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等体積ひずみ曲線の設定

第4章 不飽和砂質地盤の地震時沈下量推定手法の提案

4.2 不飽和砂質地盤の地震時沈下量推定手法の提案

4.2.1 等体積ひずみ曲線の設定

不飽和砂質地盤の地震時沈下量の推定にあたっては,初めに繰返しせん断試験より得ら れた体積ひずみ特性を実験式として設定する.KK発電所不飽和砂質土の中空ねじり繰返し せん断試験結果を図4-2に示す(図3-8の再掲).

(a) σ’m= 50 kPa (b) σ’m= 100 kPa

(c) σ’m= 300 kPa

図4-2 拘束圧ごとの繰返し回数と体積ひずみの関係(図3-8の再掲)

体積ひずみ(εv)が等しくなるような繰返し回数(N)とせん断応力(τd)の関係(以下,等体 積ひずみ曲線と称す)を拘束圧ごとに整理して図4-3に示す.図中には等体積ひずみ曲線を べき乗関数で近似(曲線回帰)した実験式(4.1)を示している.

B v

d A

  ANa B

Nb (4.1)

ここに,εv:体積ひずみ(%),τd:せん断応力(kPa),N:繰返し回数(回) ,αaβb : 回帰係数である.

(a) σ’m= 50 kPa (b) σ’m= 100 kPa

(c) σ’m= 300 kPa

図4-3 拘束圧ごとの等体積ひずみ曲線(KK発電所:不飽和砂質土)

拘束圧ごとの等体積ひずみ曲線の設定手順は図 4-4および以下に示すとおりである.

手順①:

中空ねじり繰返しせん断試験結果より,繰返し回数ごとにせん断応力と体積ひずみの関 係を読み取る.体積ひずみは載荷初期に大きく生じることから,正弦波1サイクル目は細 かなステップで読み取る.例えば,N = 0.2, 0.3, 0.5, 0.8回などに相当する時点(0.1Hz, 10 秒で1サイクルであるから,それぞれ2, 3, 5, 8秒時点)の体積ひずみ値を読み取る.同様 に N =1, 2, 5, ・・・, 10, 20, ・・・, 100, 200回の値を読み取る.今回の試験ではせん断応力を 4段階変化させて実施していることから,繰返し回数ごとに(τd , εv)のデータが4組ずつ存 在する.

0 10 20 30 40 50

0.1 1.0 10.0 100.0

断応力τd[kN/m2]

繰返し回数 N [回]

εv = 0.5 % εv = 1.0 % εv = 2.0 % εv = 3.0 % εv = 4.0 %

τ = AεvB A = 27.8N-0.217 B = 0.329N-0.031

回帰曲線 試験結果

0 20 40 60 80 100

0.1 1.0 10.0 100.0

せん断応力τd[kN/m2]

繰返し回数 N [回]

εv = 0.5 % εv = 1.0 % εv = 2.0 % εv = 3.0 % εv = 4.0 %

τ = AεvB A = 61.2N-0.215

B = 0.386N-0.040 回帰曲線 試験結果

0 50 100 150 200 250

0.1 1.0 10.0 100.0

せんτd[kN/m2]

繰返し回数 N [回]

εv = 0.5 % εv = 1.0 % εv = 2.0 % εv = 3.0 % εv = 4.0 %

τ = AεvB A = 145.N-0.190

B = 0.351N0.012 回帰曲線 試験結果

手順②:

繰返し回数ごとの(τd , εv) データ4組から,関数τd =A・εvB における係数 A, B を最小二乗法 によって求める.

手順③:

(繰返し回数N,係数A) データから,A= αN a における係数αaを最小二乗法によっ て求める.同様に(繰返し回数N,係数B) データから,B= βN b における係数βb を 求める.

以上の手順に従って,3段階の拘束圧ごとにそれぞれ式(4.1)に基づく等体積ひずみ曲線が 求まることになるが,沈下量推定を行うに際して拘束圧ごとに異なる等体積ひずみ曲線式 を用いることは煩雑である.そこで,これら3つの異なる等体積ひずみ曲線式を統一的に表 記することを試みる.

各実験式の回帰係数を整理して表4-1に示す.4つの回帰係数のうち,a,β,b の3つの係 数については多少のばらつきは認められるものの概ね同様の値を示している.一方,回帰 係数α については図4-5に示すような拘束圧依存性が認められる.そこで,aβb の3つ の係数については平均値とし,α に関する拘束圧依存式を導入して等体積ひずみ曲線式を 再整理すると式(4.2)を得る.

 

0199 .

355 0

. 0

1 207 .

81 0

. 9 ' 464 . 0



 

  N

m d

v

N

 

(4.2)

図 4-4 拘束圧ごとの等体積ひずみ曲線の設定手順概念図

手順

係数A, Bに関する 回帰計算

手順

係数α, aおよび係数β, bに関する回帰計算

ここに,εv:体積ひずみ(%),τd:せん断応力(kPa),σ’m:平均拘束圧(kPa),N:繰返し回数 (回)である.

式(4.2)に基づく等体積ひずみ曲線を図4-6に示す.元の拘束圧ごとに設定した等体積ひず み曲線(図4-3)を損なうことなく,拘束圧依存性を加味した統一的な表記が可能であること が確認できる.

表 4-1 拘束圧ごとの等体積ひずみ 曲線式の回帰係数

拘束圧 σ’m (kPa)

α

(kPa) a β b

50 27.8 -0.217 0.329 -0.031

100 61.2 -0.215 0.386 -0.040 300 145.0 -0.190 0.351 0.012

図 4-5 等体積ひずみ曲線における 回帰係数αの拘束圧依存性

(a) σ’m=50 kPa (b) σ’m=100 kPa

(c) σ’m=300 kPa

図 4-6 式(4.2) に基づく等体積ひずみ曲線(KK発電所:不飽和砂質土)

α = 0.4637σm+ 9.8125

0 20 40 60 80 100 120 140 160

0 100 200 300

係数α

拘束圧σm[kPa]