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目的と手法の検討

ドキュメント内 平成19年度  (ページ 35-39)

第1節 背景・目的

我が国の科学技術政策は、5 年毎に策定される科学技術基本計画(以後、基本計画と記述。)

に基づき、推進されている。1996 年度に始まる科学技術基本計画の策定以降、科学技術関係予 算の拡充・重点化、研究環境の競争化が見られるとともに、高等教育行政上では国立大学の法人 化、運営費交付金の毎年の減少などが展開され、日本の大学は大きな変化の波の中に居ると考え られる。

以上のような背景の下、本調査は以下の点に関する定量的な情報を提供することで、第 3 期科 学技術基本計画のフォローアップや今後の科学技術政策の検討に資することを目的とする。

○ 海 外 との比 較 を通 じて、日 本 における大 学 群 (以 下 、日 本 の大 学 システムと記 す。)の研 究 活 動の特徴・経年変化を明らかにする。

○ 大学単位のデータを用いて、インプット・アウトプットの関連を明らかにする。

第2節 比較分析の視点

上記の目的に沿って、本調査では特に以下の視点に立って分析を行った。

○ 大学システムの財務構造はどうなっているのか。どの程度の割合が、研究に費やされているか。

○ 大学システムの中での研究者数や研究資金はどのように分布しているか。経年的な変化は起 きているか。

○ 資源配分(インプット)と研究成果(アウトプット)にはどのような関連があるか。

○ 上記の分析の結果、日本と他国でどのような違いが見られるか。

第3節 比較対象国の選定

本調査は、大学システムの内部構造を詳細に分析することを目的としているため、各大学単位の データセットが必要となる。大学単位データの入手可能性、日本のデータ(科学技術研究調査から 収集)との比較可能性を検討し、本調査では日本・英国を比較対象とした。英国を選定したのは以 下の理由による。

○ 一般的に、研究生産性が高いとの評価を受けている国であること。

○ 英国高等教育統計局(Higher Education Statistics Agency: HESA)から、英国高等教育機関 の網羅的データを大学単位で入手可能であり、日本の科学技術研究調査のデータと共に、両 国を大学単位データから比較が可能である。

○ 英国は、1990 年代半ばから高等教育システムの改革に取り組んでいる。また、他国と比較して 論文生産性が高く、同国の大学システムと比較・分析することは、日本にとっても有益な示唆が 得られる可能性が高い。

第4節 使用したデータソースおよび分析対象データ

1. 使用したデータソース

本調査では、以下に示したデータソースの中で、両国の比較可能性を考慮しながら、分析対象 データを検討した。

第 1- 1- 1 表 本調査で使用したデータソース データの

種類 日本 英国

イ ン プ ッ ト データ

総 務 省 統 計 局 「科 学 技 術 研 究 調 査 」調 査票(総政審第 344 号)の機関単位デー タを使用。

HESA ( Higher Education Statistics Agency ) の Research of Higher Education Institutions に収集された機関 単位データを使用。

アウトプット データ

トムソンロイター社 Web of Science (Science Citation Index Expanded) のデータを基に、科学技術政策研究所が集計。

2. 比較分析対象データ

本調査は、日本・英国の大学システムにおけるインプット・アウトプットデータの両方を分析対象と している。具体的には、上記データソースから以下のようなデータを分析に使用した。

第 1- 1- 2 表 本調査で使用したデータと本報告書での表記 データの

種類

本 報 告 書 での

表記 日本 英国

教員・研究者

「 研 究 者 ( 本 務 者 ) 」 の 内 、 「 教 員 」「医 局 員 ・その他 の研 究 員 」 の合計値

「Full-time academic staffs」

総事業費 「支出総額」 「Income」

外 部 受 け入 れ

研究費 「外部から受け入れた研究費」 「 Income 」 の 内 、 「 Research grants & contracts」該当部分 イ ン プ ッ ト

データ

内部使用

研究費 「内部で使用した研究費」 ※対応するデータ無し

論文数

著者が所属する機関の国により件数を分数カウント。

例)東京大 学(理学部)、東京大学(工学部)、京 都大学、カリフ ォルニア工科大学に所属する研究者による共著論文

⇒ 日本に 3/4 件、米国に 1/4 件とカウント。

⇒ 東京大学に 2/4 件、京都大学に 1/4、カリフォルニア工科大 学に 1/4 件とカウント。

トップ 10%

論文数 論文数の内、被引用数が上位 10%以内に含まれるものをカウント。

アウトプット データ

被引用数 各論文が 1986~2007 年の間に引用された件数をカウント。件数は 2007 年末時点。

3.分析対象機関

本調査は、日本・英国の高等教育システムとして、基本的に大学・短期大学相当の機関全体を 分析対象としている。以下で、「大学」と表記した場合には、大学と短期大学を含むものとする。

4. 分析対象期間と期間区分

本調査で分析対象とする大学単位データは毎年の変動が激しいため、そのままでは安定した分 析が困難である。そのため、本調査では 3 年単位で A~D の期間区分を設け、各期間での合計値

