平成 20 年度科学技術振興調整費調査研究報告書
第 3 期科学技術基本計画のフォローアップに係る調査研究
日本の大学に関するシステム分析
- 日英の大学の研究活動の定量的比較分析と
研究環境(特に、研究時間、研究支援)の分析 -
報 告 書
2009 年 3 月
文部科学省 科学技術政策研究所
Analysis of the State of Japanese Universities System
- Quantitative and Comparative study of research activity
between Japan and UK
And Research Environment study by Time budget survey -
National Institute of Science and Technology Policy (NISTEP)
Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology (MEXT)
JAPAN
本報告書は、科学技術振興調整費による業務として、科学技術政策研究所が実施した 第 3 期科学技術基本計画のフォローアップに係る調査研究『日本の大学に関するシステ ム分析』(平成 20 年度)の成果を取りまとめたものです。
概要 1. 目的 ... 概 1 2. 日英の大学の研究活動の定量的比較分析 ... 概 1 2.1. 調査の目的及び手法... 概 1 2.2. 日英大学システム比較分析のための分析対象の抽出及びグループ化 ... 概 2 2.3. 分析結果のポイント ... 概 6 2.4. 今後へ向けた方向性... 概 10 3. 研究環境(特に、研究時間、研究支援)の分析 ... 概 13 3.1. 調査目的及び手法 ... 概 13 3.2. 研究時間の量的側面の分析... 概 13 3.3. 研究時間の質的側面の分析... 概 13 3.4. 研究時間にみる研究活動の特徴 ... 概 15 3.5. 総合分析... 概 15 3.6. 今後の対応の方向性... 概 18 本文 第 1 部 日英の大学の研究活動の定量的比較分析 ... 1 第 1 章 目的と手法の検討... 1 第 1 節 背景・目的 ... 1 第 2 節 比較分析の視点 ... 1 第 3 節 比較対象国の選定 ... 1 第 4 節 使用したデータソースおよび分析対象データ ... 2 1. 使用したデータソース ... 2 2. 比較分析対象データ ... 2 3. 分析対象機関 ... 3 4. 分析対象期間と期間区分 ... 3 5. 比較上の留意点 ... 3 第 2 章 日英大学システムの全体構造... 5 第 1 節 日本における大学システムの全体構造 ... 5 1. 教員・研究者数 ... 5 2. 総事業費、外部受け入れ研究費、内部使用研究費... 5 3. 国公私立区分からみた日本の大学システム ... 8 4. 論文数・トップ 10%論文数 ... 10 第 2 節 英国における大学システムの全体構造 ... 11 1. 教員・研究者数 ... 11 2. 総事業費、外部受け入れ研究費 ... 12
第 1 節 分析手法の概要 ... 15 第 2 節 教員・研究者数の分布状況 ... 17 第 3 節 総事業費の分布状況 ... 18 第 4 節 外部受け入れ研究費の分布状況 ... 19 第 5 節 内部使用研究費の分布状況(日本のみ) ... 20 第 4 章 大学グループの設定とグループ構造の分析... 22 第 1 節 大学グルーピングの必要性 ... 22 第 2 節 グルーピング方法の検討 ... 24 1. 論文数の累積シェアおよび大学数の関係 ... 24 2. 各大学の国内シェア順位と累積シェアの関係 ... 24 3. 各大学の国内シェアによる区分とその累積シェアの関係 ... 24 4. 論文生産に参加している大学の割合 ... 25 第 3 節 論文数シェアによる分析対象範囲と大学グループの設定 ... 26 第 4 節 大学のグループ間・グループ内変動 ... 29 第 5 節 生産性の観点を加味した大学グループの詳細分析 ... 31 第 5 章 グループ別のインプット・アウトプットデータ分布状況... 34 第 1 節 全大学における分析対象の位置づけ... 34 第 2 節 各グループの 1 大学当たり規模 ... 36 1. インプットデータから見た場合 ... 36 2. アウトプットデータから見た場合 ... 38 第 3 節 各グループのシェア... 39 1. インプットデータから見た場合 ... 39 2. アウトプットデータから見た場合 ... 41 第 4 節 高インパクト論文比率 ... 43 第 6 章 インプット・アウトプットの関連性分析 ... 44 第 1 節 研究者 1 人当たりの論文生産性... 44 第 2 節 総事業費当たりの論文生産性 ... 46 第 7 章 論文数順位でグルーピングした場合のインプット・アウトプットデータ分布状況... 48 第 1 節 各グループのインプットデータのシェア ... 48 第 2 節 各グループのアウトプットデータのシェア ... 49 第 8 章 分析結果まとめと今後の方向性 ... 51 第 1 節 分析結果のまとめ ... 51 1. インプット・アウトプットデータの全体傾向 ... 51 2. 大学のグループ間移動および論文数シェア変動 ... 51 3. インプット・アウトプットデータのグループ別分布状況 ... 51 4. 論文の「質」に関する傾向 ... 52 5. インプットとアウトプットの関連(生産性など) ... 52 6. 論文数シェアと論文生産性から見た日英大学システム ... 52
第 2 部 研究環境(特に、研究時間、研究支援者)に関する分析 ... 57 第 1 章 目的と手法の検討... 57 第 1 節 目的 ... 57 第 2 節 調査手法 ... 57 1. 調査スキーム ... 57 2. 対象分野の設定 ... 58 3. 研究者の抽出 ... 59 4. パネルの設置、運営 ... 60 5. アンケート調査票の設計 ... 62 6. アンケート調査票の配布 ... 62 第 2 章 アンケート調査の結果... 63 第 1 節 アンケートの回収状況と回答者の属性 ... 63 第 2 節 大まかな活動日数 ... 64 第 3 節 1 日あたりの職務時間 ... 66 第 4 節 年間総活動時間(分野別) ... 68 第 5 節 学生の就職活動平均日数... 70 第 6 節 年間総活動時間における活動内訳の変化(分野別) ... 71 第 7 節 年間総活動時間における活動内訳の変化(大学分類別) ... 73 第 3 章 研究時間の質に関する分析... 75 第 1 節 研究時間の質の低下 ... 75 1. 研究時間の質の分析 ... 75 2. 「細切れ時間」分析 ... 76 3. 「片手間時間」分析 ... 79 第 2 節 研究活動時間の使い方の分野による違い ... 80 第 4 章 パネル討論結果 ... 83 第 1 節 研究者個人の活動時間に関する議論(分野別) ... 83 第 2 節 研究環境に関する議論(分野別) ... 87 1. 応用物理学、化学、基礎生物学、機械工学、数学・理論物理学分野における議論 87 2. 臨床医学分野における議論 ... 92 第 3 節 分野共通の議論 ... 93 第 4 節 分野や大学形態等に強く関連する問題 ... 95 第 5 章 総合分析... 98 第 1 節 大学の研究環境をめぐる諸課題 ... 98 1. 研究活動を圧迫する具体的な事例 ... 98 2. 研究活動の生産性に関わる諸要因 ... 100 第 2 節 研究支援体制 ... 101 1. 研究支援体制の現状... 101 2. 研究支援体制を考える際のポイント ... 102
2. アンケート調査票及び記入の手引き ... 164 3. 英国RAE(Research Assessment Exercise)について ... 188 4. 国立大学教員の流動性計測のためのデータベースの構築とこれによる予備的調査分
析 ... 191 5. 日本の大学群と産業界の関係に関する調査 ... 206
概要 図表 1 データの分析対象期間と期間区分... 1 図表 2 本調査で使用したデータソース及び日英比較項目... 2 図表 3 大学グループ毎の大学数【上:日本、下:英国】... 3 図表 4 論文数シェアと研究者 1 人当たり論文数により分類された大学... 4 図表 5 教員・研究者数のグループ別シェア【左:日本、右:英国】... 6 図表 6 外部受け入れ研究費のグループ別シェア【左:日本、右:英国】... 6 図表 7 論文数のグループ別シェア【左:日本、右:英国】... 7 図表 8 トップ 10%論文数のグループ別シェア【左:日本、右:英国】 ... 7 図表 9 グループ別の研究者 1 人当たり論文数【左:日本、右:英国】... 8 図表 10 グループ別の研究者 1 人当たりトップ 10%論文数【左:日本、右:英国】... 8 図表 11 グループ別の総事業費当たり論文数【左:日本、右:英国】... 9 図表 12 グループ別の総事業費当たりトップ 10%論文数【左:日本、右:英国】... 9 図表 13 各グループにおける総事業費、論文数、トップ 10%論文数の関係【左:日本、右:英国】... 10 図表 14 論文数シェアと研究者 1 人当たり論文数により分類された大学(再掲)... 11 図表 15 英国の各研究分野における総支出額の高い大学リスト (単位:千ポンド)... 12 図表 16 分野別活動時間の変化 [教授・准教授・講師] 各活動時間数(積み上げ)... 14 図表 17 分野別活動時間の変化 [教授・准教授・講師] 各活動時間の占める割合... 