人権問題
は政党の活動を禁じたが、この禁止措置は一様に適用されたわけではなかっ た。治安部隊による超法規的に行われた殺人の数は大きく減少したが、彼ら は超法規的な殺人の他に拘留中における被疑者の死亡、独断的な逮捕と拘 束、記者に対する攻撃など、複数の重大な権力乱用を犯している。治安部隊 のメンバーの中にはこうした行為を行っても罰せられない者もいた他、肉体 的および精神的な拷問を行った者もいた。女性と子どもに対する暴力も、人 身売買と同様に依然として深刻な問題であった。」[2b](序論)
7.04 ダッカを拠点にして人権問題に取り組むNGO団体であるOdhikarによれば、
2008年に法執行機関の手によって命を落とした者の数は 149人に上った。こ れらの犠牲者のうち 136 人はいわゆる「十字砲火、衝突、銃撃戦、あるいは 撃ち合い」に巻き込まれて命を落としている。(Odhikar が発行した「2008 年度人権報告書」、2009年1月15日発行)[46r] (p37) 報告によれば、アワミ 連盟が政権に就いていた時期と重なる 2009年1月6日から 5月 31日までの 間、法執行機関の職員により殺害された人々は 29 人に上った(Odhikar が発 行した「人権監視報告書」、2009 年 5 月)。[46t][注意:上記のデータは、
Odhikar による新聞記事の内容に基づいている。NGO 団体により、報告され
る数値に大きな開きがあることはしばしばである。[93]]
第10節:警察機関 - 超法規的な殺人を参照すること。
国家人権委員会(NHRC)
7.05 2007年 12 月 9日、諮問委員会は「国内における人権の保護、発展、および
制度化を目的とした」国家人権委員会(NHRC)の設立に関する法令を承認 した。(UNB、2007年12月9日)[39ak] 12月13日付のDaily Starに指摘さ れるように、これまでにも数々の政権が国家レベルで人権を取り巻く環境を
「監視する」機関を設立することが優先事項の一つであると説明してきた が、今回のこの法令の承認はこうした機関の設立に向けた最初の具体的な行 動を示すものであった。[38cq] アムネスティ・インターナショナルの事務総長 は、効果的かつ強力な機関が設立され、この機関を構成するメンバーと資金 調達が説明可能で、かつ透明性のある方法で行われるのであれば、NHRC の 設立に関する今回の決定を歓迎すると語った。(EIU、2008 年 2 月)[40l]
(p11)(UNB、2008年1月9日)[39al]
7.06 「2007 年の国家人権委員会に関する法令」は、上訴部に所属する現職の裁判
官、または退職した裁判官を含む 3 人のメンバーで構成される機関に関する 規定を設けている。メンバーは、上訴部の裁判官(議長を務める)、閣僚、
法務長官、会計監査官と会計検査院長官、公共事業委員会議長、および法務 書記官を含む選考委員会により 3 年の任期で任命される。[39ak] [38cq] Daily Starには以下のように記されている。
「この委員会の機能には、あらゆる個人または部門から寄せられる人権侵害 に関する訴えを調査する機能が含まれ、この委員会が自発的に権利侵害の事 案についての調査を開始することもできる。この委員会は国民により寄せら れる人権侵害の訴え、または委員会による自発的な監視により発見される人 権侵害について調査を実施する権限を持つ。人権侵害の存在が証明された場
合、NHRCはこれを解決するか、裁判所または該当する機関に回すことがで
きる。」[38cq]
7.07 2008年 2 月 26 日の会議で、人権問題に取り組む様々な NGO 団体の代表者
が、この法令が人権委員会の独立性、透明性、アカウンタビリティ(説明責 任)、および有効性を確約していないことに懸念を示した。会議の後の記者 会見で、彼らは法令が公布される前に人権団体は意見を求められていなかっ たと発言し、彼らは現在の法令の内容に変更を加えることを要求した。批評 家たちは、この法令による人権についての定義方法に欠点があると指摘し た。さらに、委員会は議長が大きな権限を持たないように 3 人ではなく 5 人 で構成され、委員会は年次報告書を発行し、委員会の権限が拡張されるべき であるとの主張もあった。(Daily Star、2008年2月27日)[38cr]
7.08 「2007年の国家人権委員会に関する法令」は 2009年 9月 1日に発効した。
2008年 11月20日、大統領は元最高裁判所判事であるアミルル・カビル・チ ョウドリー(Amirul Kabir Chowdhury)裁判官を NHRCの議長に任命し、ニ ル・クマル・チャクマ(Niru Kumar Chakma)教授とムニラ・カン(Munira Khan)氏を委員にそれぞれ3年の任期で任命した。(Daily Star、2008年 11
