第 5 章 総合分析
第 1 節 大学の研究環境をめぐる諸課題
シングが困難な業務の一つであるため、大きな事務負担となっている。
③研究環境(研究室の仕組み等)
国の制度、社会環境の変化、学内の組織構造、運営体制の変化に伴い、大学における研究者 の研究時間 の減少、研究時間の質 の低下が顕著であることが、パネル及びアンケート調査で明ら かとなった。
研 究 活 動 の実 際 上 の担 い手を整 理 すると、大 学 院 生 (旧 帝 は、博 士 課 程 在 籍 者 。国 立 総 合 、 国 立 単 科 、私 立 総 合 、私 立 単 科 は修 士 課 程 在 籍 者 。)の存 在 の大きさが指 摘された。ただし、大 学院生にまつわる不安要素が増えている。第 1 にポスドク問題等を目の当たりにした学生が博士後 期課程をあまり目指さなくなっていること、第 2 に基礎学力の低下に伴い、研究活動の担い手であ る学 生のレベル維 持にエフォートが必 要となり、研 究 室 全 体 の研 究 力の低 下を招いてしまうことが 挙げられた。このように大 学 院 生 等が研 究 室の研 究 活 動を支 えているということ、そのため大 学 院 生 等の状態 に左 右される研究 室が多いという実 態は、大 学 院 生は教 育 を受ける身 分であることを 勘案すると、必ずしも健全な状況ではないだろう。
学部生や修士課程在籍者の就職活動早期化・長期化により、研究室活動への参加期間自体も 短縮され、また就職先が決定していることにより、研究に没頭するようなモチベーションを維持しづら いなど、負の影響が増大していることが、応用物理、化学、基礎生物学、機械工学のパネルで指摘 された。
また、学生のメンタルケアの必要性が増大している。研究室の学生に不安が生じた場合は、研究 室の代表たる教員クラスが相談に乗ったり、面倒を見たりする必要があり、研究時間に影響を及ぼ す場合も多い。
加えて、特にグループ研究型の各分野においては、チームで研究成果を挙げていく意識が強い ため、若手研究者を積極的に海外に派遣することを躊躇してしまうという実態も確認された。
2. 研究活動の生産性に関わる諸要因
上記の諸要因の連関を図示すると、以下のようになる。大学の法人化や、我が国の社会経済上 の環 境 変 化 等 の外 的 な要 因 の変 化 に伴って、大 学 における内 的 な要 因 、とりわけ組 織 構 造 や意 思決定の仕組みが影響を受けていることが指摘された。また、このような内外の要因変化によって、
大 学における研究 環 境 そのものが大きく影 響を受け、研究 時 間の量と質、研 究体 制そのものも変 容を遂げていることが分 かった。このような研 究環 境の変 化が研究 活 動の生産 性の低 下につなが っている場合もあり、対応策が必要となってくる。
しかし、諸要因のうち外的な要因については、少子高齢化の進展に伴う財政負担の見直しや、
我が国社会のあり方変化の中では不可避なものとして捉えざるを得ない。したがって、これに対応し た内的な要因や、研究環境の変化 に対応する方策を検討し、この部分で取りうる改善策を講ずる ことが望ましいものと考えられる。その際に、個別 の大学ごとの対応では、我が国全 体の研究活 動 の生産性向上の観点からは不十分であるため、我が国大学全体での取り組みとして考えられる施 策を講じていくべきである。
第 2 - 5 - 1 図 研究活動を圧迫する要因
内的要因
(学内の組織構造、運営体制等)
内的要因
(学内の組織構造、運営体制等)
外部資金獲得の要請 外部資金獲得の要請
●獲得に向けた作業及びマネジメントに負荷 さまざまな「評価」の増加
さまざまな「評価」の増加
●評価の増加に連動した事務作業量や会議の増加
教員組織の変化 教員組織の変化
●意思決定ステップが複雑化
外的要因
(国の制度、社会環境等)
外的要因
(国の制度、社会環境等)
国立大学法人化による制度変化 国立大学法人化による制度変化
●ガバナンス強化、運用の厳格化
●大学ごとの特色発揮の要請
研究環境
(研究室の仕組み等)
研究環境
(研究室の仕組み等)
研究時間研究時間
●法人化前後で、国立大学だけでなく、その他私立大学 も含め、5%前後職務時間が増加。反対に、研究時間 の占める比率は減少。
●教員の研究時間は細分化し、片手間作業も増大して おり、研究活動の時間の質を上げられない懸念。
研究体制研究体制
●研究活動を支える「大学院生」への期待が高いが、量・
質ともに不安要素が増えている。
○グループ研究型分野に代表される実験系においては、
研究室における大学院生の確保が重要(チームによる 研究のため、質・量とも重要)である。一方、理論系の場 合は、個人の資質に依拠。
●大学院生のモチベーション維持が困難
○就職活動の早期化による研究への意欲低下
○若手を海外派遣させることへの躊躇
新たな社会的課題への対応 新たな社会的課題への対応
●大学の社会的な責任増大
●個人情報保護
●市民との接点拡大
内的要因
(学内の組織構造、運営体制等)
内的要因
(学内の組織構造、運営体制等)
外部資金獲得の要請 外部資金獲得の要請 外部資金獲得の要請 外部資金獲得の要請
●獲得に向けた作業及びマネジメントに負荷 さまざまな「評価」の増加
さまざまな「評価」の増加 さまざまな「評価」の増加 さまざまな「評価」の増加
●評価の増加に連動した事務作業量や会議の増加
教員組織の変化 教員組織の変化 教員組織の変化 教員組織の変化
●意思決定ステップが複雑化
外的要因
(国の制度、社会環境等)
外的要因
(国の制度、社会環境等)
国立大学法人化による制度変化 国立大学法人化による制度変化
●ガバナンス強化、運用の厳格化
●大学ごとの特色発揮の要請
研究環境
(研究室の仕組み等)
研究環境
(研究室の仕組み等)
研究時間研究時間 研究時間研究時間
●法人化前後で、国立大学だけでなく、その他私立大学 も含め、5%前後職務時間が増加。反対に、研究時間 の占める比率は減少。
●教員の研究時間は細分化し、片手間作業も増大して おり、研究活動の時間の質を上げられない懸念。
研究体制研究体制 研究体制研究体制
●研究活動を支える「大学院生」への期待が高いが、量・
質ともに不安要素が増えている。
○グループ研究型分野に代表される実験系においては、
研究室における大学院生の確保が重要(チームによる 研究のため、質・量とも重要)である。一方、理論系の場 合は、個人の資質に依拠。
●大学院生のモチベーション維持が困難
○就職活動の早期化による研究への意欲低下
○若手を海外派遣させることへの躊躇
新たな社会的課題への対応 新たな社会的課題への対応
●大学の社会的な責任増大
●個人情報保護
●市民との接点拡大