14 図表 18 大学分類別活動時間の変化 [教授・准教授・講師] 各活動時間数(積み上げ)... 14 図表 19 大学分類別活動時間の変化 [教授・准教授・講師] 各活動時間の占める割合... 14 図表 20 研究活動を圧迫する要因... 17 本文 第 1- 1- 1 表 本調査で使用したデータソース... 2 第 1- 1- 2 表 本調査で使用したデータと本報告書での表記 ... 2 第 1- 1- 3 表 データの分析対象期間と期間区分... 3 第 1- 1- 4 表 データの把握率【上:日本、下:英国】... 4 第 1 - 2 - 1 図 日本大学システム全体の教員・研究者数... 5 第 1 - 2 - 2 図 日本の大学システムの総事業費・外部受け入れ研究費総額 ... 6 第 1 - 2 - 3 図 内部使用研究費総額の推移 ... 6 第 1 - 2 - 4 図 内部使用研究費総額の推移(1 大学当たり)... 7 第 1 - 2 - 5 図 内部使用研究費に占める人件費比率の推移... 7 第 1 - 2 - 6 表 日本の大学設置形態別大学数の推移... 8 第 1 - 2 - 7 図 研究資金関連の大学設置形態別特徴【左:D.04~06、右B.98~00】... 9 第 1 - 2 - 8 図 研究者数関連の大学設置形態別特徴【左:D.04~06、右B.98~00】... 10 第 1 - 2 - 9 図 日本大学システム全体の論文数・トップ 10%論文数... 11
第 1 - 2 - 12 図 英国大学システム全体の収入内訳【上:金額、下:割合】... 13 第 1 - 2 - 13 表 収入内訳の詳細... 13 第 1 - 2 - 14 図 英国大学システム全体の論文数・トップ 10%論文数... 14 第 1 - 3 - 1 図 ローレンツ曲線とジニ係数の関係... 16 第 1 - 3 - 2 図 教員・研究者の分布状況【上:日本、下:英国】... 17 第 1 - 3 - 3 図 総事業費の分布状況【上:日本、下:英国】... 18 第 1 - 3 - 4 図 外部受け入れ研究費の分布状況【上:日本、下:英国】... 19 第 1 - 3 - 5 図 内部使用研究費(総額)の分布状況... 20 第 1 - 3 - 6 表 内部使用研究費の人件費比率... 20 第 1 - 3 - 7 図 内部使用研究費の分布状況【上:人件費部分、下:人件費部分以外】... 21 第 1 - 4 - 1 図 教員・研究者と論文数シェアの分布【左:日本、右:英国】... 23 第 1 - 4 - 2 図 総事業費と論文数シェアの分布【左:日本、右:英国】... 23 第 1 - 4 - 3 表 論文数の累積シェアと大学数の関係... 24 第 1 - 4 - 4 表 論文数シェア順位と累積シェアの関係... 24 第 1 - 4 - 5 表 論文数シェアと大学数の関係... 25 第 1 - 4 - 6 表 論文数シェアによる大学グループ毎の大学数【上:日本、下:英国】... 26 第 1 - 4 - 7 表 論文数シェアによる大学グループリストの変遷【日本】... 27 第 1 - 4 - 8 表 論文数シェアによる大学グループリストの変遷【英国】... 28 第 1 - 4 - 9 表 大学グループ間・グループ内の変動【左:日本、右:英国】... 30 第 1 - 4 - 10 表 研究者 1 人当たり論文数による大学グループ毎の大学数【上:日本、下:英国】... 31 第 1 - 4 - 11 表 論文数シェアと研究者 1 人当たり論文数により分類された大学... 32 第 1 - 5 - 1 図 全大学と分析対象大学の数の関係【左:日本、右:英国】... 34 第 1 - 5 - 2 図 全大学と分析対象大学の教員・研究者数の関係【左:日本、右:英国】... 34 第 1 - 5 - 3 図 全大学と分析対象大学の総事業費の関係【左:日本、右:英国】... 35 第 1 - 5 - 4 図 全大学と分析対象大学の外部受け入れ研究費の関係【左:日本、右:英国】 ... 35 第 1 - 5 - 5 図 1 大学当たりの教員・研究者数【左:日本、右:英国】... 37 第 1 - 5 - 6 図 1 大学当たりの総事業費【左:日本、右:英国】... 37 第 1 - 5 - 7 図 1 大学当たりの外部受け入れ研究費【左:日本、右:英国】... 37 第 1 - 5 - 8 図 1 大学当たりの論文数【左:日本、右:英国】... 38 第 1 - 5 - 9 図 1 大学当たりのトップ 10%論文数【左:日本、右:英国】... 38 第 1 - 5 - 10 図 教員・研究者数のグループ別シェア【左:日本、右:英国】... 39 第 1 - 5 - 11 図 総事業費のグループ別シェア【左:日本、右:英国】... 40 第 1 - 5 - 12 図 外部受け入れ研究費のグループ別シェア【左:日本、右:英国】... 40 第 1 - 5 - 13 図 論文数のグループ別シェア【左:日本、右:英国】 ... 41 第 1 - 5 - 14 図 トップ 10%論文数のグループ別シェア【左:日本、右:英国】... 42
... 43 第 1 - 6 - 1 図 グループ別の研究者 1 人当たり論文数【左:日本、右:英国】... 45 第 1 - 6 - 2 図 グループ別の研究者 1 人当たりトップ 10%論文数【左:日本、右:英国】... 45 第 1 - 6 - 3 図 グループ別の総事業費当たり論文数【左:日本、右:英国】... 46 第 1 - 6 - 4 図 グループ別の総事業費当たりトップ 10%論文数【左:日本、右:英国】... 47 第 1 - 6 - 5 図 グループ別の総事業費(PPP円換算)当たり論文数及びトップ 10%論文数... 47 第 1 - 7 - 1 表 論文数順位でグルーピングした場合の大学数【上:日本、下:英国】... 48 第 1 - 7 - 2 図 教員・研究者数のグループ別シェア(順位でグルーピングした場合)... 49 第 1 - 7 - 3 図 総事業費のグループ別シェア(順位でグルーピングした場合)... 49 第 1 - 7 - 4 図 外部受け入れ研究費のグループ別シェア(順位でグルーピングした場合)... 49 第 1 - 7 - 5 図 論文数のグループ別シェア(順位でグルーピングした場合) 【左:日本、右:英国】.... 50 第 1 - 7 - 6 図 トップ 10%論文数のグループ別シェア(順位でグルーピングした場合) 【左:日本、右:英 国】... 50 第 1 - 7 - 7 図 被引用数のグループ別シェア(順位でグルーピングした場合) 【左:日本、右:英国】. 50 第 1 - 8 - 1 図 各グループにおける総事業費、論文数、トップ 10%論文数の関係【左:日本、右:英国】 ... 54 第 1 - 8 - 2 表 論文数シェアと研究者 1 人当たり論文数により分類された大学(再掲)... 54 第 1 - 8 - 3 表 英国の各研究分野における総支出額の高い大学リスト (単位:千ポンド)... 56 第 2 - 1 - 1 図 調査手順 ... 58 第 2 - 1 - 2 表 対象分野 ... 59 第 2 - 1 - 3 図 パネル参加者の層化抽出方法 ... 60 第 2 - 1 - 4 表 パネル一覧... 61 第 2 - 2 - 1 表 回収状況 ... 63 第 2 - 2 - 2 表 回答者の職位(詳細) 研究者... 63 第 2 - 2 - 3 表 回答者の職位(詳細) 学生 ... 63 第 2 - 2 - 4 図 平成 19 年度における大まかな活動日数(分野別)... 64 第 2 - 2 - 5 表 平成 19 年度における大まかな活動日数(職位別・分野別)... 65 第 2 - 2 - 6 表 平成 19 年度と平成 15 年度のおおまかな活動日数の比較... 65 第 2 - 2 - 7 図 平成 19 年度における 1 日あたりの職務時間(分野別)... 66 第 2 - 2 - 8 表 平成 19 年度における 1 日あたりの職務時間(職位別・分野別)... 67 第 2 - 2 - 9 表 平成 19 年度と平成 15 年度の 1 日あたりの職務時間の比較... 67 第 2 - 2 - 10 図 平成 19 年度における年間総活動時間(分野別)... 68 第 2 - 2 - 11 表 平成 19 年度における年間総活動時間(職位別・分野別)... 69 第 2 - 2 - 12 図 勤務医療機関の種類別時間配分(外科分野)... 69
第 2 - 2 - 15 図 分野別活動時間の変化 [教授・准教授・講師] 各活動時間数(積み上げ)... 71 第 2 - 2 - 16 図 分野別活動時間の変化 [教授・准教授・講師] 各活動時間の占める割合... 72 第 2 - 2 - 17 図 大学分類別活動時間の変化 [教授・准教授・講師] 各活動時間数(積み上げ).. 73 第 2 - 2 - 18 図 大学分類別活動時間の変化 [教授・准教授・講師] 各活動時間の占める割合.... 74 第 2 - 3 - 1 図 アンケートによる研究時間の質の把握方法 ... 75 第 2 - 3 - 2 図 「細切れ時間」と「片手間時間」 ... 75 第 2 - 3 - 3 図 「細切れ時間」の状況(応用物理分野、職位別)... 76 第 2 - 3 - 4 図 「細切れ時間」の状況(化学分野、職位別)... 77 第 2 - 3 - 5 図 「細切れ時間」の状況(機械工学分野、職位別)... 77 第 2 - 3 - 6 図 「細切れ時間」の状況(基礎生物分野、職位別)... 78 第 2 - 3 - 7 図 「細切れ時間」の状況(数学・理論物理学分野、職位別)... 78 第 2 - 3 - 8 図 「片手間時間」の発生状況... 79 第 2 - 3 - 9 図 グループ研究型の活動時間 典型例(化学、旧帝大)... 81 第 2 - 3 - 10 図 個別研究型の活動時間 典型例(理論物理、旧帝大) ... 82 第 2 - 5 - 1 図 研究活動を圧迫する要因... 100 第 2 - 5 - 2 図 研究室の人員構成の違いによる支援体制の違い... 101
