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児童の側に立ったり、また、掃除を怠ける役のいじめっこの側につ いてその子以上に、掃除を怠け、言いたい放題する役を演じて、本 人に問題を気づかせるように試みた。

 いじめっこもそうであるが、強い排斥を受けている子、孤立して いる児童の場合は、集団の中での指導も必要であるが、それと平行

して、個人的、または少人数によるカウンセリングが必要であると 考える。高学年になるにつれてそのような人間関係は固定化される

ことが大きく、一度決定されたそのような位置は容易なことでは取 り除けない。本入もまたそう決定された役割(本入の好き嫌いに関 わらず)を演じていくことになってしまっている。

*教師の問題

 このことについては、色々なところで述べたが、ロール・プレイ ングの効果を大きくするのも効果が上がらないのも教師の力量によ るところが大きいと思える。

 ロール・プレイングに対する知識、というよりも監督としての力 量が問われることになる。ウォーミングアップの技術、補助自我と

していかに児童の心を洞察して、言語化できるかということが重要 になってくる。教師の側に自発性、創造性がなければ、児童の側に 自発性、創造性を求めることは出来ないだろう。教師として、基本 的にカウンセリングマインドが要求される。

*不適応児童の概念の問題

 福島(1983)によると「ある時代、ある環境に対する望ましい適応 性は次の時代、新しい環境に対しては必ずしも好ましいものではな かった」というように、適応、不適応の感覚は時や場所によっても 変化する。適応、不適応の基準というものも難しい。ある教師はこ の児童は、適応していないと捉えるかもしれないし、また、別の教 師は問題はないと捉えるかもしれない。このことは、SEAS、 P

DM、バウムテスト全体的印象評定尺度、 P−Fスタディにおいて もすべてに、適応していたという児童も少なく、また、すべてにお いて、適応していなかったという児童も少ない。つまり、一入の人

問の適応、不適応という問題は一面的に捉えることが困難であるこ とをあらわしている。

 つまり、普遍的に適応、不適応という概念は存在せず、何を持っ て適応、不適応と判断出来るのかというのは非常に難しい。ただ言 えることは、教師は、児童の一面の結果からすべてを判断すること ではなく、日頃からの観察や家庭との連絡による情報、児童側から の情報を収集して多面的に児童を捉える態度が求められるのである。

(2) 学校現場における実施上の問題

*実施時間の問題

 筆者は、道徳の時閤に実践を行ったが、ゆとりの時問の活用も望 ましいと考える。しかし、土曜休日の問題、学校行事の問題などで それらの実施をしないで、ロール・プレイングの実施をするには、

それなりの効果を示す実践の積み上げとともに、学校全体の総意も 必要となってくるであろう。時間的には、学級指導、朝の会、終わ りの会などの利用も考えられるであろう。しかし、いずれにしても いきあたりに実施するのではなくて、きちんとした指導計画に乗っ 取った実践でなければ、効果が生じないのは言うまでもないことで

ある。

*学校での取り組みの問題

 今回の実践で同じ学年において、実施したクラスと、実施しなか ったクラスがあった。このことは、研究の方法上統制群の必要から そのように計画をしたのであるが、実際の場面においては、同学年 において、このようにクラスによって実施したり、しなかったりす っという方法には、問題があると思える。学年単位で全クラス実践 ということになると、教師の側のロール・プレイングの知識と技法 上のテクニックが求められ、また同時に、教師が臨床的態度でもっ

て行うことが求められる。そういうことはそれぞれの教師のパーソ

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ナリティの問題もあってなかなか、学年的、全体的に行うことは難 しい。しかし、教師の基本的態度と、カウンセラーとしての基本的 態度は一致する事から、教師集団がカウンセラー的態度についての 研修を深めるなどの全校的な取り組みと、積極的な教節集団の姿勢

が求められるであろう。

2 今後の課題

 複雑な社会状況の中で、子どもたちを取りまく環境もより複雑さ を増してきている。いじめ、不登校に代表されるように学校の中で 不適応状態に苦しんでいる児童生徒が増加し、また、その指導に悩 んでいる教師も増えてきている。20年ぐらい前に生じた「非行」

問題や「校内暴力」問題は一部の限られた特定の子ども達の引き起 こす問題であったが、今日の「いじめ」「不登校」に至っては、誰 もが無意識のうちに悶題の渦の中に引き込まれる可能性を持ってい る。そのことについて森田(ig91)は「複眼的視点」と呼んでいるが、

