「社会的スキルの授業jに対する子どもの授業評価は、 2006(平成 18)年 12月に実施 した最後の「社会的スキルの授業」終了後、学級担任が「ふり返り用紙j を配布し、学級 単位で回答を求め、その場で回収された。
「ふり返り用紙jの質問は、問1から問5からなる。問 1では、全部で 10の質問項目に 対して、 4件法(rはし、J
r
だいたいJr
あまりJ旬、いえJ)で回答を求めた。間2から間5 については、自由記述で回答を求めた。質問の詳細については、AppendixII ‑3‑12に示した。なお、自由記述については、五
J
法により類似する内容を分類して整理した。玄J
法には、教青学研究科博士課程後期課程の大学院生1名の協力を得て行われた。また、本アンケー トは、束中学校すべての子どもを対象として実施されたが、 1年生は学年の事情により実 施時期を延期したために本論文における評価対象者の結果からは除くことにした。そのた めに、 2年生と 3年生の有効回答者数225名(表II‑3・10)の子ども分を分析の対象とした。
表II‑3・10 質問項目内容と回答者数
費問1 質問項目
弘 n 出 n 弘
捜業のルール(開く、人を傷つけない、指示に従う)を守って取り組むことができましたか。 225 100.0% 0 .0% 225 100.0% 2 グループで活動するときには、協力して取り組むことができましたか。 225 100.0弘 o .0% 225 100.0% 3 各時間のg標としたスキルを身に付けることができましたか。 225 100.0% 0 .0弘 225 100.0見 4 自分のよいところをみつけることができましたか。 224 99.6九 1 .4% 225 100.0弘 5 班長やグループのょいところをみつけることができましたか。 224 99.6九 1 4% 225 100.0弘 6 fスキルjの授業を楽しみにしていましたか。 225 100.0弘 o .0% 225 100.0弘 7 人とのかかわり方のマナーが身につきましたか。 225 100.0% 0 。%225 100.0% 8 話し方や聞き方で気をつけなければならないことが分かりましたか。 224 99.6% 1 4九 225 100.0丸 9 人を気にかけ、思いやりながら活動することができましたか。 225 100.0% 0 .0弘 225 100.0弘 10 fスキルjの授業を苦手にしていましたか。 221 98.2弘 4 1.8% 225 100.0%
1 .授業で、身に付けた力と「社会的スキルの授業j評価
間1の質問 10項自について、「はしリに3点、 fだいたしリに2点、 fあまりjに1点、「し、
‑132楠
し、えJにO点を与‑えて得点化した。得点は、最低点O点から最高点3点となるが、それぞ れの平均値および標準偏差を整理して表立‑3・11に示した。各項目は、平均値2点が「だい たいJそう思うという回答となるので、 2点を ‑否定の基準の目安として見ていくと 傾 向 が つ か め る 。 た だ し 項 目 10の 質 問 は 反 転 項 目 と な る の で 得 点 が 低 い ほ ど 肯 定 的
な回答となる。
表立精3‑11 質問1の基礎統計量
番 号 質問項患
1 授業のルール(聞く、人を傷つけない、掲示に従う)を守って取り組むことができましたか。
2 各時間の目標としたスキルを身に付けることができましたか。
3 グループで活動するときには、協力して叡り組むことができましたか。
4 自分のよいところをみつけることができましたか。
5 綴員やグループのよいところをみつけることができましたか。
6 スキルjの授業を楽しみにしていましたか。
7 入とのかかわり方のマナーが身につきましたか。
8 話し方や摺き方で気をつけなければならないことが分かりましたか。
9 人を気にかけ、思いやりながら活動することができましたか。
10 rスキ)(.,Jの授業を若手にしていましたか。
各質問項目における生徒の回答について、度数分布を整理した (AppendixTI ‑3・13)。そ の様子をグラフで示したものが密TI‑3・7である。
‑133欄
1.授業のルールを守って取り組めた 2.協力して取り組めた
70 70
60 60
50 50
‑いいえ .~ 山、え
40
j
‑あまり 40 ‑あまり30
占
.r.::~ ‘た:~、 30 .1ごし、fこL、20
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中 学3弟 子 中 学2女 子 中 学3女 子 中 学2男 子 中 学3男 子 中 学2女 子 中 学3女 子