(もしくは平均値)を分析対象とした。

期間区分は、以下のようにインプット・アウトプットデータで 1 年間ずらして設定した。これは、イン プット(人、予算など)を投入してからアウトプット(論文など)が得られるまでに一定のタイムラグが存 在すると考えられるためである *。なお、本報告書ではデータ年次の表記はインプットデータのもの で統一している。

第 1- 1- 3 表 データの分析対象期間と期間区分 期間区分 インプットデータ アウトプットデータ

A 1995~1997 年 1996~1998 年 B 1998~2000 年 1998~2001 年 C 2001~2003 年 2002~2004 年 D 2004~2006 年 2005~2007 年

5. 比較上の留意点

研究開 発統 計や教育統 計のデータは多くの国 で公開されているが、これらはデータの定義・集 計範囲などが異なっており、一般にそのまま比較することはできない。本調査で使用したデータも、

比較可能性には以下のような問題点が存在する。

○ 科学技術研究調査について、2000 年データ(平成 13 年調査報告が該当。)までに用いていた 各大学・学科に付与される ID (旧 ID とする。) と大学・学科名の対応表が現存しない(総務省 統計局)。2001 年データ(平成 14 年調査報告が該当。)以降は、新たに各大学・学科に付与さ れる ID(新 ID とする)を設定しており、こちらについては大学・学科名の対応表がある。2001 年 データには、各大学・学科に新 ID と旧 ID がついているため、その情報を過去に遡及し 2000 年調査までの旧 ID の大学・学科名を決定した。しかし 2000 年以前には存在したが、2001 年に は存在しなくなった大学・学科や、2000 年以前に大学・学部等の名称を変更した場合につい ては、名称を判定できないため、データを捨てている。HESA から入手したデータについても、

基本的に最新版(2006 年)に収録されている機関名称を基準に名寄せを行っているため、若 干ながら名 寄せから漏 れているデータが存 在 している。日 本・英 国とも過 去の期 間 ほどデータ の把握率が低下する。特に、日本の期間 A におけるデータの把握率は 95%前後となっており、

経年比較する上でも注意が必要である。

* 本 調 査 では 1 年 間と仮 定 したが、実 際 のインプット→アウトプットのタイムラグが 1 年 間 であるという保 障 はない。このタイムラグ がどの程 度なのかについては、更 なる調 査・分 析 が必 要 である。

第 1- 1- 4 表 データの把握率【上:日本、下:英国】

日本 A. 95~97 B. 98~00 C. 01~03 D. 04~06 教員・研究者数 95.8% 99.1% 100.0% 100.0%

総事業費 95.5% 99.0% 100.0% 100.0%

外部受け入れ研究費 95.7% 99.2% 100.0% 100.0%

内部使用研究費 94.3% 98.7% 100.0% 100.0%

英国 A. 95~97 B. 98~00 C. 01~03 D. 04~06 教員・研究者数 96.8% 99.7% 100.0% 100.0%

総事業費 96.8% 99.6% 100.0% 100.0%

外部受け入れ研究費 95.3% 99.9% 100.0% 100.0%

(注)大 学 単 位 データとして名 寄 せできている割 合を算 出 。

(把 握 率)=(名 寄 せできているデータの合 計)/(名 寄 せできていないものも含 めた全てのデータの合 計)

○ 日本(科学 技術研 究調 査)においては、いわゆる「大学病 院」組織も含まれた形でデータが計 上されている。しかし、英国(HESA)においては、「大学病院」相当のデータが含まれていない。

英国における「大学病院」とは、大学と教育・研究上で協力関係にあるものの、管理・運営は大 学と独立の組織である。従って、HESA のデータにおいても、「大学病院」相当のリソースについ てはデータが計上されていない。このため、「大 学 病院」相 当 分だけ日 英のインプットデータに 相違がある。

○ 英 国 には、1 つの大 学 の中に複 数 の「カレッジ」などを有するものが存 在 する。こうした「カレッ ジ」の中 には独 立 性 の高 いものも存 在 し、HESAから入 手 したインプットデータにおいても別 組 織として収録されている場合がある。一方、アウトプットデータは論文の著者が記した所属大学 名称を用いて集計しており、所属大学名称の表記によっては、インプットデータとの対応がとれ ない場合がある *。こうした大学については、インプット・アウトプットデータの連結が不十分となっ ており、特に生産性分析において異常値を示すことがある。

* ロンドン大 学(University of London)が特 に顕 著 な例である。ロンドン大 学は様 々なカレッジを包 含 する組 織 全 体 を指 しており、

HESA から入 手 したデータにおいても、「University of London」として計 上 されている機 関と、ロンドン大 学の傘 下 にはありながら データ上 は別 組 織として収 録 されている機 関 が存 在 する。一 方 、アウトプットデータ(論 文)では、著 者は自 身 の所 属 を

「University of London」とのみ記 している場 合と、傘 下 のカレッジなどまで明 記 している場 合 があり、インプットデータと完 全に対 応 付けることは不 可 能 である。

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