A Ramsey-Cass-Koopmans モデルにおけるラッフ ァー・カーブ
E.3. 政府支出の現在価値( PVG )
4. 調整径路上における資本所得税
働きを持っている.定理3で示されているように,割引率が高くなればなるほ ど,調整径路上での税制改革の厚生効果の推定に際して,定常均衡効果に比較 して短期的効果の重要性がより高まるのである.本章では経済が初期に定常均 衡にあるという仮定に一貫するように時間選好率を決定し,日本の生産関数に 関する実証研究結果をもとに資本労働間代替弾力性を決定したので,二つのパ ラメータ値を恣意的に選択した訳ではない.
厚生費用はまた初期税率にも強く依存している.初期税率が高くなればなるほ ど,厚生費用はより大きくなる.本章で仮定している初期税率の値はChamley の仮定している値より高いので,本章の厚生費用が Chamley の厚生費用より 小さいという結果は,初期税率が原因ではなく,上で述べた時間選好率と資本 労働間代替弾力性の2つの値が原因になっている.これに対して,Judd(1987) では本章よりも高い初期税率を仮定しているので,高い初期税率が原因となっ て Judd の厚生費用は本章よりもずっと大きくなっているのである.
付 録
A 定理の証明
〈定理1〉
消費者の最適条件は,次式で表される.
(A.1) u2 = w(1−θw) 1 +θc u1.
(A.2) u˙1 =u11c˙−u12l˙=u1[ρ−r(1−θr)].
(A.1)式を k で微分すると,(k=k∗ で評価している.以下,すべての定理の証
明を通じて特に断わりの無い限り,関数や税率は ∗の新定常均衡点で評価して いる.)
(A.3) u21c0−u22l0 =u11−θw 1 +θc
(w1+w2l0) + w∗(1−θw) 1 +θc
(u11c0−u12l0), が得られる.(A.3)式に(A.1)式を代入し,両辺を u2 で割って整理すると,
(A.4)
[u12
u1 − u22
u2 − w2
w∗ ]
l0(k∗) = w1
w∗ + [u11
u1 − u21
u2 ]
c0(k∗),
を得る.ところで後に付録Bで求めるように,w2/w∗ =−α/εl∗, w1/w∗ =α/εk∗ が成立するから,
(A.5) l0(k∗) = β1+β2c0(k∗), である.ただし,
β1 =
α εk∗
H12−H22+ εlα∗, β2 = H11−H21 H12−H22+εlα∗, H11 = u11
u1
, H12= u12 u1
, H21 = u21 u2
, H22= u22 u2
, とする.
〈定理2〉
消費者の最適条件から,
(A.6) u˙1 =u11c˙−u12l˙=u1[ρ−r(1−θr)].
資本蓄積式は以下の式で表される.
(A.7) k˙ =f(k, l)−nk−c.
˙
c/k˙ = c0(k),l/˙ k˙ =l0(k) であるから,(A.6)式と(A.7)式の比をとってロピタル の公式を適用すると,次式を得ることができる.
u11c0(k∗)−u12l0(k∗) = lim
k→k∗
˙ u1
k˙ = lim
k→k∗
du˙1/dk dk/dk˙ (A.8)
= −u1ρ[r
1
r∗ + rr2∗l0(k∗)] r∗−n+w∗l0(k∗)−c0(k∗).
故に(A.8)式と定理1とλ >0の条件から,c0(k∗)は以下の二次方程式の正根で ある.ただし,後に付録Bで導出するr1/r∗ =−(1−α)/εk∗, r2/r∗ = (1−α)/εl∗ の関係を用いている.
(A.9) A2x2+A1x+A0 = 0.
ただし,
A0 =−β1H12(w∗β1+r∗−n)−(1−α) ρ
εk∗ + (1−α)ρβ1 εl∗,
A1 =−β1H12(w∗β2−1) + (H11−β2H12)(w∗β1+r∗−n) + (1−α)ρβ2 εl∗ ,
と定義する.
〈定理3〉18
租税体系θが与えられると,c, lを k の関数として表すことができるから,調 整径路上の厚生水準は次式で表される.
(A.10) U =
∫ ∞
0
e−νtφ(kt)dt.
φ(k)をテイラ−展開すると,次式が成立する.
