させられるべきである。原価には、例え