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研究結果の要約(各章の要約)

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の開発・分譲を主な事業としてきた。また、それら大手不動産企業は今なお国有企 業が多いが、その理由も示した。

3) 中国の不動産開発の現状は、地区間で不均衡であり、不動産開発は東部の大都市で 進んでおり、今後、中国西部に移ると推察される。

4) 不動産仲介業に対する法的規制が十分でなく、また、従業員の教育も不十分であ り、買い手とのトラブルは、主に仲介業者との間で発生している。

5) 中国不動産業における主な課題として以下の2つがあげられる。

① 不動産価格の抑制と不動産バブルの軟着陸

② 不動産仲介業者の規制と育成 (2)第 3 章の結果

第 3 章では、中国不動産バブルに関する文献研究、日本の高度成長期における不動産価 格の高騰と中国の不動産価格の高騰との類似性の検証、および井出・倉橋のモデルを使っ た中国不動産バブルとその崩壊時期に関する評価を行った。井出・倉橋のモデルでは、中 国全国と主要3都市(北京、上海、深圳)について分析した。これらの分析から以下の結 果が得られた。

1) 2000 年になる前から中国不動産バブルが喧伝されていたにも関わらず、井出・倉橋 のモデルを使った分析では、中国全土でみたとき、2012 年まで不動産バブルの状況 に至っていない。不動産取引量が継続して増えていたためである。北京や上海などの 大都市部ではバブルとその崩壊の可能性が見て取れる。しかし、それら大都市部にお いてもまだ不動産需要が旺盛であり、2012 年時点で見るかぎり、バブル崩壊前夜と は言い難い。

2) 2012 年までの中国での不動産高騰は、日本の高度成長期から列島改造ブームに続く 日本での不動産の高騰と類似している。当時の日本の地価上昇率の方が中国に比べ て大きく、逆に、GDP の上昇率は中国の方が大きい。

3) 中国の不動産価格上昇率と販売面積増加率は大きく変動している。これは、中国政 府の金融政策等による価格の制御機能が、強制的なためもあってか、かなり機能して いるためと考えられる。

(3) 第 4 章の結果

第 4 章では、日中の不動産業トップ 3 社の事業内容を比較し、それら企業について財務 比較を行い、さらに 2013 年度については、安全性について詳しく分析した。得られた主な 結果は以下のとおりである。

1) 中国不動産業トップ 3 社は、住宅の開発・分譲事業を主としている。日本のトップ 企業 3 社は都心におけるオフィスビルの開発・賃貸の事業比率が大きい。

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2) 2001 年~2013 の 13 年間について、日中不動産業トップ 3 社について、財務比較を 行った。主な分析結果は以下のとおりである。

①営業利益率など収益性は、概ね中国企業が高い。

②中国企業は、販売用不動産を大量に保有していて棚卸回転率が低い。また、総資 本営業利益率は高い。

③流動比率は中国企業が日本企業より高い。

④固定資産が小さく、固定長期適合率は日本 3 社に比べて非常に低い。

3) 2013 年度の財務データを用いて、安全性に関する 10 の財務指標を算出し、日中の 不動産業トップ 3 社の財務比較を行った。その結果、少なくとも 2013 年度の財務 指標の上では、中国企業の安全性に関して危惧すべき状況にあるとはいえないこと が分かった。なお、列島改造ブームで地価が高騰した 1973 年当時の日本企業と比 較しても、2013 年度の中国企業の方が概ねよい財務状況といえる。

4) 中国企業において、営業利益に対する支払利息が大きいこと、大量の棚卸資産を保 有していることが不動産不況の到来時に企業財務にどう影響するかについての議論 が今後の課題として残された。

(4)第 5 章の結果

第 5 章では、中国不動産業における中堅企業とトップ企業の経営・財務の違いを明ら かにすることを目的に、中堅企業 13 社とトップ企業 4 社の事業比較、および財務比較を 行った。得られた主な結果は以下のとおりである。

1)トップ企業 4 社は、住宅の開発・分譲事業を主としている(売上高の 94%以上)。

一方、中堅企業は、住宅の開発・分譲事業を主としている企業が半数程度あるもの の、不動産の賃貸や投資などを主要な事業としている企業も多く、トップ企業に比 べて多角化が進んでいる。

2) 2012 年~2014 年の 3 年間について、中国不動産業中堅企業 13 社とトップ企業 4 社 の財務分析を行い比較した。得られた主な結果は以下のとおりである。

① 営業利益率は、トップ企業 4 社の平均値が中堅企業の平均値より高い。住宅の 開発・分譲事業の利益率が高いためである。

② 棚卸資産回転率は、中堅企業の平均値がトップ企業の平均値に比べて高い。た だし、中堅企業の平均値も日本企業の総平均より大幅に低い。

③ 安全性の指標である流動比率、当座比率、固定長期適合率、自己資本比率につい て、トップ企業と中堅企業との間で統計的有意な差がみられた指標には、流動比 率と固定長期適合率があった。流動比率は、中堅企業(2014 年度 182.7%)がト ップ企業より高く、日本企業の総平均(2014 年度 113.6%)よりも高い。

3) 財務分析で得られたすべての指標を使って主成分分析を行った。その目的は、多種 類の財務指標をまとめ、総合的な知見を簡潔に表現する方法を開発することにあっ

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た。主成分分析によって、複数の指標を総合化した新しい指標(主成分)が得ら れ、同時に、企業間の特徴を明らかにする上でも役立つことが示された。

(5)第 6 章の結果

第 6 章では中国における不動産取引および不動産取引業の現状と特徴、および問題点 について、日本の現状と比較しつつ議論した。ただし、中国の不動産取引では、土地、

新築住宅、および中古住宅の売買のみを取り上げた。主な結果は以下のとおりである。

1) 中国での住宅売買は、新築住宅の取引がほとんどである。ただし、新築住宅の売買 では、建設計画段階で売買(青田買い)がなされるため、物件の広告内容、住宅の 品質(建設資材の品質を含む)、住宅土地に関するデータの信頼性、支払った頭金 の保全などに課題がある。

2) 中国での中古住宅の取引規模はまだ、新築住宅の取引規模に比べて小さい。しか し、個人が購入した住宅(とくに投機目的で購入した物件)が徐々に市場に出回り つつあることを考慮すると、今後とも急速に市場規模は拡大して行くと考えられ る。中古住宅の売買に関しては、市場価格を評価し公表する第三者機関の設立、中 古住宅の売買を健全化するための仲介業者の規制と従業員の専門家教育が(2011 年 には不動産取引管理弁法が制定されたものの)課題としてあげられる。

3) 中国での土地の売買は使用権の売買であり、住宅用土地の使用権は 70 年に決めら れている。ただし、土地使用権の期間延長が試行され始めている。

4) 住宅ローンの返済において、中国では保証人が必要とされることはない。しかし、

不動産購入者は、多額の頭金を用意しなければならない。このため、住宅ローンを 借りやすくするため、中国においても、保証協会のようなシステムを政府の下で設 立することが望ましい。また、中国では購入者の所得調査は困難であり、銀行側に リスクが残る。