(1)予測過程
「(この問題が)とけると思うか・思わないか・どちらか分からないか」とい う質問をおこなった予測過程の3肢選択と、実行過程での答の結果が一致して いた(3肢選択正答)者は、3年で
18
名(55%)であり、そのうち選択した理 由を適切に回答(「引き算であることの説明」「この問題は、以前やったことが ある問題である」など)した者は7
名(21%)であった。その他の11
名は、選択理由が不十分(「なんとなく」「算数得意だから」無回答)であった。3年 生で、実行過程誤答者
10
名のうち4
名のみに、この問題が「とけない」ある いは「(とけるかどうか)分からない」の選択がみられた。5年生では、予測過程の3肢選択正答者が
18
名(64%)、そのうち適切な 選択理由がみられた者は16
名(57%)であった。5年生の実行誤答者4
名を みると、4
名とも、この問題が「(とけるかどうか)分からない」を選択して おり、自己の遂行結果(誤答)に対する気づきがあったことが推察された。さ らに、5年生について、立式誤答者3
名と問題理解過程(立式情報)誤答者6
名の予測過程を確認すると、これら誤答者全員が予測過程で「(とけるかどう か)分からない」を選択していた。5年生になると解決に至らなかった誤答者 でも、各過程での遂行を予測し、自己の誤りに対する気づきをもっていたこと がうかがえた。予測過程における3年生と5年生の3肢選択正答者率、適切な選択理由を述 べた説明者率を表
6-2
と図6-1
に示した。3年生5年生の間には3肢選択正答 者率の有意差はなかった。しかし、選択説明では、5年生の方が適切に選択理 由を説明する者(率)が有意に高かった(p<0.01,両側検定,フィッシャー の直接確率法)。63
表 6-2 3年生と5年生における予測過程の3肢選択正答者数(率)
および適切な選択説明回答者数(率)
学年 3肢選択正答 適切な説明回答 3年
(33
名) 18
名(55
%)7
名(21
%)5年
(28
名) 18
名(64
%)16
名(57
%)注)**はp<0.01,両側検定,フィッシャーの直接確率法を示す。
図6-1 3 年生と 5年生の予測過程における3肢選択正答者率
および適切な選択説明回答者率
0
20 40 60 80 100
3肢選択正答 適切な説明
3年 5年
%
**
64
(2)問題理解過程
問題理解過程で「この問題で分かっていることは何か」(立式情報)の正答者 率、「この問題で求めているのは何か」(求答事項)の正答者率、立式情報と求 答事項の両正答者率を表
6-3
と図6-2
に示した。3年生で、問題文から立式情報を正しく回答できたのは
15
名(45%)、求答 事項を正しく回答したのは30
名(91%)、立式情報・求答事項ともに正答した のは13
名(39%)であった。5年生では、立式情報を正しく回答できたのは22
名(79%)、求答事項を正しく回答したのは28
名(100%)、立式情報・求 答事項ともに正答したのは22
名(79%)であった。両学年を比較すると、立式情報・求答事項ともに正答した者(率)は、5年 生の方が有意に高く(p<0.01,両側検定,フィッシャーの直接確率法)、立式 情報正答者(率)も5年生の方が有意に高かった(p
<0.05
,両側検定,フィッ シャーの直接確率法)。65
表 6-3 3年生と5年生の問題理解過程における立式情報、求答事項、
立式情報と求答事項両方、の正答者数(率)
学年 立式情報 求答事項 両正答
3
年(33名)15
名(
45
%)30
名(
91
%)13
名(
39
%)5
年(28名)22
名(79%)
28
名(100%)
22
名(79%)
注)「両正答」は、立式情報と求答事項とも正答者。
注)**はp<0.01,*はp<0.05,両側検定,フィッシャーの直接確率法を示す。
図6-2 3 年生と5 年生の問題理解過程における立式情報、求答事項、
立式情報と求答事項両方、の正答者率 0
20 40 60 80 100
立式情報 求答事項 立式情報・求答事項
3年 5年
%
* **
66
(3)プラン立案過程
立式した後、どうしてこのような式になったか(立式説明)の回答のうち、
「小さい数から大きい数は引けない」「足すと数が大きくなってしまうから」と いった数値の大小関係を述べた説明、「最初○○あって、今は○○になった。だ から、今ある数から元ある数を引けば、答が出せる」といった情報を関連づけ た説明について、その出現者率を表
6-4
と図6-3
に示した。3年生では、立式正答者
29
名(88%)の立式説明のうち、問題文にある数値 の大小関係から立式した者が7
