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知識流通システムの構造化のプロセスの詳細

3. 知識流通システムの構造化の研究

3.3 企業の知識流通システムの構造化

3.3.3 知識流通システムの構造化のプロセスの詳細

知識流通システムの構造化プロセスの詳細を説明する.

(I)準備段階の詳細

図3-2における(Ⅰ)準備段階として,プロジェクトの参加者は(i)知識経営目標の構築,(ii) 知識経営の事実の抽出,(iii)知識経営施策の抽出のタスクを実施する.

(i)知識経営目標の構築のタスクは,知識流通システムの知識経営戦略レイヤーの抽象化知 識経営タスクである#1.1知識経営ビジョンの提示における具体的な目標の構築に該当する タスクである.プロジェクト参加者は,公開されている企業の経営目標や現場で体験して いる知識経営についての課題,経営幹部の知識経営についての方向性を材料に,知識経営 について議論する.この議論を通じ企業の知識経営目標を構築する.

(ii)知識経営の事実の抽出のタスクは,プロジェクト参加者に,企業で実施済みのアンケ ート,インタビュー,アセスメントなどの調査結果から知識経営に関連した調査結果を提 示して行う.プロジェクト参加者は,知識経営に関連した調査結果を要約し知識経営の事 実として抽出しリスト化する.抽出された知識経営の事実は,複数のプロジェクト参加者

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によりその妥当性が確認される.知識経営の事実の抽出は,企業の知識経営状況を把握す る活動であり,知識経営戦略レイヤーの抽象化知識経営タスクである#1.1知識経営ビジョ ンの提示に関連するタスクであり,知識経営目標の達成状況を評価するための事実を抽出 するタスクである.

(iii)知識経営施策の抽出タスクは,複数のプロジェクト参加者により,社内で実施中の知 識経営施策の抽出を行うタスクである.プロジェクト参加者が提案し運営した知識経営施 策,プロジェクト参加者が利用している知識経営施策などが構造化の対象として列挙され る.プロジェクト参加者は施策の内容や施策の想定する対象者など施策についての属性も 提示する.複数のプロジェクト参加者の合議により知識流通システムの構造化の対象とな る知識経営施策を抽出する.知識経営施策の抽出タスクは,知識経営戦略レイヤーの抽象 化知識経営タスクである#1.3知識経営環境要因のサポートを具体化するタスクである.

(II)アイデア創造段階の詳細

(II)アイデア創造段階のタスクは,知識流通システムにおける知識業務プロセスレイヤー の抽象化知識経営タスクの構造化のために実施する.具体的には,図3-2の(II)アイデア創 造段階の(iv)事実による知識経営目標の評価,(v) 改善の必要な知識経営目標と知識経営施 策の関連付け,(vi)知識経営施策の抽象化を行う.

(iv)事実による知識経営目標の評価

知識経営目標は,関連する知識経営の事実により評価され,重み付けがされる.目標(aim)

「a」と事実(fact)「f」についての関連性と重み(Weight)であるW(a,f)は下記のように定義 される.

W (a, f)

= 2 if “a” is supported by “f”

= 1 if “a” is partially supported by “f”

= -1 if “a” is not supported by “f”

= 0 otherwise

目標「a」の重みの総和は,下記のように定義される.

TW (a) = ∑W (a, f) where “f” is a fact.

TW(a)の値により,知識経営目標に優先度をつけることができる.閾値をVと定義すると,

改善の必要な知識経営目標(Weak Aim),「WA」は,閾値(V)より抽出される.

WA = {a| TW (a) <V}

(v) 改善の必要な知識経営目標と知識経営施策の関連付け

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改善の必要な知識経営目標が明確になったため,個別の知識経営施策と関連付けを行う.

知識経営目標「a」をサポートする個別知識経営施策(Specific Task),「ST(a)」は下記のよ うに定義される.

ST (a) = {t| an aim “a” is supported by task “t” }

改善の必要な知識経営目標「WA」をサポートする個別知識経営施策(Weak Specific Task),

「WST」は下記のように定義される.

WST = {t| for an “a” in WA, “a” is supported by task “t” }

(vi)知識経営施策の抽象化

抽象化知識経営タスク(Generic Task),「GT」と知識経営目標との関係は下記のように定 義される.

