(1)予測過程
極低出生体重児と典型発達児の3年および5年時における予測過程の3肢選 択正答者率および適切な選択説明回答者数(率)を表
7-6、図 7-1
に示した。①極低出生体重児
予測過程の3肢選択と実行過程の答の結果が一致していた者(3肢選択正答 者)は、3年生時で
5
名(20%)であり、そのうち選択した理由を適切に回答
(例:「この問題は引き算である(という説明)」「この問題は、以前やったこと がある問題である」など)した者は
1
名(4%)であった。その他の4
名は、選 択理由が不十分(例:「なんとなく」「算数得意だから」無回答)であった。5年生時では、予測過程の3肢選択正答者が
9
名(36%)となり増加したが、
適切な選択理由を述べた者はいなかった。
②極低出生体重児と典型発達児の比較
3肢選択正答者率は、3年生では典型発達児の方が高く(p<0.05,両側検定,
フィッシャーの直接確率法)、5年生でも典型発達児の方が高い傾向があった
(0.1>p>0.05,両側検定,フィッシャーの直接確率法)。5年生では、3肢選択 正答者のうち、適切な選択説明をした者(率)も典型発達児の方が高かった
(p<0.05,両側検定,フィッシャーの直接確率法)。
極低出生体重児は、5年生時になって3肢選択正答者が増加したものの、典 型発達3年生の正答者率
55%を下回る 36%にとどまった。問題文を読み、自己
の遂行結果を正しく予測することが、典型発達児では3年生の過半数に可能で あったのに対し、極低出生体重児は5年生時でも困難な者が多いといえる。実行誤答者の予測過程をみると、典型発達児の5年生の誤答者全員(
4
名)には、予測過程の「(この問題を)とけるかどうか分からない」という選択がみ られ、問題理解で立式情報と求答事項の抽出に誤りがみられた者にも、同様の
「とけるかどうか分からない」の選択が認められた(研究3)。一方、極低出生 体重児5年生時の誤答者(
9
名)でこの選択をした者は、1
名のみであった。82
表 7-6 極低出生体重児と典型発達児の各学年における予測過程の 3肢選択正答者数(率)および適切な選択説明回答者数(率)
学年
極低出生体重児(25名) 典型発達児(3年33名・5年28名)
3肢選択正答 適切な説明回答 3肢選択正答 適切な説明回答 3年 5名(20%) 1名(4%) 18名(55%) 7名(21%)
5年 9名(36%) 0名(0%) 18名(64%) 16名(57%)
注)*はp<0.05,+は0.1>p>0.05,両側検定,フィッシャーの直接確率法を示す。
図 7-1 極低出生体重児と典型発達児の各学年における
予測過程の3肢選択正答者率および適切な選択説明回答者率
0 20 40 60 80 100
3肢選択正答 適切な説明
3年 5年
%
典 型 発 達 児
0 20 40 60 80 100
3肢選択正答 適切な説明
3年 5年
%
極低 出生 体重
児 * *
+
83
(2)問題解決過程
極低出生体重児と典型発達児の問題理解過程で「この問題で分かっているこ とは何か」(立式情報)の正答者数(率)、「この問題で求めているのは何か」(求 答事項)の正答者数(率)、立式情報・求答事項の両正答者数(率)、を表
7-7、
図
7-2
に示した。①極低出生体重児 3年生時で、問題文から立式情報を正しく回答できた立式情報正答者は
10
名(40%)、求答事項を正しく回答した求答事項答者は
19
名(76%)、立式情報・求答事項ともに正答したのは
9
名(36%)であった。5年生時では、立式情報 正答者は11
名(44%)、求答事項正答者は25
名(100%)、立式情報・求答事 項ともに正答したのは11
名(44%)であった。求答事項の正答は、5年生時で全員(100%)となったものの、立式情報の正 答者は
1~2
名増えたのみで、5年生時での正答者の増加は少なかった。②極低出生体重児と典型発達児の比較
5年生では、立式情報正答者(率)、立式情報・求答事項の両正答者(率)が、
典型発達児に有意に多かった(立式情報正答者、立式情報・求答事項が両正答 者とも:p<0.05,両側検定,フィッシャーの直接確率法)。
5年生になると、典型発達児では立式に必要となる情報の抽出が適確になっ てくるが、極低出生体重児の5年生時では、適切な情報抽出がみられた者は半 数以下で、部分情報の抽出にとどまっていることが認められた。
84
表7-7 極低出生体重児と典型発達児の3年生、5年生の問題理解過程に おける立式情報、求答事項、立式情報と求答事項両方、の正答者数(率)
学