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酵素触媒による環状カーボネート - ウレタン (3,6) モノマーの開環重合 . 126

ドキュメント内 目次 (ページ 132-139)

第 4 章 酵素触媒によるポリ(カーボネート‐ウレタン)のケミカルリサイクル 95

4.3 実験方法

4.3.4 酵素触媒による環状カーボネート - ウレタン (3,6) モノマーの開環重合 . 126

4.3.4 酵素触媒による環状カーボネート-ウレタン (3,6)モノマーの開環重合

4.3 実験方法 127

4.3.5 ジウレタンジオール(3,6)の生分解性評価

(1) BOD法による生分解試験

(1-a) 原理

4.1式に示すように、生分解率は生物化学的酸素要求量(BOD)aと理論酸素要求量(ThOD)b の比から算出した。

Biodegradation(%) = BOD

T hOD ×100 (4.1)

a生物化学的酸素要求量 (BOD): 化学物質又は有機物が、特定の条件下で、水中での好気的生 物酸化によって消費された溶存酸素の質量濃度。試験物質1 mg又は1 g当たりのmg-酸素量 として表される。b 理論酸素要求量 (ThOD):化学物質が、完全に酸化されるために必要とさ れる分子式から計算される最大理論酸素要求量。試験物質1 mg又は1 g当たり必要とされる mg-酸素量として表される。

まず、被験物質に用いたジウレタンジオール (3,6)を例にThOD値の計算法を以下に示す。

4.2式より、ジウレタンジオール (3,6) (分子式: C14H28N2O6, 分子量: 320.4)が完全分解 されるには21等量の酸素が必要である。従って、4.3式より、ジウレタンジオール (3,6)の ThOD値は2.1 (mgO2/mg)と計算される。

C14H28N2O6+ 21O2−→14CO2+ 14H2O+ 2N O3 (4.2)

T hOD(mgO2/mg) = 1

320.4 ×21×32 = 2.1 (4.3)

Biodegradation(%) = BOD0

T hOD0 ×100 = A×BOD

A×T hOD×100 = BOD

T hOD×100 (4.4)

次に、BOD値は以下の原理で計測した。

まず、BODセンサーシステムの模式図をFig. 4.9に示す。培養液中の有機物が微生物によっ て好気的生物酸化される際には酸素が消費され、それに伴って放出される二酸化炭素は培養容 器上部に取り付けたキャップ内に仕込んだ水酸化ナトリウムによって吸収される。閉鎖系空間 内では、消費された酸素量に相当する分の内部圧力が低下する。本研究で用いた圧力センサー は培養開始直後の内部圧力と一定時間後の内部圧力との差を測定し、この圧力差から培養液1 L当たりに消費された酸素量(mgO2/L)を算出して表示する。BOD値は試料1 mg当たりに 消費された酸素量(mgO2/mg)であるので、BODセンサーが表示する値(BOD’値)はBOD 値と培養液1 Lに含まれる試料量との積に等しい。従って、培養液 1 Lに含まれる試料量をA

mgとしたとき、4.1式の分母にはThOD値をA倍した値(ThOD’値)、分子にはBOD’値を 代入することによって、生分解率を算出することができる(4.4式)。ただし、培養で消費され る酸素量は菌体が試料を酸化するのに要した酸素量と基礎呼吸に要した酸素量との和であるの で、生分解率の算出では試料溶液のBOD’値から空試験のBOD’値を引いた値を用いる必要が ある。

O2 CO2

NaOH as a CO2 absorbent and a packing

Microorganism

Substrate

Stirring bar Pressure sensor

25 oC

Fig. 4.9: BOD sensor system.