名(21
%)おり、その7
名のうち4
名が誤った 立式をおこない途中で立式を修正していた(立式修正者)。4
名の立式修正者の うち、2
名は加算で立式してから誤りに気づいて(「今ある333
枚より足すと大 きくなってしまう」)減算へ修正していた。1 名は減数と被減数を逆に立式し、計算時に(小さい数から大きい数が引けないため)立式修正をおこなった。残 る
1
名は除算式の後、減算へ修正していた。問題文の情報の関連性を述べた立 式説明者は、2
名(6
%)と少なかった。立式正答したものの説明できなかった 者(「わからない」あるいは無回答など)は、20
名(61
%)であった。5年生の立式正答者
25
名(89
%)の立式説明をみると、問題文にある数値の 大小関係から立式した者2
名(7%)がおり、うち1
名は加算で立式した後、誤 りに気づいて減算式へ立式修正をおこなった。問題文の情報の関連性を述べた 者は18
名(64
%)、立式説明ができなかった者は5
名(18
%)であった。前述 のように、記号問題(逆思考問題)の正答した5年生は61%だったことをあわ
せると、5年生の60
%以上が、数値に依存せず問題文の情報を統合的に捉える ことが可能であったと示唆される。立式の説明で、情報の関係性を述べた3年生と5年生の人数(率)に有意差 が認められた(p<0.001,両側検定,フィッシャーの直接確率法)。
67
表6-4 3年生と5年生のプラン立案過程における立式正答者数(率)、および 立式説明で数値の大小関係・情報の関係性について述べた者の出現数(率)
学年 立式正答 立式説明
大小関係 情報の関係
3
年(33
名) 29
名(88%)
7
名(21%)
2
名(6%)
5
年(28名)25
名(
89
%)2
名(
7
%)18
名(
64
%)注1)「大小関係」は、問題文の数値の関係性を述べた者。
注2)「情報の関係」は、問題文の情報を統合的に把握した説明を示した者。
注)**はp<0.01,両側検定,フィッシャーの直接確率法を示す。
図6-3 3年生と 5年生のプラン立案過程における立式正答者率および
立式説明で数値の大小関係・情報の関係性を述べた説明者率 0
20 40 60 80 100
立式正答 数値の大小関係を説明 情報の関係性を説明
3年 5年
%
**
68
(4)評価過程
「(解答した答が)正しいと思うか・思わないか・どちらか分からないか」を 質問した評価過程の3肢選択と、実行過程での答の結果が一致していた(3肢 選択正答)者は、3年生で
17
名(52%)であり、そのうち選択理由を適切に回 答(「見直しをして確かめた」「筆算をおこなったから」など)した者は6
名(18%)であった。その他の
11
名は、選択理由が不十分(「なんとなく」「自信ある」無 回答)であった。実行誤答者10
名のうち7
名が、「答が正しいと思わない」、あ るいは「答が正しいかどうか分からない」という選択肢回答がみられたが、残 りの3
名は「正しい答が出せた」を選んでおり、誤りに対する気づきは認めら れなかった。5年生では、評価過程の3肢選択正答者が
17
名(61%)、そのうち適切な選 択理由がみられた者は13
名(46%)であった。5年生の実行過程誤答者4
名(内
3
名は立式も誤答)をみると、2
名に「(正しい答が出せたかどうか)分か らない」の選択がみられ、他2
名は選択肢が無回答であった。この選択肢無回 答の2
名には「答がこれしか出せなかった」「自信がない」という記述が選択理 由欄に書かれていたことから、この2
名にも、何らかの誤りに対する気づきが あったことが推察された。評価過程における3年生と5年生の3肢選択正答者率と適切な選択説明者率 を表
6-5
と図6-4
に示した。評価過程3肢選択正答者率では、3年生と5年生 の間に有意差はなかった。しかし、選択説明をみると、5年生の方が適切に選 択理由を説明する者(率)が有意に高かった(p<0.05
,両側検定,フィッシャ ーの直接確率法)。69
表6-5 3年生と5年生における評価過程の3肢選択正答者数(率)
および適切な選択説明回答者数(率)
学年 3肢選択正答 適切な説明回答 3年
(33
名) 17
名(52
%)6
名(18
%)5年
(28
名) 17
名(61
%)13
名(46
%)注)*はp<0.05,両側検定,フィッシャーの直接確率法を示す。
図6-4 3年生と5年生における評価過程の3肢選択正答者率
および適切な選択説明回答者率 0
20 40 60 80 100
3肢選択正答 適切な説明
3年 5年
%
*