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拡張感度解析と送電線混雑管理手法

第 4 章 拡張感度解析に基づく送電線混雑管理手法

4.2. 拡張感度解析と送電線混雑管理手法

4.2.1. 過負荷解消効果指数

送電線混雑を効率的に解消するためには、過負荷解消効果指数という概念を導入する必要があ る。過負荷解消効果指数は、過負荷解消設備を単位量操作したときの送電設備を流れる電力の変 化、即ち過負荷解消効果を表す指数であり、系統内の発電機有効出力の配分が不適切であるため に送電設備に過大な電力が流れた時、発電機出力を変更して過負荷を解消する場合の解消効果の 程度を知る目安となる。また、過負荷解消操作は、常に発電力の振替を基本とするものであり、

発電機操作量の和が0になるように操作が行われなければならない。そこで、過負荷解消効果指 数も需給の平衡が保たれるように発電機出力が増減されたときの送電線電力の変化を表すもの でなければならず、その発電振替の方法によって係数も異なってくるはずである。たとえば、系 統のある発電機の有効出力を変化させたときに生ずる需給不平衡を特定の発電機によって調整 する場合と、他の発電機によって分担する場合では過負荷解消効果指数は異なってくる。過負荷 解消効果指数を計算するときには、上述のいずれの方法によって振替を行う場合でも取り扱える ように、3.3.2項で述べた発電振替係数を用いる。第3章で導出したように、第l発電機出力が変 化した時の第k発電機の出力変化ΔPklが式(4.2-1)で表わされ、Kklが発電振替係数である。

l kl l

i i

R l

R

kl P K P

f R

P f

R P P

m i

i

k ×Δ =− ×Δ

⎟⎟

⎜⎜

⎟⎟

⎜⎜

⎟⎟ ⋅

⎜⎜ ⎞

− ⋅

=

Δ

0

0

(4.2-1)

本章で提案する送電線混雑管理手法と第3章で提案した託送経路特定手法のいずれも発電振替 係数を取り扱う。以下で第3章との係数の取扱方法の違いについて述べる。違いを表にまとめた ものが表4.2-1 である。第3 章の託送経路特定手法では、需要家の負荷量が増加した時の各発電 所の分担量を発電振替係数で取り取り扱うのに対し、本章の送電線混雑管理手法では、混雑の原 因となる振替元の発電所の発電出力が減少した時の振替先の各発電所の分担量を取り扱うとい う点が異なる。しかし、いずれの場合も有効電力出力のバランスが保たれていることから第l 発 電機と第k発電機の取り扱いを表4.2-1のように変えることにより式(4.2-1)より必要な感度を得る ことができる。振替先の発電所が一箇所の場合は、その発電所に対する発電振替係数Kkl =1と設 定し、複数ある場合は発電所間の分担の割合に応じて発電振替係数を設定して感度を算出するこ とにより、過負荷解消効果指数を得ることができる。

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4.2-1 発電振替係数の取扱方法の違い

l発電機 第k発電機 計算結果

託送経路特定手法 需要家 発電所

託送経路特定に必要な 線路電力潮流感度 送電線混雑管理手法 振替元の発電所 振替先の発電所 過負荷解消効果指数

4.2.2. 拡張感度解析に基づく送電線混雑管理手法

ここでは、拡張感度解析に基づく送電線混雑管理手法について記述する。4.2.1項で述べたよう に、送電線混雑の解消に拡張感度解析により算出する過負荷解消効果指数を用いる。具体的な手 順は以下の通りである。ここでは、振替先の発電所が一箇所の場合を例に説明する。

最初に潮流計算により各送電線の潮流量を算出し、混雑が発生している送電線を特定する。次 に、発電振替元の発電所ノードを操作変数(第l 発電機)に選び、発電振替先の発電所の発電振 替係数を1と設定し、線路電力潮流感度を算出する。これが、過負荷解消効果指数となる。ここ で、振替先の発電所が複数ある場合は、上記の手順により各発電所に振り替えた際の過負荷解消 効果指数をそれぞれ算出する。そして、送電線混雑が発生している送電線の過負荷解消効果指数 と超過潮流量から式(4.2-2)により発電振替量を算出する。

荷解消効果指数 混雑発生送電線の過負

潮流量 混雑発生送電線の超過

発電振替量= (4.2-2)

次に、過負荷解消効果指数と送電余裕量から振替可能発電所を決定する。全送電線について式 (4.2-3)を満たす発電所が振替可能発電所となる。この手順を踏むことにより、発電振替を行った 後に他の送電線で新たな送電線混雑が発生することを防ぐことができる。

送電余裕量 過負荷解消効果指数

発電振替量× ≤ (4.2-3)

送電線潮流量 送電線容量

送電余裕量= − (4.2-4)

その後、振替可能発電所の中から、混雑発生送電線に対する過負荷解消効果指数が最も高い発電 所を発電振替先とする。過負荷解消効果指数が高い発電所を選ぶことにより最も効率的に混雑解 消操作を行うことができる。また、過負荷解消効果指数が同程度の発電所が複数ある場合には、