本調査報告書の概要
1. 目的
我が国の科学技術政策は、5 年毎に策定される科学技術基本計画に基づき、推進されている。 科学 技 術基 本計 画の策 定以 降、科 学技 術 関係 予算の拡充 ・重点化、研 究環 境の競 争化が見ら れるとともに、高等教育行政上では国立大学の法人化、運営費交付金の毎年の減少などが展開さ れ、日本の大学は大きな変化の波の中に居ると考えられる。このような変化の中、日本の大学群の 研究活動はどのような変化を起こしているのだろうか。またその大学の中で研究活動にいそしむべ き研究者は、どのような変化や問題に直面しているのだろうか。本調査では、上記問題意識に基づ き下記の 2 軸からの分析を試みた。 「日英の大学の研究活動の定量的比較分析」では、研究生産性が高いとされている英国と日本 の個々の大学ごとに、インプットデータ(研究者数や研究資金)とアウトプットデータ(論文数、トップ 10%論文数)を連結させたデータセットを構築した。これを用いて、大学をある観点からグループ化 し国際比較をすることにより、日本における大学システムの特徴や時系列変化を分析した。 次に、大学内の研究の現場の状況を把握するため、「研究環境(特に、研究時間、研究支援)の 分析」では、代表的な分野を選択して、大学における研究者の研究時間の量と質に注目し、分野 間でどのような違いがあるか、国立 大学法人化 前後でどのような変化が起こっているかなどについ て分析した。2. 日英の大学の研究活動の定量的比較分析
2.1. 調査の目的及び手法 ○ 日本と英国の大学 (注群(以後、大学システムと記す。)を、研究者数や研究資金といったインプ ットの分布状況及び経年変化、インプットと論文数やトップ 10%論文数といったアウトプットとの 関係及び経 年変化という点の比較を通じて、日本 の大学の研究活動の特 徴を定量的 観点か ら明らかにした。 ○ 分析対象期間は、1995~2006 年とし、その間を 3 年単位の A~D の期間区分と設定し、各期 間での合計値(もしくは平均値)を分析対象とした。インプットを投入してからアウトプットが得ら れるまでに一定のタイムラグが存在すると考えられるため、インプット・アウトプットデータで 1 年 間ずらして設定した。 図表 1 データの分析対象期間と期間区分 期間区分 インプットデータ アウトプットデータ A 1995~1997 年 1996~1998 年 B 1998~2000 年 1998~2001 年 C 2001~2003 年 2002~2004 年 D 2004~2006 年 2005~2007 年 ○ 下記のデータソースを用いて、大学単位データとして入手・整理し、分析に用いた。 (注 )大 学・短 期 大 学を含 むものとする。英 国 についても、大 学・短 期 大 学 相 当 の機 関 全 体 を含むものとする。図表 2 本調査で使用したデータソース及び日英比較項目 データの種類 日本 英国 インプットデータ 総 務 省 統 計 局 「 科 学 技 術 研 究 調 査 」 調 査 票 ( 総 政 審 第 344 号)の機関単位データを 使用。
HESA(Higher Education Statistics Agency) の Research of Higher Education Institutions に収集された機関単位データを使用。
アウトプットデータ トムソンロイター社 Web of Science (Science Citation Index Expanded) のデータを基に、科学技術政策研究所が集計。 データの 種類 本 報 告 書 での 表記 日本 英国 教員・研究者 「 研 究 者 ( 本 務 者 ) 」 の 内 、 「 教 員 」「医 局 員 ・その他 の研 究 員 」 の合計値
「Full-time academic staffs」
総事業費 「支出総額」 「Income」
外 部 受 け入 れ
研究費 「外部から受け入れた研究費」
「 Income 」 の 内 、 「 Research grants & contracts」該当部分 イ ン プ ッ ト データ 内部使用 研究費 「内部で使用した研究費」 ※対応するデータ無し 論文数 著者が所属する機関の国により件数を分数カウント。 例)東京大 学(理学部)、東京大学(工学部)、京 都大学、カリフ ォルニア工科大学に所属する研究者による共著論文 ⇒ 日本に 3/4 件、米国に 1/4 件とカウント。 ⇒ 東京大学に 2/4 件、京都大学に 1/4、カリフォルニア工科大 学に 1/4 件とカウント。 英国の大学病院の論文は、大学の論文としてカウントしていない。 トップ 10% 論文数 論文数の内、被引用数が上位 10%以内に含まれるものをカウント。 アウトプット データ 被引用数 各論文が 1996~2007 年の間に引用された件数をカウント。件数は 2007 年末時点。 2.2. 日英大学システム比較分析のための分析対象の抽出及びグループ化 【分析対象の抽出及びグループ化の必要性】 ○ 研究活動(特に論文生産)の観点から日本・英国の大学システムの比較分析を正しく行うため には、「自然 科学 系の論 文生 産に一 定程 度参 加 している機関」を抽出し、それらを「研究を主 要なミッションにしている機関(Research University)」とみなし、分析対象とする。さらに、論文 生産の状況は、教員・研究者数や総事業費以上に上位へ分布が大きく偏っており、1 大学あ たりの論文数や生産性なども、大学によって大きく異なるものと考えられる。したがって、大学シ ステム内 の研 究 活 動 をより細 かく分 析 するためには、単 に「自 然 科 学 系 の論 文 生 産 に一 定 程 度参加している機関」を抽出するだけでなく、これらをさらに細かくグループ化する必要がある。 【論文シェアによる分析対象の抽出及びグループ化】 ○ 分析対象大学の抽出及びグループ化の設定基準には、論文数シェアを用いた。この理由は、 論 文 数 は研 究 活 動 の活 発 さを測 る最 も基 本 的 な指 標 であること、日 本 ・英 国 それぞれでの相
対 的 な位 置 付 けに基 づいたグループ化 を行 うには、論 文 数 そのものではなく、各 国 内 の論 文 数シェアを用いるのが適当と考えられることである。グループ化した結果を以下に示す。 ○ 分析対象は、日本は全大学数の 2 割弱(179 大学)、英国は 6 割程度(95 大学)となる。論文シ ェアについては、これらの大学が日本の 97%、英国の 99%を占める。同様に、外部受け入れ研 究費については、日本の 88%、英国の 96%を占める。 図表 3 大学グループ毎の大学数【上:日本、下:英国】 A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07 第1グループ(シェア5%~) 4(4,0,0) 4(4,0,0) 4(4,0,0) 4(4,0,0) 第2グループ(シェア1~5%) 15(13,0,2) 13(11,1,1) 13(11,1,1) 13(10,0,3) 第3グループ(シェア0.5~1%) 32(18,7,7) 30(19,4,7) 29(20,3,6) 27(18,4,5) 第4グループ(シェア0.05~0.5%) 119(32,8,79) 131(34,16,81) 133(33,18,82) 135(36,15,84) A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07 第1グループ(シェア5%~) 4 4 4 4 第2グループ(シェア1~5%) 29 28 30 27 第3グループ(シェア0.5~1%) 15 12 13 16 第4グループ(シェア0.05~0.5%) 45 53 48 48 (注 1)例 外 として、第 1 グループについては、前 述 の通 り期 間 D でシェア 5%~の大 学で固 定 されている。 (注 2)日 本 の大 学 数 における()内 の数 字は、それぞれ国 立・公 立・私 立 大 学 の数を表 している。 (注 3)論 文 シェア 0.05%以 下 の大 学 は、分 析 対 象 から外した。 (注 4)大 学グループは期 間 A~D それぞれにおいて、独 立して設 定 したため、同 一 大 学 でも期 間 により区 分 されるグループが 異 なる場 合 がある。 【大学のグループ間移動および論文数シェア変動】 ○ 英国は、日本よりもグループ間を移動する大学の数が多い傾向がある。その中でも、特に第 3 グループから第 2 グループへの移動が多く起きている。このように変化の度合いが大きいことが 英国大学システムのもう一つの特徴である。 【研究者1人当たりの論文数によるグループ化】 ○ さらに、大学グループの内部構造についてより詳細に分析するため、論文数シェアとは異なる、 「研究者 1 人当たり論文数」という論文生産性の視点からグループ化(クラス I~IV)を行なった。 日英の大学システムを、「論文数シェアによるグループ」と「研究者 1 人当たり論文数によるクラ ス」の 2 軸で区分した結果を以下に示す。 ○ 日本の第 1 グループに属する 4 大学は、全て生産性の最も高いクラスⅠに属している。一方英 国の第 1 グループはクラスⅠに 1 大学、クラスⅡに 3 大学となっており、生産性には若干ばらつ きが見られる。 ○ 日本には論文数シェアとしてはあまり大きくない第 4 グループの中に、研究者 1 人当たり論文数 の多い大学が存在している(下表緑色部分)。一方、英国にはこの部分に対応する大学はほと んど存在していない。つまり、日本には「小規模・高生産性」という、英国にはほとんど見られな い種類の大学が多数存在している。 ○ 英国は、日本に比べて第 2 グループの層が厚く、その中でもクラスⅡ~Ⅲにあるような比較的生 産性の高い大学が多い(下表橙色部分)。英国ではある程度の生産性を有する大学は規模 (論文数シェア)も大きく、こうした大学が英国全体の論文生産性に貢献していると考えられる。
