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第 5 章 わが国地方自治体における資金管理(調達・運用)規程の分析

4 情報と伝達

① 情報

情報は、情報システムにより識別・補足・処理・報告される。目的適合的な情報に は、事業体内部で作成された情報だけでなく、外部からの産業情報、経済情報、規制 情報が含まれる。なお、情報にかかる内部統制の評価項目は次のとおり示されている。

それは、(a)経営管理者に対する適時に十分な情報の提供、(b)情報システムの開発 に対する十分な人的資源と資金の投入による裏付け、(c)経営者に対する外部情報と 内部情報および業績評価報告書の提供、経営管理者に対する管理責任を効率的かつ有 効に果たせる十分に詳細な情報の適時な提供、(d)情報システムの開発や変更におけ る情報システム戦略計画との関連性と事業体レベルおよび(e)活動レベルの目的の 達成への貢献である25

② 伝達

伝達は、組織の上層から下層へ、横方向へ、下層から上層へ、また組織の関係者と の間で行われなければならない。なお、伝達にかかる内部統制の評価項目が次のとお り示されている。それは、(a)従業員に対する職務と統制責任の伝達、(b)従業員が 不正と疑われる事項を報告するための伝達チャンネルの確立、(c)生産性の向上等に 関する従業員の提案に対する経営者の受容力、(d)組織横断的な伝達の十分な達成、

(e)従業員が責任を効果的に果たすための情報の全で適時な提供、(f)顧客、納入先

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等外部関係者との開放的・効果的な伝達チャンネル、(g)外部関係者に対する事業体 の倫理基準伝達および(h)外部関係者からの情報の提供に対する経営者のしかるべ き事後措置の実施である26

(5)監視活動

監視活動は、内部統制システムの機能の質を継続的に評価するプロセスである。日常 的監視活動、独立的評価あるいはその両者の組み合わせを通じて行われる。日常的監視 活動は業務の過程を通じて行われる。それは、通常の管理活動と監督活動、および経営 管理者が職務を果たす際に行う活動を含んでいる。独立的評価は日常的監視手続の有効 性に基づいて評価の範囲と頻度が決定される。監視活動により明らかになった内部統制 上の欠陥は、経営上層部に、特に重要な事項については、最高経営者と取締役会に報告 されなければならないとされている。

① 日常的監視活動

経営者は通常の管理活動を遂行する中で、内部統制システムが現時点においても機 能しているとの証拠を入手する。たとえば、業務報告書が財務報告システムと統合さ れている場合は、重大な誤謬もしくは予想された結果に反する例外事項は即座に発見 される可能性があるとされている。外部関係者からの情報は、事業体内部で作成され た情報の直接の裏付けになり、問題の所在を示唆する。適切な組織構造と監督活動を 通じて、統制機能が監視され、欠陥事項が検出される。情報システムによって記録さ れるデータは、資産の現物と照合される。内部監査人と外部監査人は、内部統制を強 化しうる方法に関して定期的に勧告を行う。研修セミナー、計画策定会議およびその 他の会合は、内部統制が有効に機能しているかどうかを経営者が見直すことのできる 重要な機会である。組織の構成員は、企業の行為綱領を把握し、遵守しているかどう かについて、定期的に報告が求められるとされている。

② 独立的評価

内部統制システム全体の評価は、重要な経営戦略または経営者の変更、重要な資産 の取得や処分、あるいは業務または財務情報の処理方法の大幅な変更があった場合に 促進される。内部統制のいずれの範囲を評価するかは、業務、財務報告および法規の 遵守という 3 つの統制目的範疇のいずれをとりあげるかによって異なるものである。

特定の事業単位もしくは職能の責任者が自己の活動に対する内部統制の有効性を決定

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するような場合、内部統制システムの評価は自己評価の形態を取ることが多いとされ ている。内部監査人は、通常、本来の職務として、あるいは、取締役会、上級経営者 等からの要請に基づいて、内部統制の評価を実施するものである。経営者は、内部統 制の有効性を検討するに際して、外部監査人を利用することがあるとされている。

3 関係者の役割と責任

鳥羽はコーポレート・ガバナンスに関して、「株主価値(企業価値)の最大化を目指し て経営者(執行)が取り組むべき企業経営のあり方について、取締役会が方向付けを行 ったうえで、経営者の業務執行を取締役会(監督)と監査役会(監査)がそれぞれの視 点で監視・助言をする仕組みと考えることができる27」としている。したがって、ガバ ナンスにおいて、図表 2-2 が示すように関係者の役割と責任の設計は重要な意味を持 つことになる。

