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第 3 グループの生徒 C

第 5 章 分析結果と考察

5.2 質的分析

5.2.5 ケース・スタディ

5.2.5.3 第 3 グループの生徒 C

最後に、第3グループの生徒のポートフォリオである。表28が、ポートフォリオの記述 についてまとめたものである。実際のポートフォリオを、付録7-3に掲載した。

表28

ポートフォリオのまとめ(生徒C)

ポートフォリオ

ポートフォリオ② ポートフォリオ③ ポートフォリオ④

150

・スラッシュを入 れ

・段落分け 段落に分け、そ

れぞれの段落ご とに要約を書く

・キーワードに着 目する

キーワードを□

で囲み、文構造 が何かを考える

・下線引き 分からない単語

や表現に下線を 引く

・疑問をもちなが ら読む

疑問に感じた箇 所に下線を引く

・スラッシュを入 れ

・段落分け 段落に分け、そ

れぞれの段落ご とに要約を書く

・キーワードに着 目する

キーワードを□

で囲み、文構造 について図に描 いてまとめる

・分からない単語 に下線を引く 分からない単語

や重要なキーワ ードに下線を引 く

・段落分け

・キーワードに着 目

する

キーワードに下 線

を引く

内容を理解する た

・文構造に着目す る

文構造を図に描 く

・キーワードを□

で 囲む

文の構造を知る た

・下線引き 分からない単語

や分からない箇 所に下線を引く

・ペアに対して発 問する

テクストに答えが 明

・段落分け 段落に分け、そ

れぞれの段落ご とに要約を書く

・下線引き キーワードに下

線を引く

・時系列に沿って 文をまとめる 年号に下線を引

き、その時代に 起こったことを まとめる

・ペアに対して発 問する

テクストに答え が明示的に載っ ている質問。テ クストの内容に 沿って推論を必 要とする質問。

相手の意見を引 き出すような質 問。テクストの 内容について理 解できたかを確 認する質問

151

示的に載っている 質

問。テクストの内 容

に沿って推論を必 要

とする質問。相手 の

意見を引き出すよ う

な質問。テクスト の

内容について理解 で

きたかを確認する 質

表29

データ分析(生徒C)

データ The Critical Reading Inventory 方略に関するアンケート

実践前→実践後 5→10 2.7→2.9

この生徒は、第 1 グループの生徒とペアを組んでいる。実践直後のポートフォリオを見 ると、第1グループの生徒の書き込みが多く見られる。しかし、回が進むにつれ、この生徒 の書き込みが増え、方略についての使用が定着しているようであった。データの変化を見て

152

も、The Critical Reading Inventory全体のスコアが実践後に伸びており、retelling以外は 全て向上していた。これまで、このようなタイプの質問に慣れていないことが、その理由で ある。実践の中で、様々なタイプの発問をすることを学び、post-test では、テクストと自 分の考えを照らし合わせながら答えられていた。第 3 グループの生徒は、グループ全体に おいて先に述べたように、critical response項目において点数の伸びが顕著であった。この ケース・スタディの生徒Cもやはりpost-testでのcritical response項目で点数が伸びてい た。ポートフォリオを確認すると、テクストの内容について理解出来たか確認する発問が、

3回目と4回目で確認出来た。第2グループの生徒B と同じく、この生徒もメタ認知的発 問を行うことにより、テクストの内容について理解出来たか、他に方法はないか等、評価し ながらテクストを読むというクリティカル・リーディングが出来るようになった。

読解後に記入させたReflection sheetを分析すると、Reflection sheet①では、「○で囲む」

という方略について効果的ではなかったと振り返っている。「あまり気にしなかった」とい うのが、効果的でないと感じた理由であった。その後、別のテクストを用いて読解をさせ、

Reflection sheet②で再度、振り返りをさせた。この際、使用した方略について、Reflection

sheet①で効果的ではなかったと感じた、「○で囲む」という方略を再び使用していた。しか

し、Reflection sheet②では、その方略の使用が効果的であったと感じていた。その方略を 使った理由について、Reflection sheet①では、「重要語をくくる」と書かれている。一方、

Reflection sheet②では、「(順接・逆説・比較など)の重要語を明確にする」と記述してい

る。Reflection sheetを通した振り返りの中で、どうすれば方略が効果的に作用するのかに ついて考え、改善が行われたことが窺える。

この第3グループの生徒Cは、post-testにおいて全体的に点数が向上している。解答用 紙を見ると、post-testでは空欄が目立っていたが、post-testでは、最後の2問を除いて全 て解答していた。これは、先のReflection sheetの記述についての分析で述べたように、文 構造への意識が高まったことによって、テクスト全体の内容を理解出来るようになったか らだと言える。また、pre-testでは、どのようにcritical responseの質問項目に答えて良い のかが分からなかったことが、インタビューの結果から判った。しかし、実践を通して、テ クストに対して自分の意見を整理することに慣れていくことで、post-test での点数が向上 したと言える。この生徒Cのretellingは下記の表30の通りである。

153 表30

Retellingの変化(生徒C)

Pre-test Post-test

狼についての伝説や昔話などたくさん ある。「赤ずきん」などの話もあり、狼は危 険でずる賢くて、トリッキーだと思ってい る人も多いが、実際は食べられたりするこ ともない。

狼は2~10匹の群れで行動している。そ の中に責任を持つ狼もいる。

狼の遠吠えは、人々はぞっとするが、実 は狼たちの非常に複雑なコミュニケーシ ョンの手段である。

毎年アメリカでは、サメに被害などが起 こっている。ではなぜ、サメは人に攻撃し てくるのだろうか。その理由の一つに、い くつかのサメは誤って攻撃していること が考えられる。それは、人々が日焼けした 状態で海へ潜った時の水中での影がサメ の大好物であるセイウチやアザラシのよ うに見えたり、魚のような形に見えている からである。

この生徒Cは、他の生徒A、Bと比べて、retellingの量が少ない。Post-testにおいても あまり量に変化は見られない。Macro pointとmicro pointについても、pre-testと post-testにおいて変化しなかった。先に分析したように、Reflection sheetから文構造への意識 が高まったことが窺えた。しかし、retellingではその変化が表れなかった。

実践前と後とに実施した方略に関するアンケートを分析すると、文の構成を理解するた めに、つなぎの言葉等に着目していることが窺える(2→4)。この点については、先に述べた

Reflection sheetの分析でも、方略の使用目的がはっきりしていることが確認出来る。

この生徒の、個人での読解におけるポートフォリオへの書き込みは表 31 の通りである。

表31

個人でのポートフォリオ(生徒C)

個人でのポートフォリオ

154 スラッシュ

キーワードに着目する 段落分けと要約

文の全体を理解するため 下線引き

文を理解するために必要な単語に下線を引く 疑問に感じた箇所に下線を引き、?マークをつける 書き込みを色分けする

文構造に着目する 例示・例文 発問

読解中に疑問に感じたことを、書き込む

text-based, inference, critical reading、メタ認知的発問

更に、この生徒は、個人の読解でのポートフォリオへの書き込みを、いくつかの色を用い て行っている。この点が特徴的であったためインタビューで尋ねた。色分けは、それぞれ発 問、文構造といったように、書き込みの種類ごとに行っていたとのことであった。方略につ いても、ペアの読解で使用した方略を個人の読解でも使用することが出来ていた。