図表 4 論文数シェアと研究者 1 人当たり論文数により分類された大学 【期間 D(2005-2007)、上:日本、下:英国】 第1グループ(シェア5%~) 第2グループ(シェア1~5%) 第3グループ(シェア0.5~1%) 第4グループ(シェア0.05~0.5%) 東京大学 東京工業大学 東京農工大学 奈良先端科学技術大学院大学 京都大学 名古屋工業大学 豊橋技術科学大学 大阪大学 長岡技術科学大学 東北大学 北陸先端科学技術大学院大学 総合研究大学院大学 京都薬科大学 星薬科大学 岐阜薬科大学 九州大学 東京理科大学 電気通信大学 北海道大学 静岡大学 九州工業大学 名古屋大学 京都工芸繊維大学 東京薬科大学 帯広畜産大学 東北薬科大学 豊田工業大学 大阪薬科大学 神戸薬科大学 昭和薬科大学 広島大学 新潟大学 京都府立医科大学 筑波大学 大阪市立大学 兵庫医科大学 岡山大学 熊本大学 埼玉大学 千葉大学 長崎大学 岩手大学 神戸大学 東京医科歯科大学 和歌山県立医科大学 金沢大学 信州大学 東京海洋大学 徳島大学 目白大学 群馬大学 奈良女子大学 岐阜大学 京都府立大学 大阪府立大学 明治薬科大学 富山大学 富山県立大学 山口大学 日本獣医生命科学大学 三重大学 埼玉工業大学 首都大学東京 共立薬科大学 横浜国立大学 慶應義塾大学 鹿児島大学 日本大学 近畿大学 早稲田大学 愛媛大学 北里大学 103大学 東海大学 山形大学 順天堂大学 横浜市立大学 クラス IV(0.1~1 件/人) 研 究 者 1 人 当 た り 論 文 数 日本 論文シェア クラスI(2 件~/人) クラス II(1.5~2 件/人) クラスIII(1 ~1.5件/ 人)
第1グループ(シェア5%~) 第2グループ(シェア1~5%) 第3グループ(シェア0.5~1%) 第4グループ(シェア0.05~0.5%) Imperial College of Science, Technology and Medicine University of London (Institutes and activities) University of Wales Institute, Cardiff
London School of Hygiene and Tropical Medicine
The University of Wales (central functions)
The University of Cambridge The University of Bristol The Royal Veterinary College The University of Oxford The University of Sheffield
University College London The University of Southampton The University of Liverpool The University of Aberdeen The University of Reading The University of Surrey The University of St Andrews The University of Bath
The University of Manchester The University of Exeter Aston University The University of Edinburgh The University of East Anglia
The University of Birmingham The University of Sussex The University of Nottingham Swansea University The University of Leeds Heriot-Watt University The University of Glasgow Cranfield University
The University of Newcastle-upon-TyneThe University of Keele
The Queen's University of Belfast
The University of York University of Durham The University of Leicester Loughborough University The University of Dundee
King's College London Queen Mary and Westfield College
Cardiff University The University of Lancaster The University of Warwick Brunel University
The University of Strathclyde University of Ulster 44大学 The University of Hull
The University of Plymouth
英国 論文シェア 研 究 者 1 人 当 た り 論 文 数 クラスI(2 件~/人) クラス II(1.5~2 件/人) クラスIII(1 ~1.5件/ 人) クラス IV(0.1~1 件/人) (注 1)これまでの論 文 数 シェアによる大 学 グループに加 えて、研 究 者 1 人 当 たりの論 文 数 により大 学をクラスに分 類 。 (注 2)上 表 のクラス分け基 準 は、「研 究 者 1 人 が期間 D の 3 年 間 に生 産 する論 文 数」であることに注 意 。「研 究 者 1 人が 1 年 間 に生 産する論 文 数」とするには、各 区 分 の値を 1/3 にする必 要 がある。例 えば、クラスⅡの条 件 を「研 究 者 1 人 が 1 年 間 に生 産 する論 文 数」に変 換 するのであれば、0.5~0.67 件 /人となる。 (注 3)英 国 の第 4 グループには、48 大 学 含 まれるが、研 究 者 1 人 当たりの論 文 数 によるクラス分けによって、クラス I~IV に含 まれない大 学 が 2 つある。
2.3. 分析結果のポイント (1) インプット・アウトプットデータのグループ別シェア 【インプット(教員・研究者数、総事業費、外部受け入れ研究費)】 ○ 日英の大学のグループ毎に教員・研究者数のシェアを比較すると、第 1 グループは同等、第 2 グループは英国が日本の 2 倍であり、第 3 と第 4 グループは日本の方が大きいという構造の差 が見られる。 ○ 日本の総事業費は、顕著な増加は見られない。一方、英国の総事業費は、ここ十数年の間に 大幅に増加している。特に第 1、2 グループではその増加が顕著である。 ○ 政府の競争的研究資金などが主な財源と考えられる外部受け入れ研究費については、日英と も大きく伸ばしている。日本の場合、第 1 グループの教員・研究者数におけるシェアと比較する と高くなっている。一方、英国では、第 1、2 グループのシェアが、教員・研究者数におけるシェ アと比 較すると高くなっている。インプットデータの中で特に上 位グループへの集 中 度 が高く、 近年になってさらに上位集中を強めている。 ○ 日本の場合、第 1 と第 4 グループの大学では総事業費から外部受け入れ研究費を除した値は、 時系列で減少傾向(第 2 と第 3 グループは増加。)となるが、英国の場合は全てのグループで 大幅な増加傾向であり、様相が異なる。 図表 5 教員・研究者数のグループ別シェア【左:日本、右:英国】 12% 11% 11% 12% 19% 17% 18% 21% 26% 25% 24% 20% 43% 47% 47% 47% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% A. 95~97 B. 98~00 C. 01~03 D. 04~06 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ 13% 13% 14% 14% 43% 45% 45% 43% 12% 7% 10% 11% 32% 35% 31% 32% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% A. 95~97 B. 98~00 C. 01~03 D. 04~06 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ 図表 6 外部受け入れ研究費のグループ別シェア【左:日本、右:英国】 24% 25% 28% 30% 22% 21% 22% 24% 18% 18% 18% 16% 37% 36% 32% 30% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% A. 95~97 B. 98~00 C. 01~03 D. 04~06 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ 26% 26% 26% 27% 53% 54% 55% 53% 12% 8% 9% 10% 10% 12% 10% 10% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% A. 95~97 B. 98~00 C. 01~03 D. 04~06 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ
