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中国不動産価格への井出・倉橋モデルの適用

第 3 章 中国不動産バブルに関する一考察

3.4 井出・倉橋のモデルによる中国不動産バブルの検討

3.4.2 中国不動産価格への井出・倉橋モデルの適用

井出・倉橋のモデルに中国不動産市場のデータを適用し、中国不動産価格の上昇率と販 売量増加率の関係を図に描いてみることにする。表 3.2 は、中国全国における住宅竣工面 積増加率と住宅販売単価上昇率、および北京、上海、深圳における住宅販売面積増加率と 住宅販売単価上昇率である。これらのデータは、何れも中国国家統計局のホームページ

(2013 年)より取得した原データを用いて計算した。また、中国全国のデータに関しては、

図3.3 井出・倉橋のモデル[7]の概念図

第2象限:バブル期

・取引量減少

・価格上昇

第3象限

・取引量減少

・価格下降 バブルの崩壊

第1象限

・取引量増加

・価格上昇

第4象限

・取引量増加

・価格下降 価 格 上

昇率

取引量増加率

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1995 年のデータが欠落していたことから、この年の不動産竣工面積増加率については 1990 年~1995 年の平均増加率を、住宅販売単価上昇率については 1991 年~1995 年の平均上昇 率を 1995 年の変化率として図表を描いた。

結果を図 3.4~3.7 に示す。ただし、図 3.4 は全国、図 3.5 は北京、図 3.6 は上海、図 3.7 は深圳についてそれぞれ描いたものである。これらの図から以下が推察される。

(1)全国

図 3.4 に全国の住宅販売単価上昇率と竣工面積増加率の関係を示す(注:販売面積のデ ータは得られていないため、竣工面積を使用した)。ここでの住宅価格は、全国の市街地 住宅販売単価と考えてよい。この図より、2012 年末まで第 1 象限に留まり、中国全国でみ たとき、2012 年までの不動産価格はバブル化していないと判断される。また、価格上昇率 の変動が大きく、政府による金融の引き締めと緩和が繰り返し行われている様子が見て取 れる。

(2) 北京

図 3.5 は、北京での住宅販売面積増加率と住宅単価上昇率の関係を図示したものである。

この図より、北京では、2006 年からバブル期に入ったと推測されるが、その直後、サブプ ライム問題の影響で販売単価の上昇が大きく抑えられた(2008 年)。しかし、サブプライ ム問題に対する政府の大規模金融政策によって、不動産取引が大幅に増加し、この後、価 格上昇がおきてバブル化している(2010 年)。しかし、ここで政府の金融政策によって価格 上昇が抑制され、2012 年現在までバブル崩壊には至っていないといえる。

(3)上海

図 3.6 は上海に関して描いた図である。この図より、上海においても 2008 年にサブプ ライム問題による景気後退によって、不動産の価格と取引量が同時にマイナス(第三象限)

となったものの、政府の大規模景気刺激策によって不動産取引が大幅に増加した。その後 の経過は、北京の場合と似ている。

北京と上海を比べたときの一番の違いは、上海での 2009 年の不動産価格上昇率が北京 に比べてはるかに大きい点である。これは、上海万博の前年という個別要因が少なからず 効いているものと推察される。

なお、井出・倉橋のモデルにおいて、2008 年のサブプライム問題による急激な景気後退 によって、第一象限から一足飛びに第三象限へ移った場合、それをバブル崩壊と呼ぶべき かどうか、疑問のもたれるところである。筆者は、バブル崩壊と見ない方がよいように感 じている。

(4)深圳

図 3.7 は深圳に関して描いた図である。深圳は、中国で最初のバブル崩壊のあった都市

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であり、それは 1990 年にまでさかのぼる。2005 年に大幅な販売面積の増加(約 200%の増 加)が見られたが、筆者らはその理由を解明できていない。もともと深圳の開発規模は、

北京などに比べて小さいこと、2000 年まで不動産バブル崩壊の影響が存在したことなどの 要因も考えられる。

表3.2 中国における竣工面積/販売面積の増加率と住宅単価の上昇率

都市 全国 北京 上海 深圳

竣工面積 住宅単価 販売面積 住宅単価 販売面積 住宅単価 販売面積 住宅単価 2000 9.2% 2.9% 75.8% -12.9% 17.3% 4.2% - -

2001 21.0% 2.7% 25.9% 2.9% 15.3% 8.4% - -

2002 12.8% 3.7% 41.8% -5.9% 9.7% 6.9% - - 2003 11.4% 4.8% 11.0% -0.6% 20.5% 23.8% 8.0% 7.8%

2004 20.0% 17.8% 30.4% 6.7% 38.9% 14.4% -7.3% 8.0%

2005 8.2% 14.0% 26.4% 34.3% -4.3% 16.9% 194.2% 12.2%

2006 12.7% 6.3% -16.5% 22.0% -4.2% 5.2% -33.3% 23.8%

2007 13.5% 14.8% -16.5% 39.5% 22.1% 16.2% -25.9% 49.7%

2008 9.6% -1.7% -38.6% 7.5% -36.7% -2.0% -15.9% -9.9%

2009 9.8% 23.2% 76.9% 11.1% 44.2% 56.7% 63.3% 15.4%

2010 13.1% 7.5% -30.6% 28.9% -38.9% 12.6% -38.9% 31.2%

2011 14.0% 6.5% -12.2% -5.2% -13.1% 1.0% 6.7% 11.4%

2012 13.4% 8.1% 35.1% 1.0% 6.0% -3.7% 5.8% -11.0%

(中国統計年鑑より著者らが計算し作成)

中国統計局「中国統計年鑑(2013)」:

http://www.stats.gov.cn/tjsj/ndsj/2013/indexch.htm

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図3.4 全国の住宅竣工面積増加率と住宅販売単価上昇率

図 3.5 北京の住宅販売面積増加率と住宅販売単価上昇率 -5%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%

1995

1996

2012

2001 2005

2008 1999

2007 2004 2009

竣工面積 増加率 住宅単価上昇率

-20%

-10%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

-60% -40% -20% 0% 20% 40% 60% 80% 100%

2000 2005

2008

2009

2012 2007

2011

販売面積増 加率 単価上昇

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図3.6 上海の住宅販売面積増加率と住宅販売単価上昇率

図.3.7 深圳の住宅販売面積増加率と住宅販売単価上昇率 -10%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

-60% -40% -20% 0% 20% 40% 60%

2000

2012

2009

2010

2008

2004

販売面積増 加率 単価上昇

2007

-20%

-10%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

-100% -50% 0% 50% 100% 150% 200% 250%

2004 2003

2005 2007

2008

2009

2012

販売面積 増加率 単価上

昇率

2010

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