第3章 不飽和砂質地盤の地震時沈下メカニズム
3.2 室内試験による検討
3.2.4 繰返しせん断時の不飽和砂質土の体積ひずみにおける周波数の影響
る.
本論で実施している繰返しせん断試験と締固め試験はともに,不飽和土試料に対する排 気排水条件下における体積収縮挙動をみている点で同様である.すなわち,繰返しせん断 時の体積収縮特性と締固め特性とは類似した現象を捉えているものと考えられる.
鹿島海浜砂の締固め曲線は,KK 発電所の埋戻土の締固め曲線に比べて平坦であり,こ れは,含水比の変化に対して乾燥密度の変化の感度が小さいことを示しており,間隙比の 変化の感度が小さいことと等価である.繰返しせん断による間隙比の変化と発生体積ひず みの感度も対応している.したがって,含水比の変化に対する繰返しせん断による体積ひ ずみ発生の応答は小さいものと考えられる.
鹿島海浜砂およびKK発電所埋戻土において,初期含水比を変化させた供試体を用いて 排気排水条件の中空ねじり繰返しせん断試験を実施し,それぞれの体積ひずみ量を比較,
考察した結果から,締固め曲線が鋭い砂質土ほど含水比を変化させた時の繰返しせん断に よる体積収縮特性の変化が大きいことがわかった.このことは,締固め曲線の形状から,
地震時に地盤沈下が生じやすいか否かを判定できることを示している.
これまでの試験と同様,密度を調整した中空供試体(外形 70mm,内径30mm,高さ70mm) を用いてねじりせん断試験機(二重セル式装置)により排気排水条件で繰返しせん断力(応 力制御式,正弦波加振)を与え,その際の体積ひずみを測定している.試験時の目標拘束 圧σc は50および 100kPaとし,各拘束圧のもとで目標最大せん断応力比τmax/σc は 0.4 とした.正弦波として与える繰返しせん断応力の周波数は 0.02,0.1,0.2,1.0Hz とした.
実施した試験ケースの条件一覧と繰返し回数20および50の体積ひずみ(εv_N20,εv_N50) を表 3-8に示す.また,拘束圧 50kPaの条件で実施したケースNo.50-1~No.50-4の試験結 果(繰返し回数とせん断応力,繰返し回数とせん断ひずみ,繰返し回数と体積ひずみの関 係)を図 3-19に示す.
図 3-19より,4ケースいずれの場合も繰返し回数とせん断ひずみの関係および繰返し回 数と体積ひずみの関係はほぼ同様の挙動を示していることがわかる.拘束圧が100kPaの4 ケースも同様の傾向を示した.全8ケースの正弦波繰返しせん断応力の周波数と体積ひず みの関係を図 3-20に示す.同図から,0.02~1.0Hzの周波数範囲において,繰返し回数50 回までの体積ひずみの載荷速度依存性は認められないことが確認できる.したがって,「等 体積ひずみ曲線」を設定するために必要となる中空ねじり繰返しせん断試験は,試験仕様 として一般的な0.05~1.0Hzの条件4) で実施すれば良いと考えられる.
なお,1.0Hzを越える周波数によるねじり繰返しせん断試験は,試験装置上の制約(油
圧による載荷制御を行っており,供試体への荷重伝達精度の低下やベディングエラーが生 じること)から困難であった.高周波数帯域の載荷速度の影響については課題である.
表3-8 排気排水条件中空ねじり繰返しせん断試験 実施ケース一覧
試 験 ケース
拘束圧 σc (kPa)
正弦波 せん断 応力 周波数
(Hz)
初期乾燥 密度
ρd0 (g/cm3)
初期 含水比
w0 (%)
せん断 応力比 τmax/σc
体積ひずみ
εv_N20 (%)
εv_N50 (%)
No.50-1
50
0.02 1.483 14.8 0.409 1.001 1.147 No.50-2 0.1 1.481 14.9 0.399 0.940 1.135 No.50-3 0.2 1.483 14.6 0.405 1.014 1.228 No.50-4 1.0 1.486 14.5 0.402 0.718 0.914 No.100-1
100
0.02 1.485 14.6 0.412 1.099 1.315 No.100-2 0.1 1.484 14.7 0.419 1.300 1.612 No.100-3 0.2 1.486 14.5 0.386 1.039 1.309 No.100-4 1.0 1.481 14.8 0.373 0.936 1.273
図 3-19(1) 繰返しせん断荷重の周波数と体積ひずみの関係(鹿島海浜砂)
ケースNo.50-1(周波数0.02Hz)
図 3-19(2) 繰返しせん断荷重の周波数と体積ひずみの関係(鹿島海浜砂)
ケースNo.50-2(周波数0.1Hz)
-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0
0 10 20 30 40 50 60
せん断ひずみγ(%)
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0
0 10 20 30 40 50 60
体積ひずみεv(%)
繰返し回数 N -40.
-20.
0.
20.
40.
0 10 20 30 40 50 60
せん断応力τd(kPa)
-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0
0 10 20 30 40 50 60
せん断ひずみγ(%)
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0
0 10 20 30 40 50 60
体積ひずみεv(%)
繰返し回数 N -40.
-20.
0.
20.
40.
0 10 20 30 40 50 60
せん断応力τd(kN/m2)
図 3-19(3) 繰返しせん断荷重の周波数と体積ひずみの関係(鹿島海浜砂)
ケースNo.50-3(周波数0.2Hz)
図 3-19(4) 繰返しせん断荷重の周波数と体積ひずみの関係(鹿島海浜砂)
ケースNo.50-4(周波数1.0Hz)
-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0
0 10 20 30 40 50 60
せん断ひずみγ(%)
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0
0 10 20 30 40 50 60
体積ひずみεv(%)
繰返し回数 N -40.
-20.
0.
20.
40.
0 10 20 30 40 50 60
せん断応力τd(kPa)
-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0
0 10 20 30 40 50 60
せん断ひずみγ(%)
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0
0 10 20 30 40 50 60
体積ひずみεv(%)
繰返し回数 N -40.
-20.
0.
20.
40.
0 10 20 30 40 50 60
せん断応力τd(kPa)
図 3-20 繰返しせん断荷重の周波数と体積ひずみの関係(鹿島海浜砂)