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研究時間の質の低下

ドキュメント内 平成19年度  (ページ 111-116)

第 3 章 研究時間の質に関する分析

第 1 節 研究時間の質の低下

1. 研究時間の質の分析

本調査では、アンケート配布対象者に以下のように標準的 1な 2 日間の時間の使い方の詳細に ついて回答 を集めた。これにより、研究時間の「量」だけでなく、「質」についての分析を図った。特 に、研究時間の「質」については、FTE調査での定量的な把握とは異なり、本アンケートとパネルと の組み合わせにより、より研究者の実態に即した把握・分析が可能となった。

第 2 - 3 - 1 図 アンケートによる研究時間の質の把握方法

【研究時間の質の把握例】

A 教授:1 日目は、研究時間の「まとまり」があり、かつ平行作業の発生しない研究時間をとることが できている(黄色い部分が長い時間分断されずに継続している)と推定できる。2 日目は、

午前中に組織運営に関する活動(会議)が入っているものの、研究時間については 1 日 目と同様の質の研究時間が確保できていると推定できる。

B 教授:1 日目、2 日目ともに平行作業の発生する時間が多い。特に、2 日目は、組織運営に関す る活動(会議)が 4 つに分かれて入っており、研究時間がその合間に行われているように も見受けられる。すなわち、質の高い研究時間が確保できていないと推定できる。

研究時間の「質」の問題については、パネルにおいても様々な指摘があり、特に「研究に際してま とまった時間が取れない」ことは、各分野に共通した大きな課題となっていることが分かった。「まとま った時間が取れない」ことには、2 つの要素があり、一つは、1 日の研究時間が他のアクティビティに よって分断されていること、もう一つは研究時間と同時並行して作業が発生しているケースが増加し ていることである。分析の際には、前者を「細切れ時間」、後者を「片手間時間」と呼び、これらを指 標として分析検討することとした。

第 2 - 3 - 2 図 「細切れ時間」と「片手間時間」

研究時間の「量」

研究時間の「質」

細切れ時間 片手間時間

1 「標 準 的」な日 とは、研 究 室 全 体 での特 殊 なイベント(例:学 会 対 応 、合 宿 や出 張 等)が入っていない、日 常 的 に起こりうる日の ことであり、研 究 室 の代 表たるパネリストに予め指 定 してもらった上 で、回 答 してもらった。

5時

A教授(1日目) # 1 # # # # # 9

A教授(2日目) 9 9 9 1 6

B教授(1日目) # # 6 5 5 1 1

B教授(2日目) # # 1 # 9 1 5 6 5 9 1

23時 0時 1時 2時 3時 4時 17時 18時 19時 20時 21時 22時

11時 12時 13時 14時 15時 16時 5時 6時 7時 8時 9時 10時

研究に関する活動 教育(学業)に関する活動 組織運営に関する活動 研究関連の社会サービス活動教育関連の社会サービス 診療活動(手伝い含む) 就職活動 本業の諸活動 その他 平行作業あり

2. 「細切れ時間」分析

研究活動を阻害する要因の一つとして挙げられている「細切れ時間」は、パネルにおいても多く の研究者が指摘する項目の一つであった。とりわけ、組織運営活動(委員会、会議等)により、まと まった時間の確保が難しく、一定時間集中して研究活動に従事できないという指摘が中心である。

指標としての「細切れ時間」については、「(アンケートにおいて詳細に活動内容を記述した)2 日 間の総 研 究 時間÷回 数 (研究時 間 がいくつのアクティビティによって分 断されているか)」によって 算出した。これを、「分野別/属性別」に第 2-3-3 図に示す。総じて、まとまりごとの研究時間は、2 時間 前 後に過ぎないことが見てとれる。分野ごとに見ると、数学 ・理論物 理 分野においては、若手 研究者がある程度まとまった研究時間を確保できているが、その他の分野においては職位に関わ らずまとまった研究時間が確保できていない状況である。また、教授クラスについては、分野に関わ らずまとまりごとの研究時間はほぼ 2 時間前後に限られてしまっており、その間に様々な活動が入り 込んでしまい、まとまった研究時間の確保が現状では容易ではない状況が推察される。

第 2 - 3 - 3 図 「細切れ時間」の状況(応用物理分野、職位別)

0 2 4 6 8 10 12 14

教授 教授 教授 教授 教授 講師 助教 助教 助手

旧帝 旧帝 国立総合 私立総合 私立単科 国立単科 旧帝 私立総合 国立総合

総研究時間 総活動時間 1研究あたりの研究時間

第 2 - 3 - 4 図 「細切れ時間」の状況(化学分野、職位別)