【アウトプット(論文数、トップ 10%論文数、高インパクト論文比率)】 ○ 日本の場合、論文生産の量的な面では第 1、2 グループがほぼ同等のシェアを持ち、質的な面 では、第 1 グループの方が大きなシェアを有している。両面において第 1 グループが大きな役割 を果たし、第 2 グループはその次となる。 ○ 日本には、小規模な大学が多数存在している。これらは 1 機関毎の規模は小さいものの数が多 いため、全体としてのシェアはかなり大きい。 ○ 一方、英国の場合、論文生産の量的な面で第 2 グループが 50%以上のシェアを持ち、質的な 面でも同様に大きなシェアを有している。量質面で、第 2 グループのシェアが、第 1 グループを 上回っている。 ○ 日本と英国の各グループの「論文数に占めるトップ 10%論文数の割合」を比較すると、全ての グループにおいて、英国の方が高い値である。全体的に「質」が高い傾向にあると言える。 ○ 日本・英国ともに、論文数シェアの大きな機関は「論文数に占めるトップ 10%論文数の割合」も 高い傾向あり、「量」と「質」に相関が見られる。「質」の高い論文(例えば、トップ 10%論文)を生 み出すには、ある程度の「量」(論文数)がその背景に必要と考えられる。 ○ 日英の大学の各グループのシェアの比較で、最も大きな相違点は、第 2 グループの層の厚み であることが分かった。 図表 7 論文数のグループ別シェア【左:日本、右:英国】 23.7% 23.3% 23.8% 24.2% 28.1% 26.3% 26.1% 26.2% 22.3% 22.1% 21.0% 19.6% 23.2% 25.8% 26.5% 27.4% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% A. 96~98 (n=42716) B. 99~01 (n=46540) C. 02~04 (n=47228) D. 05~07 (n=47287) 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ 23.2% 23.4% 24.2% 23.7% 57.2% 56.3% 57.0% 54.0% 10.2% 8.6% 8.6% 11.9% 9.1% 11.5% 9.8% 9.7% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% A. 96~98 (n=31104) B. 99~01 (n=32834) C. 02~04 (n=32695) D. 05~07 (n=35315) 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ 図表 8 トップ 10%論文数のグループ別シェア【左:日本、右:英国】 35.7% 36.0% 36.3% 35.5% 29.0% 26.7% 27.0% 27.7% 17.4% 17.3% 15.7% 15.5% 16.4% 18.8% 19.6% 20.0% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% A. 96~98 (n=3124) B. 99~01 (n=3355) C. 02~04 (n=3302) D. 05~07 (n=3065) 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ 30.9% 31.0% 32.3% 31.4% 54.0% 54.3% 54.7% 52.5% 8.8% 7.6% 7.4% 10.3% 6.1% 6.9% 5.4% 5.5% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% A. 96~98 (n=3784) B. 99~01 (n=4012) C. 02~04 (n=4079) D. 05~07 (n=3945) 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ
(2) インプットとアウトプットの関連 - 論文生産性 - 【研究者 1 人当たりの論文数、トップ 10%論文数】 ○ 第 1~4 グループに含まれる大学を対象とした場合、研究者 1 人当たりの論文数は、全体的に 日本は英国の同等以上であり、日本の論文生産性は決して低くないことが確認できた。 ○ 日本では、期間C→Dにかけて第 2 グループの研究者当たりの生産性が低下している(期間A →Bも低下しているが、データ上の問題による可能性あり。*)。しかし、期間C→Dにかけて第 2 グループの 1 大学当たりの論文数は横ばいであり、期間C→Dで 2 つの大規模な私立大学が第 3 グループから第 2 グループへ移動したことにより、1 大学当たりの研究者数が伸びたことが主な 原因となっている。 ○ 一方、トップ 10%論文数に限ると、研究者 1 人当たりの生産性は英国の方が高くなっている。 特に第 2 グループのトップ 10%論文の生産性の違いは重要と考えられる。英国における第 2 グ ループは論文生産で非常に大きなシェアを占めている。このグループのトップ 10%論文生産性 が高いという事実が、英国全体の生産性を押し上げていると考えられる。 図表 9 グループ別の研究者 1 人当たり論文数【左:日本、右:英国】 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07 研究者当 たり 論 文数( 件 /人) 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07 研究者当 たり 論 文数( 件 /人) 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ 図表 10 グループ別の研究者 1 人当たりトップ 10%論文数【左:日本、右:英国】 0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09 0.10 A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07 研究 者当た り ト ッ プ 1 0 %論文 数( 件 /人 ) 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ 0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09 0.10 A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07 研究 者当た り ト ッ プ 1 0 %論文 数( 件 /人 ) 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ *期 間 A の第 2 グループには研 究 者 数 が異 常 に小 さい値しか計 上 されていない大 学 が存 在 しており、その結 果 として見かけ上 期 間 A→B の研 究 者 数 が大 きく伸 びたように見 えていることも影 響 しているので、注 意 が必 要 である。
【総事業費当たりの論文数、トップ 10%論文数】 ○ 日本では、期間C→Dにかけて第 2 グループの総事業費当たりの生産性が低下している(期間 A→Bも低下しているが、データ上の問題による可能性あり。*)。しかし、期間C→Dにかけて第 2 グループの 1 大学当たりの論文数は横ばいであり、この総事業費当たりの生産性の低下は、期 間C→D で 2 つの大規模な私立大学が第 3 グループから第 2 グループへ移動したことにより、 1 大学当たりの総事業費が伸びたことが主な原因となっている。 ○ 英国では、近年の総事業費の大幅な拡大により、総事業費当たりの論文生産性は大きく低下 している。 ○ 総事業費当たりの生産性の高さは、研究者当たりの生産性と同様に、日英ともに、第 1 グルー プが高く、以下第 2、3、4 グループとなっている。規模の大きな大学の方が論文数・トップ 10% 論文数共に生産性が高い。 図表 11 グループ別の総事業費当たり論文数【左:日本、右:英国】 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07 総 事業費 当た り 論 文数( 件/1 0 億円 ) 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07 総事 業費当た り 論文 数( 件 /百万 ポ ン ド ) 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ 図表 12 グループ別の総事業費当たりトップ 10%論文数【左:日本、右:英国】 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07 総 事業費当 た り ト ッ プ 1 0 %論文 数( 件 /1 0 億円 ) 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07 総事 業費当た り ト ッ プ 1 0 % 論文数 ( 件/ 百万ポ ン ド ) 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ *期 間 A の第 2 グループには総 事 業 費 が異 常 に小 さい値しか計 上 されていない大 学 が存 在 しており、その結 果 として見かけ上 期 間 A→B の総 事 業 費 が大 きく伸 びたように見 えていることも影 響 しているので、注 意 が必 要 である。
2.4.
