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応用物理学、化学、基礎生物学、機械工学、数学・理論物理学分野における議論 87

ドキュメント内 平成19年度  (ページ 123-129)

第 4 章 パネル討論結果

第 2 節 研究環境に関する議論(分野別)

1. 応用物理学、化学、基礎生物学、機械工学、数学・理論物理学分野における議論 87

・ 基礎研 究を支える源泉 は博士課程 の学生。彼らは博士課程の次のステップがみえない と進 学 してこない。そのため、修 士 で優 秀 な人 材 は進 学 せずに企 業 に就 職 する。【私 立 総合】

・ 旧態依然とした講座制が残っており、ポストの流動・削減がほとんどなく、論文を書かずと も定年までいられる状況がある。こうした状況では、新しい研究者は育ってこない。【私立 単科】

・ PhD 保有者に社会が多様なキャリアパスを用意できていない。一方で、医学部では MD 育成に追われており、研究に手が回らなくなってきている状況がある。【私立総合】

・ 就職活動に学生が時間を取られている。M1 の秋頃から頻繁に説明会が開催されるので、

学生は研究どころではなくなっている。【私立単科】

④機械工学パネル

・ 助教・准教授の任期付きポストが増え、その限られた時間の中で雑用をさせるのはもって のほか、という風潮になった。その代わり、正規雇用の教員が雑用をこなさなければならな い。【旧帝】

・ 講座制を廃止する専攻が増え、若手教員の自立が求められるようになった一方で、今ま で教授から若手へ引き継がれてきた暗黙知が伝わらなくなった。【旧帝】【国立単科】

・ 修士を研究補助に使ってはいけないという方針が出たために、企業との共同研究などは 大変になった。【国立単科】

・ 修士課程の学生は、研究を支える重要なスタッフ。M1 の間からの就活をしており、モチベ ーションの低下に繋がっている。【旧帝】

⑤数学・理論物理パネル

・ 現在は若手教員の任期付きポストが増えている。助手の間に集中して研究し、世界に冠 たる成果を挙げた方が何人もいる。安定した職がないと、大きな議論を目指していくことが できない。若手のキャリアの構築が難しい。【旧帝】【国立総合】【国立単科】

・ 大 学院 化で大 規模な大 学は過 去の組 織構 造である教 授1-助 教授1-助 手2という体 制 を改め、教 授ポストが増 加した。そのため、助教 のポストが激 減してしまった。その結果、

助教の負担が単純に昔と比べられない状況になっている。【国立単科】

・ 就職活動早期化の問題は理論物理分野でも当てはまる。【旧帝】【国立総合】

(2) 研究支援者に関する指摘

①応用物理パネル

・ 予 算 を得 た研 究 室 は、予 算 の消 費 と会 計 管 理 に労 力 を費 やしている。ある程 度 研 究 を 理解し、学生の面倒を見てくれる方が必要。【国立総合】

・ 支 援 者は若 い方が望 ましい。その後 、プロとして活 躍できるようなキャリアパスがあると雇 用しやすい。以前の大学で雇用していた技術職員は、年齢が上がっても雇用し続ける必 要 があったので、生 産 性 が下 がったり、彼 らの保 有 スキルと期 待 するスキルがずれたりと いった弊害もあった。【旧帝】

②化学パネル

・ テクニシャンと学 生 の違 いは、研 究 テーマ。企 業 との共 同 研 究 など、短 期 的 な結 果 を求 められる研究においては技能者を使っている。逆に学生に対してはもう少し大きく、じっく り考えられるテーマを与えている。【旧帝】

・ 知財のエキスパートが欲しい。論文執筆だけでも非常に大変なのに、特許の申請書類作 成まで手が回らないというのが正直なところ。結局、申請が間に合わず、学会発表してし まっている。これは日本全体の損失につながっているだろう。【私立総合】

③基礎生物学パネル

・ 共通しているのは事務処理負担の高さ。昨今はコンプライアンス重視の観点からルール はますます細分化され、煩雑になっている。ある程度、分野の専門性をもったマネジメント のプロをプロジェクトベースで雇用できるようになるとよい。【私立総合】

・ 本 学では研 究 支 援センターに事 務 職 員 がいて、実によく働 いてくれている。彼らの費 用 は大学本部の負担。【私立単科】

・ 大学の事務部門で頻繁にセクションが新設されるが、それに伴い、既存セクションの人材 が異動させられ、支援体制が弱まることがある。これは教員の事務負担に直結する(過去 の経験では、こうした事情により一時的に論文数が激減したことがある)。【私立総合】

・ 常勤事務職員の心的負担が高いとよく耳にする。背景には、大学本部や学部の事務職 員の多くが派遣職員中心になっており、常勤職員との間で軋轢が生じていることがあるら しい。かなり深刻な問題。【旧帝】