3.目 標 の ス キ ル を 身 に つ け た 4.自 分 の ょ い と こ ろ を み つ け た
45 40
40 70 15
』 目 h 目 •
• ‑あまり.,L'Lこし、、ぇTこL、 35 3~S 7.10 0 Sι l 」 ヨ
ーいいえ固め.f、ーし、I;;'~ 、zり1 1 :
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中 学3Y}子 中 学2女 子 中 学3女 乎
5.他者のょいところを見つけた 6.スキルの綬業が楽しみ
70 40
60 35
50 30
‑いいえ 25 .~、し、え
40
A
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‑あまり‑だいたい.CH 、 20 110 5山 』 圃 』
‑あまり圃.(だいたい;ll、中 学2男 子 中 学3男 子 中 学2女 子 中 学3女 子 中 学25母 子 中 学3男 子 中 学2女 子 中 学3女 子
7.関わり方やマナーを身につけた 8.話し方聞き方の注意点
60 70
50 60
50
40 ‑いいえ ‑いいえ
40
30 ‑あまり ‑めまり
3
.r;ごL、fこL、 30t
‑だいたい20
且
. (d.~、 20 .(;n 、10 10
中 学2男 子 中学3~月子 中学:2女 子 中 学3女 子
9.他 者 へ の 配 慮 10.ス キ ル の 授 業 が 苦 手
60 40
50 35
30
40 ‑いいえ ‑いいえ
30
』 J
‑あまり 20 ‑あまり20
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.‑(;rご;H L、、fこL、 110 5a
.,.(こいたいJl、 i10 中 学2
•
女 子 中 学3女 子図II‑3‑7 生徒の「社会的スキルの授業」評価の問 1に関する度数分布
‑134・
2.
r
社会的スキルの授業Jで一番よかったもの質問2で回答された授業プログラムについては、表1I‑3・12に示した通りである。
2年生でで、は、 グ、/ルレ恥‑白‑血叩一白‑白也巴白m白
ている(漢字マイス夕一、サイレント・ピクチャー)が、合意形成のために話し合うプロ グラム(砂漠の救助)も上位に挙げられている。 3年生では、コミュニケーションゲーム であるプログラム(宝探し)が1位であるが、面接の練習に取り入れたプログラム(自己 理解、自己表現)についても上位に挙げられている。
表立‑3‑12 生徒評価の高かった授業プログラム
質問2rスキJレJ授業で行った活動で一番よかったものは何ですか。
2年生 3年 生
題材 星子 女 子 合 計 題材 男 子 女 子 合 計
漢字マイスター 13 8 21 宝探し 19 38 57 砂漠の救助 10 10 20 面接の練習 14 18 32
サイレント・ピクチャー 8 7 15 班でのグループワーク 10 6 16 あいさつ 3 7 10 ストレスマネジメント 3 5 8
コミュニケーション 5 4 9 自己理盤 4 3 7
非行探し 3 4 合 計 50 70 120
どの人を我が社で採用 O 3 3
後輩への接し方 O
その他 O
合計 42 42 84
3. 活動で困ったこと、いやだったことo
質問3では、回ったこと、いやだ、ったことがあると回答した生徒は表1I‑3剛13に示した通 りである。
表1I‑3・13 問3生徒回答者数一覧 震関3 活動で困ったこと、いやだったこと。
2年 3年
男子 女 子
噌E
4 i n d
‑ 官噌tt
n t
7 6 合計 13
耐 135欄
質問 3で記述された具体的な内容を、
( 1) 2年 生 [22名分}
男子:①考えるのが難しかった
‑男女児IJに整理して以下に示す。
②自分は物事を伝えるのが苦手だ、ったので、最初は少しこの授業がし、やだと 思った
③授業がつまらない、あまりすきじゃない
④新開っくり
⑤話し合いで意見ができなかった
⑥話し合いまで、に時間がかかって困った
⑦班長がしっかりしていてもみんながばらばらだ、ったのでそれがいやだ、った
③班での話し合いが進まなかったとき
⑨斑での話し合いが全然できなかった
⑬班の中で討論とかになったとき大変だった
⑪みんながあまり協力してくれなかったときO
女子:①意見が合わなかったりすると大変だ、った
②面白そうじゃないテーマのとき、みんなあまり真剣に取り組めなかった