0 2 4 6 8 10 12 14 16

教授 教授 教授 教授 教授 教授 准教授 准教授 講師 助教 助教 助教 助教 助教 助教 助教 助手

旧帝 旧帝 私立単科 国立総合 国立総合 国立単科 旧帝 国立総合 旧帝 旧帝 旧帝 旧帝 私立単科 国立単科 国立単科 国立単科 私立総合

総研究時間 総活動時間 1研究あたりの研究時間

第 2 - 3 - 5 図 「細切れ時間」の状況(機械工学分野、職位別)

0 2 4 6 8 10 12 14 16

教授 教授 教授 教授 教授 教授 准教授 准教授 准教授 准教授 准教授 助教 助教 助教

旧帝 私立総合国立単科 旧帝 国立総合国立総合 旧帝 旧帝 私立総合 旧帝 国立総合国立単科 旧帝 国立総合

総研究時間 総活動時間 1研究あたりの研究時間

第 2 - 3 - 6 図 「細切れ時間」の状況(基礎生物分野、職位別)

0 2 4 6 8 10 12 14

教授 教授 教授 教授 教授 准教授 准教授 准教授 准教授 准教授 講師 講師 助教 助教 助教 助教 助教 助手

私立総合 旧帝 国立総合 国立総合 私立単科 旧帝 国立総合 国立単科 私立単科 私立単科 私立単科 私立単科 私立総合 旧帝 国立総合 国立単科 私立単科 私立単科

総研究時間 総活動時間 1研究あたりの研究時間

第 2 - 3 - 7 図 「細切れ時間」の状況(数学・理論物理学分野、職位別)

0 2 4 6 8 10 12 14

教授 教授 教授 教授 教授 教授 教授 教授 准教授 准教授 准教授 准教授 准教授 講師 助教 助教 助教 助教 助教 助教 助教 助教 助教

旧帝 国立単科 旧帝 旧帝 国立総合国立総合国立総合国立総合国立単科国立単科国立単科 旧帝 旧帝 国立単科 旧帝 旧帝 旧帝 旧帝 旧帝 旧帝 旧帝 旧帝 国立総合

総研究時間 総活動時間 1研究あたりの研究時間

3. 「片手間時間」分析

パネルにおいては、研 究 活 動 時 間 中 にも様 々なアクティビティを同 時 並 行 で行っている実 態 が 明らかにされた。とりわけ、多くの教授クラスが電子メールへの返信や電話の取次ぎによって、研究 活動が阻害され、場合によっては質的な低下をもたらすこと、また近年特にその傾向が強まってい ることを指摘している。

指標としての「片手間時間」については、「(アンケートにおいて詳細に活動内容を記述した)2 日 間の総研究時間のうち平行作業が発生している時間の総計÷2 日間の総研究時間」によって算出 した。今回のアンケート調査の場合、「並行作業」の具体的な内容までは記述を求めていないため、

片手間時間の中身については詳細な分析ができないことには留意が必要であるが、化学分野を除 き、教授の研究時間の 60%以上で何らかの片手間作業(電話、メール、学生相談等)が発生して いる。一方で、教授クラスに比較して、准教授には片手間作業が発生している割合は低いものの、

それでも 30%~50%の水準で片手間作業が発生している。

第 2 - 3 - 8 図 「片手間時間」の発生状況

応用物理

n 片手間度 1日当たりの

研究時間

教授 5 61.1% 3.47

准教授 0 -

-講師 1 24.6% 7.13

助教 2 21.4% 7.00

助手 1 0.0% 10.00

化学

n 片手間度 1日当たりの

研究時間

教授 6 41.2% 7.99

准教授 2 42.6% 9.79

講師 1 0.0% 13.50

助教 7 20.3% 10.63

助手 1 39.5% 9.50

機械工学

n 片手間度 1日当たりの

研究時間

教授 6 61.2% 3.76

准教授 5 50.6% 6.58

講師 0 -

-助教 3 44.9% 4.33

助手 0 -

-基礎生物

n 片手間度 1日当たりの

研究時間

教授 5 67.0% 3.36

准教授 5 27.8% 5.70

講師 2 68.6% 4.38

助教 5 17.1% 6.73

助手 1 100.0% 6.13

数学・理論物理

n 片手間度 1日当たりの

研究時間

教授 8 61.8% 2.13

准教授 5 34.9% 5.07

講師 1 0.0% 5.33

助教 9 25.9% 5.57

助手 0 -

-(注)「片手間度」:

「同時並行作業のある研究時間÷1日当たりの 研究時間」

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