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第 1 章 わが国地方自治体資金管理内部統制の現状と課題

1 財政支援としての地方債

地方自治体においては、有利な地方債とそうでない地方債という区分、あるいは、実 質的な債務と債務でない地方債という区分が実務的になされている。有利な地方債とは

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元利償還金に対して地方交付税措置がある地方債のことである。実質的な債務とは臨時 財政対策債を除いた債務あるいは地方交付税措置を引いた債務のことであるが、それは、

臨時財政対策債に関しては理論償還額に対して 100%地方交付税措置があることから、

債務ではないと一般的に認識されているからである。

図表1-14が示すように、平成29年度地方債計画では、11兆6,445億円の起債が見込 まれているが、その過半を大きく超える地方債が地方交付税措置の対象となるいわゆる 有利な起債であるため、巨額な財政支援が地方交付税を通じて交付される。そして、臨 時財政対策債は4兆452億円であるため、実質的な債務は7兆5,993億円ということに なる。

本来、国から地方自治体の特定事業に対する財政支援は、国庫負担金や国庫交付金等 の国庫負担により助成されるものであるが、わが国においては、財政支援する事業に対 して地方自治体に起債をさせて、その元利償還金の一部を地方交付税で措置するという 迂遠な方法を駆使して財政支援がなされている。そのため、地方交付税措置のある地方 債は、債務であるとともに国からの財政支援であるという二重の性質を有することにな る。さらに、臨時財政対策債は 100%地方交付税措置があるため、地方自治体では債務 ではないとする認識を持つようになる。

しかしながら、国からの地方自治体の起債を通じた財政支援は、地方交付税を通じて 行われることから、国庫負担による財政支援とその財源において異なることを地方自治 体関係者は認識すべきである。地方交付税の総額は、所得税・法人税の 33.1%、酒税の

50%、消費税の22.3%、地方法人税の全額と定められている(地方交付税法第6条)が、

これは地方自治体の固有財源である 7。地方債元利償還金に対する地方交付税措置は自 らの固有財源を用いて行うものであるため、元利償還金に対する地方交付税が増えれば、

一般的な行政経費に対する地方交付税が減ることになる。

すなわち、元利償還金に対する地方交付税措置が増えることは、地方交付税の空洞化 をもたらす重大なリスクがある。元利償還金に対する地方交付税措置は起債に関する将 来負担減をもたらすという認識だけではなく、一般的な行政経費に対する地方交付税が 削減される将来負担増を招くという認識をあわせて持つことが重要である。地方交付税 措置のある有利な起債、あるいは、100%元利償還措置のある債務でない臨時財政対策債 という認識のみを持って、事業および債務残高の適切な抑制を行わない行為は、財政規 律の喪失および財政の継続性維持の阻害要因になる可能性がある。

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図表1-14 2017年度地方債元利償還金に対する地方交付税措置率一覧

出所:地方債制度研究会『事業別地方債実務ハンドブック』ぎょうせい、2017年、19-207頁、および 総務省告示 140号「平成29年度地方債計画」ならびに総務省告示第141号「平成29年度地方債 充当率」を参照して筆者作成。

本来分 財源対策債 本来分 財源対策債

16,443 50 40 50~80 50

公営住宅建設事業 1,288 100

補助・直轄災害復旧事業 80~100 95

歳入欠陥等債 100 47.5~85.8

小災害復旧事業債 50~100 66.5~100

地方公営企業災害復旧事業、火災復旧事業、

一般単独災害復旧事業 65~100 47.5~85.5

学校教育施設等整備事業(公立学校施設整備負担金) 75 15 70 50 学校教育施設等整備事業(学校施設環境改善交付金) 75 0又は15 0~50 0又は50 学校教育施設等整備事業(その他の国費助成) 75 0又は15 0又は50

学校教育施設等整備事業(地方単独事業) 75 0又は50

社会福祉施設整備事業 383 80又は90

一般廃棄物処理事業(国庫補助事業) 75 15 50 50

一般廃棄物処理事業(単独事業) 75 30

一般廃棄物処理事業(単独事業*重点化事業) 75 15 50 50

一般廃棄物処理事業(清掃運搬施設等) 75

一般廃棄物処理事業(用地関係) 100

一般補助施設整備事業 80~100 30~50

一般補助施設整備事業(うち豪雪対策事業) 80

一般補助施設整備事業(うち特別転貸債) 100

一般補助施設整備事業(一般財源化分) 540 100 70

一般事業 75 30~50

一般事業(うち河川等事業) 90

一般事業(うち臨時高等学校改築等事業) 90

一般事業(うち地域整総合整備資金貸付事業) 100 50又は75

一般事業(うち被災施設復旧関連事業債) 100 70

地域活性化事業 690 90 30

防災対策事業 871 75~100 30~57

地方道路整備事業 3,221 90

旧合併特例事業 6,200 90~95 40~70

緊急防災・減災事業 5,000 100 70

公共施設等適正管理推進事業 3,150 90 0~75

475 100 80

4,500 100 70

公共用地先行取得等事業 345 100

行政改革推進債 700 100

100 100

5,043 100 50

工業用水道事業 247 100

1,611 100 45

電気事業・ガス事業 202 100

509 100

100 25又は40

100

100

100

臨海土地造成事業 100

内陸工業用地等造成事業 100

流通業務団地造成事業 100

都市開発事業 100

住宅用地造成事業 100

11,912 100 16~44

観光施設事業 100

有料道路事業 100

駐車場整備事業 100

その他事業 100

被災施設借換債 0 100

40,452 100 100

退職手当債 800 100

(271)

100 75

116,445 過疎対策事業

地方債計画 額(億円)

充当率(%) 地方交付税措置(%)

公共事業

891

1,245

656

567

2,798

辺地対策事業

622 調整

水道事業

交通事業 ※地方交付税措置は地下鉄事業 港湾整備事業

病院事業 ※一般行政病院は地方交付税措置なし

下水道事業

4,614 介護サービス事業

市場事業 236

と畜場事業

134

臨時財政対策債 ※交付税措置は借入の有無に関わらない。

国の予算等貸付金債 ※充当率は貸付機関の定めによる。

減収補填債

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