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異なる地点における不飽和砂質地盤の体積ひずみの比較

第3章 不飽和砂質地盤の地震時沈下メカニズム

3.2 室内試験による検討

3.2.2 異なる地点における不飽和砂質地盤の体積ひずみの比較

繰返しせん断を受けた際の不飽和砂質地盤の体積収縮特性が地盤材料ごとに異なること は容易に想像できる.ここでは,2 地点の不飽和砂質土の繰返しせん断による体積ひずみ を比較し,その相違について考察する.

(1) 比較対象とした不飽和砂質土

対象としたのは2地点の不飽和砂質土である.一方は東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電 所(以下,KK 発電所)の原子炉建屋周辺の埋戻土として,他方は火力発電所(以下,B 地点)の液化天然ガス貯蔵地下タンク周辺の埋戻土として使用されている.建屋やタンク の設置レベル付近においては,施設に対する揚圧力(浮力)を減じるために地下水が排水 されており,いずれの埋戻し地盤も不飽和状態にある.

両地点の砂質土の物理特性一覧を表 3-2に,粒径加積曲線を図 3-9に示す.B地点の砂 質土の細粒分含有率(Fc),細砂(0.075~0.25mm径)含有率,均等係数(Uc)および曲率係数 (Uc’)は,KK発電所の砂質土と比べて大きい.突固めによる締固め試験における最大乾燥 密度については,B地点の砂質土はKK発電所の砂質土に比べて小さい.

表 3-2 KK発電所およびB地点の砂質土の物理特性の比較 KK発電所 B地点 試料①,② 土粒子の密度 ρs (g/cm3) 2.689 2.708, 2.712

最大間隙比 emax 1.039 未計測 最小間隙比 emin 0.594 未計測 均等係数 Uc 2.79 8.35, 8.20 曲率係数 Uc’ 1.58 3.03, 3.11 平均粒径 D50 (mm) 0.2517 0.2082, 0.1722 最大乾燥密度 ρdmax (g/cm3) 1.802 1.665, 1.597

最適含水比 wopt (%) 14.5 14.2, 19.2

図 3-9 KK発電所およびB地点の砂質土の粒径加積曲線の比較

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0.001 0.01 0.1 1 10 100

粒  径   (mm)

通過質量百分率 (%)

A地点

 ・細粒分含有率Fcの平均:6.1%

 ・均等係数Ucの平均:2.79 B地点:試料①

 ・細粒分含有率Fc=17.0%

 ・均等係数Uc=8.20 B地点:試料②

 ・細粒分含有率Fc=14.5%

 ・均等係数Uc=8.35

KK 発電所

(2) 中空ねじり繰返しせん断試験の条件と試験ケース

2 地点それぞれの現地における諸条件を考慮し,含水比および乾燥密度を目標に作製し た供試体(外径 70mm,内径30mm,高さ70mm)に対し,中空ねじりせん断試験機(二重 セル式装置)により排気排水条件下で繰返しせん断(応力制御方式,0.1Hzの正弦波加振)

を与え,その際の体積収縮量を測定する試験を実施した.

KK発電所の不飽和砂質土供試体は2007年新潟県中越沖地震後の現地調査および各種室 内試験の結果から,現地の埋戻し地盤の平均的な状態を考慮して,初期乾燥密度 ρd0 = 1.60g/cm3,初期含水比w0 =20%を目標に作製した.B地点の不飽和砂質土供試体は突固め による締固め試験における最大乾燥密度の平均値(1.62g/cm3)に対して締固め度95%を勘 案し,初期乾燥密度ρd0 =1.54g/cm3,初期含水比w0 =15%を目標に作製した.

両地点とも,試験における平均拘束圧 σmは埋戻し地盤の深さ(15~25m 程度)を考慮 して σm=50,100,300 kPaの3種類とし,各々の拘束圧に対してせん断応力比τdmを4種 類変えた12個の供試体について実施した.KK発電所の不飽和砂質土の試験ケース一覧を 表 3-1(前出)に,B地点の不飽和砂質土の試験ケース一覧を表 3-3に示す.

