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第 2 グループの生徒 B

第 5 章 分析結果と考察

5.2 質的分析

5.2.5 ケース・スタディ

5.2.5.2 第 2 グループの生徒 B

表24は、第2グループの学習者のポートフォリオである。この生徒のポートフォリオは、

付録7-2に掲載した。

144 表24

ポートフォリオのまとめ(生徒B)

ポートフォリオ① ポートフォリオ② ポートフォリオ③ ポートフォリオ④

・スラッシュを入 れ

・段落分け 段落に分け、そ

れぞれの段落ご とに要約を書く

・キーワードに着 目する

キーワードを□

で囲み、文構造 が何かを考える

・下線引き 分からない単語

や表現に下線を 引く

・疑問をもちなが ら読む

疑問に感じた箇 所に下線を引く

・スラッシュを入れ る

・段落分け

段落に分け、それ ぞれの段落ごとに 要約を書く

・キーワードに着目 する

キーワードを□で 囲み、文構造につ いて図に描いてま とめる

・分からない単語に 下線を引く 分からない単語や

重要なキーワード に下線を引く

・分からない単語 に?マークをつけ る

・スラッシュを入れ る

・段落分け

・キーワードに着目 する

キーワードに下線 を引く

・文構造に着目する 文構造を絵に描く

・キーワードを□で 囲む

・下線引き

分からない単語や 分からない箇所に 下線を引く

・ペアに対して発問 する

テクストに答えが 明示的に載ってい る質問。テクスト の内容に沿って推

・スラッシュを入れ る

・段落分け

段落に分け、それ ぞれの段落ごとに 要約を書く

・下線引き

キーワードに下線 を引く

・時系列に沿って文 をまとめる 年号に下線を引

き、その時代に起 こったことをまと める

・ペアに対して発問 する

テクストに答えが 明示的に載ってい る質問。テクスト の内容に沿って推

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論を必要とする質 問。相手の意見を 引き出すような質 問。テクストの内 容について理解で きたかを確認する 質問。

論を必要とする質 問。相手の意見を 引き出すような質 問。テクストの内 容について理解で きたかを確認する 質問。

表25

データ分析(生徒B)

データ The Critical Reading Inventory 方略に関するアンケート

実践前→実践後 6→12 3.3→4.3

この生徒は、第 1 グループの生徒とペアを組んでいる。どちらの書き込みか分かるよう に色分けをさせたが、第1 グループの生徒が、この第3グループの書き込みに更に書き加 えをしている。このことにより、方略への意識が更に高まったと言える。ポートフォリオの 記述の量を見ても、回を追うごとに方略等の書き込みが増えている。The Critical Reading Inventoryでは、全てのスコアが伸びている。特に、inference(1→2)、critical response(2

→4)についてのスコアが伸びている。上に挙げたポートフォリオの書き込みを見ると、発問 の頻度も増している。また、方略に関する意識が高まっていることが、方略に関するアンケ ート結果からも窺える。ポートフォリオへの発問の書き込みでは、最初から疑問点に?マー クをつけることが出来ており、発問の方略を指導した後は、発問を書き込み、更にメタ認知 的な発問も行っている。

表24を見ると、3回目と4回目のポートフォリオで、テクストの内容について理解出来 たか確認する発問を行っている。これはメタ認知的発問であり、先に述べたように、このメ タ認知的発問はクリティカル・リーディングに繋がる方略である。Post-test の結果を見て

も、critical responseの点数が伸びており、このメタ認知的発問を自分で行うことが出来る

ようになったことが、その一因であると言える。

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この生徒がペアと記入したReflection sheetから、文構造への意識が高まったことが窺え る。文構造を理解することにより、テクスト全体の流れをつかむことが出来る。この、方略 使用への意識の高まりが、点数の伸びに繋がったと言える。

ポートフォリオ③では、「登場人物の行動について理解出来ましたか?」という、ペアの 理解について確認するメタ認知的発問をすることが出来ている。ポートフォリオ④では、同 じようにペアの理解度を確認するメタ認知的発問とともに、「あなたならどうですか?」と いうような、テクストに関するペアの意見を引き出す、クリティカル・リーディングに繋が る発問も見られた。

また、段落分けもされており、それぞれの段落の要約の書き込みもあった。また、文の 構造についても意識をしていることが見て取れた。読んでいるテクストのメイン・トピック について疑問をもち、その疑問を解消するように読解を進めていた。このように、インタビ ューから判り得た点について、ポートフォリオで確認をしたが、確かにそのような記述があ る。つまり、この生徒は、自分が何を学び、その学んだことをどのように実際の読解の場面 で使用しているのかについて、意識が高まったと言える。

インタビューで、ペアでの読解活動について尋ねた。ペアで活動したことについて、自分 の気がつかない箇所や、相手が気がついていない箇所をそれぞれ情報交換しながら読解が 進められるので良かったと話していた。また、自分が不安に感じているところは、ペアに尋 ねてみることで、理解がより確かなものになっていた。ペアで一つのテクストに書き込みを する活動は、文の内容や構造についてまとめることが出来るから、分かり易いと答えていた。