今後へ向けた方向性
本調査での、日英の大学システムの分析を通じ浮かび上がった方向性は以下の 2 つである。 (1) 第 1 グループに次ぐ厚みのある第 2 グループの形成 まず、英国は国の規模は日本より小さいにも関わらず、英国の大学のシステムはトップ 10%論文 では日本を上回っているというようなパフォーマンスを有している。その英国の論文生産は、第 2 グ ループ大学の寄与が大きい。一方日本の論文生産は第 1 グループの大学が牽引しており、第 2 グ ループは英国に比べて大学数も少なく、論文数等のシェアも小さい、即ち、“層が薄い”状況にある。 第 2 グループの層が厚く、30 程度の大学集団として論文生産を牽引する英国に比べて、日本では 大学の規模は大きいが数は少ない第 1 グループの大学が論文生産の量と質の両面を牽引してい るという構図である。 世界における知の大競争は加速化しており、BRICs を中心に論文量は急拡大を見せている。こ のような状況において、我が国が科学研究において国際的に一定の位置を保っていくためには論 文の量的拡大も重要である。このような量的側面の拡大を数少ない第 1 グループの大学が担うこと には限界があり、我が国の第 2 グループに入る大学が増加し、さらにこれらの大学が第 1 グループと 並ぶ牽引力を発揮していくことが必要である。また、第 1 グループの重要な役割としては、英国に比 べ日本ではまだ少ないインパクトの高い論文をより多く生み出していくことが挙げられる。今後、この ような第 2 グループの層を一層厚くしていくことが可能となるような多様な機会を各大学に提供し、 伸びる大学が牽引することにより、日本全体の研究力を引き上げるようなシステムが必要である。 図表 13 各グループにおける総事業費、論文数、トップ 10%論文数の関係【左:日本、右:英国】 3,723 6,229 0 200,000 400,000 600,000 800,000 1,000,000 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 総事業費( 千ポ ン ド ) 論文数 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ 第1グループ総計 第2グループ総計 面積:トップ10%論文数 3,305 2,581 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 総事業費( 10 0 万円) 論文数 第1グループ 第2グループ 第3グループ 第4グループ 第1グループ総計 第2グループ総計 面積:トップ10%論文数 (注 1)各 塗 りつぶされた円は大 学を表 し、中 心 点 は当 該 大 学 の論 文 数 と総 事 業 費 である。面 積 は当 該 大 学 のトップ 10%論 文 数を示 す。 (注 2)点 線 の円 は、第 1、2 グループの大 学 の総 計を表 し、中 心 点 はグループを構 成 する大 学 の平 均 論 文 数 と平 均 総 事 業 費 である。面 積 はグループを構 成 する大 学 のトップ 10%論 文 数 の総 計を示す。図表 14 論文数シェアと研究者 1 人当たり論文数により分類された大学(再掲) 東京大学 東京工業大学 東京農工大学 豊橋技術科学大学 京都薬科大学 京都大学 名古屋工業大学 長岡技術科学大学 星薬科大学 大阪大学 総合研究大学院大学 岐阜薬科大学 東北大学 北陸先端科学技術大学院大学 奈良先端科学技術大学院大学 九州大学 東京理科大学 電気通信大学 東北薬科大学 北海道大学 静岡大学 九州工業大学 豊田工業大学 名古屋大学 京都工芸繊維大学 大阪薬科大学 東京薬科大学 神戸薬科大学 帯広畜産大学 昭和薬科大学 広島大学 新潟大学 岐阜大学 京都府立医科大学 京都府立大学 筑波大学 大阪市立大学 大阪府立大学 兵庫医科大学 明治薬科大学 岡山大学 熊本大学 富山大学 埼玉大学 富山県立大学 千葉大学 長崎大学 山口大学 岩手大学 日本獣医生命科学大学 神戸大学 東京医科歯科大学 三重大学 和歌山県立医科大学 埼玉工業大学 金沢大学 信州大学 首都大学東京 東京海洋大学 共立薬科大学 徳島大学 横浜国立大学 目白大学 群馬大学 奈良女子大学 慶應義塾大学 鹿児島大学 東海大学 日本大学 近畿大学 山形大学 早稲田大学 愛媛大学 順天堂大学 北里大学 横浜市立大学 日本 クラスⅣ (0.1~1件/人) 論文数シェア 研 究 者 1 人 当 た り 論 文 数 103大学 第1グループ(5%~) 第2グループ(1~5%) 第3グループ(0.5~1%) 第4グループ(0.05~0.5%) クラスⅠ (2件~/人) クラスⅡ (1.5~2件/人) クラスⅢ (1~1.5件/人) (2) グループ間の変動がより多く起こり得るような競争的環境の整備 上記のような厚みのある第 2 グループが我が国で形成されるためには、第 3 グループからより多く の大学が第 2 グループに入ってくることが必要となる。各グループに属する大学リストのこれまでの 経年変化を確認したところ、日本の場合、一部の私立大学を除くと、グループ間の大学の移動があ まり見られないが、英国では第 2 グループと第 3 グループの間の移動がより多く認められる。即ち、 英 国では、研 究 活 動を強 化した大 学がより上 位のグループに上がっていけるような競 争的 環 境が 存在している。我が国でも、競争 的 資金の拡大 を初めとして、大学 間の競争を促す環境が整備 さ れてきているが、更に踏み込んで、英国のように第 2 グループと第 3 グループに属する大学が、大き く上昇することも可能となる機会を与えるような競争的環境を検討していくべきである。 特に、 図表 15 に示すように英国の場合、研究分野毎の各大学の総支出額を集計すると、第 2 グループに属する大学の中には、第 1 グループの平均規模を上回る、あるいはこれに近い規模の 資金水準を持つ大学がいくつか存在している。即ち、これらの大学は大学全体としての規模は第 1 グループの大学より小さいが、このような特定の分野においては、第 1 グループの大学と充分競える 基盤を有している。 我が国の第 2、第 3 グループの大学からも、このような姿を目指すものが出てくるようにすべきであ る。即ち、大学全体としての規模のみでなく、分野ごとの研究能力を含めた多重の競争が行われ、 その結果分野毎に異なる大学が上位で競い合うような環境である。これにより、各大学がそれぞれ の強みを持つようになり、日本の大学システム全体としての機能分化が自発的に実現することにな るであろう。もう一つ重要 な点は、このような環境が形成されることは、我が国の研究の多様性を一 層高めることにも通じると考えられる点である。 今後は、研究評価に、このような変革を誘発する機能を持たせることを検討すべきである。この際、 分野別の論文量、被引用数、トップ 10%論文数等の定量的外形的情報も充分活用される必要が ある。特に、量的な面のみでなく質的な面での評価を行っていくことが、今後より望ましい大学間の 競争環境を実現していく上で重要である。
図表 15 英国の各研究分野における総支出額の高い大学リスト (単位:千ポンド)
大学名 期間D D. 2004-2006 大学名 期間D D. 2004-2006
Imperial College of Science, Technology and Medicine 第1グループ 65613 Imperial College of Science, Technology and Medicine 第1グループ 10767
The University of Cambridge 第1グループ 31410 The University of Cambridge 第1グループ 11084 The University of Oxford 第1グループ 36028 The University of Oxford 第1グループ 12669 University College London 第1グループ 77397 University College London 第1グループ 8748 The University of Birmingham 第2グループ 30931 The University of Edinburgh 第2グループ 8234 The University of Edinburgh 第2グループ 36482 The University of Manchester 第2グループ 11372 The University of Manchester 第2グループ 45217 The University of Warwick 第2グループ 5150
大学名 期間D D. 2004-2006
Imperial College of Science, Technology and Medicine 第1グループ 13206 大学名 期間D D. 2004-2006