(1-b) 測定方法

ジウレタンジオール(3,6)を被験物質として生分解試験を行った。

まず、生分解試験に用いる植種源及び無機塩培地を以下に示す方法で調製した。

植種液  

横浜市港北区下水処理場より採取した活性汚泥を3時間曝気した後に用いた。活性汚泥 中の固形物濃度を求めるために活性汚泥10 mLをはかり取り、これを120℃、昇温デ シケーターを用いて減圧乾燥することにより固形物54 mgを得た。したがって、活性汚 泥中の固形物濃度は5.4 mg/mLであることを確認した。培養液を調製する際には培養 液中の固形物濃度が30 mg/Lになるように活性汚泥を添加した。

無機塩培地  

エアーポンプを用いて3時間曝気した蒸留水 800 mLを1 Lメスシリンダに量り入れ、

下に示すA液を5 mL、B液、C液及びD液を各1 mLずつ添加した。これを1N 塩酸 水溶液を用いてpH 7.0に調製後、曝気した蒸留水で1 Lにメスアップして無機塩培地 を調製した。

4.3 実験方法 129

溶液A リン酸二水素カリウム (KH2PO4) 8.50 g リン酸水素二カリウム (K2HPO4) 21.75 g リン酸水素二ナトリウム二水和物 (Na2HPO4・12H2O) 44.60 g 塩化アンモニウム NH4Cl 0.17 g 3時間曝気した蒸留水に溶かし1 Lに定容した。

溶液B 硫酸マグネシウム七水和物 (MgSO4・7H2O) 22.50 g 3時間曝気した蒸留水に溶かし1 Lに定容した。

溶液C 無水塩化カルシウム (CaCl2) 27.50 g 3時間曝気した蒸留水に溶かし1 Lに定容した。

溶液D 塩化鉄( )六水和物 (FeCl3・6H2O) 0.25 g

3時間曝気した蒸留水に溶かし1 Lに定容した。

次に、予め量り取ったジウレタンジオール(3,6) 19.1 mgを磁気撹拌子を付した培養容器に 入れ、そこへ植種液7.5 mL及び無機塩培地 242.5 mLを添加した。ジウレタンジオール(3,6) を19.1 mg入れた理由は、用いたBODセンサーシステムでは培養液250 mLのスケールを用 いた場合に正確に測定することができるBOD’値の範囲が90-250 mgO2/Lとされているので、

被験物質のThOD’値を160 mgO2/Lとすることで被験物質のBOD’値とブランクのBOD’

値との和が90-250 mgO2/Lの範囲内になるように設定したからである。底に約0.45 g (3、4 粒)の水酸化ナトリウム入れたキャップを培養容器の上部に取り付けた後、さらにその上から 圧力センサーを装着した。25 ℃に設定したインキュベーター内に培養容器を約30分間放置す ることで培養容器内の温度とインキュベーター内の温度が等しくなるようにした後、圧力セン サーをきつく閉め、培養容器を密閉してBOD’値の測定を開始した。OECD化学品テストガ イドライン301Cでは、生分解試験期間は28日間とされているが、本研究では、試験開始28 日後でもBOD’値の増加が認められたので、期間を延長し、54日間試験を行った。また、生 分解試験の標準物質としてアニリンを用いた。アニリンはマイクロシリンジを用いて12.5 µL (12.9 mg)を秤量することでアニリンのThOD’値を164.5 mgO2/Lと設定し、ジウレタンジ

オール(3,6)の場合と同様にして生分解試験を行った。

(2)ジウレタンジオール(3,6)資化菌の単離

第4.3.5節でジウレタンジオール (3,6)の生分解が確認されたので、位相差顕微鏡を用いて培

養液を観察した。その結果、少なくとも2種類の菌体の存在が確認されたので、培養液を植種 源とし、ジウレタンジオール(3,6)を唯一の炭素源にして集積培養を行うことによってジウレ タンジオール(3,6)資化菌の単離を行った。

集積培養に用いた植種液、液体培地及び固形培地の調製は以下のようにして行った。

植種液  

第4.3.5節でジウレタンジオール (3,6)を被験物質に用いて生分解試験を行った培養液 をそのまま植種液とした。

液体培地  

蒸留水1 L当たりの炭素源及び無機塩の組成を以下に示す。この無機塩培地100 mLに 唯一の炭素源としてジウレタンジオール(3,6) 200 mg (0.2 wt%)を溶解し、1N NaOH 及び1 N HClを用いてpH 7.0に調製し0.2 wt%ジウレタンジオール (3,6)を含む液体 培地を調製した。

