Table5−13 インタビューの対象となった生徒
分類 名前面接受容前受容後LOC前LOC後
I M男 0男
まれている。繰り返し述べてきたように,仕事が予想以上に 厳しく,大変だという思いを抱いたことが得点の下降につな がったことはここでも明らかである。
しかし,職業体験によって働くことの厳しさを感じること は生徒たちにとってむしろ望ましい体験である。その体験を 自分の中でどう受け止め,自分に生かしていくかを考えてい くことが大切である。体験後の事後指導や本カウンセリング プログラムの事後セッションにもこのことを組み入れること が必要であろう。もう一つ注目したいのは,質問皿の目標に 対する達成感である。ここに寄せられた回答だけで判断する のは早急過ぎるだろうが,DOWN群には,達成できたとは 言えないという生徒が3人のうち2人いたことは注目される。
Table5−14UP群とDOWN群の比較
質問 UP群 DOWN群1
・やり遂げたという充実感があった
E心配だったが行ってよかったと思
チたE大変だったけれど子供が好きな
フで楽しかった
・仕事を甘くみていた。厳しい仕事だった E自分に対する自信が揺らいだ
E仕事は大変だったが行ってよかった H ・テレビで見ていたのとやり方が違
チていた
E仕事自体は向いていないかもし 黷ネい
E予想通りだった。
・イメージとは違っていた(不満あり)
E予想通りだった
E予想できなかったのでわからない
皿 ・できた(3人とも) ・できた
E忘れていた?
Eできたとは言えない
質問1:職業体験の感想
質問1工:仕事内容
質問皿:目標達成は(2)面接の感想から
(1)と同じく生徒8名について得点上昇者をUP群,下降
者をDOWN群として,職業体験の感想についてTable.5−15
にまとめた。以下Table5−15とAPPENDEXに掲載したインタ ビューの記録を中心に考察を進める。
Table5−15 UP群とDOWN群の比較
UP群 DOWN群
IV ・結構楽しかった
・体調が悪くて2回休んだ
・結構楽しみだった
・特別な感じは持たなかった(2人)・クラス皆がやることだしやってよ
V
かった・友だちからの指摘はよく言われ ・友だちがいたのでそれなりによかった
ていることだった・皆で話せて面白かった ・結構面白かった
・職業体験について考えること ・友だちと一緒だったので話しやすかっ
ができてよかった た
VI
・つながっていた(r女:LOC面
・つながっていた(F男:LOC面接)接)
・意識していなかった(M男0男: ・あまり意識しなかった(Q男:LOC面接)
自己受容面接)
・忘れていた?(f女:LOC面接)
質問IV:面接の感想
質問V:グループ面接だったことについて 質問VI:面接と職業体験とのつながり
面接に対する印象は,UP群にもDOWN群にも大きな差は
ない。グループ面接については,全体として「よかった」とい う反応である。特に「友達と指摘し合ったこと」が取り上げら れており,この点については,ねらい通りであったと言える。
面接と職業体験のつながりはUP群とDOWN群という違
いよりも,面接の種別によって違いがみられた。
分析対象とした受容面接を受けた生徒は共に,「面接とのつ ながりはあまりなかった」と答えている。一方,LOC面接者
3名のうち「つながっていた」と答えたのは1名だけである が,LOC面接者の残りの2名は,目標達成について,「忘れ
ていた」「達成できたとは言えない」と答えた生徒と一致する。
分類H,皿の生徒にも同じ質問をしているが,LOC面接者
は,「つながっていた」と答えている。
つまり,面接と目標とのつながりは受容面接者には全般に
薄いがLOC面接では,目標を意識して行動した者は,達成 感を持ったということであろう。しかし,達成感を持った生 徒の得点がすべて上昇したかというとそうであるとは言い難
い。それは前述の自己認知タイプや,面接過程,職業体験の内 容などの要因が絡んでくるからである。では,どのような場 合に最も効果があがったかというと,LOC面接群のUP群
としてインタビューを行ったr女のコメントの中にその手が かりがうかがえる。
自分としては目標を決めてそれについて考えることができ てとてもよかった。おかげで,当日になって「どうしょう」
って迷ったり,悩んだりしなくてすんだ。でも,体験する前 に,体験:について色々シミュレーションをするのは難しかっ た。やったことがあることなら,イメージも浮かびやすいし,
もっと色々考えられるかもしれない。
r女のように体験当日をイメージして考え,それを当日の 場面に生かすことができれば,locus of control理論のねら い通り,目標設定一目標達成一達成感の保持という流れがで