The University of Cambridge 第1グループ 16313 Imperial College of Science, Technology and Medicine 第1グループ 4837 The University of Oxford 第1グループ 16375 The University of Cambridge 第1グループ 2410 University College London 第1グループ 6176 The University of Oxford 第1グループ 0 The University of Edinburgh 第2グループ 12683 University College London 第1グループ 2549 The University of Glasgow 第2グループ 15804 The University of Birmingham 第2グループ 3700 The University of Leeds 第2グループ 13979 The University of Leeds 第2グループ 3485 The University of Manchester 第2グループ 22336 The University of Manchester 第2グループ 6945 The University of Nottingham 第2グループ 16432 The University of Newcastle-upon-Tyne 第2グループ 3418
大学名 期間D D. 2004-2006 大学名 期間D D. 2004-2006
Imperial College of Science, Technology and Medicine 第1グループ 6103 Imperial College of Science, Technology and Medicine 第1グループ 12768
The University of Cambridge 第1グループ 7274 The University of Cambridge 第1グループ 2047 The University of Oxford 第1グループ 10491 The University of Oxford 第1グループ 0 University College London 第1グループ 3956 University College London 第1グループ 3824 The University of Bristol 第2グループ 6066 The University of Glasgow 第2グループ 5019 The University of Edinburgh 第2グループ 5774 The University of Liverpool 第2グループ 5031 The University of Leeds 第2グループ 8066 The University of Manchester 第2グループ 7252 The University of Manchester 第2グループ 10402 The University of Sheffield 第2グループ 8131 The University of Nottingham 第2グループ 6298 The University of Southampton 第2グループ 7459 The University of York 第2グループ 6551 The University of Surrey 第2グループ 6964
Total Expenditure_12 Physics
Total Expenditure_17 Chemical engineering
Total Expenditure_20 Electrical, electronic & computer engineering Total Expenditure_01 Clinical medicine
Total Expenditure_10 Biosciences
3. 研究環境(特に、研究時間、研究支援)の分析
3.1. 調査目的及び手法 ○ 大 学 における研 究 環 境 は、設 備 や資 金 の面 では各 種 政 策 によって改 善 が進 みつつあるが、 「研究時間」や「研究支 援」については、まだ改善 の余地が大 きいことは多数指 摘のあるところ である。研究環境(特に研究時間、研究支援)の実態を把握し、その改善につながる方策を見 出すことを目的とし、アンケート調 査とパネル議 論 を組み合わせ、分析を行なった。この際、大 学の研究 環 境が大きく変化したと考えられる国立大 学法 人化の前 後 について把握するため、 平成 15 年度と平成 19 年度を比較した。 ○ 5 分野(応用物理、化学、基礎生物学、機械工学、数学・理論物理。)ごとに、大学形態による 違いを考慮し 7 名程度の研究室主催者を抽出し、パネリストとした。なお、アンケート調査につ いては、パネリスト及 びパネリストの研 究 室 の研 究 活 動 に参 画 している構 成 員 を調 査 対 象 とし た。 3.2. 研究時間の量的側面の分析 ○ 全分野において、平成 15 年度に比べ平成 19 年度では「研究に関する活動」時間は減少して いる。一方で、全分野において「組織 運営に関する活動」、「教育に関する活動」、「研究 関連 の社会サービス活動」、「教育関連の社会サービス活動」の活 動時間が増加しており、全分野 において総活動時間が増加している。特に、「組織活動に関する時間」の割合が全分野におい て比較的大きく増えており、数学・物理分野を除き、1.4 倍以上となっている。ただし、数学・理 論物理分野では「組織活動に関する時間」が占める割合が平成 15 年度においても約 22%で あり、元々高い割合を占めている。 ○ 大 学 分 類 別 に活 動 時 間 の内 訳 の変 化 を見 ると、全 ての大 学 分 類 において「研 究 に関 する活 動」時 間 が減 っている。一 方 「教 育 に関する活 動」、「組 織 運 営 に関 する活 動」、「研 究 関 連の 社 会 サービス活 動」、「教 育 関 連 の社 会 サービス活 動」の活 動 時 間 が増 加 しており、また総 活 動時間も増加している。 ○ 年間の各活動時間が占める割合の変化を見ると、国立大学法人だけではなく、私立大学にお いても「組織 活動に関する時間」の割合が増加していることが分かる。この原因として、国立 大 学が何らかの措置を行なえば結果的に私立大学もそれに準じて行動することとなり、同様の現 象が起こることがパネルにおいて指摘された。 3.3. 研究時間の質的側面の分析 【研究時間の質:細切れ時間分析】 ○ 「細切れ時間」指標を「(アンケートにおいて詳細に活動内容を記述した)2 日間の総研究時間 ÷回数(研究時間がいくつのアクティビティによって分断されているか)」によって算出した。総じ て、まとまりごとの研究時間は、2 時間前後に過ぎず、分野ごとに見ると、数学・理論物理分野 においては、若手研究者がある程度まとまった研究時間を確保できているが、その他の分野に おいては職位に関わらずまとまった研究時間が確保できていない状況である。 ○ パネルにおいても、研究活動を阻害する要因の一つとして挙げられている「細切れ時間」は、多 くの研究者が指摘する項目の一つであった。組織運営活動(委員会、会議等)により、まとまっ た時間の確保が難しく、一定時間集中して研究活動に従事できないことが指摘された。【研究時間の質:片手間時間分析】 ○ 「片手間時間」指標を、「(アンケートにおいて詳細に活動内容を記述した)2 日間の総研究時 間のうち平行作業が発生している時間の総計÷2 日間の総研究時間」によって算出した。化学 分 野 を除 き、教 授 の研 究 時 間 の 60%以 上 で何 らかの片 手 間 作 業 (電 話 、メール、学 生 相 談 等)が発生している。研究活動時間中にも様々なアクティビティを同時並行で行っている実態が 明らかにされた。教授クラスに比較して、准教授には片手間作業が発生している割合は低いも のの、それでも 30%~50%の水準で片手間作業が発生している。 ○ パネルにおいても、多くの教授クラスが電子メールへの返信や電話の取次ぎによって、研究活 動が阻害され、場合によっては質的な低下をもたらすこと、また近年特にその傾向が強まってい ることが指摘された。 図 表 16 分 野 別 活 動 時 間 の変 化 [教 授 ・准 教 授 ・ 講師] 各活動時間数(積み上げ) 図 表 17 分 野 別 活 動 時 間 の 変 化 [教 授 ・ 准 教 授 ・講 師 ] 各活動時間の占める割合 1323 1022 1230 1055 2138 1825 1013 865 1359 859 1023 704 726 799 627 680 719 756 689 727 640 767 873 969 481 671 408 617 349 548 422 597 559 796 599 752 226 299 397 433 251 379 92 105 405 545 135 181 116 168 128 132 116 128 89 140 156 204 106 208 73 41 76 107 9 222 180 90 88 41 93 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 ・ H15 H19 ・ H15 H19 H15 H19 H15 H19 H15 H19 H15 H19 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 研究に関する活動 教育に関する活動 組織運営に関する活動 研究関連の社会サービス活動 教育関連の社会サービス活動 診療活動 その他の活動 平均時間計 ○応用物理(N=4) ○化学(N=9) ○基礎生物(N=12) ○機械工学(N=10) ○数学・理論物理(N=12) ○全分野(N=47) 2945 3052 2878 3008 3614 3678 2382 2542 3298 3392 2736 2823 44.9 33.5 42.7 35.1 59.2 49.6 42.5 34.0 41.2 25.3 37.4 24.9 24.7 26.2 21.8 22.6 19.9 20.6 28.9 28.6 