炭素源: ジウレタンジオール (3,6) 2000 mg 無機塩: 塩化アンモニウム 2000 mg   リン酸水素二カリウム 200 mg 硫酸マグネシウム七水和物 200 mg 塩化カルシウム二水和物 2 mg 硫酸鉄七水和物 1 mg 硫酸マンガン四水和物 2 mg 硫酸亜鉛七水和物 7 mg 硫酸銅五水和物 0.05 mg 塩酸チアミン (VB1·HCl) 0.05 mg 固形培地  

上記の0.2wt%ジウレタンジオール (3,6)を含む液体培地200 mLに寒天粉末 4 g (2 wt%)を添加し、オートクレーブで滅菌した後、滅菌シャーレに約25 mL流し入れ、固 まるまで室温で静置し0.2 wt%ジウレタンジオール (3,6)を含む平面培地を調製した。

また、保存用スラントの作成では滅菌後の培地 約6 mLを試験管に流しいれた後、シリ コン栓をして再びオートクレーブで滅菌を行った。同様にして、酵母用培地組成からな る固形培地も作成した。酵母用培地の蒸留水1 L当たりの炭素源及び無機塩の組成を以 下に示す。

炭素源: D(+)-グルコース 10.0 g 無機塩: 粉末酵母エキス 3.0 g 麦芽エキス 3.0 g

ペプトン 5.0 g

pH: 6.0

集積培養はFig. 4.10に示すように液体培地及び平面培地で行った。

4.3 実験方法 131

OD660 = 1.14 The culture after BOD test

for diurethanediol (3,6)

Fig. 4.10: Isolation of a diurethanediol (3,6)-assimilating miclobe from the culture after BOD test.

液体培地 100 mLを500 mL坂口フラスコに入れ、オートクレーブを用いて滅菌した。これ

に植種液 0.2 mLを添加して培養液を調製し、ウレタン栓をして30 ℃で好気的に振とう培養

を行った。

培養開始2週間後に目視によりわずかながら菌体の増殖が認められたので、植え継ぎを行っ た。このとき、OD660 = 0.07であった。2週間後に培養液は黒く懸濁し菌体の顕著な増殖が確 認された。このとき、OD660 = 1.14であった。この顕著な増殖が確認された培養液 0.1 mL を滅菌した生理食塩水で106倍希釈し、これを0.2 wt%ジウレタンジオール(3,6)を含む平面 培地に植菌し、30 ℃で培養した。インキュベート開始5日後に黒色のコロニーを得た。得ら れたコロニーを形成している菌体を位相差顕微鏡で観察した結果、酵母と思われる1種類の菌 体が得られたことを確認した。次いで、得られたコロニーを白金耳を用いて植菌し、再び0.2 wt%ジウレタンジオール (3,6)を含む平面培地に植菌し、30 ℃で培養した。培養開始4日後に 黒色のコロニーが得られ、これを0.2 wt%ジウレタンジオール (3,6)を含むスラント及び酵母 用培地から調製したスラントに植菌した。これらのスラントを30 ℃で4日間培養を行い、黒 色の菌体の増殖を確認後、冷蔵保存した。

また、植種液をそのまま又は生理食塩水で102〜108倍希釈し、これを0.2 wt%ジウレタンジ

オール(3,6)を含む平面培地に植菌し、30 ℃で培養を行うことで集積培養を行った。培養開始

4日後に淡ピンク色のコロニーの形成が確認され、これを平面培地に植え継いだ。植え継ぎを さらに2回繰り返した後、これを0.2 wt%ジウレタンジオール (3,6)を含むスラント及び酵母 用培地から調製したスラントに植菌した。これらのスラントを30 ℃で3日間培養を行い、淡 ピンクの菌体の増殖を確認後、冷蔵保存した。一方、初めに植菌した平面培地では培養開始約 2週間後に黒色のコロニーの存在が確認された。この黒色のコロニーも淡ピンク色のコロニー の場合と同様にして集積培養を行い、スラントに移し変えた後、冷蔵保存した。

ドキュメント内 目次 (ページ 132-139)