発電所の出力変化率等を加味することにより、迅速に過負荷解消が可能な発電所を選定すること ができる。以上の手順により、送電線混雑を迅速に解消することが可能となる。また、1 と設定

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していた発電振替係数を振替先発電所間の分担量の割合に応じて設定して過負荷解消効果指数 を算出することにより、振替先の発電所を複数とした場合も上記と同様の手順で送電線混雑を解 消することができる。

4.2.3. 送電線混雑管理と託送経路の特定

ここでは、送電線混雑と託送経路の関係について記述する。自由化の進展により新規参入発電 事業者が増加した場合、一般電気事業者だけではなく、託送実施者が送電線混雑解消のために発 電振替を実施することも考えられる。このような場合、託送経路は発電振替前とは当然異なった ものとなるため、これら状況を反映した託送経路を特定する必要がある。以下で送電線混雑解消 により託送経路が変更となる場合の託送経路特定手法について記述する。第3章では経済負荷配 分に基づき決定した発電所出力の割合に応じて発電振替係数を設定していたが、送電線混雑解消 後の託送実施発電所と振替発電所の出力の割合に応じて発電振替係数を設定し、線路電力潮流感 度を求めることにより、送電線混雑解消時の託送経路を特定することができる。例えば、A発電 所が5[MW]の託送を行っていて、送電線混雑により、B発電所に3[MW]の発電振替を行うことに なったとする。この時、A、B発電所の発電振替係数はそれぞれの出力(A:5-3=2[MW]、B:3[MW]) に応じて0.4、0.6と設定すればよい。そして得られた線路電力潮流感度の大きさより送電線混雑 解消後の託送経路を第3章と同様の手法により特定することができる。

4.2.4. 送電線混雑管理手法及び混雑解消後の託送経路特定手法のアルゴリズム

本章で提案した拡張感度解析に基づく送電線混雑管理手法及び混雑解消後の託送経路特定手 法のアルゴリズムをフローチャートに示したものが図4.2-1である。

[step1]送電線混雑箇所の特定:潮流計算を実施し、線路潮流量と送電線容量を比較することによ り、送電線混雑箇所を特定する。

[step2]振替先候補発電所の選定:振替先の候補となる発電所を選定する。託送実施者が発電振替 を実施する場合は、通常同一事業者が所有する他発電所となる。

[step3]発電振替係数:[step2]の発電所のうち一箇所へ発電振替を行う場合は、当該発電所の発電 振替係数を1と設定し、複数箇所の場合は、出力変化率等を考慮して設定した振替分担量に応じ た発電振替係数を設定する。例えば、A、B二つの発電所への発電振替量の割合がそれぞれ2:3 の場合、各発電所の発電振替係数は0.4、0.6となる。

[step4]過負荷解消効果指数の算出:発電振替係数を[step3]により設定し、操作変数を発電振替元

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の有効電力として線路電力潮流感度を算出することにより、過負荷解消効果指数を算出する。

[step5]振替発電量の算出:[step1]で特定した混雑が発生している送電線の超過潮流量と[step4]で算 出した過負荷解消効果指数から式(4.2-2)により振替発電量を算出する。

[step6]他送電線の混雑発生有無:[step1]の潮流計算結果と式(4.2-3)から計算可能な送電余裕量と [step4]で算出した過負荷解消効果指数から他送電線の混雑発生有無を確認する。

[step7]振替発電所の選定:[step5]で算出した振替発電量と[step6]で検討した発電振替による他創沿 線の混雑発生有無等の結果から振替先発電所を決定する。過負荷解消効果指数が高い発電所を選 ぶことにより効率的に混雑解消操作を行うことができる。また、過負荷解消効果指数が同程度の 発電所が複数ある場合には、発電所の出力変化率等を加味することにより、迅速に過負荷解消が 可能な発電所を選定する。

[step8]発電振替係数の設定:託送実施発電所が発電振替を行う場合は、混雑解消後の託送供給量 の割合に応じて、発電振替係数を設定する。

[step9]線路電力潮流感度の算出:[step8]により発電振替係数を設定し、需要家ノードの有効電力 を操作変数として線路電力潮流感度を算出する。

[step10]託送経路の特定:[step9]により得られた線路電力潮流感度行列の大きさから託送経路を特 定する。

[step1]~[step7]が拡張感度解析に基づく送電線混雑管理手法にあたり、[step8]~[step10]が拡張 感度解析に基づく送電線混雑解消後の託送経路特定手法に該当する。

142 START

発電振替係数の設定 振替先候補発電所の選定

振替発電所の選定

END 託送経路の特定 過負荷解消効果指数の算出

振替発電量の算出

他送電線の混雑発生有無 送電線混雑箇所の特定

発電振替係数の設定

線路電力潮流感度の算出

4.2-1 送電線混雑管理及び混雑解消後の託送経路特定手法のアルゴリズム