月 20日)[38em] 2009年 6月 7日、外務省は人権委員会に関する法案が国会
の承認を受けるために準備されたことを確認した。(Daily Star、2009 年 6 月8日)[38eg]
私的な情報通信の監視
7.09 2006年 1月、政府は電話盗聴に関する政府の権限を拡張する「遠隔通信に関
する修正法」を採択した。(Odhikar、2007年3月)[46c] USSDによる2008 年の報告書は以下のように指摘している。
「この法律は、諜報機関および法執行機関が[内務省の]最高行政官の許可 を得ることで私的な情報通信の内容を監視することを認めるものである。こ の法律はまた、国内の保安のために政府に対し、電話オペレーターに通話を 接続させない権限を与えている。報道機関の報告によれば、政府は[2008]
年内に行われる電話の盗聴を監視し、調整する目的で法執行機関と諜報機関 の代表者で構成される国立の監視センターを設立したという。」[2b](第1節 f)
反テロリズム法案
7.10 2008年 5月 18日、暫定政府は「2008年の反テロリズム法令」を承認した。
この法令は、テロ行為を行った者に対し最高で死刑を適用し、「テロを支援 した罪」で有罪となった者に対し終身刑を適用することを規定している。禁 止された団体に加入した者は最高で懲役 6 ヶ月と罰金が適用され、テロリス トを匿った者には懲役 5 年が科される。事案の審理を行うために特別法廷が 設置される。これらの法廷では、政府が最高裁判所と協議することで任命さ れた裁判官 1 名または追加の裁判官 1名が裁判を担当する。裁判は 6ヶ月以 内に結審するものとする。特別法廷の判決に関し、高等裁判所に対して上訴 を行うことが認められている。(Daily Star、2006年 5月 19日)[38dc] 人権 問題に取り組むNGO団体であるOdhikarは、提出された法令は「政敵を攻撃 するための道具」として利用される可能性があるとの見解を示し、法令の中
で定義される犯罪行為については既存の刑法に基づき起訴することができる と指摘している。[46o] 2008年 6月 30日付のヒューマン・ライツ・ウォッチ
(HRW)の報告書には、「この法令は余りにも広い影響力を持ち、証拠に関 する通常の基準を無視し、禁止された組織を支持する意見を表明した者であ れば誰でも厳しい刑罰の適用対象になってしまう」と記されている。[10j]
HRWは具体的に以下のように懸念を表明している。
「この法令によるテロリストの活動について定義が広すぎる。暴力的 な行為と誘拐の他に、『他者の財産に損害を与える』行為は、それが 特定の目的のために行われたのであれば法令のもとテロ行為であると 見なされる可能性がある。反テロリズムと人権に関する国連特別報告 者が説明しているように、テロリズムの概念は人を殺傷する、または 人に重傷を負わせること、あるいは人質をとることを目的に行われる 行為に限定されるべきで、財産を狙った犯罪を組み込むべきではな い。」
「法令は、単にテロリストの活動に使用される『合理的な疑い』のあ る金融取引に関わった者は、テロリズムに資金を提供した罪で刑事責 任に問われる可能性があると定めている。」
「法令は、テロリスト集団として見なされる組織に『協力』した理由 である組織をテロリスト集団として活動を禁止することを認めてい る。さらに、政府は単にテロ活動への関与があったとする『合理的な 主張』に基づきある組織をテロリスト集団として活動を禁止すること ができる。」
「法令は、活動が禁止された組織の活動を支援または『支援』する意 図の発言を、たとえそれが犯罪行為を誘発する内容でなくても刑事罰 の対象であると定めている。国際的な水準の表現の自由を保障するた め、法令はテロリズムを直接的に誘発させる発言、すなわち犯罪行為 を直接的に助長し、犯罪行為に結び付き、犯罪行為に結び付く可能性 のある発言のみに限って刑事訴追を可能とするべきである。」
「法令は、国際法が求める『最も重大な犯罪』であると見なすことは できない特定の違法行為についても死刑の適用を可能にしている。ヒ ューマン・ライツ・ウォッチは本来的に残虐で、取り返しのつかない 死刑については、いかなる状況においても適用に反対している。」
[10j]
7.11 暫定政府が権力を手放した後でも法令の規定が法律としての効力を持ち続け
るためには、法令を議会制定法として承認する必要があった。2009 年 3 月 31 日、Odhikar は、「法令を法律として制定するために、内閣は公に協議を 行うことも精査も行うこともせず、2009年 2 月 19 日に反テロリズム法案に 対して最終的な承認を[与えた]」と報告している。Odhikarは HRWと同様 に、法案における「テロリズム」の定義が余りにも広く曖昧であるため、権 限の乱用が生じる可能性があるとの懸念を表明した。[46s]
知る権利に関する法令