きあがり,locus of controlは内的統制方向に高まるので
あろう。しかし,r女のコメントの中にもあるように中学生
の段階では,未体験のことをイメージし,それについて考える
ことは簡単なことではない。いかにリードするかということ
が面接者側の課題として出てくる。
3得点変化の理由が分からなかった生徒の追跡
(1)抽出の理由と対象
自己認知タイプや面接過程からでは得点変化の理由がはっ きりしなかった生徒に行ったインタビューを中心に得点変化 の理由を探る。なお,補助資料として事前,事後調査の自由 記述と職業体験受け入れ先のコメントを用いる。
対象としたのは,m女である。m女は,両調査の記述や面接 過程からポジティブな感想を寄せいるのにもかかわらず得点 が下降していた。
(2)m女の事例
m女の感想は,どれも大変前向きなものばかりである。
調査の自由記述には,次のように記している。
事前:結構楽しみにしています。体験する職業の一つ一つ が将来役に立つかもしれません。それがどんな職業 だとしても精一杯がんばるつもりです。
事後:すごく楽しかったです。先生方は親切に教えてく れたし,子供たちもすごく人懐っこかったし,人見 知りをしないような子ばかりでした。すごく可愛か つたです。
面接の感想:
保育士の体験ができてよかった。今かなり充実している 気持ちです。幼い頃の夢だった保育士の仕事をまた考え直
してみょうがなという気持ちになれました。
調査の自由記述に,m女は「よかった」「楽しかった」という
答えを繰り返している。しかし,受け入れ先のコメントは必 ずしもよかったと言えるものではない。2人の担当者がコメ ントを寄せているが,そのどちらもm女の体験に対してむし ろ「よくなかった」と言っている。そのうちの一つを示す。
何をしてよいかわからない状態であったと思います。学 校の方でそれぞれの職場に対しての意識や心構えなどを話
し合ったとは思いますが,それが生かされなかったような 気がいたします。せっかく保育園という職場を体験するの ですから子供たちと一緒に楽しんで生活をして欲しかった
です。
m女の語ることと,この担当者のコメントとのズレはいっ たいどこからくるものなのだろうか。面接時もインタビュー の際も比較的テンションが高かったが,特に無理をしている ようではなかった。
ここで注目したいのは,m女の自己認知タイプがタイプC であることと彼女の事前得点である。事前得点をTable5−16 に示す。調査対象生徒全体から考えると自己受容得点は平均 程度であるが10cus of control得点は上位1割の中に入る
ほどである。
Table5−16 m女の得点と得点変化
LOC前 LOC後 受容前 受容後信頼変化承認変化価値変化理解変化
89 84 37 37
一4 2 0 2このm女のlocus of contro1得点の高さは,調査の自由記 述の回答内容やインタビューの内容と関係があるのではない だろうか。m女は精神的に幼い部分が残っており,鑛(1990)
の言う児童期にみられる有能感が抜けきっていないのではな
いだろうか・。そのため,「こうでなければならない」という建
前にとらわれたり,他人から見ていると必ずしもできていな いことを「できた」と評価したりしてしまうのではないだろう
か。
自己受容の得点変化を見ていくと面接と職業体験を通して m女は自信をなくしたが自己理解を深めたことがうかがえる。
m女の得点変化は彼女の内的な成長の跡と考えられる。第1 節でタイプCの生徒について触れたときにも述べたように,
Locus of Control得点の高得点者は,面接時にその得点の高 さが幼さからくるものなのかどうかを把握する必要があると いうことがm女の事例からも推察される。
4特別な事情があった生徒について
(1)抽出の理由と対象
抽出の対象としたのは。女である。o女は医師になるこ とを将来の希望として考えており,今回は,病院を体験先と して選んでいた。だが,体験日の1週間前から風疹にかかり,
体験当日も出席できなかった。それに伴って,面接もセッシ
ョン3,4を欠席している。LOC面接を行っていた
が,Table5−17に示した通り, LOC得点は下降している。
この理由について,インタビューでの回答を中心に探ること
にする。
Table5−170女の得点と得点変化
LOC前 LOC後 受容前 受容後信頼変化承認変化価値変化理解変化
75 68 37 40
0 0 1 2(1) o女の事例
。女のインタビュー内容の概略を次のTable5−18に記す。
ドキュメント内
中学生のためのキャリアカウンセリングに関する研究 : 職場体験事前指導としてのグループカウンセリングプログラム作成をめざして
(ページ 103-112)