③劇をやったとき恥ずかしいとしづ気持ちがすこしある
④自分の意見がいいにくくていやだ、った
⑤自分の班はまとまりがなく、話がすすまなかった
⑥図形を組み合わせた図
⑦たまに意見をいいづらいテーマがあった
③班で話し合っている時に男子が他の班の人を話して話し合いができなかっ た
⑨班でよく相談できないとき
⑬班の人が協力してくれないときがあった
⑪何か頼まれそうな気がするので人と
R
を合わせないようにしていたこと (2) 3年 生 [13名分}男子:①敬語の学習は国語の授業みたいにつまらなかった
②自分のよい点を記入するやつ
③指名されることが多く、こたえにくかったから
糊 136働
④ストレスの授業
⑤途中で行き詰まり、どうしょうもなくこまった
⑥班の話し合いに参加できなくこまった
⑦人前で発表がし、ゃだ、った。
女子:①その場で考え答えるやり方には少し戸惑いました
②班がぱらぱらになってしまったとき
③班で協力しなかったこと
④みんなと協力するのが大変だ、った
⑤面接練習がいやだ、った
⑥面接の練習
4. 授業をとおして自分に身についたもの・できるようになったこと
質問4に自由記述された内容について、回答した生徒の人数を整理したものが表立脚3欄14 である。
表II‑3嶋14 質問4で回答された授業で身についた力
質問4 授業をとおして自分に身についたもの(できるようになったこと)は何ですか。
2年生 3年生
男 子 女 子 合 計 男 子 女 子 合 計 自己表現 10 15 25 礼儀(マナー) 16 20 36
コミュニケーション 11 6 17 コミュニケーション 9 19 28
礼儀(マナー) 9 7 16 言葉遣い 13 9 22
言葉遣い 8 7 13 自己表現 9 8 15
あいさつ 5 6 11 協調性 2 5 7
その他 3 4 ストレスマネジメント 4 3 7
合計 44 42 86 他者理解
。
6 6※空欄32名(男子22名、女子10名) あいさつ
。
質問4の回答では、
ン、礼儀(マナー)、
合 計 54 68 122
※空欄12名(男子7名、女子5名)
による違いが見られる。 2 は自 コミュニケーショ
¥あいさつの顕であるが、 3年生ではあいさつを回答した生 徒 は 1名に過ぎない9 これは、 3年生は受験を控えていることもあり礼儀(マナー)の中
‑137・
にあいさつを含めて回答しているものと思われる。コミュニケーションや言葉遣いが上位 にあるのは、束中のプログラムの意図が反映されているためである。自己表現の順位が異 なるのも、 3年生の生徒はコミュニケーションとしての能力に置き換えて捉えている可能 性がある。生徒には、このように f自分に身についたもの(できるようになったこと)J広
く能力を問われると、その理解に幅があることが結果に表れている。
なお、前頁の表立‑3・14に示した「身についた力jは、生徒の記述から筆者がまとめたも のである。生徒の記述は以下に示した通りである。
( 1) 2
①あいさつ
相手の顔をみてできるようになった。相手の目をみであいさつすることができる ようになった。その場にあった言葉づかいや挨拶がだいたいできるようになった。
時と場に応じて態度や挨拶の使い方がよくできた。正しい言葉使いや気持ちょい挨 拶などができるようになってきた等。
②言葉遣い
マナーが身についた。言葉遣いがよくなった。後輩や先輩への接し方、友達に対 する態度を学んだ。相手の気持ちをよく考えてしゃべるとかいろいろ学んだ。これ からの話し方に気をつけようと思った等。
③コミュニケーション
最初、苦手だ、った物事を伝えることができた。話し方、開き方を身に付けること ができた。人との接し方や関わり方をこの授業で少し覚えることができた。人の意 見を聞いて協力して考えることが大事だと思った。話の開き方と話し方を身に付け ることができた。前よりもっと気をつけるようになった。相手に伝わるように話し 方ができるようになった。人のことを考えることができた。人の目をみて話すよう にできた。相手に的確に物事をったえられるようになった等。
④自己表現
相手のことを考えて行動したり他の人の意見を大切にして発言するようになった。
うことははっきり言うようになったむ自分の意見をはっきり言えるようになった。
自分の気持ちを上手に伝えることができるようになった。自分の考え方を相手にわ かりやすく説明する方法が身についた。意見を遠慮せずに積極的にいうことができ た。人に対して気遣う心。棺手の気持ちを考えて自分の気持ちを伝えることができ
‑138・