(A.11) φ(k) =φ(k∗) +φ0(k∗)(k−k∗) + φ00(ks(t))
2 (k−k∗)2. さらに本文の(23)式より,
(A.12) k(t) =k∗+ (k(0)−k∗)e−λt,
が成立するから,代入すると次のように変形できる.
(A.13) φ(k) =φ(k∗) +φ0(k∗)(k0−k∗)e−λt+ φ00(ks(t))
2 (k−k∗)2.
ところでφ(k0) = φ(k∗) +φ0(k∗)(k0 −k∗) +o(kk0−k∗k2)であるから,これを (A.13)式に代入すると,
(A.14) φ(k) = φ(k∗) + [φ(k0)−φ(k∗)−o(kk0−k∗k2)]e−λt+φ00(ks(t))
2 (k−k∗)2, が成立する.(A.14)式を(A.10)式に代入すると,
U = φ(k0) ν
ν
ν+λ + φ(k∗) ν
λ ν+λ (A.15)
+ 1
ν+λo(kk0−k∗k2) + 1 2
∫ ∞
0
φ00(ks(t))(k−k∗)2e−νtdt.
ところで(A.15)式の右辺第四項をdとすると,(A.12)式と ks(t)∈[k0, k∗]とい うことより,以下が成立する.
(k0−k∗)2
2(2λ+ν) minφ00(ks)≤d≤ (k0−k∗)2
2(2λ+ν) maxφ00(ks).
18本定理の証明に関しては,神谷和也教授から貴重なコメントを頂いたことを感謝する.
k0とk∗が非常に近い時には,この不等式の両側は0に近づくから,dも0に近 づく.故に右辺第三,四項は第一,二項に比して無視できるほど小さいと言え るから,次式が成立すると言える.
(A.16) U = φ(k0) ν
ν
ν+λ + φ(k∗) ν
λ ν+λ.
〈定理4〉
定理3を用いると次式が成立する.
(A.17) ∆U =U1−U0 = ν ν+λ
u(c0,−l0)
ν + λ
ν+λ
u(c∗,−l∗)
ν − u(¯c,−¯l) ν . ただし∗ は税制改革後の新定常均衡点,− は改革前の定常均衡点,0 は改革後 瞬時に調整される点をそれぞれ表す.
動学調整径路上で考えて u(c0,−l0) を (c∗,−l∗) のまわりで一次近似すると,
(A.18) u(c0,−l0) = u(c∗,−l∗)−u∗1 [
c0− w∗(1−θw) 1 +θc l0
]
(k∗−k),¯ が成立するから(A.18)式を(A.17)式に代入すると,次式を得る.
(A.19) ∆U = u(c∗,−l∗)−u(¯c,−¯l)
ν − u∗1
ν+λ [
c0− w∗(1−θw) 1 +θc l0
]
(k∗ −k).¯ ところで定常状態においては,ρ=r∗(1−θr)が成立する.これより,r∗−n= ρ−n+r∗θr =ν+r∗θr が成立する.またλの定義よりc0−w∗l0 =λ+r∗−n が成立する.両者を合わせると,結局 c0−w∗l0 =λ+ν+r∗θrが成立する.こ の関係を用いると,(A.19)式の右辺の第二項は次のように変形できる.
(A.20) −u∗1 ν
ν ν+λ
[
r∗θr+w∗ [
1−1−θw
1 +θc ]
l0 ]
(k∗−¯k)−u∗1(k∗−¯k).
(A.19)式の右辺第一項(定常均衡間のみを比較した場合の式)についてはk˙ = 0
の軌跡 c=f(k, l)−nkを利用して近似する.(¯k,¯c,¯l)を(k∗, c∗, l∗)のまわりで一 次近似すると次の関係を得る.
− ∗ ∗− − ∗ ∗ − ∗
u(¯c,−¯l)を(c∗,−l∗)のまわりで一次近似して(A.21)式の関係を代入すると,(A.19) 式右辺第一項は次のように変形できる.
u∗1 ν
[
(c∗−c)¯ −w∗(l∗−¯l) +w∗ (
1− 1−θw 1 +θc
)
(l∗−¯l) ] (A.22)
= u∗1 ν
[
(r∗ −n)(k∗−k) +¯ w∗ (
1−1−θw 1 +θc
)
(l∗−¯l) ]
= u∗1 ν
[
r∗θr(k∗−k) +¯ w∗ (
1−1−θw 1 +θc
)
(l∗−¯l) ]
+u∗1(k∗−k).¯
故に(A.20)式と(A.22)式を用いて(A.19)式の第一項と第二項を合わせると,
∆U は次のようになる.
