1.教科学習
(1)各対象児の教科学習の達成度
母親からの報告で、学校からの通知表の評定を含め、対象児の学習の達成度 が低いとしてあげられた教科を、対象児ごとに学年別に表
4-1
と表4-2
に示し た。表4-1
は、出生体重の軽い順に通し番号をつけて示したものである。表4-2
は、6歳時に実施した全訂版田中ビネー知能検査IQ
値の成績順に配列し直し たものであり、通し番号は表4-1
と同じである。小学校1年生から6年生まで全教科とも到達度が低く、困難であるという報 告があった
1
名(7
番)は、出生体重730
gの超低出生体重児で在胎25
週出生 の超早産児であった。6年生時になって全教科について困難を示した1
名(21 番)は、出生体重1378
g未満の極低出生体重児で在胎31
週出生の早期早産児 であった。2 名ともアプガースコアは5
点、リスク要因数はそれぞれ7
と6
だ った。この2
名(7
番、21
番)の6
歳時IQ
は93
と90
であったが、IQ95
未満 を示した他の対象児については、全教科で困難を示したという報告はいずれの 学年でもなかった。一方、6年間を通して困難教科がなかったのは、
2
名(12 番、16
番)だった。12
番は出生体重928g(在胎 26
週)、アプガースコア2
点の重症仮死状態で誕 生し、リスク要因数9
で発達不利な状況がうかがえた。16
番は出生体重1210
g(在胎
30
週)出生で、アプガースコア9
点で正常範囲を示し、リスク要因数2
で、出生時の他児と比べて、特に不利な状況はみられなかった。この2
名(12
番、16 番)の6
歳時IQ
値はそれぞれ130
と120
と比較的高かった。一方、対 象児の中で最もIQ
値が高かった19
番(IQ 141
)には、2年生時と3年生時に 体育、6年生時には算数の到達度が低いという報告があった。その他のIQ120
以上を示した対象児にも、いずれかの学年で困難教科がうかがえた。対象児の出生体重、在胎週数の低さ、アプガースコアの重症度、合併症数、
のうち教科学習困難に直結するものは、単純には見出せなかった。また、就学 前の
6
歳時IQ
値の低い児に困難教科数が多い様相がうかがえるものの、上述 のように、高いIQ
値を示した児であっても困難教科がみられ、対象児のIQ
値 と教科学習困難との直接的関係を見出すことはできなかった。33
国語算数生活体育音楽国語算数生活体育音楽国語算数理科社会体育図工音楽国語算数理科社会体育図工音楽国語算数理科社会体育図工音楽国語算数理科社会体育図工音楽 1女4652777107 2女5822847100 3女675304594 4男6812527103 5女7042524101 6男7302487108 7男730255793 8女7422518117 9男852267594 10男8602639121 11男8793267125 12男9282629130 13男10572828124 14男10703385101 15女11483064108 16男12103092120 17男1266323697 18男1280298297 19女12862973141 20男1328301497 21男1378315690 22男14403223106 23女14543292121 24男1460325692 25男1578325494
表4-1 対象児の各学年で困難が報告された教科 6歳時 IQ値
5年番 号性 別出生 体重
1年2年3年4年リス ク数 注2)通し番号は、出生体重の軽い順。 注3)アプガ-は1分後のアプガ―スコア点。リスク数は対象児が出生した病院の小児科カルテに記載された合併症の数。
在胎 週数アプ ガ-
週数アプガ-6年 注1) は困難報告があった教科。
34
国語算数生活体育音楽国語算数生活体育音楽国語算数理科社会体育図工音楽国語算数理科社会体育図工音楽国語算数理科社会体育図工音楽国語算数理科社会体育図工音楽 21男1378315690 24男1460325692 7男730255793 3女675304594 9男852267594 25男1578325494 17男1266323697 18男1280298297 20男1328301497 2女5822847100 5女7042524101 14男10703385101 4男6812527103 22男14403223106 1女4652777107 6男7302487108 15女11483064108 8女7422518117 16男12103092120 10男8602639121 23女14543292121 13男10572828124 11男8793267125 12男9282629130 19女12862973141 注3)アプガ-は1分後のアプガ―スコア点。リスク数は対象児が出生した病院の小児科カルテに記載された合併症の数。
3年4年5年6年 注1) は困難報告があった教科。 注2)通し番号は、出生体重の軽い順。
表4-2 対象児の各学年で困難が報告された教科(6歳時IQ値の成績順に配列) 番 号性 別出生 体重在胎 週数アプ ガ-リス ク数6歳時 IQ値
1年2年
35
(2)困難がみられた教科
次に、母親からの報告で、学習達成度が低く、困難であるとされた教科ごと の人数を、学年別に図
4-1
に示した。各学年で、どの教科にも困難を示した者がおり、3年生以降はいずれの教科 も
3
名(12%)以上の者が困難を示していた。1年生では国語6
名(24%)や 算数9
名(36
%)での困難が中心で、3年生になると国語と算数の困難を示す 者はいずれも18
名(72%)と、それぞれ3
倍、2 倍となった。国語と算数を困 難とする者はいずれの学年でも他教科より多かったが、3年・4年をピークと して、その後は人数的には減少していた。対象児
25
名のうち、達成度の低い教科が1
つのみである単独教科困難報告 者率と、複数教科で達成度の低さが報告された複数教科困難報告者率を図4-2
に示した。複数教科困難報告者率は、1年生
6
名(24%)から3年生19
名(76%)へ向 けて上昇したが、その後、学年が進むにつれて減少している(4年生:17
名(68
%)
、 5年生:15
名(60
%)
、6年生:11
名(44
%)
)。一方、単独教科困難報告者率は、1年生と2年生とも
5
名(20
%)から3年生3
名(12
%)でやや減少するもの の、6年生に向けて上昇していた(4年生:4 名(16%)、5年生:4 名(16%)、6年生:9名(36%))。単独教科困難報告者は、6年生では3年生の
3
倍となっ ていた。6年生時の単独教科困難報告者9
名(36
%)があげた教科は、算数5
名(20%)、国語2
名(8%)、理科1
名(4%)、社会1
名(4%)であり、算数 困難を報告する者が多かった。低学年での学習困難教科は国語や算数が中心であり、中学年ではさらに国語 と算数困難を報告する者が多くなるとともに、他教科でも困難を示すようにな ったことで複数教科に困難報告を示す者が多くなったといえる。
困難教科が算数であるとされた対象児の中では、低学年で計算の弱さを示し、
高学年になっても計算力の弱さを継続的に示した
2
名がいた。なお、6年生時 に困難教科として算数があがった者は16
名(64%)おり、その全員が、算数 文章題が「苦手である」ことを報告していた。36
図4-1 対象児の各学年時において困難が報告された教科別人数
図4-2 各学年時における単独教科の困難報告者率、複数教科の困難報告者率 0
2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
国語 算数 生活 体育 音楽 国語 算数 生活 体育 音楽 国語 算数 理科 社会 体育 図工 音楽 国語 算数 理科 社会 体育 図工 音楽 国語 算数 理科 社会 体育 図工 音楽 国語 算数 理科 社会 体育 図工 音楽
1年 2年 3年 4年 5年 6年
人数
0 10 20 30 40 50 60 70 80
1年 2年 3年 4年 5年 6年
単独教科の困難報告者率 複数教科の困難報告者率
%