第10節:独断的な逮捕と拘留、および第17節:野党グループと政治活動も参 照すること。
14.01 米国国務省が2009年2月25日に発行した「2008年の人権問題に関する国別 報告書」(USSD、2008 年報告書)に記述されているように、「憲法は独断 的な逮捕と拘留を禁止しているが、法律は当局が犯罪行為に関与した疑いの ある者を裁判官の命令または令状なしに逮捕および拘留することを認めてい る。」USSD はまた、2007 年に非常事態宣言が出された後、政府は「非常権 限に関する規則」を公布し、当局に対して正式に容疑をかけることも、具体 的な訴えも起こすことなく国民を拘留する権限を与えた。政府は 2008 年 12 月17日に非常事態宣言を解除している。[2b](第1節d)
予防的な拘留と法的な枠組み
14.02 USSDの2008年の報告書には、以下のように記述されている。
「法律は、特定の場合において令状を行使することなく逮捕を行えると規定 している。刑事訴訟法第54節とダッカ都市警察(DMP)に関する法令の第 86節は、犯罪行為に関与した疑いのある人物を裁判官の命令または令状なし で拘留することを認めており、政府はこれらの規定を日常的に適用した…。
[2008年における]予防的および独断的な拘留の発生件数は、前年と比較し て低下したが、全体の逮捕件数は非常事態宣言が出される前と比較して依然 として高い状態であった。」[2b](第1節d)
14.03 ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、2009年 5月 18日付の報告書の 中で、「将来的に犯罪行為が発生する可能性をなくす目的で人の自由を奪う 権限を当局に与える法律が、英国による植民地支配の時代以降、インド亜大 陸で初めて制定された。犯罪を実行していない状態であるため、これらの法 律は有罪であると証明されるまで無罪であると見なされる権利、および独断 的に拘留されない権利と本質的に相容れない」と記している。[10l](第V節)
刑事訴訟法(CRPC):第54節
14.04 CrPC 第 54 節は、警察官に対し、「裁判官の命令または令状なしに…裁判権
内にある不法行為に関与した人物、または合理的な訴えが起こされている人 物、または不法行為に関与したことを示す信憑性の高い情報が得られてい る、または合理的な疑いが存在する人物…」を逮捕する権限を与える。CrPC の第 54節は、逮捕が行われた後に遵守されるべき特定の手順を定めている。
例えば、被告人は 24時間以内に裁判官の前に出頭しなければならず、警察が 容疑者の拘留期間を延長したい場合は、裁判官の許可を事前に得なければな らない。しかし、こうした防衛措置が存在しているものの、第 54 節は、警察 がいかなるときでも具体的な理由なく誰でも逮捕することを効果的に認めて いる。この規定は、バングラデシュの法律体系において最も安易に乱用され ている規定の中の一つである。(カナダIRB、1998年9月)[3f] (p4)
特別な権限に関する法律(SPA)
14.05 1974 年に制定された「特別な権限に関する法律(SPA)」は政府に対し、正 式な容疑、あるいは具体的な訴えが存在しなくても、「詐害行為」が行われ ることを防ぐ目的で、いかなる者でも最大 30 日間拘留する権限を与えてい る。詐害行為とは、「国家、国家の安全、治安、または国の経済的あるいは 財政的な利益に関わる主権または保護を…損ねる可能性がある…行為」であ ると広く定義されている。(カナダ IRB、1998年)[3f] (p5) 2002年の UNDP は、法律で規定される「詐害行為」の定義は曖昧であり、幅広い解釈が可能 であると指摘している。SPA に基づく拘留は、保釈の可能性を排除する。
[8b] (p17)
14.06 2003年のUSSDによる報告書には、以下のように記述されている。
「裁判官は、15日以内に拘留された者に対し拘留された理由を説明しなけれ ばならず、内務省は提示された拘留理由について30日以内に同意するか、同 意しなければ拘留された者を釈放しなければならない。政府は拘留された者 に制定法上の犯罪の容疑をかけてはならない。しかし実際には、これらの者 はより長い期間拘留されることがある。拘留された者は、拘留されているこ とに申し立てを行い、政府は早期の釈放を行うことができる…。拘留された 者は弁護士との面会が許されているが、多くの場合、起訴されるまでは弁護 士に面会することができない。しかし、彼らは諮問委員会に弁護士を代理人 として出席させることはできない。拘留された者は訪問者の面会を受けるこ とができる。」[2o](第1節d)
14.07 2008年のUSSDによる報告書には、以下のように明記されている。
「特別な権限に関する法律に従い、政府または県の裁判官は国家の安全を脅 かす可能性がある行為を行うことを防止するために対象者の30日間の拘留を 命じることができる。しかし、実際には当局はこの期間を超えて拘留を行っ ている。裁判官は拘留された者に対し拘留の理由を説明しなければならず、