(A.23) ∆U = u∗1 ν L.
ただし,
L≡ [
r∗θr(k∗−k) +¯ w∗ (
1− 1−θw 1 +θc
)
(l∗−¯l)
− ν ν+λ
[
r∗θr+w∗ (
1−1−θw 1 +θc
) l0
]
(k∗−k)¯ ]
, と定義する.
〈定理5〉
旧税体系下における定常状態では,政府は毎期mの一人当たり一定のフロ−
の支出をしているとすると,税制改革前後の税収の差の割引現在価値∆R は次 式で表される.
∆R =
∫ ∞
0
e−(s(t)−nt)[m(t, θ)−m]dt.
(A.24)
ただし, s(t) = (1−θr)
∫ t
0
r(τ)dτ,
r(τ)≈r∗+e−λτ[r0−r∗] である.
ただし,∆R は一括的移転支出(lump sum transfer)で返還されるものと仮定 する.
一次近似的には,∆R は次のように表すことができる.
(A.25) ∆R =
∫ ∞
0
e−(ρ−n)t[m(t, θ)−m]dt.
調整径路上では各内生変数はθ及び k に対して一意的に決まるのだから,税収 についても m(t, θ) = θrrtkt+θwwtlt+θcct = φ(k(t), θ) と表すことができる.
故に定理3を適用すると,次式が得られる.
∆R = 1 ν
[ ν
ν+λ(m0−m) + λ
ν+λ(m∗−m) ] (A.26)
= 1 ν
[
(m∗−m) + ν
ν+λ(m0−m∗) ]
= M ν . ただし,
M ≡[(m∗−m) + ν
ν+λ(m0−m∗)],
m∗−m =θrr∗k∗+θww∗l∗+θcc∗−[¯θrr¯k¯+ ¯θww¯¯l+ ¯θc¯c], である.
また,一次近似によって次式が成立する.
(A.27) m0−m∗ =m0(k∗)(¯k−k∗).
ただし,
m0(k∗) =θr[r∗+ (r1+r2l0(k∗))k∗]
+θw[w∗l0(k∗) + (w1+w2l0(k∗))l∗] +θcc0(k∗), r1+r2l0(k∗) = r∗(1−α)
ε[l0(k∗)/l∗−1/k∗], w1+w2l0(k∗) = w∗α
ε[1/k∗−l0(k∗)/l∗], である.
B w
1/w, w
2/w, r
1/r, r
2/r の導出について
資本労働間代替弾力性εの定義より,εを次のように表すことができる.
(B.1) ε= l−l0(k)k k
1
(w1/w−r1/r)l+ (w2/w−r2/r)ll0(k). ただし,
である.
w, r は k, l に関して0次同次だから,オイラ−の公式より (B.2) w2
wl =−w1
wk, r2
rl =−r1 rk,
が成立する.故に(B.2)式を(B.1)式に代入すると,以下が成立する.
(B.3) ε= 1
(w1/w−r1/r)k.
r1/w1 =−l/k の関係を用いると,ε= (w α
1/w)k と変形できるから,
(B.4) w1 w = α
εk,
が成立する.(B.2)式を利用すると,
(B.5) w2
w =−α εl, が成立する.
同様にすれば,r1/r, r2/r も求めることができる.
C 労働供給外生モデルの場合の近似厚生指標
付録Cでは,本章の労働供給内生モデルの近似公式の理解を助けるために,
より単純な労働供給外生モデルに関する近似厚生指標を展開する.この場合,二 次元平面図に図が容易に描けるので,図による近似公式の直観的理解が与えら れる.ただしできるだけ分かり易くするために,以下の単純化を行う.政府支 出は一括的移転支出のみを考え,人口成長率 n と消費税率 θc は 0と仮定しよ う.資本所得税率,賃金税率ともに固定され,税収はすべて一括的移転支出で 返還されると仮定する.まず厚生指標の定義から始めよう.
