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中国における新築住宅の取引

第 6 章 中国における不動産取引の現状と課題

6.3 中国における不動産取引の現状

6.3.2 中国における新築住宅の取引

中国における新築住宅の開発と分譲は、土地の取得から市民への住宅販売までを開 発・分譲企業自らが行うことが多い。このため、中国での新築住宅の販売は、主とし て開発・分譲企業が担っていることになる。日本では、新築住宅の開発はデベロッパ ーと呼ばれる開発企業が行い、その分譲は別の不動産取引業者に委託することも多 く、日中で違いの見られる点である。

中国における新築住宅の取引の現状、および取引プロセスとその特徴は以下のとお りである。

(1)中国における新築住宅取引の現状

中国における新築住宅の取引件数ならびに取引価格は、年々大きく上昇してきた。価 格でみると、例えば、2013 年末における中国全国の新築住宅平均価格は、2000 年時の 価格の約 3 倍になっている。図 6.3 は、全国平均新築住宅価格(単価)とその伸び率を 示したもので、伸び率は年によって大きく変動しているが、平均住宅単価は一貫して上 昇している。なお、中国においても、リーマンショック時の落ち込みは大きかった。し かしその後、住宅単価の伸び率は急速に回復しているが、これは、中国政府の不動産政 策と金融政策が一因である[第 2 章の表 2.1 を参照]。

中国における不動産取引額は、2000 年~2013 年の間に、大きく拡大した。中国国家 統計局による新築住宅やオフィスビルの不動産販売額の推移を図 6.4 に示す。図 6.4 に は、住宅とオフィスビルの販売比率のグラフも載せておいた。図 6.4 より、中国におけ る不動産取引額は、2000 年~2013 年の間に大きく拡大したものの、不動産販売額に占 める住宅の割合は 85%前後と安定して大きな比率を占めてきた。一方,オフィスビル の販売額は、伸び(図 6.5 を参照)そのものは大きいが、不動産販売額に占める割合は まだ小さい。図 6.4 において、2008 年に不動産販売額が大きく落ち込んでいるが、これ はリーマショックの影響によるものである。このとき中国政府は、金融政策等をとおし

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て不動産業を支え、その後、住宅市場は 2013 年に至るまで大きく拡大を続けた。この 間、中国の住宅価格は高騰し、「房奴」注1 問題が懸念されるようになった。

(中国統計局「統計年鑑」のデータより筆者ら作成)

図 6.3 中国における新築住宅の全国平均価格と価格の上昇率

中国における北京、上海、深圳の 3 大都市部での不動産新築住宅取引の成約件数と単 価を図 6.6 に示す。図は、2009 年~2014 年の間のデータを使って描いたもので、上海 と北京における新築住宅取引件数は年ごとに大きく変動しており、とくに北京での変動 が大きい。

一方、これら 3 大都市における新築住宅の単価には継続して上昇傾向が見られ、中国 全国平均住宅価格の上昇と似た傾向を有している。とくに北京の 2014 年新築住宅価格 は、中国不動産のバブル崩壊が囁かれる中にあっても、2009 年の価格から約 2 倍の上 昇となり、平均 30,000 元/m2にもなっている。

なお、これら中国における住宅は主にマンションであり、中国における住宅取引の特 徴の一つといえる。これに対して、日本の新築住宅は、55%程度が持家であり、また、

図 6.7 に示すように、新築住宅全体の 55%程度が木造一戸建住宅である。日本の木造 一戸建の比率は、ここ数年、変化していない。

(注 1)住宅を買った人は、頭金と銀行ローンを払わなければならない。そのため、住宅購入者は、自分 の住宅の頭金と銀行ローンを返済するため、一生懸命に働かなければならない。このようにローン返済の ために苦労している人のことを中国では「房奴」と呼んでいる。

2,112

6,237

2.75

4.84 17.76

6.29 14.77

-1.65 23.18

7.50 8.10 7.70

-5.00 0.00 5.00 10.00 15.00 20.00 25.00

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 全国年平均価格 伸び率(%)

(人民元/㎡) (%)

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(中国統計局の統計年鑑より筆者ら作成(左縦軸の単位:兆元。右縦軸はパセンートを示す)) 図 6.4 2000 年~2013 年における中国の不動産別販売額の推移

(中国統計局「統計年鑑」より筆者ら作成)

図 6.5 中国におけるオフィスビル販売額伸び率の推移

0.000 0.100 0.200 0.300 0.400 0.500 0.600 0.700 0.800 0.900 1.000

0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 8.00 9.00 10.00

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

商品的な住宅 別荘、高級住宅 オフィスビル 商業営業用

他の商業不動産 商品的な住宅の比率 オフィスビルの比率

(兆元)

-40.0%

-20.0%

0.0%

20.0%

40.0%

60.0%

80.0%

100.0%

120.0%

2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2001年~2013年の間における中国でのオフィスビル販売額の伸び率

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(中国数据網、中国統計局、深圳房天下網、中国行業研究網のデータから筆者作成)

図 6.6 北京、上海、深圳の 3 地区での新築住宅成約件数と平均価格の推移

(日本国土交通省の木造住宅建設戸数の推移のデータより、筆者ら作成)

図 6.7 日本の不動産住宅取引の新築総戸数(賃貸と持ち家合計)と木造住宅の比率

0 5000 10000 15000 20000 25000 30000

0 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000 160000 180000

2009 2010 2011 2012 2013 2014

右軸:新築年平均成約価格(元/m

左軸:新築成約件数(戸)

北京 上海 深圳

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800

総戸数 木造住宅

(千戸)

125 (2)内装済み新築住宅への変化

2003 年以降、中国政府は過熱化した住宅市場に対するコントロー ルを強化してきた。

中国における新築住宅の販売に関しては、内装済み住宅(中国語で「成品房」と呼ぶ)

と未内装住宅(同「毛胚房」と呼ぶ)がある。未内装住宅は、住宅資金が乏しい住宅購 入者にとってその取得を容易にしている。

一方、内装が入居後に行われるため、その品質(とくに健康に悪い資材の使用)、内 装にともなう近隣への騒音、違法な改築、近隣とのトラブル、マンション管理など、問 題が多い[17]。このため 政府は近年、内装付き住宅を政策として推進している。とく に、都市部における新築住宅に対して、統一した内装をもつ内装付き住宅が推進されて おり、中高級な新築住宅では普及が進んでいる。図 6.8 は、2012 年における内装済み新 築住宅の売買面積比率を示したもので、全国平均はまだ約 10%と低い水準にある[17]。

これを先進国の 80%と比べるとその比率の低さがよく分かる。また、新築住宅総販売面 積に占める内装済み新築住宅の販売面積は不動産開発・分譲企業間でも大きな差が見ら れる。例えば,最大手の万科企業は内装済み新築住宅の販売比率が 2012 年で約 90%で あるのに対して、図 6.8 から推察できるように、地方を基盤とする企業はその比率が低 い。

(中国統計局「統計年鑑」のデータより筆者ら作成) 図 6.8 2012 年における内装済み新築住宅の比率

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

先進国 中国全国 北京 上海 広州 深圳

(%)

126