更に、学んだ方略は身についており、自然に方略を使いながら英文を読む癖がついたとのこ とだった。方略については、これまでは文しか見ていなかったが、方略を学ぶことによって、

更に細かくテクストを見ることが出来るようになったと話していた。

読解後の振り返りで用いたReflection sheetの自由記述部分を見てみる。ポートフォリオ

①②の後で行った振り返りでは、ペアで協力して読むことについて、「話し合いながら、助 け合いながら出来た」「楽しかった」という感想が書かれてあった。また、ポートフォリオ

③④の後でのReflection sheetには、同じ質問に対して「お互いの分からないところを教え 合うから良かった」という感想が述べられていた。この記述から、生徒が協調学習や相互教 授法の効果について感じていることが判った。先に述べたように、この生徒は第 1 グルー

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プの生徒とペアを組んでいるため、より一層教え合いということについて感じている。

また、このペアは、ペアでの読解活動当初から多くの方略を使用していた。また、その方 略を使用した理由についても、Reflection sheetの記述から、明確であった。Reflection sheet

①では、「下線引きの方略」を使用した理由について、「分からない所、理解しがたい所に引 いた」と記述していた。一方、Reflection sheet②では、「キーワードを捉えるため」として いる。このように、同じ方略であっても、読解を重ねるごとに2人で試行錯誤をしながら、

効果的な読解を行うことが出来るようになった。

この生徒Bのpre-testとpost-testにおけるretellingは表26の通りである。

表26

Retellingの変化(生徒B)

Pre-test Post-test

私達地球にとってオオカミは(空白)

である。オオカミについての伝説はいくつ もある。「赤ずきんちゃん」「オオカミ男」。 どれも、悪賢い危険そうな描写をしてい る。しかし、あなたは、心配しなくてよい。

オオカミが襲うのは、ウサギ、鹿、豚、子 猫などだからだ。

2~10歳の子供たちからなるグループが あった。狩りに出かけていると、ぞっとす るような遠吠えを聞いた。彼女は、オオカ ミと出会った。彼女は泣きながら動いて助 けを求めた。もし彼女が争おうとしていた ら、殺されただろう。彼らは殺された彼女 を見つけなければならなかった。子どもが 争おうとしたら殺される。

毎年夏になると、アメリカではサメが出 てくる。なので、泳げないビーチもある。

ビーチによってサメが群れで泳いでいる 所もある。

私達は、サメが自分達を殺そうと思って いる。多くの科学者達がそう思っていた が、それは間違いだった。人間は、日焼け をして、腕や足が茶色になる。それにより、

影が黒くなり、それが多くの魚が泳いでい るように見える。または、サメの好物のア シカやアザラシに見え、殺されてしまうの だ。サメは間違いで人を殺してしまってい る。だから食べられても吐き出される。

サメの数は、どんどん減少している。サ メのヒレのスープもおいしい。サメのヒレ

148 警告の看板がある。

オオカミを見つけたら。

だけ切ってしまい、戻すということが起こ っている。あれからサメの養殖場はない。

生徒Bもpre-testから、量は多く書いていることが判る。しかし、macro pointとmicro

pointの数はそれぞれpre-testが1(macro point)、0(micro point)、post-testでは、1(macro point)、2(micro point)と、テクストの大きな柱を支えるmicro pointが向上している。

実践前と後とに実施した方略に関するアンケートを分析すると、この生徒 B は、段落ご とに要約を行ったり、文構造に着目したりする項目について実践後に伸びている。また、既 に述べられた情報を基に、次にどうような内容が来るかを予測しながら読むという項目に ついても3→5と変化している。先に述べたように、この生徒Bは、The Critical Reading

Inventoryのinferenceにおいて、post-testで点数が向上していた。この次を予測しながら

読むという方略を効果的に使用することにより、推論する力が身についていったと言える。

授業の最後に行ったアンケートについて見ていく。先に述べた、教え合いについて、自由 記述部分に、お互いに分からないところをカバーし合えたと書いている。この記述からも、

相互教授法が効果的であったことが判る。方略そのものへの意識が高まり、方略使用が促さ れたかどうかという質問に対しては、どちらもかなりそう思うという回答であり、ペアでの 読解が効果的だったと言える。また、第2グループであるこの生徒は、自由記述部分に、単 語が分からずに行き詰まることが多かった、と書いていた。この生徒は、第1グループの生 徒とペアを組んでおり、ペアと組むことで全体を理解することが出来るようになったとも 書いている。生徒の中には、この記述のように少しでも分からない単語がテクスト内に出て くると、そこで読むのを諦めてしまうことがある。しかし、ペアと読解を行うことにより、

特にこの生徒のように自分より高い能力を持ったペアと組むことにより、これまで止まっ ていた箇所から先に進むことが可能になったと言える。全体の感想の部分では、方略を使う ことで、自分一人でも内容理解をすることが出来たとコメントしている。この生徒の、個人 での読解におけるポートフォリオへの書き込みは表27の通りである。

表27

個人でのポートフォリオ(生徒B)