表 3-3 B地点:繰返しせん断試験 ケース一覧

-供試体初期状態(ρd0 =1.54g/cm3,w0 =15%)-

載荷方式 (せん断荷重の種類)

試験 番号

拘束圧 σ'm (kPa)

圧密後 乾燥密度

(g/cm3)

最大せん断 応力比 SRd = τd /σ’m

応力制御 (正弦波加震

0.1Hz)

B1-1

50

1.553 0.20

B1-2 1.552 0.35

B1-3 1.553 0.52

B1-4 1.553 0.60

B2-1

100

1.574 0.20

B2-2 1.560 0.34

B2-3 1.560 0.54

B2-4 1.559 0.63

B3-1

300

1.572 0.21

B3-2 1.574 0.38

B3-3 1.572 0.50

B3-4 1.564 0.60

(3) 両地点における繰返しせん断による体積収縮特性の比較

KK 発電所およびB地点の不飽和砂質土試料に対して実施した正弦波荷重による中空ね じり繰返しせん断試験結果それぞれ 4 例を図 3-7(KK 発電所:前出)および図 3-10(B 地点)に示す.

図 3-7(KK発電所:前出)については前項で述べた.

図 3-10より,B地点の不飽和砂質土の体積収縮特性は,KK発電所の不飽和砂質土のそ れとほぼ同様の傾向が認められる.ただし,同じ拘束圧のもと同等のせん断応力比を受け た条件においては,B 地点の不飽和砂質土の体積収縮量はKK 発電所のそれに比べて小さ い.

図3-10(1) 中空ねじり排水繰返しせん断試験結果の例

(B地点:試験番号B2-1,σm’ = 100kPa,SRd = 0.20)

-50 -25 0 25 50

-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 せん断ひずみ γ (%) せん断応τd (kN/m2 )

繰返し回数 N (回)

-80 -400 40 80

0 20 40 60 80 100 120 140

せん断応 τd (kN/m2 )

-0.4 -0.20.0 0.2 0.4

0 20 40 60 80 100 120 140

せん断ひ γ (%)

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

0 20 40 60 80 100 120 140

体積ひず ε (%)

     N= 1~ 20回      N= 21~ 50回      N= 51~100回      N=101~150回

図3-10(2) 中空ねじり排水繰返しせん断試験結果の例

(B地点:試験番号B2-3,σm’ = 100kPaSRd = 0.54) -100

-50 0 50 100

-2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 せん断ひずみ γ (%) せん断応τd (kN/m2 )

繰返し回数 N (回)

-80 -40 0 40 80

0 20 40 60 80 100 120 140

せん断応力 τd (kN/m2 )

-2 -10 1 2

0 20 40 60 80 100 120 140

せん γ (%)

0 5 10

0 20 40 60 80 100 120 140

体積ひ ε (%)

     N= 1~ 20回      N= 21~ 50回      N= 51~100回      N=101~150回

図3-10(3) 中空ねじり排水繰返しせん断試験結果の例

(B地点:試験番号B1-3,σm’ = 50kPaSRd = 0.52) -100

-50 0 50 100

-2.0 -1.0 0.0 1.0 2.0 せん断ひずみ γ (%) せん断応τd (kN/m2 )

繰返し回数 N (回)

-80 -400 40 80

0 20 40 60 80 100 120 140

せん断応力 τd (kN/m2 )

-2 -10 1 2

0 20 40 60 80 100 120 140

せん断ひ γ (%)

0 5 10

0 20 40 60 80 100 120 140

体積ひ ε (%)

     N= 1~ 20回      N= 21~ 50回      N= 51~100回      N=101~150回

図3-10(4) 中空ねじり排水繰返しせん断試験結果の例

(B地点:試験番号B3-3,σm’ = 300kPaSRd = 0.50)

繰返し回数50回までの体積ひずみの推移について,拘束圧ごとに整理して図 3-8(KK 発電所:前出)および図 3-11(B地点)に示す.これらから,KK発電所の不飽和砂質土 および B地点の不飽和砂質土ともに,いずれの拘束圧条件下でも繰返し回数およびせん断 応力比(SRd = τd /σ’m)の増加にともなって体積ひずみが増加することがわかる.

