第 5 章 中国不動産業中堅企業の経営財務分析
5.5 中国不動産業中堅企業 13 社とトップ企業 4 の財務データを使った主成分分析 109
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(4)棚卸回転率と固定長期適合率は高い正の相関をもち、流動比率と固定長期適合率は負 の相関をもつ。大手不動産企業は、賃貸用不動産が少なく固定資産が小さい。このよう な開発・分譲型の企業は、開発用不動産を多く保有していて棚卸回転率が低いため、棚 卸回転率と固定長期適合率は正の相関となる。また、開発・分譲型の企業は、棚卸資産 が多く、流動資産が大きいため、流動比率と固定長期適合率の間に負の相関が生まれる。
5.5.2 主成分分析の要約
主成分分析の要約を図 5.3 に、主成分の寄与率と累積寄与率を図 5.4 に示す。主成分の 累積寄与率は、主成分1が 32.214%、主成分 2 までの累積寄与率が 53.053%、主成分 3 ま での累積寄与率が 64.822%、主成分 4 までの累積寄与率が 76.252%である。
5.5.3 主成分の解釈
表 5.16 に示す各主成分の固有値ベクトルの値をつかって、主成分の解釈が与えられる。
以下、主成分 1~4 までについて、解釈を試みる。
(1) 主成分 1
主成分 1 の寄与率は図 5.4 より 32.214%である。表 5.16 の因子負荷量より、主成分1 と高い正の相関をもつ変量(経営指標)は総資本営業利益率(0.75332)と売上高営業利 益率(0.82860)であり、主成分 1 には、各社(個体)の営業利益の高さが表われている といえる。売上高と総資本営業利益率や売上高営業利益率の間に正の相関が見られるこ とから、売上高と主成分1との間にも正の相関が表れている。
この他、主成分1と相関の高い変量には、棚卸資産回転率(-0.72510)と固定長期適 合率(-0.69010)があり、これらの変量に対する固有ベクトルの値も比較的高い。棚卸 資産回転率と固定長期適合率の間には高い正の相関があり(表 5.14 参照)、これらの変量 と主成分 1 の間にみられる負の相関から、主成分1は、棚卸資産の大きさが表われている といえる。
これらより、主成分 1 は、営業利益(率)と棚卸資産(回転率)の総合指標と見なすこと ができる。
(2) 主成分 2
主成分 2 の寄与率は図 5.4 より 20.839%である。表 5.16 の因子負荷量より、主成分 2 と 相関の高い変量には、売上高(0.64562)、総資本営業利益率(0.50018)、総資本回転率
(-0.54640)、棚卸資産回転率(0.50002)、流動比率( -0.61559)、固定長期適合率
(0.53137)がある。これらの中で、主成分1の因子負荷量との差が大きい変量は、売上
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高(0.49941→0.64562)、総資本営業利益率(0.75332→0.50018)、総資本回転率(- 0.35089→-0.54640)、棚卸資本回転率(-0.72510→0.50002)、流動比率(0.53032→-0.61559)、固定長期適合率(-0.69010→0.53137)である。これらの分析から、主成分 2 は、売上高が高く、流動比率が小さく、固定長期適合率が高い企業、すなわち、中堅企 業で不動産の賃貸事業の比率が高く、賃貸事業のために多くの固定資産(逆に小さい棚 卸資産)を保有している企業特性を表しているといえる。
(3) 主成分 3
主成分 3 の寄与率は図 5.4 より 11.769%と余り高くない。表 5.16 の因子負荷量より、主 成分 3 は当座比率と高い正の相関(0.86109)をもち、当座比率の高さを表すものといえ る。
(4) 主成分 4
主成分 4 の寄与率は図 5.4 より 11.430%と余り高くない。表 5.16 の因子負荷量より、
主成分 4 は「年」と高い正の相関(0.77069)がみられる。売上高営業利益率(表 5.8 参 照)など年度による財務指標の変化が変量「年」を主成分 4 としたものと考えられる。
因子負荷量が小さい変量を除いて再分析を行うことで、主成分1~3 の累積寄与率を高 めることができるが、その意義について十分な議論ができていないことから、ここでは その議論を省略する。
表 5.14 変量間の偏相関係数
(JMP V9での分析結果を掲載)
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(JMP V9での分析結果を掲載)
図5.3 主成分分析の結果の要約
(JMP V9での分析結果を掲載)
図5.4 各主成分の固有値と寄与率
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表 5.15 各主成分の固有ベクトルの値
(JMP V9での分析結果を掲載)
表 5.16 因子負荷量行列
(JMP V9での分析結果を掲載)