第 5 章 分析結果と考察
5.2 質的分析
5.2.3 個人での読解の分析
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換したことも窺える。クリティカル・リーディングである、テクストに対する自分の意見を 表し、更にそれを他者と話し合うという活動を行うことが出来ている。また、メタ認知的活 動である、自分の意見について振り返り、必要であれば軌道修正を行うことも出来ているこ とが判る。回を追うごとに、生徒が本研究におけるペア活動について理解し、これまでの単 語の教え合いにとどまらず、クリティカル・リーディングを行っていることが判った。
本研究では、回を追うごとに発問をポートフォリオに書き込む生徒が増えた。また、発問 の方略について指導により、text-basedの発問に留まらず、推論を必要とするものや、クリ ティカル・リーディングに繋がる発問を行うことが出来るようになった。この発問が、相手 の意見を引き出し、相手の意見を聞いて、お互いに意見を交換することによって、自分自身 の読解過程や内容理解について振り返る、メタ認知的活動が可能になっている。
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に行い、整理をしながら読解を行っていることが、ポートフォリオから判る。このよう に、ペアでの読解で身につけてきた方略を個人での読解でも使い、更に自分なりに分かり やすく工夫してまとめていることがポートフォリオを分析することにより確認出来た。
更に、ペアでの読解時と同じように、下線引きやキーワードへの印つけ、スラッシュ・
リーディングは定着していることも判る。段落要約は、ペアでの読解において使用するペ アが増えてきた方略である。個人での読解においても、身についた方略を使うことが出来 ていると言える。
個人で作成したポートフォリオをKeyGraphで分析した(図19)。スラッシュを入れる、
段落に分ける、文構造に着目するというような、ペアとの読解で用いた方略を、個人の読解 においても使用していることがポートフォリオから窺えた。また、その使用理由についても、
段落に分けることによって、その段落の内容が分かり易くなるだけでなく、文全体に対する その段落の果たす役割についても考えていることが判った。また、疑問に感じた点に下線や 印をつける箇所についても、ペアでの活動で用いた方略である。特に、この疑問に感じた点 に印をつけるという方略や、疑問に感じたことをテクストに書き込むという方略は、ペアで の読解時よりも多く使用されていた。また、登場人物の行動について、自分ならどうするか、
テクストの内容について理解出来たかというような、自問自答も見られ、ペアでの読解で行 ってきた発問の方略を、個人の読解でも使用出来ている。
図19 ポートフォリオにおけるKeyGraph分析(個人での読解)
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個人での読解において、自己評価に加えて、個人で作成したポートフォリオをペアで交 換して評価し合う相互評価の時間を設けた。この活動を通して、自分とは違う方略使用に 気づいたり、改善すべき点があれば指摘したりする。単に、“いいと思う”等の感想では な
く、どこが良かったのか、自分とは違う特徴的な点はどこか、どの点を改善すればもっと 良くなるかという観点から評価することを心掛けさせた。ペアに対する、コメントは次の 表19の通りである。
表19
ペアによる相互評価
スラッシュがあり、大事な部分は囲んであったりして良い。
ちゃんとまとめられるように段落に分けて和訳出来ている。
分からないところはチェックしている。
段落ごとに分かり易くまとまっている。
絵がもっと見たい。
全文訳じゃなくて、もう少しアバウトに考えるようにもすればいいと思うよ。
疑問とか書いているのは良い。
キーワードに○してるのは良い。
図を描くと良い。
よくまとめているけど、文字があちこちにあって少し読みにくいです。
絵や図で分かり易いです。
ちゃんとキーワードも書かれていて良い。
お手本、参考にしたい。
整理が見易い。
あとから見ても分かり易いと思う。
スラッシュを入れるといいと思う。
絵が分かり易い。
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文の構造とか、要約を書き出しているのがいいと思う。
自問自答することが不足している。
重要なポイントを書き出すことが不足している。
気になった所から線を引っ張って書いているのは、後から思い出し易いと思います。
全体的に書き込みは多いんだけど、若干見づらくなるかもしれないです。
もっと書き込みをしよう。
要約を書くと良いと思われる。
色で分けていて、分かり易いです。
図もあって良かったです。
全文訳しちゃいけないというのを分かっているので大丈夫だと思います。
年号が出てきた時は、印をつけた方がまとめやすくなると思う。
ポイントとなっていそうな部分を囲ってあり(私より)、すごいな~と思いました。
絵や図で簡単にまとめちゃえば、文章書くより早くまとめられると思う。
文の構成を考えているのがいい。
流れがつかめている。
文中から疑問点をたくさん見つけ出せている。
要約も、絵などを使ってとても分かり易くまとめている。
文章にもっとスラッシュをつけて、更に細かく読み込んでいく必要があると思った。
名詞にも線を引いた方が良いと思う。
分からない単語など、抜き出すと良いと思います。
段落ごとに訳をした方が、文章が分かり易いと思った。
本文の内容を推測している。
ペン使うの、いいね。
相互教授法の目的である、お互いに分からないところを教え合う、自分の活動について 振り返るということが、お互いのポートフォリオを評価し合うことによって可能になって いる。上の記述には、ペアのポートフォリオを見て参考にしたいと感じた生徒や、見習い
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たいというコメントもあった。この、参考にしたい、見習いたいとペアが感じている生徒 のポートフォリオには、方略などが丁寧に書き込まれており、理解度も高いことが判っ た。このように、自分が気づかなかった点に気づくということは勿論、教師ではなく他の 生徒の良い所を吸収するということが、相互教授法においては重要である。生徒同士で感 想を言わせると、相手に気をつかって、良い点のみコメントする傾向にある。この相互評 価を行う前には、意義を伝え、効果的な読解が出来るようになるために、適切に評価をす ることを確認した。ペアの良い点は取り入れて自分のものとし、修正した方が良いと思わ れる点については指摘をして、ペアの読解過程の改善に寄与するよう指導した。