第3章 不飽和砂質地盤の地震時沈下メカニズム
3.2 室内試験による検討
3.2.3 繰返しせん断時の不飽和砂質土の体積ひずみにおける含水比の影響
図 3-15 鹿島海浜砂とKK発電所埋戻土の締固め曲線
試験条件および繰返し回数 20 回時の体積ひずみv_N20および 50 回時の体積ひずみv_N50
を表 3-6に示す.また,繰返し回数と体積ひずみの関係を図 3-16に示す.初期含水比w0=10,
15,20% 全てのケースにおいて,繰返し回数の増加にともなって体積ひずみが増加するこ
と,また,せん断応力比が大きいほど体積ひずみの増加率も大きいことが認められる.し かし,初期含水比が変化しても体積ひずみの発生量は余り変わらず,この点,KK 発電所 の埋戻土の場合(図 3-13)とは異なる.
表 3-6 試験条件と繰返し回数20回時および50回時の体積ひずみ(鹿島海浜砂)
※KK発電所埋戻土:ρd0=1.6g/cm3(Dc=90%程度), w0=10,20%, σm'=100kPa, τd/σm'=0.26,0.39,0.52,0.60
1.50 1.55 1.60 1.65 1.70 1.75 1.80 1.85 1.90
5 10 15 20 25
乾燥密度ρd(g/cm3)
含水比w (%)
ゼロ空気間隙曲線
(ρs=2.68g/cm3) 鹿島海浜砂
ρdmax=1.634g/cm3 wopt =15.3%
KK発電所 埋戻土
ρdmax=1.802g/cm3 wopt =14.5%
試料番号 初期乾燥密度 初期含水比 拘束圧 せん断応力比 体積ひずみ ρd0(g/cm3) w0(%) σm'(kPa) τd/σm' εv_N20(%) εv_N50(%) KA-1-1 1.48 9.9 50 0.20 0.40 0.49 KA-1-2 1.48 9.7 50 0.40 1.20 1.37 KA-1-3 1.49 9.5 50 0.58 1.97 2.60 KA-2-1 1.48 14.7 50 0.20 0.23 0.32 KA-2-2 1.48 14.9 50 0.40 0.94 1.14 KA-2-3 1.48 14.8 50 0.55 1.65 2.25 KA-3-1 1.48 19.9 50 0.20 0.31 0.45 KA-3-2 1.49 18.9 50 0.39 0.78 0.94 KA-3-3 1.49 18.9 50 0.52 1.85 2.61
(a) 初期含水比w0=10%
(b) 初期含水比w0=15%
(c) 初期含水比w0=20%
図 3-16 繰返し回数と体積ひずみの関係(鹿島海浜砂)
0 1 2 3 4 5 6 7
0 10 20 30 40 50
体積ひずみεv (%)
繰返し回数N 試料KA-1-1
試料KA-1-2 試料KA-1-3
0 1 2 3 4 5 6 7
0 10 20 30 40 50
体積ひずみεv (%)
繰返し回数N 試料KA-2-1
試料KA-2-2 試料KA-2-3
0 1 2 3 4 5 6 7
0 10 20 30 40 50
体積ひずみεv (%)
繰返し回数N 試料KA-3-1
試料KA-2-2 試料KA-2-3
初期乾燥密度ρd=1.48~1.49g/cm3 初期含水比 w0=9.5~9.9%
拘束圧 σm'=50kPa
初期乾燥密度ρd=1.48g/cm3 初期含水比 w0=14.7~14.9%
拘束圧 σm'=50kPa
初期乾燥密度ρd=1.48~1.49g/cm3 初期含水比 w0=18.9~19.9%
拘束圧 σm'=50kPa
鹿島海浜砂における初期含水比 w0と繰返し回数 20回時の体積ひずみv_N20および 50回 時の体積ひずみv_N50の関係を図 3-17に,KK発電所埋戻土における同関係を図 3-18に示 す.鹿島海浜砂では,初期含水比w0=10,15,20%のいずれのケースにおいても,同等の せん断応力比条件下での繰返しせん断時の体積ひずみ量はほぼ同等である.わずかに下に 凸形状の傾向を示すようにもみられる.一方,KK 発電所埋戻土においては,同等のせん 断応力比のもとで繰返しせん断した時の体積ひずみは,初期含水比w0=20%のケースの方 が初期含水比w0=10%のケースに比べて大きく,その傾向はせん断応力比が大きいほど顕 著であることがわかる.
図 3-17 初期含水比と繰返し回数20回時および50回時の 体積ひずみの関係(鹿島海浜砂,拘束圧σm'=50kPa)
図 3-18 初期含水比と繰返し回数20回時および50回時の 体積ひずみの関係(KK発電所埋戻土,拘束圧σm'=100kPa)
両地点の試料におけるこのような相違について,締固め特性と対比して以下に考察する.
図 3-15 に示した締固め曲線より,両地点の試料における最適含水比 woptは 15%程度で ほぼ同等であるが,最大乾燥密度dmaxが異なり締固め特性に大きな差異があることがわか
0 1 2 3 4 5 6 7
5 10 15 20 25
体積ひずみεv_N20 (%)
初期含水比w0 (%) せん断応力比0.20
せん断応力比0.39~0.40 せん断応力比0.52~0.58
0 1 2 3 4 5 6 7
5 10 15 20 25
体積ひずみεv_N50 (%)
初期含水比w0 (%) せん断応力比0.20
せん断応力比0.39~0.40 せん断応力比0.52~0.58
0 1 2 3 4 5 6 7
5 10 15 20 25
体積ひずみεv_N20 (%)
初期含水比w0 (%) せん断応力比0.26
せん断応力比0.39~0.41 せん断応力比0.52 せん断応力比0.60~0.62
0 1 2 3 4 5 6 7
5 10 15 20 25
体積ひずみεv_N50(%)
初期含水比w0 (%) せん断応力比0.26
せん断応力比0.39~0.41 せん断応力比0.52 せん断応力比0.60~0.62
る.
本論で実施している繰返しせん断試験と締固め試験はともに,不飽和土試料に対する排 気排水条件下における体積収縮挙動をみている点で同様である.すなわち,繰返しせん断 時の体積収縮特性と締固め特性とは類似した現象を捉えているものと考えられる.
鹿島海浜砂の締固め曲線は,KK 発電所の埋戻土の締固め曲線に比べて平坦であり,こ れは,含水比の変化に対して乾燥密度の変化の感度が小さいことを示しており,間隙比の 変化の感度が小さいことと等価である.繰返しせん断による間隙比の変化と発生体積ひず みの感度も対応している.したがって,含水比の変化に対する繰返しせん断による体積ひ ずみ発生の応答は小さいものと考えられる.
鹿島海浜砂およびKK発電所埋戻土において,初期含水比を変化させた供試体を用いて 排気排水条件の中空ねじり繰返しせん断試験を実施し,それぞれの体積ひずみ量を比較,
考察した結果から,締固め曲線が鋭い砂質土ほど含水比を変化させた時の繰返しせん断に よる体積収縮特性の変化が大きいことがわかった.このことは,締固め曲線の形状から,
地震時に地盤沈下が生じやすいか否かを判定できることを示している.