→←D 藤一E
第3節 の量的分析の結果,職業体験によって自己受容が深 まり,自分に自信を持てるようになること,LOC面接によ
って自己理解が進むことが明らかになった。そして,さらに 面接の効果を詳しく調べるために対象生徒を5つの自己認知
タイプに分類をして面接の効果を検討した。本節ではそれを 受けて,職業体験や面接を通して生徒の持つ特徴によって自 己受容とIocus of contro1がどう変化したのかを分析する。
(2)分析の方法
①分析の対象
分析の対象は,プログラムによる面接を行った37名(自己
受容面接群16名,LOC面接群21名,および統制群135
名)である。
②分析の手続き
事前調査における自己受容性尺度の4つの下位尺度得点と
locus of contro1尺度の得点をz得点に変換したものの平均
値を用いてタイプごとに統制群の比較を行う。標準得点を使
用したのは,得点変化を較べるためには,平均値からどの程
度上か下かがわかりやすく示されるからである。ここでは各
群およびタイプの人数が少ないため,統計的な検定は行わな
かった。したがって,この節でめざしたのは,統計の推計学
的結論を導くというよりは,事例研究に近い分析である。
なお,得点変化の基準をTable4−8のように定めた。
Table4−8得点変化の基準
z得点の変化 コメント
29以下 大きな変化なし
.30〜.49 わずかながら上昇(下降)傾向
.50以上 上昇(下降)した(3)Aタイプの結果変化と考察
Aタイプの得点変化を:Fig.4・4−1〜5にまとめた。タイプ ごとの詳細な得点は,APPENDIXを参照されたい。
03
−0.2
−0.7
−1.2
LOC前 しOC後
Fig.4−4−1 AタイプのLocの変化
0.3
−0.2
−0.7
−t2
承認前 承認後
Fig4−4−3 Aタイプの自己承認の変化
十LOC
釜受容一櫓一統制
+受容
十LOC
一か統制
0.3
−0.2 −0.7
−12 十LOC
信頼前 信頼後 一瞬一受容
Fig,4−4−2 Aタイプの自己信頼の変化 …奮…統制
0.8 0.3 −0.2 −0.7 −1.2
価値前 価値後 +LOC 一蟹一受容
Fig.4−4−4 Aタイプの自己価値の変化 一禽一統制
O.3 −0.2 −0.7 −1.2
理解前 理解後
Fig4−4−5 Aタイプの自己理解の変化
一◆一LOC 一難一受容
や統制
Aタイプは,全体に低得点であるが,その中でも特に自己 理解が低いタイプである。ここでの得点変化の特徴は,低か った自己理解平均値の上昇である。これについては:LOC面 接群と統制群は上昇し,自己受容面接群はわずかに上昇がみ
られる(:Fig.4−4−5)。他の項目については,面接方法ごとに統 制群との特徴的な差異がみられる。
:LOC面接群では,前述の自己理解の項目以外大きな変化 はなかった。自己受容面接群では,自己信頼,自己価値はわ ずかに増加し,自己承認の平均値は下降している。この自己 承認の低下は,自己理解の項目の上昇から考えて,自己理解 がある程度進み,「自分を変えたい」と思うようになったこ
とから起こったと考えることができる。2つの面接の効果を 較べてみると,:LOC面接よりも自己受容面接の方が効果を 持つように思われる。その理由については,以下のように考
えた。
LOC面接では,目標達成に向けて考えたり,行動してい く中で,今まで知らなかった自分を知った。そこでの自己理 解には、自分に対して肯定的なものも否定的なものも含まれ ていたはずである。そして,もともと:LOCや自己信頼が低 いAタイプの生徒にとって,肯定的でない自己イメージは自 信を深めることにはつながらなかった。
一方,自己受容面接では,友だちとお互いについての肯定 的な内容を指摘し合うことを通して,自己理解を深め,自分 に対する自信を抱くことができた。さらにそのことが,「よ
りよい自分」を目指そうとする前向きな思いに高まり,「自分 を変えたい」と思うようになったのではないだろうか。
つまり,自分に自信がないために,自分を知りたいとか変
えたいという気持ちになれないでいたが,自己受容面接によ
って自信を得,向上心を持つようになり,より高いレベルに
向かって自分を伸ばしていこういう気持ちを持ったのではな
いかということである。Aタイプのように自分に対する自信 がない生徒には,肯定的な自己イメージを持つことが大切だ
と考えられる。
(4)Bタイプの結果と考察
Bタイプの結果は次の:Fig.4−5−1〜5の通り。
1 0.5
0
−0.5 −1 −1.5
Fig.4−5−1
1
0.5