19.4 22.6 31.9 34.3 16.3 22.0 14.2 20.5 9.7 14.9 17.7 23.5 16.9 23.5 21.9 26.6 7.7 9.8 13.8 14.4 7.0 10.3 3.9 4.1 12.3 16.1 4.9 6.4 3.9 5.5 4.5 4.4 3.2 3.5 3.7 5.5 4.7 6.0 3.9 7.4 2.5 3.2 4.2 0.3 1.1 1.1 3.0 3.0 3.0 5.5 6.6 0 20 40 60 80 100 ・ H15 H19 ・ H15 H19 H15 H19 H15 H19 H15 H19 H15 H19 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 研究に関する活動 教育に関する活動 組織運営に関する活動 研究関連の社会サービス活動 教育関連の社会サービス活動 診療活動 その他の活動 ○応用物理(N=4) ○化学(N=9) ○基礎生物(N=12) ○機械工学(N=10) ○数学・理論物理(N=12) ○全分野(N=47) 図 表 18 大 学 分 類 別 活 動 時 間 の変 化 [教 授 ・准 教 授・講師] 各活動時間数(積み上げ) 図 表 19 大 学 分 類 別 活 動 時 間の変 化 [教 授・准 教 授 ・講 師] 各活動時間の占める割合 1323 1022 1515 1239 1233 843 1758 1334 1009 781 1192 994 726 799 668 689 724 790 620 872 960 1095 673 741 481 671 723 859 432 721 267 492 451 597 148 296 226 299 287 377 206 284 122 143 193 344 205 168 116 168 100 133 140 183 131 148 110 288 104 106 45 73 24 61 114 141 48 17 90 73 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 H15 H19 H15 H19 H15 H19 H15 H19 H15 H19 H15 H19 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 研究に関する活動 教育に関する活動 組織運営に関する活動 研究関連の社会サービス活動 教育関連の社会サービス活動 診療活動 その他の活動 ○旧帝大(N=16) ○国立総合(N=14) ○私立総合(N=3) ○国立単科(N=7) ○私立単科(N=7) ○全分野(N=47) 平均時間計 2945 3049 3339 3370 2890 2962 2898 3035 2740 3128 2383 2419 44.9 33.5 45.4 36.8 42.7 28.5 60.7 44.0 36.8 25.0 50.0 41.1 24.7 26.2 20.0 20.4 25.1 26.7 21.4 28.7 35.0 35.0 28.3 30.6 16.3 22.0 21.7 25.5 15.0 24.3 9.2 16.2 16.4 19.1 6.2 12.2 7.7 9.8 8.6 11.2 7.1 9.6 4.2 4.7 7.0 11.0 8.6 7.0 3.9 5.5 3.0 4.0 4.8 6.2 4.5 4.9 4.0 9.2 4.4 4.4 2.5 1.4 2.2 5.4 4.7 1.6 0.6 0.8 2.5 4.7 3.0 0 20 40 60 80 100 H15 H19 H15 H19 H15 H19 H15 H19 H15 H19 H15 H19 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 研究に関する活動 教育に関する活動 組織運営に関する活動 研究関連の社会サービス活動 教育関連の社会サービス活動 診療活動 その他の活動 ○旧帝大(N=16) ○国立総合(N=14) ○私立総合(N=3) ○国立単科(N=7) ○私立単科(N=7) ○全分野(N=47)
3.4. 研究時間にみる研究活動の特徴 ○ パネリスト及びパネリストの研究室の研究活動に参画している構成員の活動時間のデータから、 研究 活動のスタイルの違いが研究 時 間の使い方 の違いに現れていることが分かった。基本 的 な研 究 活 動 単 位である「研 究 室」の活 動のパターンには、少なくともグループ研 究 型と個 別 研 究型があることが分かった。 【グループ研究型】 ○ グループ研究型の研究の進め方の特徴として、1 つの研究テーマについて、研究室内で複数 名(3~4 名)の研究チームを組み、チームで研究を推進していることが挙げられる。「研究」の内 容は、実験や現場での実践が大半を占め、いわゆる「現場知」が研究室に蓄積されることが研 究 室 の成 果 を高 めていくための重 要 な要 素 の一 つである。そのため、研 究を支 援 する人 材の 専 門 性 や経 験 が重 要な要 素 の一つであり、自 学 内 以 外 の他 の外 部 機 関 との連 携・協 力 の機 会も多いことも特徴の一つとして挙げられる。 ○ 研究者の多くが大小含めて 10 程度の学会に所属している場合が多く、学会運営等に関わる 活動時間(運営会議、国際学会の手配など)が多いことも特徴の一つである。 ○ 研究室に所属する学生は、定期的なミーティングによる進捗管理と情報共有、議論が行われて いることや、先輩や若手教員との距離感が近いために気軽に質問できる、議論できるなどの点 において、この研究室体制を評価している。 ○ 一方で、グループ単位で研究成果を挙げていく意識が強いため、若手研究者を海外に派遣し てしまうとその分研究室の活動に穴があくことを考えてしまい、海外へ行かせる機会を積極的に つくることが難しくなっているという実態も見受けられる。 【個別研究型】 ○ 個別研究型の研究の進め方の特徴は、グループ研究型とは対照的に、研究室のほぼ全員が 一人ずつ別 々のテーマを持ち、いわば独立独 歩 で研究を推 進していることである。そのため、 研究室単位で見た場合の時間の使われ方もグループ研究型に比してまちまちである。 ○ 数 学・理 論 物 理 学 分 野 については、いわゆる「紙 と鉛 筆」の研 究 分 野とされ、場 所を問わずに 思考にふけっている時 間も「研究」とみなすことができるとの意見もある一方で、大 学運 営に関 わる事務書類を「持ち帰り」で処理することが増えたため、そういった思考にふける時間さえ削ら れる傾向にあるという深刻な指摘も見られた。 ○ 研究者の多くは大規模な 2~3 程度の学会に所属している場合が多く、学会運営等に関わる 活動時間(運営会議、国際学会の手配など)はグループ研究型に比して少ない。 3.5. 総合分析 (1)研究活動を圧迫する具体的な事例 パネル及 びアンケート調 査 結 果 から得 られた研 究 活 動 を圧 迫 する要 因 について、「外 的 要 因 」 「内的要因」及び「研究環境」という 3 つの観点から、主要なものを下記の通り抽出した。 ①外的要因(国の制度、社会環境等) ○ コンプライアンス、個 人 情 報 保 護 等 の新 しい社 会 的 な要 請 の増 加 に応 じた大 学 のガバナンス 強化の一環として、委員会や関連する事務作業が増大したこと。
○ 高大連携や地域社会への貢献、独自性の発揮など社会サービスの時間や外部との接触の機 会が増大したこと。 ②内的要因(学内の組織構造、運営体制等) ○ 外部資金獲得要請の増加に応じて作業及び外部資金獲得後のマネジメント時間が増大したこ と。組織運営に携わる事務職員が不足気味であるため、結局教員がほとんどの作業を自分で 行うことになってしまっている。 ○ 組織構造の複雑化に伴い、最終的な意思決定までのステップ及び時間が増大したこと。従来 の組織構造においては、学部・学科の判断を仰げばよかったが、国立大学法人化に伴い安全 管理会や倫理委員会など承認に関わるステップ数が増加し、最終的な意思決定までに経るべ きステップがむしろ以前よりも複雑になっているケースも散見される。 ○ 組織運営に携わる事務職員らについても任期制の導入等により、「専門家」までに育成するこ とが困難になっていること。 ○ 留 学 生 の受 け入 れ等 に際 し、大 学 側 の事 務 の国 際 化 が不 十 分 なため、結 果 として本 来 業 務 以外の部分も教員への負荷となっていること。国として海外からの人材受け入れについては推 進する方向が示されていることから、今以上に雑務が増えるのではないかと不安を持っている。 ○ 入試のスタイルの多様化により入試回数が増加し、関連業務負担(試験問題作成、試験監督、 採点等)が増大したこと。 ③研究環境(研究室の仕組み等) ○ 研 究 活 動 の実 際 上 の担 い手である大 学 院 生 (国 立 大 学 は、博 士 課 程 在 籍 者 。新 制・地 方 国 立大や私立大学は修士課程在籍者)に関する不安要素が増大したこと。第 1 にポスドク問題 等を目の当たりにした学生が博士後期課程をあまり目指さなくなっていること、第 2 に基礎学力 の低下に伴い、研究活動の担い手である学生のレベル維持にエフォートが必要となり、研究室 全体の研究力の低下を招いてしまうことが挙げられた。 ○ 学部生や修士課程在籍者の就職活動早期化・長期化により、研究室活動への参加期間自体 も短縮され、また就職先が決定していることにより、研究に没頭するようなモチベーションを維持 しづらいなど指摘された。 ○ 学生のメンタルケアの必要性が増大していること。