諮問委員会は拘留後4ヶ月経過した時点で拘留された者の事案を検証しなけ ればならない。拘留された者は上訴を行う権利を有する…。しかし、特別な 権限に関する法律に基づき逮捕された者は代理人を立てる権利を有していな い。政府が国選弁護人を充てることは稀であり、拘留された者に金銭的な支 援を行うための法律支援プログラムはほとんど存在していない。特別な権限 に関する法律に基づき汚職の容疑で逮捕された多くの者は比較的に高い収入 を得ていたため、法的な支援を受けることが認められないのが通例である。
通常、弁護士が顧客と面会することを政府が認めるのは、裁判所に対し正式 に起訴が行われた後である。しかし、実際に起訴が行われるのが逮捕後、数 週間から数ヵ月後である場合もある。」[2b](第1節d)
14.08 2009年 5月 18日付の HRWの報告書は、拘留後 120日経過した時点、およ びその後は 6 ヶ月経過毎に拘留された者の事案を検証するために設置される 諮問委員会が高等裁判所の裁判官の資格を有する 2 名の裁判官、および「共 和国の公務に携わる 1 名の高官」で組織されると伝えている。会議の前に実 施される手続きは機密事項となっている。[10l](第V節)
14.09 2002年の UNDPの報告書は、SPAに基づく拘留に関して、憲法第 102条と CrPC 第 491 節に基づき高等裁判所に出される人身保護令状の請求に基づき
申し立てを行うことができると指摘している。[8b](pp1 および 18-20)2009 年 5月18日付のHRWの報告書には、以下のように記述されている。
「裁判所の記録によれば、1974年から1995年3月までに拘留に関する申し 立てを行うために最高裁判所の高等裁判部に持ち込まれた10,372件に上る人 身保護令状のうち、裁判所が有効であると見なした拘留は9%にも満たなかっ た。このように、歴史的にこの法律が広い範囲にわたり乱用されてきた事実 が明らかとなっている。しかし、最高裁判所がこの法律とその適用について 批判的な見方を繰り返してきたにもかかわらず、行政はこれを無視し、ほと んど何も措置を講じてこなかった。行政は釈放の命令を無視し、裁判所に法 廷侮辱罪に関する訴訟手続きを始めるように強要することすらあったのであ る。」[10l](第V節)
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審理前拘留
14.08 2008年のUSSDの報告書には、以下のように記述されている。
「非常事態宣言や汚職防止政策とは関係のない場合を考えてみれば、独断的 に、かつ長期間にわたり行われる審理前拘留が依然として問題となってい る。係争中の民事および刑事の訴訟件数は180万件を超える。逮捕された多 くの者には、該当する犯罪に関して下される最大の刑罰よりも長い期間にわ たる審理前拘留が適用されている。国際刑務所研究センター(International Centre for Prison Studies)によれば、[2008]年末の時点で刑務所に収容さ れている者の70%は審理前拘留されている状態にある。」[2b](第1節d)
14.09 USSDによる 2004 年の報告には、「[2004 年に、]政府は[高等裁判所]
に対し、裁判を受けることなく 11年以上拘留されている 16名、10年以上拘 留されている10名、9年以上拘留されている29名、8年以上拘留されている 51 名、7 年以上拘留されている 111 名、6 年以上拘留されている 238 名、5 年以上拘留されている 502 名、4 年以上拘留されている 917 名、3 年以上拘 留されている 1,592 名、および 2 年以上拘留されている 3,673 名の名前が記 された名簿を提出した」と記述されている。2004年8月 3日、高等裁判所は 政府に対し、裁判を待って 360日間以上拘留されている 7,400 名を超える者 を保釈するように命じた。[2d](第1節d)
保釈
14.10 2008年の USSD による報告書には、2008年の時点で通常の裁判所で保釈シ ステムが機能していたと指摘されている。治安と犯罪に関する法律に基づ き、保釈が認められない拘留期間も存在している。[2b](第1節d)
14.11 2007年 3月21日、政府は「2007年の非常権限に関する法令(EPR)」の規 則に関する修正条項を公布し、裁判所で最終的な判決が下されるまで保釈を 求める権利、または高位の裁判所に申し立てを行う権利を一時的に停止させ た。この規定は非常事態宣言が効力を持っていた間、EPR に基づき持ち込ま れた事案、および汚職、武器の不法所持、資金洗浄(マネーロンダリン グ)、またはその他の範疇に帰属する犯罪に適用された。(Daily Star、2007
年3月22日)[38cd] しかし、2008年、非常事態宣言が解除される前に、最高