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第 3 章 子どもの基礎的人間力の概念と類語

第 1 節 子どもの基礎的人間力の構成婆素

1 .子どもの基礎的人間力

子どもの基礎的人間力には 生物として生理および本能的に備わっている身体の成長力、

外部刺激に対する反応力生存欲求及び安全欲求1)等の基本的な生活を志向する力と、社会 的存在として他者との関わりを通して心理社会的に獲得していく力があるむまた、生きな ければならない社会の状態によって新たに必要となる力もあり、子どもの基礎的人間力に は、「不易と流行J2)がある。不易な力には、倫理観や道徳性等、人として身に付けること が求められる資質や態度ならびに実践力等があり 他方の流行 つまり新しい力には、情 報コミュニケーション技術(Informationand Communication Technology : ICT)スキル のような力が考えられる したがって、一人ひとりの子どもの基礎的人間力の構成3)は、「基 本となる個別の力」と「人と関わることのできる力jの2っから成る。この子どもの基礎 的人間力を構成する 2つの力の具体的な要素は、次に示すとおりである。

①基本となる個別の力

ア)心理的生理的安心感:居場所があるとしづ感覚

イ)自尊感情:自己効力感、自己有用感、自分のことを大切だと思う気持ち等 ウ)年齢相応の基本的な生活習慣:規則正しい生活、食事、衛生等

エ)マナー(礼儀) :あいさつ、身だしなみ、エチケット

オ)体力:体を思うように動かせるしなやかさと全力を出し切る力 カ)耐性:辛抱、がまんする、努力する、がんばるカ

キ)自主性・告立心:自分の考えをもっ、自分のことは自分でする

ク)キャリア意識4):将来への夢や希望をもっ、自分の進路について考える

②人と関わることのできる力

ア)コミュニケーション力:人の話を開く、声をかける 話す、質問する

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イ)他者理解:人の良いところをみつける、人のがんばりに気づく ウ)思いやり:仲間に誘う、なぐさめる、励ます等

エ)共感性:人の気持ちを、相手の立場に立って考えられる、察する オ)協調性:周りの人と協力する

カ)相談する力:和談できる相手を見つける、悩みを相談できる キ)頼む・依頼する力:お顧し1して頼むことができる

ク)依存心:相手に頼れる、適度に甘えることができる

ケ)仲間に入る力:自分から仲間に加わり行動することができる

コ)集団の中で過ごす力:人と同じ時間、同じ場所で過ごすことができる サ)地域の人と関わる力:地域の人にあいさつする、交流する、活動に参加する 先述した、子どもの基礎的人間力の「基本的な生活を志向する力J

r

心理社会的に獲得し ていく力J

r

不易な力J

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新しい力jと「基本となる個別の力J

r

人と関わることのできる力J について、表 I3‑1 ~こ整理した。

表 1‑31 子どもの基礎的人間力の構成要素

基本となる値完jIの力 人と隣わることのできる力

基本的な生活翠彊 コミュニケーション力

体力 他者理解

基本的な生活を 耐性 思いやり

志向する力 な 自主性・自立心 共感性

力 協調性

依存心

心理的生理的安心感 相談する力

自尊感情 頼む・依頼する力

心理社会的に し

マナー(礼儀) 仲間に加わる力

獲得していく力 い

キャリア意識 地域の人と関わる力

集団の中で過ごす力

表 1‑31に示し どもの基礎的人間力は、まず、「基本となる個別の力」をおさえてお く必要がある。その上で「人と関わることのできる力Jを育成していくことが大切である。

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子どもの基礎的人間力は、集団の一員として生活していく力、所属する集団の文化に適応 する力、自分とは異なる存在である他者の気持ちを共感的に察する力、社会的役割jを遂行 する力等、多様な要素から成っている。それゆえに、子どもの基礎的人間力は、社会化の 過程の中で出会う多様な{患者との相互.作用を通して養成していくことが必要である。

現在、中等教育が準義務教育化5)し、高等教育機関への進学率引が伸び続けている。この 状況は、青年のモラトリアム化 7)や不適応 8)を生んで、いる要因となっている。この期間に、

如何に「自分採しJ9)を行い、どのように所属する集団に適応していくか、このことが青年 の社会的自立に演する大きな課題となっている。この課題を達成するためには、社会的相 (social interaction)により培われた社会性の獲得が不可欠であるが、子どもの基礎 的人間力が「育ちそびれJると、必要となる社会性が十分には育まれない。また、近年の