GT (a) = {g| “g” is the generic task for a specific task of ST (a) }

さらに改善の必要な知識経営目標のために実施される抽象化知識経営タスクの候補 (Candidate Generic Task),「CGT」は下記のように定義される.

CGT = {g | “g” is an element of GT (a) where “a” is an element of WA}

改善の必要な知識経営目標のために実施される抽象化知識経営タスク(Weak Generic Task),「WGT」は下記のように定義される.

WGT = {g | “g” is the generic task for a specific task of WST}

WGT =CGTとなることは明らかである.

(III)同化段階の詳細

図3-2の(III)同化段階は,(II)アイデア創造段階までの活動結果に基づいて,知識流通シス テムを構造化し,ロードマップを構築する活動である.(III)同化段階で構造化される知識流 通システムは,知識経営戦略,知識業務プロセス,知識経営施策群の3階層のレイヤー構 造で整理され,ロードマップ化される.

(vii)ロードマップの構築

ロードマップの構築は,事実から抽出された問題を解決するWGTを定義することで行わ れる.知識流通システムの構造化とロードマップ化は,WGTを起点とした次のステップで 実施される.

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ステップ 1) 最も重要な抽象化知識経営タスクを選択する.

ステップ 2) 最初に選択した抽象化知識経営タスクと関連する改善の必要な知識経営目標 のために実施される抽象化知識経営タスクを選び,その関係性から前後に配置する ステップ 3) ステップ2を繰り返しロードマップ上に抽象化知識経営タスクを配置する ステップ4) 抽象化知識経営タスクを実現する個別知識経営施策を対応付けて配置する

ステップ1において最も重要な抽象化知識経営タスクをWGTから選ぶ際には,たとえば,

知識経営の事実での評価で最も低い得点であるなどの観点が必要である.ステップ2にお いては先行する抽象化知識経営タスクは後に続く抽象化知識経営タスクの十分条件となり,

後に続く抽象化知識経営タスクは前の抽象化知識経営タスクの必要条件となるなどの観点 が必要である.抽象化知識経営タスク間の必要条件,十分条件の関係性から,抽象化知識 経営タスクは構造化され,ロードマップに配置できる.さらに抽象化知識経営タスクを実 現する企業で実施中の知識経営施策を配置することで,企業の知識経営施策の関係性が表 現できる.

(IV)操作分析段階の詳細

図3-2の(IV)操作分析段階は,知識流通システムの構造化を企画するメンバーが実施する.

知識流通システムの構造化を企画するメンバーは,事務局としての役割を持ち,知識流通 システムの構造化に対してプロジェクト参加者の活動を円滑化する.

(viii)分析モデルの決定

(viii)分析モデルの決定のタスクは,主として(I)準備段階のタスクを制御する.(I)準備段 階から参画するプロジェクト参加者は,企業内の知識経営に精通している必要があるため,

企業の経営企画部門,情報システム部門,CIO補佐組織,技術部門などからの参加が望ま しい.プロジェクト参加者の選出方針や,(I)準備段階で実施する知識経営目標の内容や知 識経営の事実や知識経営施策の抽出方針の決定はこのタスクで行われる.

(ix)価値モデルの構築

(ix)価値モデルの構築のタスクは,主として,(II)アイデア創造段階のタスクを制御する.

(iv)事実による知識経営目標の評価のタスクにおける閾値の決定,(v)改善の必要な知識経営

目標と知識経営施策の関連付けのタスクと(vi)知識経営施策の抽象化のタスクにおける方 針や基準の設定を行う.一連のプロセスを実施して判明した参加者の実際の活動特性や,

収集された事実の内容,改善の対象として抽出された知識経営施策などに対応して,価値 モデルを構築し直すこともこのタスクで行う場合もある.

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(x)知識経営施策の評価

(x)知識経営施策の評価のタスクは,(II)アイデア創造段階で構造化された知識経営施策の

優先度を評価し,(III)同化段階の(vii)ロードマップ構築のタスクの指針を決定するタスクで ある.操作分析段階のタスクによる優先順位の決定を受けて,最終的な同化段階を遂行し,

知識経営の実態に即した知識流通システムの構造化とロードマップの構築がされる.