④機械工学パネル

・ 事務員のクオリティの問題がある。職員の流動がないために、優秀な正規職員を雇用す ることができない。結果として臨時職員を沢山雇っている。【旧帝】

⑤数学・理論物理パネル

・ 他分野で議論されてきた研究支援者の不足の問題はそのまま数学・理論物理学パネル にも当てはまる。【国立単科】

(3) 研究設備/機器(スペース)に関する指摘

①応用物理パネル

・ 実験設備を置くスペースが確保できない。【国立単科】

②化学パネル

・ 大きな実験機器を置くスペースを確保することが難しい。身近な場所に置けず、離れた場 所 に置くことになるが、その場 合 には効 率 性 が下 がる。そもそも大 学 内 に置 くスペースも 減少しつつある。【国立総合】【国立単科】【私立単科】

・ 実験機器の購入、設置計画を定めるマスタープランが大学側にない。【国立単科】

③基礎生物学パネル

・ 実験スペースの問題は深刻である。【私立総合】

④機械工学パネル

・ 機械と機械の間にスペースを空けなくてはならなくなった。元々限られたスペースに置い ていたために置く場所がなくなって困っている。機械工学の研究はスクラップアンドビルド で進めるので、古い機械を引っ張り出してきて組み立てたりするのだが、それが難しくなっ てきた。古い資産を沢山持つということが大学ではできなくなってきた。【国立単科】

⑤数学・理論物理パネル

・ 新たな分 野 を開拓する部 分には研 究 予算が付 くが、基盤 的 な研究には予 算が付きにく い。【旧帝】

(4) 研究資金に関する指摘

①応用物理パネル

・ 大学単位でも個人単位でも、研究資金が偏在している。最低限の資金すらない研究室も ある。一定の競争は必要だが、サバイバルに労力を費やしている。【旧帝】

②化学パネル

・ 実験装置の電源など、基盤的な経費を科研費等の間接費から捻出するのが難しい状況。

【旧帝】

③基礎生物学パネル

・ 間接経費の活用ルールは大学ごとに決めるが、本学では大学本部に帰属してしまうので、

プロジェクトベースの雇用には活用できない。また、予算の種類によって費目が異なるた めに、その都度確認が必要。【国立単科】【私立単科】

④機械工学パネル

・ 旧帝大はそれなりの額をもらっているだろうが。学生の交通費すら出すのが苦しい状況。

国の予算を貰うとその使い方に対して雑用が非常に増える。第 3 期基本計画では間接 経費を増やしているが、これは大学が取るので現場には還元されていない。【国立総合】

・ 科研費の間接費が 3 割となったというが、企業の方がもっと間接費が大きい。3 割ではと てもじゃないけれどもできない。【旧帝】

・ 日本における機械工学分野の競争力の源泉は基盤研究にあるにも関わらず、この部分 に対する予算が減少し、研究の継続が難しくなってきた。【旧帝】

⑤数学・理論物理パネル

・ 法人化以降、定常的な予算が減ってきているが、大学本部の取り分が多くなってきており、

足りない部分は外部資金で補わないとやっていけない状況。大学の本部からも、外部資 金獲得に対する圧力が増加している。【旧帝】

・ 近年、基礎分野を軽視する傾向にある。数学としては教育体制を含めて全てを維持して 十分な研究時間を確保できる体制が望ましい。【国立総合】

・ 理論系の研究の場合、重点的に研究費をつけるというやり方は馴染まないかもしれない。

【国立総合】

(5) 大学組織全般に関する指摘

①応用物理パネル

・ グローバル COE などの大きな競争的資金は大学組織レベルでリソースが十分でなけれ ば応募することすらできない。【国立単科】

②化学パネル

・ 法 人 化 後 の競 争 的 なシステムによって国 公 立 間 の格 差 が広 がったという調 査 結 果 が出 た。これは実感としても合っている。【国立総合】

・ 圧 倒 的 に教 員(教 授 、准 教 授 、助 教 、助 手 等 含 めて)数が違 う。以 前より大 学 の機 能 分 化が挙げられており、地方大学は特徴出しを求められているが、真に機能特化した大学 はまだ無い。【国立総合】

③基礎生物学パネル

・ 長年、潤沢な研究資金をもらってきた旧帝大とは色んな意味でストックが異なる。こうした 状 況 で、旧 帝 大 クラスと対 等 な競 争 を求 められる現 状 はアンフェアであると感 じている。

【国立総合】

④機械工学パネル 特になし

⑤数学・理論物理パネル

・ COE のような大きなプロジェクトにおいては、狭い分野である程度の人数が必要とされて いる。地方大学はそれだけの人員をアサインできないため、そもそも応募できない状況に あるだろう。【国立総合】

・ 大学としての特徴出しを求められているのは地方大学だけではない。新しい融合分野を 作るために基礎が疎かになっている可能性がある。【旧帝】

ドキュメント内 平成19年度  (ページ 123-129)