ように情報化や国際化が急速に進展する社会では、 ICTスキルや表現力を含めた広義の 語力 10)が求められているが、このこともふまえて学校教育において必要な子どもの基礎的 人間力を次のように定義しておくD

学校教育における基礎的人間力とは、一人ひとりの子どもが学校(社会)に適応しなが ら、将来において社会的自立を図り、社会の形成者として身に付けることが求められる社 会性の基盤となる資質や能力の総体である。

2. 子どもの基礎的人間力と社会性ならびに社会化

どもの基礎的人間力は、就学前の家庭教育や地域社会の中で養成され、子どもの入学 時には学齢期に必要な力が育まれていることを前提として学校教育は機能していた。

しかし、近年の子どもは、基礎的人間力を十分に身に付けているとは言えない状況であ る。このことが、学校の基礎集団である学級が成立せずに教育が機能しにくいことの原因 となっている。それゆえに、小学校入学後、子どもの発達に応じた基礎的人間力がどの程 度養成されているのかを見極めることが必要であり、このことを疎かにすると、小学校低 学年以降、順送りに基礎的人間力の「育ちそびれ」による社会性の欠如が累積され、小学 校高学年や中学校段階になると、深刻な生徒指導上の問題行動として顕在化するのである。

前項では、子どもの基礎的人間力の構成要素を示したが、それらは、家庭の規則正しい 生活により獲得される基本的な生活習慣のような行動様式、地域社会における他者との直 接体験や感情交流を通して養成される情動的側面、自己を理解する力、言語活動による表 現力、他者を理解する力、共感性、年齢相応の規範意識、集団の一員としての行動力など 多様で、あり、広義では社会性 (sociality)に類似する。しかしながら本論文では、子どもの

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基礎的人間力は、社会性の基盤 11)となる力として、両者を区別している。次に、子どもの 基礎的人間力と社会性について考察する。

( 1 )子どもの基礎的人間力と社会性

どもの基礎的人間力は、社会性の基盤となる力であるO また、社会性の基盤である 子どもの基礎的人間力が養成されることを通して高次の社会性が育まれていくのである。

社会性とは、集団をつくって生活しようとする人間本来の性質であり、その社会生活 を営んでいくために必要な倫理観、道徳性、規範;意識、コミュニケーション能力、実践 力、社交性等の資質や諸能力の総体である。それは、多様な他者や環境との社会的棺 作用を通して、生きられる社会に適した行動、価値、態度等が内面化されたものである。

しかし、既述の如く社会性はその基盤となる子どもの基礎的人間力が欠如していると 十分には育まれない。例えば、表 I‑31(65頁参照)に示した 子どもの基礎的人間力 の構成要素"の「人と関わることのできる力jのいくつかが「育ちそびれ」ている状態 であると、高次の社会性は育まれにくくなるのである。

どもの基礎的人間力は、様々な直接体験の中で他者との社会的相互作用を通して養 成される学習性の高し1力である。この意味において子どもの基礎的人間力は、植物モデ ル 12)で例えられる内在的な成長力を基礎に社会への橋渡しの場 18)である学校において養 成することが必要である。また、子どもの基礎的人間力は、鋳型モテ、ル凶に例えられる 社会化の過程、つまり、小学校中学年段階頃から急速に発達するギャンググループ。 (gang group) 15)やチャムグ、/レーブo (chum group) 16)などの仲間関係を通して育まれる社会的

自我 17)の獲得を基礎としながら形成されるので、この点にも留怠して、教師は社会性の 基盤となる子どもの基礎的人間力を養成していくことが必要である。

(  2 

)社会性と社会イヒの定義

既述の如く子どもの基礎的人間力は、社会性との関連において欠かせない力である。

ここで、は社会性についての定義を行い、子どもの社会化について考察する。

①社会性の定義

社会性は、その概念としての媛味さから多様に定義されている。辞書によれば、「集 団を作って生活しようとする人間の根本的性質J

r

他人との関係など、社会生活を重視 する性格。また、社会生活を営む素質・能力J 広く社会に通じる性質。社会生活に関 連する度合い(大辞林)、「ある社会に固有の性質 (sociality) J r集団をつくって生活 しようとする人間の根本性質。本能的なものと考える説があるむ社交性J

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社会全般に

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