第1節 研究者 1 人当たりの論文生産性
研究者 1 人当たりの論文数・トップ 10%論文数の推移を以下に示す。
まず、今回分析の枠組みとして設定した第 1~4 グループに含まれる大学を対象とした場合、研 究者 1 人当たりの論文数について、全体的に日本が英国を上回っている。このことは、重要な点で ある。これまでの調査・分析においては、しばしば日本の論文生産性の低さが指摘されているが、そ れは、教育 に主要なミッションを持ち、論文生産 にほとんど参加していない大学までを含めた場合 の分析である。第 4 章で述べたように日英では大学システムの構造が異なっており、本調査の設定 のように、「論文生産に参加している大学」を適切に抽出した上で分析すれば、第 1 と第 4 グループ は日本が英国を上回っており、日本の論文生産性は決して低くないことが確認できた *。
一方、トップ 10%論文数に限ると、研究者 1 人当たりの生産性は英国の方が高くなっている。特 に第 2 グループのトップ 10%論文の生産性の違いは重要と考えられる。前章でも述べたように、英 国 における第 2 グループは論 文 生 産で非 常 に大きなシェアを占めている。このグループのトップ 10%論文生産性が高いという事実が、英国全体の生産性を押し上げていると考えられる。
経年的な変化を見ると、英国はほぼ横ばいで推移しているが、日本は期間 D で生産性の低下が 見られる。また、高インパクト論文比率の項でも述べたのと同様、生産性の高さについても、グルー プの順序と一致している。
* ただし、分 析 対 象を絞 らず全 大 学 の論 文 生 産 性 を日 英 比 較 すると、英 国が日 本 を上 回 る。NISTEP REPORT No.118 日 本と 主 要 国 のインプット・アウトプット比 較 分 析 を参 照 のこと。
第 1 - 6 - 1 図 グループ別の研究者 1 人当たり論文数【左:日本、右:英国】
0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90
A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07
研究者当たり論文数(件/人)
第1グループ 第2グループ
第3グループ 第4グループ
0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90
A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07
研究者当たり論文数(件/人)
第1グループ 第2グループ
第3グループ 第4グループ
(注 )グループ毎 にインプット・アウトプットデータの合 計 値 を算 出 し、アウトプットデータをインプットデータで除 算 することで生 産 性を算 出 。
第 1 - 6 - 2 図 グループ別の研究者 1 人当たりトップ 10%論文数【左:日本、右:英国】
0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09 0.10
A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07
研究者当たりトップ10%論文数(件/人)
第1グループ 第2グループ
第3グループ 第4グループ
0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06 0.07 0.08 0.09 0.10
A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07
研究者当たりトップ10%論文数(件/人)
第1グループ 第2グループ
第3グループ 第4グループ
(注 )グループ毎 にインプット・アウトプットデータの合 計 値 を算 出 し、アウトプットデータをインプットデータで除 算 することで生 産 性を算 出 。
第2節 総事業費当たりの論文生産性
総事業費当たりの論文数・トップ 10%論文数の推移を以下に示す。
英国では、 第 2 章で述べたように近年の総事業費の大幅な拡大により、総事業費当たりの論文 生産性は大きく低下している。
日本では、期間C→Dにかけて第 2 グループの総事業費当たりの生産性が低下している(期間A
→Bも低下しているが、データ上の問題による可能性あり。*)。しかし、期間C→Dにかけて第 2 グル ープの 1 大学当たりの論文数は横ばいであり、この総事業費当たりの生産性の低下は、期間C→D で 2 つの大規模な私立大学が第 3 グループから第 2 グループへ移動したことにより、1 大学当たり の総事業費が伸びたことが主な原因となっている。
なお、総事業費当たりの生産性の高さは、研究者当たりの生産性と同様に、日英ともに、第 1 グ ループが高く、以下第 2、3、4 グループとなっている。規模の大きな大学の方が論文数・トップ 10%
論文数共に生産性が高い。
PPP円換算との比較においても、「論文生産に参加している大学」を適切に抽出した上で分析す れば、第 1 と第 4 グループでは日本が英国を上回っており、日本の論文生産性は決して低くないこ とが確認できた †。
第 1 - 6 - 3 図 グループ別の総事業費当たり論文数【左:日本、右:英国】
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07
総事業費当たり論文数(件/10億円)
第1グループ 第2グループ
第3グループ 第4グループ
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0
A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07
総事業費当たり論文数(件/百万ポンド)
第1グループ 第2グループ
第3グループ 第4グループ
(注 )グループ毎 にインプット・アウトプットデータの合 計 値 を算 出 し、アウトプットデータをインプットデータで除 算 することで生 産 性を算 出 。
*期 間 A の第 2 グループには総 事 業 費 が異 常 に小 さい値しか計 上 されていない大 学 が存 在 しており、その結 果 として見かけ上 期 間 A→B の総 事 業 費 が大 きく伸 びたように見 えていることも影 響 しているので、注 意 が必 要 である。
† ただし、分 析 対 象を絞 らず全 大 学 の論 文 生 産 性 を日 英 比 較 すると、英 国が日 本 を上 回 る。NISTEP REPORT No.118 日 本と 主 要 国 のインプット・アウトプット比 較 分 析 を参 照 のこと。
第 1 - 6 - 4 図 グループ別の総事業費当たりトップ 10%論文数【左:日本、右:英国】
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07
総事業費当たりトップ10%論文数(件/10億円)
第1グループ 第2グループ
第3グループ 第4グループ
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2
A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07
総事業費当たりトップ10%論文数(件/百万ポンド
第1グループ 第2グループ
第3グループ 第4グループ
(注 )グループ毎 にインプット・アウトプットデータの合 計 値 を算 出 し、アウトプットデータをインプットデータで除 算 することで生 産 性を算 出 。
第 1 - 6 - 5 図 グループ別の総事業費(PPP 円換算)当たり論文数及びトップ 10%論文数
【左:日本、右:英国】
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07
総事業費当たり論文数(件/10億円)
第1グループ 第2グループ
第3グループ 第4グループ
0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0
A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07
総事業費当たり論文数(件/10億円)
第1グループ 第2グループ
第3グループ 第4グループ
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07
総事業費当たりトップ10%論文数(件/10億円)
第1グループ 第2グループ
第3グループ 第4グループ
0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0
A. 96~98 B. 99~01 C. 02~04 D. 05~07
総事業費当たりトップ10%論文数(件/10億円)
第1グループ 第2グループ
第3グループ 第4グループ
(注)英 国の総 事 業 費 当 たり論 文 生 産 性 を、購 買 力 平 価 (PPP)により円 換 算 している。