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託送料金に求められる性質と既存手法

第 5 章 系統利用状況を反映した託送料金設定手法

5.1. 託送料金に求められる性質と既存手法

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となっているか必ずしも明確でない上、不透明な部分があるとの声があがっている [1]。従って、

透明性の確保されたわかりやすい料金設定が求められている。一方、一般電気事業者からは、長 期的な電力系統の効率性を考慮した場合、適切な設備投資をするために投資コストの回収が重大 事項となる。現行の料金設定についても総括費用方式という投資コストが回収できるような料金 設定となっている。三点目は、電力系統の効率的な運用への価格シグナルであるが、これは新規 参入者、一般電気事業者双方にとって重要である。適切な価格シグナルが送られない場合、新規 参入が進むにつれて電力系統の効率性が損なわれ、電気料金が上昇するような事態も招きかねな い。電力自由化が先行している諸外国の電気料金に注目すると、電力自由化後にかえって電気料 金が上昇しているケースがあることが表5.1-1よりわかる [2]。

以上のような性質を満たす料金設定として、本章ではこれまでに特定した託送経路に基づく託 送料金設定手法を提案する。

表 5.1-1 電力自由化開始年と価格の変化

出典:日・米・欧における電力市場自由化の進展状況とその評価

5.1.2. 既存の託送料金設定手法

次に、既存の託送料金設定手法について記述する。これらは、表5.1-2のように総括費用方式 と限界費用方式に大別される [3]。前者は系統内の送電線や変電所などの設備の総費用(資本費、

運用費、保守費)を送電線の利用状況に応じて、適切に回収するために提案されてきた手法であ る。一方、後者はもともと費用回収を目的とした手法ではなく、経済学的論拠に基づき、資源配 分の効率性追求を目的として開発された手法である。なお、本論で取り扱う総費用とは、kWh に比例する可変費を想定している。本章では、5.1-1 項で求められる性質の一つとして挙げてい

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る投資コストの回収の点で優れている総括費用方式に注目し、この方式に基づく新たな託送料金 設定手法を提案する。

5.1-2 総括費用方式と限界費用方式

出典:電力自由化と技術開発

総括費用方式に分類される託送料金設定手法としては、表5.1-3のように郵便切手方式(Postage Stamp Method)、契約経路方式(Contract Path Method)、負荷距離方式(MW mile method)などが これまでに提案されている。

(1) 郵便切手方式(Postage Stamp Method)

郵便切手方式は、郵便切手と同様に、距離や系統上の接続地点に関係なく一定の託送料 金を設定する方法である。この方式による託送料金 UCPS[通貨単位/kW]として、域内の送 電設備の費用の総和に対し、系統内の最大電力需要で除したものが提案されている。

最大電力需要 送電設備の費用

=

UCPS (5.1-1)

この料金設定は、系統利用者の接続地点や託送距離にかかわらず、託送電力の大きさの みに比例するため、料金算定が比較的容易であり、説明がしやすいという利点がある。し かし、長距離の託送と短距離の託送の負担が同じになることから公平性の面に疑問が残る という欠点を持っている。更に、系統の運用コストを上昇させるような託送に関しても同 水準の料金が適用される。

配分方式 コスト配分の考え方 特徴

総括費用方式

・送電設備の総費用(資本費、運用費、

保守費など)に基づいた配賦方式

・個々の利用者から費用回収できるよ うに、料金水準を設定する。

・算定方式が容易である。

・効率のよい運用や投資を誘導し にくい。

限界費用方式

・効率的な資源配分の面から考えられ た方式

・各経済主体に最適インセンティブを 与えることができる。

・計算方式が複雑になる

・系統制約や運用制約を考慮した 料金設定方法の実現が困難

177 (2) 契約経路方式(Contract Path Method)

契約経路方式では、系統運用者と系統利用者(託送依頼者)の間で、託送経路を契約時 に交渉で定める。この方式による託送料金 UCCP[通貨単位/kW]として、契約時に決定した 託送潮流量に対する契約送電線の送電容量の割合をもとに配分する方法が提案されてい る。

∑ ∑

= 契約送電線の送電容量 契約送電設備の費用

UCCP (5.1-2)

この料金設定は、料金算定時に考慮する送電線が契約経路のみに限定されるため、託送 料金算定が比較的容易であるという利点がある。しかし、実際の託送経路は送電線の線路 定数や負荷分布等により決定されるため、契約時に定めた託送経路と実際の託送経路が一 致するとは限らない。2.1 節で述べたループフローが発生するようなケースでは、契約託 送経路以外の送電線に流れた電力が、送電系統内に混雑を発生させ、経済運用を阻害する 要因となりうる。

(3) 負荷距離方式(MW mile method)

負荷距離方式では、送電系統上の潮流分布を求め、そのうち、託送が実際に利用した送 電経路(託送経路)ごとに送電容量や送電距離等を用いて送電コストを配分する。この方 式による託送料金 UCMM[通貨単位/年]として、系統内の総費用を各送電容量と線路こう長 の積の合計で割った「単位kW・km当たりの費用」をもとに、各送電経路の託送電力の通 過量と送電距離を考慮して算定する方法が提案されている。

)

(

Δ ×

= 送電容量 線路亘長

送電設備の費用 MW

UCMM (5.1-3)

ここで、ΔMWは託送が各送電線に与えた影響分を表している。この料金設定は、ΔMW をどのように見積もるかで、料金水準が左右される。しかし、送電系統ごとに流れる潮流 の大きさと託送距離を料金に反映できる手法である。

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5.1-3 総括費用方式の既存手法

出典:電力自由化と技術開発