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(2)問題理解過程
指導直後の
5
年事後テストの正答者率は、事前テストより5
名(20%)増加 していた。5 年の事後テストでは、指導でおこなった問題文に下線を引く方略 を使用する者も出現した。だが、6 年テストでは、下線を引くという方略を自 発的に使用する者(方略使用の維持)はなかった。立式情報抽出ができなかっ た者の中には、問題文の数値やキーワードのみの抽出にとどまる者が多く、学 年を経て、問題の適切箇所を注目することへの弱さが継続してみられた。指導直後であれば、下線を引くなどの必要情報箇所へ注意を向ける視覚的援 助が有効だったことから、自発的に問題文から解決に必要となる情報を抽出す ることが難しく、問題理解過程では、必要箇所へ注目できるような具体的な手 がかりが必要になると考えられた。
5年生時に問題文の読みに困難を示し、指導者が問題文を読む援助をおこな っていた
3
名は、6
年テストでは誤りなく問題文を読み、読みの流暢性も改善 していた。低学年から高学年に向けての読みが改善していくことは、他の研究 でも報告されている(井崎ら,2015)。しかし、この3
名は、6年生時にも立 式情報に正答できなかった。読みの改善は、直接、問題理解過程での情報抽出 と結びつく結果とならなかった。(3)プラン立案過程
プラン立案過程の立式正答者は、
5
年事前テストから6
年テストで減少した。6
年テストになって立式正答者できた2
名が増えたものの、6
年テストになっ て立式で誤答する者が5
名出現したためである。この5
名には、乗算や除算を 選択する誤りを示す者が含まれた。5年生時での立式誤答者は、加算で立式す る誤りや減数と被減数を逆に立式する誤りを示す者のみであった。6年生時に 乗除算を選択する誤りを示す者が出現したのは、学校などでの分数学習の授業 で、乗除算式を用いた学習を主におこなっていたことが原因と思われる。問題 文にある分数という数値から、現在、授業で学習している演算(乗除算)を使 用するのだと、解釈したと考えられた。5
年事前テストから、問題文情報を統合的に把握して立式をおこなったとい う説明がみられた者は、6 年テストでも誤りのない安定した解決を示した(研119
究4の(A)タイプ)。この習得水準に至らず、5 年事前テストで文章題に正答で きなかった者(研究4の(C)タイプ)だけでなく、問題文のキーワードのみを手 がかりに、数値の大小関係に依存した立式水準にとどまる者(研究4の(B)タイ プ)にも、乗除算選択という誤った立式に陥る者がおり、解決が不安定で、
6
年 生時に文章題解決の困難性がより顕著化したことが示された。研究3の典型発 達3年生では、1 名に除算の立式誤答者がみられたが、立式直後に立ち止まり 見直して、正しい式への修正をおこなっていた。乗除算の誤りを示した極低出 生体重児ではこうした行動がみられず、算数文章題解決の誤りに対する気づき の弱さにも、モニター行動の関与が指摘される。(4)実行過程
実行過程の分数計算指導(5年生時の指導)では、計算方法を直接教えなく ても全員正答した。算数文章題解決の立式正答には、計算能力の向上が前提と なること、実行過程での計算方略の習得は他の解決過程より早いことも示され ている(田坂・隝田,
2000)。計算過程における手続き的な知識の利用は、比較
的容易であると思われた。(5)評価過程
評価過程の3肢選択正答者は、
5
年事前テストでは9
名(36%)であった。見直し行動改善へ向けた援助をおこなった(指導)後の
5
年事後テストでは、3肢選択正答者は
17
名(68%)となり、増加した。遂行結果に注意を向ける(自発的にモニターする)ようになれば、正しい評価が可能となることが示唆 された。
6
年テストの実行過程誤答者は11
名いた。その11
名のうち5
名に、「(答が あっているかどうか)分からない」「なんとなく違う」という言及から、遂行結 果の誤りに対する気づきがみられた。しかし、他の半数以上の6
名は、「(答は)正しい」と、即時に選択し、誤りに気づくことがなかった。6 年テストの実行 過程誤答者の中には、5 年時のテストの実行過程では正答していた者もいるこ とから、この者たちが回答の見直しや問題文の読み直しといったモニター行動 をおこなえば、正答を導くことができた可能性がある。
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ドキュメント内
学齢期の極低出生体重児が示す算数文章題解決から捉えた学習困難の様相とその背景
(ページ 122-125)