-200 -100 0 100 200

-4.0 -2.0 0.0 2.0 4.0 せん断ひずみ γ (%) せん断応τd (kN/m2 )

繰返し回数 N (回)

-200 -100 0 100 200

0 20 40 60 80 100 120 140

せん断応力 τd (kN/m2 )

-2 -10 1 2

0 20 40 60 80 100 120 140

せん断ひ γ (%)

0 5 10

0 20 40 60 80 100 120 140

体積ひ ε (%)

     N= 1~ 20回      N= 21~ 50回      N= 51~100回      N=101~150回

(a) σ’m = 50kPa (b) σ’m =100kPa

(c) σ’m =300kPa

図 3-11 B地点:拘束圧ごとの繰返し回数と体積ひずみの関係

ρd0 =1.54g/cm3w0 =15%)

KK発電所とB地点それぞれの不飽和砂質土におけるせん断応力比と体積ひずみの関係 について,繰返し50回時と繰返し載荷終了時(試料により195~200回時で,最大(残留) 体積ひずみが生じている)を比較して図 3-12に示す.KK発電所において拘束圧の大きさ に応じた体積ひずみの大小関係に多少の逸脱が認められ,ばらつきが大きいのは先に述べ たとおりである.しかし,いずれの拘束圧条件下でも,繰返し回数およびせん断応力比の 増加にともなって体積ひずみが増加することが両地点ともに明瞭に認められる.

一方,同じ拘束圧かつ同じせん断応力比であっても両地点の体積ひずみ量には相違が認 められ,この相違はせん断応力比が大きいほど顕著である.

(a) 繰返し 50回時

(b) 最大(残留)時

図 3-12 せん断応力比と体積ひずみの関係,KK発電所とB地点の比較 (4) 考察:両地点における体積ひずみ量の相違について

KK 発電所およびB地点双方の不飽和砂質土試料の体積ひずみについて,せん断応力比 (SRd )0.50~0.55の範囲のデータを用いて比較した結果を表 3-4に示す.同表より,B地点 の不飽和砂質土試料はKK 発電所のそれに比べて体積ひずみ量が小さく,沈下しにくいこ とがわかる.

表 3-4 KK発電所およびB地点の不飽和砂質土試料の 体積ひずみの比較(繰返し載荷50回時)

KK発電所 B地点

σ’m =50kPa SRd =0.50 εv≒5.1% σ’m =50kPa SRd =0.52 εv≒1.4%

σ’m =100kPa SRd =0.50 εv≒3.5% σ’m =100kPa SRd =0.54 εv≒2.0%

σ’m =300kPa SRd =0.55 εv≒5.5% σ’m =300kPa SRd =0.50 εv≒2.3%

図 3-9 に示したように,B 地点の不飽和砂質土試料における細粒分含有率(Fc),細砂 (0.075~0.25mm径)含有率および均等係数(Uc)は,KK発電所のそれらと比べていずれも大 きい.均等係数の大きさは粒度曲線の傾度を示し,この値が大きいほど粒度分布の幅が広 いことを示す.B 地点の不飽和砂質土試料は,KK 発電所のそれに比べて粒度分布の幅が 若干広く,相対的に締固めのしやすい土質材料であると言える.そのため,密度調整供試 体を作製する段階において,B地点の不飽和砂質土試料はKK 発電所のそれに比べて相対 的に締め固まっていた可能性も考えられる.緩い砂に比べて良く締固められた砂では,繰 返しせん断を与えた場合の体積収縮量は小さくなる.

また,KK 発電所およびB地点双方の不飽和砂質土試料における体積ひずみの生じ方の 違いには,作製供試体の初期含水比が異なる(KK発電所:20%,B地点:15%)ことも影 響している可能性が考えられる.図 3-13はKK発電所の不飽和砂質土試料において異なる 初期含水比の供試体を作製し,それ以外の条件はほぼ同一として繰返しせん断試験を実施 した場合の体積ひずみの比較である.初期含水比が小さいケースの方が体積ひずみの発生 量が小さいことがわかる.B 地点の不飽和砂質土試料はKK 発電所のそれに比べて初期含 水比が小さく,こうしたことも体積ひずみ量が小さいことの要因となっている可能性があ る.繰返しせん断時の体積ひずみに及ぼす含水比の影響については,次項で再考する.

(a) 初期含水比10% (b) 初期含水比20%

図 3-13 異なる初期含水比による体積ひずみの相違(KK発電所,目標乾燥密度 1.6(g/cm3)で作製,拘束圧100kPaの条件で試験を実施した結果)

0 1 2 3 4 5 6

0 10 20 30 40 50

繰返し回数 N

体積ひず  εv (%)

w=10% (1),SRd=0.27 w=10% (2),SRd=0.41 w=10% (3),SRd=0.52 w=10% (4),SRd=0.63

0 1 2 3 4 5 6

0 10 20 30 40 50

繰返し回数 N 体積ひずみ  εv (%)

w=20% (1),SRd=0.26 w=20% (2),SRd=0.39 w=20% (3),SRd=0.52 w=20% (4),SRd=0.60