図表2-2 関係者の役割と責任

①経営者 最高経営責任者は最終的に内部統制に責任を負っており、誠実性、倫理お よびそれ以外の統制環境に関係する積極的な諸要因に影響を及ぼす「社 風」を形成する。

②財務担当 役員

財務担当最高役員、会計担当最高役員、コントローラー、それ以外の財 務活動責任者の活動は、企業の業務単位とその他の組織単位に縦横におよ ぶため、監視活動にとって特に重要である。財務担当役員は、事業体レベ ルの予算編成や経営計画の策定に関与する場合が多い。業績を財務的視点 だけでなく、業務活動の視点および法規の視点からも追跡し、分析する。

不正な財務報告を防止し、発見する上で重要な役割を担う。

③取締役会 経営者は取締役会に対して報告義務を負っている。取締役会が、特に組 織の下層から上層に向けての伝達チャンネルや有能な財務、法務および内 部監査といった各職能の支援をしている場合は、問題の識別と解決を最善 な形で図ることができる。

④内部 監査人

内部監査人は、内部統制システムの有効性の評価にあたって重要な監視 的役割を果たしており、また、内部統制システムの有効性の維持に貢献す る。

⑤その他の 構成員

ほとんどすべての従業員が内部統制システムの中で利用される情報を作 成し、統制の実施に必要なその他の行動をとる。業務上の問題、企業の行 為綱領あるいは経営方針に対する違反や違法行為があった場合は、組織の 上層部に伝達する責任を負う。

⑥外部 監査人

外部監査人は、財務諸表監査を通じて直接的に、また、経営者と取締役会 がそれぞれの責任を遂行する際に役立つ情報を提供することを通じて、間 接的に貢献する。

出所:The Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission, Internal Control Integrated Framework-▶Executive Summary ▶Framework ▶Reporting to External Parties

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Addendum to Reporting to External Parties”, AICPA, September, 1992, pp.6-7. 鳥羽至英訳『内部統 制の統合的枠組み理論篇』白桃書房、1996年、9-11頁。

4 COSO内部統制フレームワークの意義

(1)COSO内部統制フレームワークとコーポレート・ガバナンス

アメリカ公認会計士協会(American Institute of Certified Public Accountants)が1949 年に公表した内部統制の定義では、「内部統制は、企業の資産を保全し、会計記録の正確 性と信頼性を保証し、経営機能を増進し、そして、経営者のための諸方針の遵守を促進 するために、企業内部において設定された、組織、計画、手続、調整のための方法や手 段を総称するものである28」という経営者視点が示されていた。しかし、COSO内部統 制フレームワークでは、「内部統制は、以下の範疇(業務の有効性と効率性、財務報告の 信頼性および関連法規の遵守)に分けられる目的の達成に関して合理的な保証を提供す ることを意図した、事業体の取締役会、経営者およびその他の構成員によって遂行され るプロセスである29」と定義されたことにより、内部統制の主体を「取締役会、経営者 およびその他の構成員」に広げられた。

鳥羽はCOSO内部統制の定義を「取締役会や経営者に言及することによって、コーポ レート・ガバナンスとの接点を確保した30」としている。なお、鳥羽は「1949年のAICPA の定義は、内部統制に執行の長たる社長(最高執行責任者)の視点を反映させたもので

ある31」としてAICPAの内部統制は経営者による統制であることを示唆している。鳥羽

は、「コーポレート・ガバナンスとは、株主価値(企業価値)の最大化を目指して経営者

(執行)が取り組むべき企業経営のあり方について、取締役会が方向付けを行ったうえ で、経営者の業務執行を取締役会(監督)と監査役会(監査)がそれぞれの視点で監視・

助言する仕組みと考えることができる32」と定義している。これに関連し、COSO内部 統制フレームワークでは、内部統制は事業体の価値(業務の有効性と効率性、財務報告 の信頼性および関連法規の遵守)を達成する合理的な保証を提供するために、取締役会、

経営者およびその他の構成員によって遂行されるプロセスという概念であることから、

「コーポレート・ガバナンス」に包含されるものであると考察される。

(2)COSO内部統制フレームワークとマネジメント

COSO内部統制フレームワークでは、内部統制の構成要素として、統制環境、リスク の評価、統制活動、情報と伝達および監視活動の5つが識別され、これらの構成要素が