この経済の位相図は図C1で表され,与えられた(θr, k(0))に対してc(0)を適 当に選んでやれば,定常解を鞍点解とする径路が存在する.次に,図C2で示 されているように,定常均衡A点(¯k,¯c)にあったとき資本所得税率が引き下げ られれば,経済はB 点にジャンプし,調整径路BEを経由して新定常均衡E点
図C 1: 鞍点解
図C 2: 税制改革後の調整
(¯¯k,c)¯¯ に移行する.調整径路BE 上の動学方程式は次の二式と横断性条件によっ て表すことができる.
k˙ =f(k)−c, (C.1)
˙ c= c
β[f0(k)(1−θr)−ρ].
(C.2)
この解は鞍点解であるから,ある租税体系が与えられるとk に対してcが一意 に決まる.故にBE 上での消費を c = c(k) と表すことができる.c = c(k)を
(C.1)式に代入することによって,この連立微分方程式体系を次の一本の微分方
程式にreduce することができる.
(C.3) k˙ =f(k)−c(k).
この体系の局所的安定条件より,
(C.4) λ≡c0(k∗)−r∗ >0,
が成立する.このとき,(C.3)式を新定常均衡のまわりで一次近似するとλに関 して次式が成立する.
(C.5) k˙ =−λ(k−k∗).
故に調整径路上において u(c) =φ(k(t), θ) とおくと,厚生水準は次式のよう に表すことができる.
(C.6) U =
∫ ∞
0
e−ρtφ(k(t), θ)dt.
U1を税制改革後,調整径路に沿って新定常均衡に向かう場合の厚生水準,U0
を改革前の旧定常均衡に留まる場合の厚生水準として定義すると,厚生変化∆U は,∆U ≡U1 −U0として定義できる.∆U を新定常均衡点における消費の限 界効用u0∗ で除して資産のタ−ムに換算したものを∆V と定義する.
(C.7) ∆V ≡ ∆U u0∗ .
新旧税体系間の税収の差の割引現在価値R は次式で表される.
(C.8) ∆R =
∫ ∞
0
e−s(t)[m(t, θ)−m(t,θ)]dt,¯
ただし,m(t, θ) =θrr(t, θ)k(t, θ) +θww(t, θ) = m(k(t), θ)である.
∆V と ∆R との比を,税収一単位増分あたり厚生費用として次のように表す ことができる.
(C.9) ∆V
∆R.
さて以上のように厚生指標を定義したものの,実際の厚生評価の際には調整 径路BE の導出が困難であるためになんらかの数量的手段に訴える必要がある.
大域的シミュレーション法が用いられる場合もあるが,微少の税制変化に対し ては,調整径路を線形近似し,その上での厚生変化をもって近似することがで きる.
税率変化が十分小さいとき,(¯¯k,¯¯c) も当然(¯k,c)¯ に近い.このとき図C2を以 下の図C3のように線形近似できる.ただし,ここでは(¯k,¯ ¯¯c) を (k∗, c∗)で表し ている.図C2の曲線BE をE点において線形近似することにより,図C3の直 線BE を得る.この直線の形状を知るには,AB あるいはEF の長さを知る必 要がある.k∗−¯kが与えられているとき,EF は c0(k∗)を用いて求められる.
図C 3: 線形近似 定理 1
c0(k∗) は x2−[f0(k∗)]x+ (c/β)f00(k∗)(1−θr) = 0 の正根である.
なおこの定理を用いると,(C.4)式からλの値を求めることができる.さらに
定理 2
(C.10) U1 =
∫ ∞
0
e−ρtu(c(k(t)))dt = ρ ρ+λ
u(c(k(0)))
ρ + λ
ρ+λ
u(c(k∗)) ρ .
調整径路上の厚生は割引率と調整速度を加重として,短期均衡と長期均衡の 厚生の加重平均で表される.しかしながらこれからただちに厚生評価を行える わけではない.なぜならば,c(0)の水準が分からないからである.c(0)の導出 のために,c0(k∗)を用いてEF を効用で表したものを導出する.新定常均衡のま わりでテイラー展開すると次の関係が成立する.
(C.11) u(c(0)) =u(c∗) +u0(c∗)c0(k∗)(¯k−k∗).
また k˙ = 0 線を線形で近似すると,¯cと c∗ を傾き r∗(=f0(k∗))によって関係 づけ,EGを求めることができる.