それは、従来の一部の特定の子どもに潜んでいる要因の析出と対応 であり、他方では、これらの事例の背後にありながらも現代の多く の子ども達を巻き込み、問題の広がりを拡大していく要因の析出と 対応である。教師の指導は、頻発する問題の対応に追われて問題行 動への対応は、一部の限られた問題児と呼ばれる子ども達への差し 迫った対応に追われるのが現状である。そのために、広範な一般児 童・生徒を含んだ根底からの対応は後回しにされ、今日に至ってし

まったと:考えられよう。

 森田(1991)のいう「グレーゾーン」の増加は「不登校」問題に関 わらず学級適応にも同じようにいえるのではないだろうか。そして、

そのような不適応の「グレーゾーン」の児童の指導にロール・プレ イングは有効であると本砺究の実践から確信出来た。今後、より効 果的な実践をめざすためには、カリキュラムの開発が不可欠である。

また、児童の適応感に関する有効なテストバッテリーの研究も不可 欠なことであろう。教師としてより深い児童理解のために研鎖をつ

まねばならないことは当然のことであろう。

要約

1 研究の目的

 複雑な社会状況の中で、子どもたち庖取りまく環境もより複雑さ を増してきている。いじめ、不登校に代表されるように学校の中で 不適応状態に苦しんでいる児童生徒が増加し、また、その適切な指 導に悩んでいる教師も増えてきている。

 それらの、不適応に悩む児童生徒は一部の限られた特定の子ども 達ではなくなってきている。今日大きな問題になっているのは、森 田(1991)の「誰もが無意識のうちに問題の渦中に引き込まれる可能 性を持っている」どいうように、ごく普通の、誰にでもおこりうる 問題になった事である。教師はそれらの問題行動に対して指導をす べく心を配っている。しかし、頻発する問題の対応に追われて問題 行動への対応は、一部の限られた.問題児と呼ばれる子ども達への差

し迫った対応に追われるのが現状である。そのために、広範な一一般 児童・生徒を含んだ根底からの対応は後回しにされていることは否 めない事実である。

 その原因としては児童の耐性の欠如、現代人の自分主義、学校の 管理体制が強くなった事、家庭の教育力の低下、現代の社会の価殖 観の急激な変化、など色々といわれているが確固たるものが見いだ

されない。

 それらの問題を抱えた児童生徒がうまく学校、社会に適応するた めに教師と:して効果的な指導方法を考え、実践がなされなければな らない。そこで、学級でロール・プレイングをする事により、児童 個人の内面世界を表現する事により、自己に気づき、自発性、創造 性を高め少しでも、児童の学級適応に効果があるのではないか、そ の中でも特に、適応感の低い児童に対して効果が得られるのではな いかという仮説のもとに本研究の実践を計画した。

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2 研究の方法

(1) ロール・プレイングに関して

 ロール・プレイング実施にするにあたって、学級での課題を設定 し、その課題を克服するためのカリキュラムを構成した。そして、

その構成されたカリキュラムに沿ってロール・プレイングをする事 で、児童がより自発的に創造的に活動ができるようになることをめ ざした。また、ロール・プレイング実施前、実施後(直後と、新学 年始め)にテストを行い兜童の変容を個人的、集団的にみる事によ って、ロール・プレイングの効果を測定する。

被験者

 K市立H小学校5年生5クラス(172名)を対象に実践を行った。5

クラスのうち実験群が2学級(69名)、統制群が3学級(103名)である。

指導者

 筆者があたる。

手続き

 実験群の児童に対して、ウォーミングアップを含めて6時間のロ

ーー求Eプレイングを実施。時間は45分。各回終了後に振り返り表 に記入し、1時間のロール・プレイングを想起させる。また、事前 と事後に学校環境適応感尺度、PDM、バウムテスト、 P・・Fスタディ を実施。新学年はじめに学校環境適応感尺度、PDM、バウムチス

トを実施した。

実践実施期間

 1992年1月下旬〜2月下旬にわたって実施した。

実践内容

#1:ウォーミングアップを実施。ロール・プレイングに慣れる事    を目的とする。

#2:問題場面を想定し、どのように行動すれば、周囲のものが気    持ちよく生活できるようになるか、考える場とする。