0
−0.5 −1 .一t5 Fig.4−5−3
LOC前 LOC後 BタイプのLOGの変化
一◆一LOC 一盤一受容 一壷一統制
芸 凸L 蒋 遮 『・
Bタイプの自己承認の変化
十LOC
一盤一受容壷統制
1 α5 0 −0.5 −1 −t5
信頼前 信頼後+LOC
一州一受容
Fig4−5−2 Bタイプの信頼の変化 …癒…統制
1 0.5
0
−0.5 −1 −1.5
価値前 価値後 一◆一LOC 善受容
Fig.4−5−4 Bタイプの自己価値の変化 一難一統制
5懸盤』
1 0.5
0
一α5
−1
刊.5
Fig.4−5−5
理解前 理解後 Bタイプの自己理解の変化
十LOC
一鍛ト受容 一噛一統制Bタイプは,自己承認が高く,LOCと自己信頼が低いこ とが特徴である。Bタイプでは, LOC,受容各面接群の自己 理解の上昇と自己承認の低下が特徴である。自己承認の低下
は統制群にも起こっている。自己理解の上昇は,面接の効果 と考えてよいだろう。また,:LOC面接群の自己信頼もわず かながら上昇している。Bタイプは,もともと:LOCと自己 信頼が低いということから,自分に自信が持てないグループ である。自己信頼と自己理解の上昇に関しては,:LOC面接 の効果があがっている。これについては,次のように考えら れる。Bタイプは自己価値の事前得点が高く,前向きなもの の捉え方をする特徴を持っている。そのため,AタイプやE タイプとは違い,:LOC面接で得られた自己理解を前向きに 考えることができたのではないだろうか。自己受容面接での 自己理解の項目も上昇しており,自己受容面接の効果も期待
できる。
また,もともと高かった自己承認の低下はすべての群で起 こっている。このことは,自分を変えたいという気持ちが高 まることであるから,必ずしも悪いことではない。むしろ,
ある程度自己理解が進んだ時に起こるポジティブな反応とも
言えよう。
(5)Cタイプの結果と考察
。タイプの結果は次の:Fig.4・6−1〜5の通り
1マ o君
一曹
一tl
十LOC
一円一受容2ミ.、
信頼前 信頼後
十LOC
一欄一受容2
1.5
1
0.5
0
−0.5 一一◆一一LOC
−1 番受容
一1.5 一口一統制
一2 承認前 承認後
Fig,4−6−3 Cタイプの自己承認の変化
2
1.51
0.50
−0.5−1
−1.5
−2
価値前 価値後Fig4−6−4 cタイプの自己価値の変化
十LOC
一蟹一受容噛一統制
2
1.5
1
0.5
0
−0.5 →一一LOC
『1 一盤一受容
噛一統制
一1.5一2
理解前
理解後Fig.4−6−5 Cタイプの自己理解の変化
Cタイプは全体に事前得点が高いグループである。全体と しては自己信頼の平均値が低下している。また:LOCについ てもLOC面接群と自己受容面接群で低下し,統制群もわず かに下がっている。自己理解に関しては,自己受容面接群と 統制群では下降しているが,:LOC面接群は上昇している。
自己承認の項目は,:LOC面接群では増加し,自己受容面接 群と統制群は,変化がなかった。そして,自己価値はLOC 面接群でわずかに上昇し,自己受容面接群は変わらなかった が,統制群は低下している。:LOC面接群での自己承認,自 己理解の上昇は,他の2群との比較から,面接の効果と考え られる。Cタイプは,比較的自己に対する理解が進んでいた グループであるが,LOC面接によって自己理解がさらに深
まり,「今の自分のままでよい」という自己承認の気持ちが高
まったのであろう。これは,今まで自分のことがよくわかつ
ていなかった段階で自己理解をし,「自分を変えたい」と思う ようになる段階よりも一段進んだ段階と考えることもできよ
う。
また,Cタイプの中には,自分のことがよくわかっていな かったためにかえって肯定的な解答をしていた生徒たちの存 在が想定される。体験や面接が真の自己理解の契機となり,
自信を失ったのではないだろうか。この点については,第5 章の生徒へのインタビューの中でもう一度検証していきたい。
(6)Dタイプの結果と考察
Dタイプの変化は次のFig.4−7−1〜5の通り。
0.8
α3
一〇.2
LOC前 LOC後
Fig4−7−1 DタイプのLOGの変化
十しQC一欝一受容
噛一統制
O.8
0.3
一〇.2
信頼前 信頼後
Fig4−7−2 Dタイプの自己信頼の変化
一◆一LOC 一醗一受容
壷統制
0.8
0.3
一◆一LOC 噸←受容 噛一統制
0.8
0.3
一〇2
承認前 承認後
Fig4−7−3 Dタイプの自己承認の変化
α8
0.3
+LOC 曹受容
一轡一統制