(C.12) ¯c−c∗ =r∗(¯k−k∗).
(C.11), (C.12)式と定理2を用いると,厚生変化∆U ≡U1−U0は次の近似公式 で表すことができる.
定理 3
∆V = L ρ. (C.13)
ただし, L≡ λ
ρ+λr∗θr(k∗−k)¯ と定義する.
税収についても定理2を適用すると,次式が得られる.
∆R = M ρ . (C.14)
ただし, M ≡ [
(m∗−m) + ρ
ρ+λ(m(0)−m∗) ]
と定義する.
線形近似によって次の関係が得られる.
(C.15) m(0)−m∗ =m0(k∗)(¯k−k∗).
(C.9)式の極限をとって限界的に税率が変化した時の厚生変化の指標として限 界厚生費用を定義する.意味づけとしては,(一括税ではなく)distortionary tax を用いて一円の税収を得る際の厚生変化(超過負担)である.上の結果を用い ると,限界厚生費用Cは近似公式によって表すことができる.
(C.16) C ≡ lim
∆θ→0
∆V
∆R = lim
∆θ→0
L M.
[定理の証明]
〈定理1〉
ロピタルの公式を使って次式を導出できる.
c0(k∗) = lim
k→k∗
˙ c
k˙ = lim
k→k∗
dc/dk˙
dk/dk˙ = (c/β)f00(k∗)(1−θr) f0(k∗)−c0(k∗) . したがって,c0(k∗)は
(C.17) x2−[f0(k∗)]x+ (c/β)f00(k∗)(1−θr) = 0, の根である.
この二次方程式を解くと,
x= f0±√
(f0)2−4(1−θr)f00(c/β)
2 = f0
2 [
1±
√
1− 4(1−θr)f00c β(f0)2
] , が得られる.√ の部分は1より大きいから,負根をとれば,λ <0となり(C.4) 式と矛盾する.従って,c0(k∗)は(C.17)式の正根である(この正根はf0 =r∗ よ り大きい.故にc0(k∗)としてこれを用いれば,λ >0 である.).
〈定理2〉19
租税体系θrが与えられると,cを k の関数として表すことができるから,調 整径路上の厚生水準は次式で表される.
(C.18) U =
∫ ∞
e−ρtφ(kt)dt.
φ(k)をテイラ−展開すると,次式が成立する.
φ(k) =φ(k∗) +φ0(k∗)(k−k∗) + φ00(ks(t))
2 (k−k∗)2. さらに(C.5)式より,
(C.19) k(t) =k∗+ (k(0)−k∗)e−λt, が成立するから,代入すると,
φ(k) =φ(k∗) +φ0(k∗)(k0−k∗)e−λt+ φ00(ks(t))
2 (k−k∗)2,
となる.ところで,φ(k0) = φ(k∗) +φ0(k∗)(k0−k∗) +o(kk0−k∗k2)であるから,
上式に代入すると,
φ(k) =φ(k∗) + [φ(k0)−φ(k∗)−o(kk0−k∗k2)]e−λt+φ00(ks(t))
2 (k−k∗)2, が成立する.これを(C.18)式に代入すると,
U = φ(k0) ρ
ρ
ρ+λ +φ(k∗) ρ
λ
ρ+λ + 1
ρ+λo(kk0−k∗k2) +1
2
∫ ∞
0
φ00(ks(t))(k−k∗)2e−ρtdt,
を得る.右辺第四項をdとすると,(C.19)式と ks(t)∈[k0, k∗]ということより,
(k0−k∗)2
2(2λ+ρ) minφ00(ks)≤d≤ (k0−k∗)2
2(2λ+ρ) maxφ00(ks),
が成立する.k0とk∗が非常に近い時には,この不等式の両側は0に近づくから,
dも0に近づく.故に右辺第三,四項は第一,二項に比して無視できるほど小さ い.このため次が成立する.
(C.20) U = φ(k0) ρ
ρ
ρ+λ +φ(k∗) ρ
λ ρ+λ.
〈定理3〉
定理2を用いると次式が成立する.
∆U =U1−U0 = 1 ρ
[ ρ
ρ+λu(c(0)) + λ
ρ+λu(c∗) ]
−u(¯c) ρ .